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【e-Sportsの裏側】韓国トップランナーが説く、Eスポーツビジネス論―「市場は選手が作る」

NEXON KOREAのe-Sportsチームを率いるファン・ヨンミン氏に今回の提携の狙いと今後の課題についてインタビューを実施。

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【e-Sportsの裏側】韓国トップランナーが説く、Eスポーツビジネス論―「市場は選手が作る」
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――ネクソンとして、PlayStationなどと組んで大会を開催するなどの考えはありますか?

ファン氏:実際、今パートナーシップを提携しているLoud Communicationsが運営しているSPOTV GAMESでは、以前『鉄拳』『ストリートファイター』などのタイトルで大会を開催していたこともありますし、いずれはソニー・インタラクティブ・エンタテインメントなどと企画して、大会を共同開催していけたらいいなとは考えています。

――Loud Communicationsと組むことで、どういう変化や未来が待っているのでしょうか。

ファン氏:我々が考えている将来の流れとしては2つ考えています。1つ目はモバイルゲームにおけるe-Sportsへの需要が拡大していくと考えていますので、提携をしたことでモバイルゲームの領域においても、様々なチャレンジを続けていきたいと思っています。2つ目としては、これまではプロが参加する大規模なe-Sports大会が主流でしたが、今後は個人向けの小規模大会も大事にして、随時開催したいと思っています。

――モバイルゲームのe-Sports化に対して、様々なチャレンジを考えているとのことですが、具体的にはどのようなものがありますか。

ファン氏:これまで、当社のモバイルゲームを使った大会は『クロスレギオン~ラストフューチャー~』『HIT』『マビノギデュエル』の3タイトルで既に開催していますが、これらの大会から、モバイルゲームの大会運営について多くを学びました。今後はそこで得たノウハウを活かして、モバイルゲームの大会を積極的に実施していければと思います。

――個人向けの大会を増やしていくとのことですが、NEXON ARENAを開放する、オンライン上で完結する形にするなどがありますが、どのように考えていますか?


ファン氏:現在、既に個人向けには大会のない日に、施設を無料開放しています。また、構想段階ではありますが、NEXON ARENAをe-Sportsの1つのプラットフォーム(NEXON ARENAを大会場所として利用してもらう)としてより多くの方々に活用してもらうために、パートナーシップを締結している会社と協議しながら施策を練っている段階です。

また、今後はオンライン上でも施策を実施していきたいと考えているため、外部の会社と検討しています。

――日本の問題ですが、e-Sportsをビジネスとして捉えている会社やメーカーさんが多いですが、あまり文化として根付いていない状況です。上手く日本国内でe-Sportsを盛り上げるポイントはありますか?

ファン氏:グローバル的な事例をもとにお話させて頂くと、現在e-Sportsとして最もヒットして成功しているタイトルは『League of Legends』だと多くの人が口を揃えて言っています。年間の大会スケジュールや事業規模、成長規模も抜きん出て、非常に成功したタイトルですが、運営している彼らも口を揃えて言うのが、「選手が最も大切だ」ということです。

――選手が大切だとおっしゃる理由は何なのでしょうか?

ファン氏:e-Sportsを産業として成長させるために最も重要な点は、キャッシュフローだと考えています。そのため、観客を魅了するスーパープレイができる選手を育てていくことが重要です。ヒットタイトルを作ることも重要だと考えていますが、観客がエキサイティングするようなスーパープレイができる選手を育てることも大切です。e-Sportsを産業として捉えていくための手段として、選手を育成してスーパープレイが演出できるプレイヤーにまで育てていくことが大切だと考えています。


――日本やネクソンジャパンに対しての影響はありますか?日本側で何かを実施するなどの予定はありますか?

ファン氏:現在進めている内容についてはお話できないので概要をお伝えすると、グローバル展開をしたいという話はあり、まだ確定した内容はありませんが、もちろん日本展開も考えています。

――グローバル展開ということは、韓国で放送されている内容をローカライズして日本国内で放送ということもあるのでしょうか?

ファン氏:そういった事もあると思いますが、ネクソングループ内だけでなく、Loud Communications、さらにはLoud Communicationsが提携している外部の会社との提携をさらに強化し、日本で大会を開催、といったものも実施していけたらと思います。

――今後e-Sportsに対しての意気込み、また日本のゲーマーに対して何かあればお願いします。

ファン氏:将来のマーケットについてですが、様々なデータを見ると、e-Sportsは爆発的に成長するだろうと言われています。現在は、ネットの変化の速さや視聴形態の変化の速さに対応していかなければならないというところがポイントとなるため、常に変化に対応することを意識しています。

ネクソングループは、そういった点に他の企業よりも素早く対応していくことをモットーに、出来る限り早く対応していきたいと思っています。ユーザーや視聴者とのコミュニケーションに関しては、今までと同様に大事にしていきたいと思っています。

日本のゲーマーの皆さんに向けては、韓国のe-Sportsユーザーやプレイヤーを代表して、一度日本のゲーマーと対戦してお会い出来ることを楽しみにしています、とお伝えしたいですね。

―――ありがとうございました。

ファン氏:カムサハムニダ。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

韓国マーケットのみならずグローバルでの展開も視野に入れているファン氏。今後どういった活動を行っていくのか目が離せません。
《森 元行》

森 元行

海外のゲームショウにてeスポーツの大会に出会い衝撃を受け、自身の連載「eスポーツの裏側」を企画・担当。プロプレイヤーはもちろん、制作会社や大会運営責任者、施設運営担当者など「eスポーツ」に携わるキーマンに多くのインタビューを実施。 2022年3月 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 博士課程前期課程(修士/MBA)修了。

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