2026年2月20日には、初の実写映画「夜勤事件」の公開も迫り、今一番勢いに乗っている独立系スタジオ「チラズアート」。今回は、2月5日にPC(Steam)でリリースされたチラズアート待望の最新作『UMIGARI | ウミガリ』のプレイレポートをお届けします。
ちなみに、筆者は前回デモ版をレポートしているので、比較もかねてコチラもぜひご覧ください。
◆これまでとは全く違う?奇妙な日本海舞台の海洋探索×魚釣りホラー

本作は、一人称視点のサイコロジカルホラーアドベンチャーです。日本の架空の霧深い海を舞台に、プレイヤーは小さな漁船を操り、未知の海洋を探索していきます。
今作最大の特徴は、銛(もり)を構えて魚を仕留める「スピアフィッシング(銛漁)」がゲームプレイのコアシステムとなり、獲った魚を換金し、燃料の購入や船のアップグレード(速度、照明、装備)などに充て、探索範囲を広げていく育成要素を実装しています。

また霧の先に浮かぶ島々や水没した町を巡り、アイテム収集や住人の依頼をこなすことで世界の謎に迫るストーリーが展開され、今までの単純なウォーキングシミュレーターとは違う、『Dredge』のような“暗黒漁船ADV”っぽさがあって新鮮でした。
公式ストアの紹介文によると、「本作はこれまでの作品とは異なります。本格的なホラー体験を求めている方には、物足りないかもしれません。(原文ママ)」と但書があるように、これまでの作品と違って、ジャンプスケアやあからさまなホラー要素は控えめでしたが、シュールで奇妙ないつもの「チラズらしさ」は健在していました。

さて船旅へ出る前に、各種オプションをチェック。操作はキーボード&マウスのみに対応しており、コントローラーは使用できません。操作キーの変更とカスタマイズは可能です。操作感は、陸上および船での移動どちらもスムーズで特に違和感はありませんでした。また、操作系統もシンプルなのも良かった点です。

2025年の『Cursed Digicam | 呪われたデジカメ』から、チラズアートは制作環境をUnreal Engine 5に移行しており、以前のVHS風ビジュアルからフォトリアルなグラフィックに進化しています。その影響もあってか、画質設定は解像度からアップスケーリング形式、フレームレート、テクスチャやエフェクト品質まで細かくカスタムできるようになりました。
しかし、正直なところ最適化不足のせいなのか、画質プリセットを「高~ウルトラ」に設定した場合、筆者の環境下では画面のカクつき、フリーズ、オブジェクが正しく表示されないなど、明らかにグラフィック処理が重たい感じでしたが、品質を下げることで問題は解決しました。

さて、本編スタート。プレイヤーが開始直後にいる場所は、なぜか青々としたオーシャンにぐるり囲まれた小さな島。手には、狩猟用の「銛(スピア)」を持っている状態。はてさて、いったい何をすれば良いのか?初見プレイであれば混乱しそうです。
しかしご安心ください。本作は、操作のやり方や位置情報、やることリスト(目標)の表示、詳細マップの確認など、これまでのチラズ作品以上にユーザーインターフェイスが充実しており、自分が何をやってどこに進むかをある程度示してくれるフレンドリーな設計です。


とりあえず、島を一周してみようと振り向くと「魚屋」を発見。こんなところで商売してんのか…なんとフグは1尾5,980円で売っています。高ぇよ!
まあとにかく話しかけてみましょう。彼曰く、「ここらへんはフグしか穫れないので、漁船を良いものにして遠くへ行って色んな魚を持ってきて欲しい」とのこと。そう、本作でのプレイヤーの主な目標は、銛で魚をたくさんゲットして売り、そのお金で漁船をアップグレードし、さらに遠洋へと探索して行くことなのです。その道中には、さまざまな奇妙な「出来事」が待ち構えているわけですが…。

魚屋から近海の「地図」をもらいます。チラズ作品ではおそらく初?のマップ機能じゃないでしょうか。マップは、Mキーで表示できますが、現在位置や商人、給油所などを示すアイコンが記されており、ズームイン/アウトを搭載。機能的にはそれくらいしかないですが、便利な必須アイテムです。



ではさっそく肝心の「魚獲り」をしてみましょう。魚は銛を使ってゲットしていくのですが、一連の流れとしては、まず銛を構えた状態にし、それから投擲位置を微調整しつつ狙いを定めます。そして、見事当たれば血が出るので、すぐに銛を巻き取って釣り上げる、という感じです。
操作自体はとてもシンプルな手触りですが、一人称視点もあってFPSのような正確性とアクションを楽しめます。また、銛の当たり判定の範囲は広いため、そこまで釣りの難易度は高くないと思います。


では、釣った魚をどう売れば良いかと言うと、「船尾スペースに保管」する必要があります。その保管スペースからはみ出ている魚は時間が経つと消えてしまうので注意しましょう。


そして再び魚屋に話しかけて魚を売りさばいてみましょう。フグは単体でたったの100円ですが、大量に釣ったので総額は11,300円なり。結構稼げましたね。
さて、続いて漁船や銛をアップグレードしていきます。まず船体の「燃料タンクの容量」を上げて、航続距離を伸ばします。そして「船の速度」を上げて、より迅速に海を進んでいけるように調整。次は銛の射程距離や巻き戻し速度、狙いを定める速度などを上げて魚獲りの効率化を図ります。
こんな風に魚を獲る→売却→漁船などを改良→さらに大物を探しに行く、というサイクルでゲームを進めていきます。これが今まで作品と大きく異なる要素であり、ただ歩き回るだけのウォーキングシムより「ゲームで遊んでいる感覚」がめちゃくちゃありました。加えて、プレイするモチベーションにも繋がっている、とても良い進化だと感じました。


要所にある拠点の島には「給油所」があり、燃料を補給できます。当然お金が必要なのでしっかり稼いどきましょう。
ようやく準備が整ったので、いざ未知なる大海原へ。「神社に向かう」とあるのでそれに従い北に進みます。WASDで前進後退、左右に方向転換しながら操縦していきます。


神社に着くと、境内に謎の女子高生「みうな」が横たわっていました。彼女が言うには、「この世界にかけられた呪い」を終わらせるために、ある島へと行かねばならないとのこと。そして、この神社の扉に「3つの石板」を探して集めることが、本作のメインクエストとなり物語の謎を解く鍵となるようです。


実は、海は四方を「何かの力」によって封印されており、あるモノを集めて解放しないと先へ進めません。。それが「小さな鐘」であり、これを発見して魚屋に渡せばマップが更新され、新たなエリアに行くことができます。これはデモ版にはなかった要素で、ゲームの幅をグッと広げていました。
さらに魚屋が言うには、近海に潜んでいる「ウミガー」という大きな怪物がこの鐘の音を嫌っているとのこと。巨大な怪物…一気に不穏な空気になってきました。

鐘が設置されたので、通れなかった鳥居をくぐれるように。恐る恐る進んでいくと……


水中から「ウミガー」出現!!その姿は、伝説の妖怪「海坊主」を彷彿とさせ、巨大で鋭利な口を開いて迫ってきます。追われる恐怖がたまらなく怖い…!!
ブイに取り付けてある「鐘」を鳴らし、なんとか逃げ切ることができました。


そして次にやって来たのは、「キミョウナ高校」。校舎の半分が水没した風景はどこか幻想的です。


順調に学校を探索していきますが、教室にはセーラー服を着た魚が泳いでいたり、気味の悪い「JKおじさん」が屋上にいたりと、徐々に狂気的な世界の一端があらわになっていきます。

確かに本作は、ジャンプスケアや幽霊などは出てこない「ホラー要素」少なめの作品です。しかし、奇妙でシュールな登場人物や、不条理な怖さを全面に出した「チラズアートらしさ」はいたるところにあります。


たとえば、人間のパーツがぐちゃぐちゃに組み合わされたような気持ち悪い魚が釣れたり、儀式用のセーラー服マグロを一心不乱に「共食い」するJKおじさんなど、チラズ作品史上最もグロテスクでジワジワとくる「静かな恐怖」を巧みに描いていたのが印象深かったです。



また、水没したショッピングモールや謎のドーム施設など、探索できるロケーションが豊富にあるのも楽しく、冒険心をくすぐられて時間が溶けていきました。


水没した「カニバル寮」では、半魚人クリーチャーとの戦闘も緊張感あって良かったです。



それだけでなく、「エサ製造機」で撒き餌を作成し、それを撒いて大物を釣り上げたり、激レアな「金の魚種」をコンプリートしたり、本作はゲームプレイもかなり作り込まれており、とてもやりごたえを感じました。

クリア時間は約3~4時間程度と、以前に比べるとボリュームもあり満足度も高い。ファストトラベルやスキップ機能など、ユーザー補助システムも充実しているため、初心者も安心してプレイできるでしょう。
本作は海洋探索と魚釣りの楽しさ、不条理なホラーが詰め込まれた、チラズアートの新たな時代を告げるような新機軸のホラーアドベンチャーゲームでした。
タイトル:『UMIGARI | ウミガリ』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2026年2月5日
著者プレイ時間:7時間













