結果として、数々の続編群はシリーズを再び再始動するほどの力を持つに至りませんでした。しかしながら、『Jagged Alliance』は記憶のかなたに消え去ってしまった訳では決してありません。
転機は2004年の『Jagged Alliance 2: Wildfire』“version 5”の発売に遡ります。前述の通り短期でサポートが終了してしまった当該作ですが、実は驚くべきことに『Jagged Alliance 2』のソースコードが特典として付属していたのです。これは商業利用こそできないものの、コミュニティを大きく沸かせ、幾多の改造を加えられたソースコードは、元のライセンスに準ずる形でオープンソース化され『Jagged Alliance 2“ver 1.13”Mod』としてリリースされることとなりました。
最新開発版にて。山ほどの新規オプション
多すぎて具体的に例を挙げるのが難しいレベルで全面に手が入っている
この“ver 1.13”Modは、その後も2016年の現在に至るまで、ゲームを構成する基礎グラフィック以外のあらゆる部分に、たゆまなく到底数え切れないほどの数多の大規模な改造を加えられ、元の『Jagged Alliance 2』を更にストラテジーとして大きく掘り下げた作品へと作り変えています。それだけでなく、殆どの拡張要素はゲーム内設定やオプションファイルを通じてON/OFFが可能で、現在のPC環境に正式に対応した『Jagged Alliance 2』としての価値をも持っています。
『v1.13』は内部のunicode対応までなされていて、データさえあれば元々リリースされていなかった中国語でもバッチリ
ゲーム内容こそ真の意味ではオリジナルから離れてしまいますが、Win10環境下にてゲーム起動が不可能であったり、それ以外のOSでゲーム終了時に発生するエラーなどの、現在のPC環境において起こるエラーにも対応できるため、今日での『Jagged Alliance 2』のプレイにはこのModを利用することをお勧めします。Win8以降の環境下では“doc”フォルダー内のFixパッチの導入が必要となるのには注意してください。
また、Win10環境下にて、完全にオリジナルに近い形でのプレイを求めるなら、同様にオープンソースにて開発中の『Jagged Alliance 2 Stracciatella Mod』を利用すると良いでしょう。こちらはv1.13と異なり、Win10を始めとした、iOSやAndroidなどの各種OS及び高解像度への対応とバグフィックス、及びMod作成機能に特化したModとなっています。
発売から17年の時を刻んでも尚進化を続ける『Jagged Alliance 2』。英語であることを除けば、戦略・戦術両面での高い自由度に加え、戦闘バランスもマイルドでとっつきやすい内容となっているため、部隊物のターン制戦術ストラテジーを探している方には本当にオススメの一作です。
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『Jagged Alliance 2』『Jagged Alliance 2: Unfinished Business』をセットにした、『Jagged Alliance 2 Gold』はSteamにて1,980円にて発売中。『Jagged Alliance 2』単体は、GOG.comにて$9.99で発売中です。いずれも比較的頻繁に長期間のセールが行われており、セール時であれば数百円にて入手可能となっています。