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新生『DOOM』PS4版プレイレポ―現代に蘇った古典的FPS

海外では2016年5月13日にPC/PS4/Xbox One向けに発売、国内でもついに2016年5月19日にベセスダ・ソフトワークスからPS4/Xbox One向けに販売が開始された、id Software開発の名作FPS新生リブート『DOOM(ドゥーム)』。本作のPlayStation 4版プレイレポをお送りします。

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本作ではシリーズお馴染み“DOOM Guy”の顔はありません、カットシーンでも『DOOM 3』のように素顔はないので残念
  • 本作ではシリーズお馴染み“DOOM Guy”の顔はありません、カットシーンでも『DOOM 3』のように素顔はないので残念
  • 旧作からおなじみのスーツ、今回はスーツにもすごい設定がついています
  • いきなり大ピンチ…と思いきや
  • 手に入れた情報は後から確認できるものも。敵の設定もバックストーリーを読み解く助けになる
  • こちらもシリーズおなじみカードキー、無造作に置いてあっただけのものがここまで現代化していると軽く感動モノ
  • これまたシリーズおなじみのマップ終了時にアクセスするエアロック、これも現代クオリティに
  • 溶鉱炉、落ちると大ダメージ。ちなみにここのダメージで死ぬと超有名映画よろしくサムズアップしながら沈んでいく
  • 武器はゲーム内チャレンジなどの達成で更に強化可能。また本作のピストルはエネルギー弾になっておりなんと弾数無限


海外では2016年5月13日にPC/PS4/Xbox One向けに発売、国内でもついに2016年5月19日にベセスダ・ソフトワークスからPS4/Xbox One向けに販売が開始された、id Software開発の名作FPS新生リブート『DOOM(ドゥーム)』。FPSジャンルの歴史に名を残す金字塔であり、熱狂的なファンも多い過去作から、どのように精神を受け継ぎ、また進化を遂げているのかに注目しつつ、本作のPlayStation 4版プレイレポをお送りします。

DOOMとは?

旧作『DOOM』は、同じid Software開発の『Wolfenstein 3D』を経て1993年にリリースされ、FPSを一つのジャンルとしてメジャーに押し上げた古典的名作です。その後、『DOOM 2』『Final DOOM』と続編が登場し、今でも様々な形で世界中で愛され続けているシリーズ。2004年には、大幅なグラフィック技術の進歩を果たし、世界観を大きくリセットした『DOOM 3』がセンセーショナルなリリースを飾りました。ちなみに『DOOM』は、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソン主演で実写映画化もされており、こちらも『DOOM 3』がベースの内容。しかし、いろいろな意味でB級映画としての色も濃く、海外では酷評を浴びてしまいます。『DOOM 3』及びハリウッド実写映画版以降、『DOOM』フランチャイズには長らく新たな展開はありませんでした。それから10年以上を経て、満を持して、再びのリブートとして世に出たのが今回の新作『DOOM』です。


本作ではシリーズお馴染み“DOOM Guy”の顔はありません、カットシーンでも『DOOM 3』のように素顔はないので残念


旧作からおなじみのスーツ、今回はスーツにもすごい設定がついています

昔の楽しさをそのままに、現代的な要素で進化させたキャンペーン

本作には大きく分けて、キャンペーン、マルチプレイヤー、スナップマップの3種類のゲームモードが用意されています。まずは、各マップを順に攻略していく、キャンペーンについて触れていきましょう。なお、本作のキャンペーンはあくまで旧作『DOOM』『DOOM 2』『Final DOOM』の流れを汲むものであるという事を初めにお伝えしておきます(以降本文中、「過去作」ないし「旧作」と記載されている部分についてはこの3作についてのみの言及となります)。

本作のキャンペーンは、いきなり一切の説明がないまま、主人公が開放された棺に手を鎖で縛られ囚われた状態から始まります。既に間近までデーモンも迫ってきていて、通常のFPSの主人公であるならば、まさに絶体絶命のピンチとも言える場面ですが、この主人公は、なんと自力で鎖を引き千切り、おまけとばかりに間近のデーモンの頭を流れるように素手で叩き潰し即座に戦闘を開始します。その勇姿はシチュエーションも相まって、長い年月を経ての『DOOM』の完全復活を示すかのごとくです。


いきなり大ピンチ…と思いきや

本作は過去作がそうであったように、ストーリーこそ一応あるものの、多くは直接説明されません。主人公自身も事情など知ったことかとばかりにデーモン殺戮を優先するような素振りも多く、戦闘にだけ集中させるオールドスクールなFPSの作りです。これは昨今の演出やストーリー性たっぷりのゲームが好きなプレイヤーにとっては少々物足りない所かもしれませんが、より多くを知りたいプレイヤーはマップ上に用意された端末や音声記録などから、世界背景の全貌に近づくこともできます。中には旧来からのファンであるならば興奮を隠し得ないような内容もあり、思わずニヤリとさせられることでしょう。


手に入れた情報は後から確認できるものも。敵の設定もバックストーリーを読み解く助けになる


こちらもシリーズおなじみカードキー、無造作に置いてあっただけのものがここまで現代化していると軽く感動モノ


これまたシリーズおなじみのマップ終了時にアクセスするエアロック、これも現代クオリティに

グラフィックはid Software謹製の最新グラフィックエンジン、「id Tech6」の性能を存分に引き出した美しい物となっており、過去作の印象を残しながらも、より凶悪な様相へと変化したデーモンたちと合わせ、より戦いへの没入感を深めています。しかしながら、過去作では肉塊と成り果てたデーモンたちが転がっているのを目にする機会も多かったものですが、本作では敵の死体がすぐ消えてしまうのは少々残念な所でしょうか。また、少々暗いロケーションも多いため、オプション設定で気持ち明るめに画面を調整しておくことでより有利に戦えることでしょう。


溶鉱炉、落ちると大ダメージ。ちなみにここのダメージで死ぬと超有名映画よろしくサムズアップしながら沈んでいく

旧作『DOOM』の魅力といえば、多彩な武器を使ってマップを駆けずり回りながらデーモンと死闘を尽くすこと。本作ではその戦いが更にパワーアップして展開しています。刷新された旧作の武器の数々に加え、新武器としてヘビーアサルトライフルなども加わり、武器バリエーションが更に増えているだけでなく、なんと各々にセカンダリ攻撃まで実装されています。他にハンドグレネードなども追加されており、攻撃方法はより多彩となってる上、旧作譲りの、攻撃による敵の仰け反りも健在で、敵に弾丸を打ち込む快感を高めてくれます。

そして今回の戦闘を爽快かつダイナミックにしているのが、2段ジャンプとよじ登りアクション。プレイヤーは足場に向けてジャンプすることで自動で壁や足場などを登ってくれます。そもそもジャンプすら無い過去作では、少し高い場所は、足場やエレベーターを使ったり、大きく遠回りして到達する必要がありましたが、今回は少々無茶にも思える距離と高さでもあっさり登れてしまいます。機動性が強化されたことで、戦闘だけでなく、マップを走り回る楽しみもより現代的に進化しています。


武器はゲーム内チャレンジなどの達成で更に強化可能。また本作のピストルはエネルギー弾になっておりなんと弾数無限


この程度の足場なら難なく簡単に飛び移れてしまう、飛び移りやすい足場には緑のランプが付いていることも多いのでチェック

戦闘と同様に旧作『DOOM』の楽しみの一つであったマップ探索。こちらも旧来ながらのシークレット探しの楽しみがそのままに導入されています。更に本作では各武器、そしてプレイヤーの使うスーツはマップ上に点在するアイテムを集めることで強化を行い、より激しい戦いを繰り広げることができるようにもなっています。マップを跨いだ強化要素は賛否あるかもしれませんが、追加される機能も魅力的で、古いだけではない現代的な楽しみを提供できているように思えます。また、シークレットの中にはファン向けの特殊な外見のエリアもあり、こちらも嬉しいところではないでしょうか。


スーツのアップグレードはこのようにマップ上に点在するスポットからポイントを回収して行う


アップグレードの一部、中々魅力的な文字が並ぶ

過去作と比べて大幅に強くなった印象のある主人公ですが、対するデーモンたちも負けてはいません。恐ろしい武器や新たな攻撃法を携えてプレイヤーに立ち塞がります。敵は昔ながらの平面的な動きでなく、こちらに負けず劣らずの機動性で柱に張り付いたり、上へ下へと目まぐるしく位置を変えながら迫りくるため、戦闘中はけして油断を許しません。これは戦闘バランスにも反映されており、敵味方とも攻撃力が過去作と比較しても高めに設定されており、油断をすればあっという間に大ピンチになってしまいます。武器の所持弾数も過去作に比べ少なめで、本作では倒した敵からもヘルスや弾薬がドロップするとは言え、激しい戦いの中では心ともないものです。


新たにシールドを手に立ち塞がる敵。最序盤の難敵


シリーズおなじみ“インプ”も高機動化し、チャージ火球や格闘攻撃などの新攻撃も引っさげて襲いかかる

そこで登場するのが新要素、“グローリーキル”。体力が少なくなった敵は光り輝き、この状態の敵に近接攻撃を決めることで特殊な演出とともに止めを刺し、通常より多くのアイテムを確実に入手できるというものです。このグローリーキルの存在により、新生『DOOM』では激しいながらも緩急のある戦闘を実現できています。

グローリーキルは演出も短く爽快なものですが、足を多少なりとも止めてしまうことは十分な隙になり、激しい敵の攻撃の中では使いどころが問われるのも、一辺倒にならず面白さを増しています。また、本作ではチェーンソーは強化格闘武器としての扱いでなく、マップに点在する燃料を消費することで、専用のグローリーキルを即座に発動して弾薬を大量に得ることができる特殊な武器となっています。発動も格闘キーとは別ボタンになっており、使い分けができるのも戦略性を高めています。


ダメージを受けて光輝く敵。“グローリーキル”の絶好のチャンスだ


“グローリーキル”炸裂、血と肉片だけでなくアイテムも飛び散る

敵味方双方の攻撃方法や攻撃力・機動性の増加、グローリーキルによるアイテムドロップ。過去作以上にアップテンポに繰り広げられる激しい戦いは、オールドスクールの楽しさと現代のFPSを融合させた、まさに「新生」と呼ぶに相応しい内容となっています。

適度な速度で気軽に楽しめるチームベースのマルチプレイヤーモード

かつて隆盛を誇り、現代のマルチプレイヤー対戦FPSの祖とも言える存在でもあった旧作『DOOM』。リブートとなる本作にも当然、マルチプレイヤーは実装されています。こちらはid Software単独による開発ではなく、Certain Affinityとの共作という形。マルチプレイ用にとして用意されたモードは6種類。これらは全て最大6vs6のチームベースの対戦モードとなっています。オールドスクールなスポーツFPSには欠かせない、周り全てが敵である通常のデスマッチなどは、後述する“スナップマップ”モードにて、それ用に作られたマップをプレイすることで可能となっていますが、オフィシャルのモードとしても欲しかったプレイヤーは多いのではないでしょうか。


モード一覧、一般的なデスマッチは残念ながらありません

武器はキャンペーンと異なり、2種類+投擲兵器を選択して事前にロードアウトを作っておく形となります。チェーンソーなど一部の装備以外はマップ上で拾うことはできません。アンロック要素も多く、キャラクターの外見を決めるアーマーや武器のカスタマイズ色についてはランダム入手となっており、やりこみに対するリワードも多い形となっています。対戦にはギミックも多く、キャンペーン同様のグローリーキルに加え、対戦終了ごとにランダムでドロップする消費型のアイテムを用い、次回以降のマッチで一時的に各種の効果を得られるなどの要素も目立ちます。

また、一部の対戦モード以外では特定の条件で、あのおなじみのデーモンたちへと変化し、大幅に強化されたヘルスと攻撃力を持って敵陣営のプレイヤーを蹂躙する、近年のゲームに見られる非対称形の対戦ゲームのような楽しみを取り入れています。全体的に本作のマルチプレイヤーは、過去作のマルチプレイヤーから『Quake』シリーズを経て発展した、いわゆる純粋な「スポーツ系FPS」とも少し違った、新しい方向を目指した雰囲気を漂わせています。


ロードアウトは初期は決まった3種類から選択。数戦もすればカスタム可能な枠が使えるようになる


アジア地域のマッチングでは一般的なチームデスマッチに人口が集中している印象


ドロップ画面、コンプリートまでの道のりは長そうです


試合ごとにランダムドロップで手に入る消費アイテムは、死んだ時に有効化して一定時間特殊な能力を得られる

キャンペーンモードの見事な旧作リスペクトと比較すると、マルチプレイヤーモードの仕上がりは、少々ギャップが感じられるところですが、適度な速度でギミックも多く展開するため、短い1マッチの試合時間と合わせて気軽に戦闘を楽しめるものとなっています。中でも常時移動し続ける1つのゾーンを奪い合う“ウォーパス”モードなどは、双方が常時移動しながら1箇所を狙って戦い続けるというルールで、醍醐味を十分に味わえるものとなっているように思えます。


対戦が気軽に楽しめるのは一つの魅力

簡単に新マップを作れる“スナップマップ”

現在様々なPCゲームタイトルにおいてユーザーによって作られ続ける“Mod”。そのModをメジャーとしたのもまた旧作『DOOM』でした。“wad”と呼ばれるそれらの中には今回のグローリーキルの元ネタとも言えるものも含まれているほどです。新たなwadは今でも作られ続けており、旧作『DOOM』を現在まで長く愛され続けているタイトル足らしめる理由の一つとなっています。

本作では、過去作へのリスペクトに溢れた他の部分同様、wad文化をもリスペクトしており、それがこの“スナップマップ”モードとなります。このモードでは、簡単にCo-opや対戦など各種ゲームモードが楽しめる新マップのマップエディタを利用できます。制作したwadは全世界のユーザーへ直接公開することができ、特別な導入の手間なしで、1人でも複数人でもマップを楽しめます。ただし、例え1人でプレイしたとしてもゲームはマルチプレイ同様の仕様で、武器の携行制限や武器種類の欠如などが生ずる点については、今後のサポートで改善されることに期待したい所です。


スナップマップモードでは分かりやすく簡単に新マップや各種ゲームモード的な物を作ることができる


スナップマップの使い方を覚えるチュートリアルモードも


既に色々なマップが作られている、ファンにはお馴染み旧作『DOOM』のE1M1(最初のマップ)をリメイクしたものも

あの名作のリブートということで、少なくともシングルプレイヤーキャンペーンにおいては、現代化を果たしながら十二分にオールドファンの心を掴める完成度を見せてくれた新生『DOOM』。マルチプレイヤーについては、方向性は過去作のそれと大きく異なるものの、このギャップが別の楽しさがあるという意味では興味深いところではないでしょうか。いずれにしても、あのFPS王者が華々しいカムバックを果たしたと言える出来で、DLCでの追加ミッションパックなどを含めて今後の展開に期待を抱かせます。
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『DOOM』はPS4/Xbox One向けに8,618円で販売中です。

《Arkblade》

関連業界のあちこちにいたりいなかったりしてる人 Arkblade

小さいころからPCゲームを遊び続けて(コンソールもやってるよ!)、あとは運と人の巡りで気がついたら、業界のあちこちにいたりいなかったりという感じの人に。この紹介が書かれた時点では、Game*Sparkに一応の軸足を置きつつも、肩書だけはあちこちで少しづつ増えていったりいかなかったり…。それはそれとしてG*Sが日本一宇宙SFゲームに強いメディアになったりしないかな。

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