スクエニ担当者が語る『Just Cause 3』ローカライズの裏側―Steam上の言語仕様詳細も | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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スクエニ担当者が語る『Just Cause 3』ローカライズの裏側―Steam上の言語仕様詳細も

Game*Spark編集部は、『ジャストコーズ3』のローカライズに関して、スクウェア・エニックスの赤石沢賢氏にインタビューを敢行。差異無しの背景や、Steamでの国内向け販売形態、さらには同社のローカライズに対する考えまでを詳しく聞いてきました。

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国内では2016年1月21日に発売が迫るシリーズ最新作『Just Cause 3(ジャストコーズ3)』。先日、スクウェア・エニックスからは、「海外版との差異無し」のCEROレーティングZ指定作品に決まったことが発表されていました。そこで、Game*Spark編集部は、スクウェア・エニックスのローカライズプロデューサー赤石沢賢氏にインタビューを敢行。差異無しの背景や、Steamでの国内向け販売形態、さらには同社のローカライズに対する考えまでを詳しく聞いてきました。

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――最初に自己紹介をお願いします。

赤石沢賢氏(以下、赤石沢): 赤石沢賢と申します。スクウェア・エニックスに入社する以前はスパイク(現スパイク・チュンソフト)で働いていました。以前から海外ゲームが本当に大好きで、スパイクおよびスパイク・チュンソフト在籍当時は『Kane & Lynch: DeadMen』『Red Faction: Guerrilla』『HOMEFRONT』『Sacred 2』『METRO Last Light』『METRO 2033』といったタイトルのローカライズプロデュースをやっていました。スクウェア・エニックスに入社したのは2013年9月。タイトルで言うとちょうど『Diablo III』の音声収録が開始された頃です。現在はEXTREME EDGESのローカライズタイトルを包括的に担当しています。

――改めてとなりますが、先日情報公開された『Just Cause 3』のCEROレーティング、そして海外版との差異について教えてください。

赤石沢氏: レーティングは「Z」です。『Just Cause 3』は非常に自由度が高く、制約を設けないことがゲームの魅力に直結する作品でもあります。前作の反省点を活かしつつ、また、多くのユーザーから頂いたご意見を参考に、いち『Just Cause』ファンとしてもベストな形でお届けできるよう調整した結果、北米版と表現の差異が一切ない状態で発売することになりました。

――現在、国内ユーザーがSteamで『Just Cause 3』製品情報を閲覧しようとすると「このアイテムはお住まいの地域では現在ご利用いただけません」とのメッセージが表示されますが、海外発売のタイミングでおま国状態は解除されますか?

赤石沢氏: はい。12月1日の欧米向け発売日に、日本国内からも欧米版『Just Cause 3』を購入いただける予定です。また、国内向け発売日である2016年1月21日に、Steamにて無料で配信予定のアップデートファイルをインストールいただくことで、日本語音声/日本語字幕に切り替える事が可能です。もちろんゲーム内容に差異はありません。

――Steamで日本語ランゲージデータはどのような形で提供されるのでしょうか。

赤石沢氏:配信形態については現在アバランチスタジオと最終調整を進めているところですが、日本語音声/字幕はパッチもしくは追加DLCとして無料で配信する予定です。

――では、音声仕様について教えてください。例えば、「英語音声/日本語字幕」「日本語音声/英語字幕」でのプレイは可能でしょうか。

赤石沢氏: コンソール版については「日本語音声/日本語字幕」のみを予定しております。Steamで欧米版を購入したユーザーについては、上述の通り国内向けリリース日以降、「日本語音声/日本語字幕」に切り替えることもできるようになります。

音声仕様はゲーム本体のシステムに寄る所が大きく、こうしたシステムを1から変更するとなると、動作不具合のリスクや発売日への影響が想定されるのですが、実は現在も開発と音声の日本語・英語切り替え機能を実装できないか、まだ希望を捨てずに調整を進めております。


――ローカライズの方針について、努力している点や対策している点を教えていただけますか。

赤石沢氏: 海外版と日本版発売までのタイムラグをできる限りなくし、かつ日本版のクオリティを高める。─クオリティとは字幕や吹き替え音声の質はもちろんのこと、海外版との差異がないことも含まれます。この相反する二つを両立させるには「発売」と「作業着手」のタイミングを極限まで詰める、というところに尽きます。今回『Just Cause 3』欧米版発売から日本版発売まで1か月の時間があったのですが、その分、開発元アバランチスタジオとも密に連携をとることができました。1から10まですべての開発状況を共有できる訳ではありませんが、ゲームのシステムや仕様上ローカライズチームだけでは解決できない問題がたくさんあるので、開発チームとの協力は不可欠なのです。

余談ですが、弊社社長の松田洋祐も大の海外ゲーム好きとして知られ、メジャータイトルはもちろん、日本ではローカライズされていないようなタイトルまで数多くプレイしています。こうした背景もあって、我々はもちろん、松田も同様に、なるべく海外タイトルの魅力を損なうことなく提供したいと考えていてます。そのためにローカライズチームの人員増加や体制見直しなども行ってきました。

――海外ゲームのローカライズにまつわるエピソードをお聞かせください。

赤石沢氏: 過去のタイトルにおいてCEROのレギュレーションに則ってどうしても何らかの表現規制を行わざるを得なかった際は、一人の海外ゲームファンとしても辛い思いをしました。日本でコンソール版を発売する以上、必要な作業ではあるのですが、やはりユーザーの皆さんには海外版との差異なく遊んでいただけたらという思いが常にあります。

一方で、ローカライズにおいて特に楽しいのは、日本語吹き替えボイスの音声収録です。海外のオリジナル版を遊び倒してゲームの流れや細かな仕様を把握したうえ現場に臨み、録音スタジオでも細かな修正を施したりもします。英語の台本に書かれていないものの、音声には収録されているアドリブなどを発見した場合は、その場で急遽翻訳することもあります。『Just Cause 3』では海外のオリジナル版音声の雰囲気を再現するため、実際にレコーディングスタジオ内で声優さんに暴れていただきながら収録したセリフもありました。英語の原音の長さ、キャラクターの口の動き、日本語と英語の独特の言い回しの違い、声優さんの限られたスケジュールと様々な制約の中で全てをピタリと当てはめていかねばならない吹き替え作業は大変困難でもありますがとても楽しいです。

――最後に、海外ゲームを遊ぶファンへのメッセージをお願いします。

赤石沢氏: 『Just Cause 3』は、欧米版の発売から少し時間が空いての発売となりますが、日本語吹き替えを担当した声優さんの演技も素晴らしく、とても良いものに仕上がりつつあるので、是非日本版の発売を楽しみにしていてください。先日も新作『OVERWATCH」の日本版について発表をさせて頂きましたが、今後も社内外の区別なく魅力的な海外ゲームをたくさんローカライズしてお届けしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。また、ユーザーの皆さんからのご意見・ご要望について、なるべく実現していきたいと考えているので、厳しいご意見も含め、たくさんの声をお待ちしています。もちろん、担当タイトルをご紹介頂いた際は、Game*Sparkさんのコメント欄も拝見していますよ。

――わかりました。本日はありがとうございました。
《Game*Spark》
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