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稲船、五十嵐、會津―「インディーの苦難」をトップランナーが議論!

トップランナーともいえるcomceptの稲船敬二氏、その開発を支えるインティ・クリエイツ社長の會津卓也氏、そして『Bloodstained』で記録的なKickstarter資金を集めたIGAこと五十嵐考司氏の3人が、熱い意見を交わしました。

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Valveや吉田修平氏も登壇した、京都「BitSummit 2015」のステージイベント。他にも注目のパネルセッションとして、「インディー」や「クラウドファンディング」をテーマに、その筋ではトップランナーともいえるcomceptの稲船敬二氏、その開発を支えるインティ・クリエイツ社長の會津卓也氏、そして『Bloodstained』で記録的なKickstarter資金を集めたIGAこと五十嵐考司氏の3人が、熱い意見を交わしました。

進行役は、今回のBitSummitで司会をつとめ、かつて稲船氏や會津氏と共にカプコンに在籍したBen Judd氏。最初のトピックは、日本におけるクラウドファンディングの印象について。

国内Kickstarterの第一人者といっても過言ではない稲船氏は、クラウドファンディングは日本でも最近何かと注目されつつあるけれど、まだ知らない人が多い、との見解。これに対して、五十嵐氏や『Bloodstained』のKickstarterをプロデュースしたJudd氏は、「稲船さんが(Mighty No. 9で)最初にやって成功していたのがきっかけで自分たちもはじめた」などと答えました。

特に五十嵐氏は、Kickstarterでお金が集まるということ自体、最初は信じられなかったそうで、『Bloodstained』も当初はクラウドファンディング前提の作品ではなく、大手のパブリッシャーに直接企画を提案していた経緯を明らかに。しかし、パブリッシャーサイドの人間は、五十嵐氏の企画を「面白そう」とは言うものの、具体的なお金の話には乗ってくれなかったといいます。


五十嵐氏いわく、『Bloodstained』のように、たとえ2Dグラフィックでも探索型のゲームは開発の物量が大変多く、お金もかかるのに、大手パブリッシャーには見た目でもっと安く作れると判断されてしまい、コスト面で折り合いがつかなかったそう。結果的に、提案を蹴ったパブリッシャーや五十嵐氏自身の予想を裏切るかのように、『Bloodstained』はKickstarterの資金調達で大成功をおさめました。

一方、Ben Judd氏は、Kickstarterには依然として難しい面もあると指摘。プロジェクトを立ち上げても、実際にお金がいくら集まるかわからず、集まったお金をすべて開発に使えるわけでもないという点は、ユーザーにも理解してもらう必要があると述べました。

次のトピックは、独立にあたって最も苦労したことです。

カプコン退社後にcomceptを設立、現在4~5年目という稲船氏。「いらない」と言っても毎月勝手に給料が振り込まれる大企業と違って、インディーは生活するために自分で給料を作り出す必要があり、いかにプレゼンして仕事をもらうかを考えたり、ゲームを作る以外の仕事が大変だと説明。

かたや、19年目をむかえるというインティ・クリエイツの會津社長は、設立初期、10人が食べていくにも大変だった頃、ソニー・ミュージックのクラブDEPというコンテストではじめて仕事をもらい、自分たちの作りたいものを作ったものの、、鳴かず飛ばずだったといいます。しかしカプコン在籍時代の稲船氏と仕事をするようになり、自由に作った『ロックマンゼロ』や『ロックマンゼクス』シリーズで転機をむかえたそう。

他の3人と違ってコナミに在籍していた五十嵐氏は、「Benさんにそそのかされて会社をやめた」と冗談混じりにこぼしつつも、独立後はパブリッシャーが見つからずに無給状態の辛い日々。このままでは仕事もなくキツイと思い、コンシューマーゲームもやるという条件で、たまたま起業を計画していた知り合いに乗っかることに成功。ArtPlayの代表取締役プロデューサーに就任します。


Ben Judd氏が次にぶつけたのは、インディーに対してギャップもあるパブリッシャーが、今後どう変わっていくべきかという質問。

BitSummit会場を見回して、「去年よりも日本のインディー感が強くなった」「みんなが自分の作りたいものを作っている」と感じたという稲船氏。五十嵐氏の『Bloodstained』のエピソードを例にあげて、「パブリッシャーは本当に面白いかどうかを判断できなくなっているのでは」と疑問符を投げかけ、パブリッシャーはユーザーが喜ぶゲームを判断する能力をつけるべきと提言しました。パブリッシャーにとっては『マインクラフト』のように桁外れの額になってからでは手遅れで、有名になるまえに買う判断力が求められる、ということです。

五十嵐氏は、昔のゲーム業界にはまだ「道」がなかったので、みんなが未来に向かっていたのに、今は「道」が出来てしまい、パブリッシャーが「こういうゲームが売れたから作ろう」「人気があるからやろう」という流れになってしまうことに苦言を呈しました。しかし経営陣が過去を見て「売れる」保証にしがみつくのはある種当然で、それならせめて未来を見ているクリエイター、「人」に投資してほしいとも述べました。


最後に、日本のインディークリエイターに向けて、3人からそれぞれアドバイスが。

稲船氏がもっとも危惧しているのが、生活が苦しくなったインディークリエイターが作りたくないものを作ってしまうこと。それでは「インディー」ではなくなってしまうといいます。インディーを壊すくらいなら、他のアルバイトをしてでも「作りたいものを作る」のを投げてはいけないと強い口調で語りました。自身の率いるcomceptも、パブリッシャーが毎回ついているものの、基本的に自分たちが作りたいものしか作っておらず、権利関係は別として、挑戦し続けるという意味で手がける作品もすべてオリジナルタイトル。稲船氏は、「それができないならインディーをやめてサラリーマンをやったほうが家族を支えられる」と断言。厳しくもリアルな主張です。

インディーになりたての自分は逆にアドバイスがほしいくらい、と謙虚な五十嵐氏。大手にいるときもインディーになってからも、「自分が面白いと思うものを作らなければ誰も面白いと思ってくれない」という考えは変わっていないそう。會津社長は、「インディー」の定義付けが難しいところだとした上で、クリエイターのエゴを前面に押し出した作品がインディーだと思うと発言。インディーが大きくなって会社になり、給料をもらっている社員でも、周りに流されず、エゴを出して伝えたいことをガツンと伝えられるゲームを作っていればそれはインディーであり、シーンも盛り上がるだろうと語りました。

この後、各々のKickstarter作品をつかったクロスオーバーの可能性や、「ロックマンの元ネタは悪魔城ドラキュラだ」という稲船氏の裏話まで飛び出して、3人の話は終始盛り上がっていました。
《Rio Tani》

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