ミルキー・イズ・バック!“ビットサミットの父”James Mielkeにインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ミルキー・イズ・バック!“ビットサミットの父”James Mielkeにインタビュー

2015年も京都で無事開催されたインディーゲームの祭典ビットサミット(BitSummit)。発起人であり、クリエイティブディレクターとして今年も運営に携わるJames Mielke(ジェームズ・ミルキー)氏にインタビューを行いました。

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「Return of the Indies(リターン・オブ・ザ・インディーズ)」なるスローガンで、2015年も京都で無事開催されたインディーゲームの祭典BitSummit(ビットサミット)。Game*Sparkとインサイドでは、多数の現地レポート記事と共に、第1回目のイベント発起人であり、クリエイティブディレクターとして今年も運営に携わるJames Mielke(ジェームズ・ミルキー)氏にインタビューを行いました。

――これまでBitSummitは3月に開催されていましたが、今年は夏の開催です。その経緯や意図はなんでしょうか。

James Mielke(以下ミルキー): 戦略的な意図や特別な理由はありませんが、大規模なイベントと違ってビットサミットはボランティアの力も借りていますし、Q-Gamesの『Tomorrow Children』開発状況もあって夏になりました。当初のようにもっと早く開催できればと思っています。


――ミルキーさんはニューヨークのゲームスタジオで働いたり、最近ではシンラ・テクノロジーにジョインしたりと、自身の環境にも大きな変化があったと思います。そういう中で今年もBitSummitの運営に関わっている背景や苦労を教えてください。

ミルキー: 私は2013年にアメリカに帰ったのですが、それは仕事の都合ではなく、親が歳をとって身寄りもいないので、一緒にいてあげたいという思いからでした。BitSummitに関わる仲間からは、「ミルキーがビットサミットのお父さんのような存在」などと言われていて、今年も協力したいと考えていました。米国と日本の時差の問題もあり、夜中にメールを返したりとやりとりは大変でしたが、今はJIGA(日本インディペンデント・ゲーム協会)に事務的な部分はまかせられ、私はクリエイティブなことに時間をかけられるので、とても助けられています。アメリカに行ってもゲーム業界で働き続けられるか不安もあった中、シンラ・テクノロジーから声がかかった時は本当にうれしくて、幸運だったと思います。

――BitSummitは年々規模が拡大していて、今年はValveや吉田修平さんのような大物も出席しています。変化をどう見られていますか。

ミルキー: 年々、大きな企業が参加するようになっていますが、BitSummitはインディーゲームのイベントなので、東京ゲームショウのような大型イベントとは異なるし、バランスはこれからも考えていきたいです。ただ、有名人や大きな企業がいないと、世界のメディアから取材してもらえないので、たくさんの人を集めて、結果的に本来の主役である小さいインディーゲームに触ってもらえれば良いです。実際のところ、今年の展示スペースは去年の半分です。その分、我々はクオリティーの高いゲームをキュレーションし、有名な会社を集めて、日本国内でインディーの繋がりがもっと深まるようにしています。水口さんは昨日のキーノートで、「インディーが何なのか」というコンセプトについて語りました。プラチナゲームズの稲葉さんも登壇します。プラチナはとても大きなスタジオですが、インディペンダントです。稲船さんをはじめ、スピーカーやスポンサーの存在は、インディーデベロッパーたちの助けになるはずです。


――稲船さんやIGAさんもセッションで議論していましたが、ミルキーさんの考える、「インディー」の定義とは何でしょうか?

ミルキー: 私にとってインディーとは、クリエイターが「自分の作りたいゲームを自由に作る」ということです。例えば『Beyond Eyes』という盲目の少女を主人公にしたインディーゲームは、大手のパブリッシャーなら絶対作らないでしょうし、彼らの株主や投資家が満足するような内容でもありません。それはデベロッパーが伝えたいパーソナルな物語です。家庭内暴力のようにタブーとされるテーマを正面から扱うのも、インディーゲームだけができることです。

――海外と日本のインディーカルチャーの違いは? また両者がそれぞれ変えていくべき部分はありますか。

ミルキー: 海外のインディーシーンは、開発規模の大きいチームや大物クリエイターも存在し、大変活発で多様性に富んでいます。ただ、クリエイターの中には、自分がロックスター的な存在だと思って、大きなパブリッシャーと関わってゲームを出すのを目的するような人たちもいます。作品よりも人を前面に出すのは宣伝にはなるかもしれませんが、人の存在ばかりが大きくなってしまうのは問題です。反対に日本では、どちらかというとクリエイターは謙虚で、作っている人よりも作品がメイン、クリエイターよりもゲーム自体が物語っているのは、海外も見習うべきだと感じます。


――来年もビットサミットを開催しますか?

ミルキー: もちろんそう願います。できれば、こんな暑い時期ではなく、去年までのようにもっと早くやりたいです(笑)。最近はあちこちで新たなインディーゲームイベントが開催されるようになったものの、BitSummitは日本のインディーシーンの盛り上がりに貢献したイベントの元祖として、願わくば今度もずっと開催していきたいです。何より大切なのは、とにかくゲームを遊んで楽しんでもらうことですが、ゲストスピーカーやイベントのイメージキャラ設定など、毎年ちょっと変わったことをやって、オーディエンスを驚かせていきたいとも考えています。

私が幼少時代米国にいた頃、河崎に住んでいた親戚の伯父が、日本から「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ」の漫画、「ガッチャマン」や「仮面ライダー」のオモチャを送ってくれていたんです。当時はとても珍しい物ばかりで、おかげで私は学校で人気者でした。子供の頃から、日本のカルチャーを魔法のように魅力的に感じていたので、私は今でも、ビットサミットに来る子どもたちや海外の人に、その魅力を味わってもらえればと思っています。

――本日はありがとうございました。

《Rio Tani》
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