
ユービーアイソフトは2026年2月15日、『レインボーシックス シージ(以下、シージ)』イヤー11シーズン1「Operation Silent Hunt」に関する情報を公開しました。『メタルギアソリッド』から「ソリッド・スネーク」がオペレーターとして参戦します。
そのほか、シーズン2ではDokkaebiのリマスターと新マップ「Calypso Casino」(『レインボーシックス ベガス』のマップ)、シーズン3では新オペレーター(コードネーム:Fireworks)、さらにイヤー12では4つの各シーズンで新オペレーターが登場することなどが明らかになりました。
本稿では、長年『レインボーシックス シージ(以下、シージ)』の制作に携わり、2026年2月3日クリエイティブ・ディレクターに就任したJoshua Mills氏へのインタビューをお届け。20年以上のキャリアを持つ彼が、ゲームの現状、技術的な基盤、そして日本のファンへの想いを語りました。

◆『シージ エックス』の手応えは?なぜ「2」にしなかったのか
――まずは、ディレクターに就任されるまでの経歴を教えてください。
Joshua Mills(以下、Joshua):ゲーム業界に入って20年以上になります。キャリアのスタートはカナダ・トロントの小さなインディー業界でした。当時は「コンテンツクリエイター」と呼ばれていましたが、今でいうレベルデザインの仕事で、そこからシニア・レベルデザイナーへとステップアップしていきました。
その後モントリオールに移り、Compulsion Gamesで『Contrast』や『We Happy Few』を手がけた後、ユービーアイソフトに加わりました。『ウォッチドッグス2』や『アサシン クリード ヴァルハラ』を経て、約5年前に『シージ』のアソシエイト・ゲームディレクターに就任しました 。前任のAlexander Karpazisは親友であり、素晴らしい同僚です。彼が新たな挑戦に向かう中、この1年余りは移行期間として彼を支え、今回クリエイティブ・ディレクターを引き継ぐことになりました。
――『シージ エックス』のローンチから約1年が経とうとしています。この1年の歩みをどのように評価していますか?
Joshua:非常に大きな意義がありました。特に技術面での基盤構築が重要で、多くはプレイヤーには見えない部分ですが、11年目以降に向けた大きな投資となりました。また、私たちが「3C(キャラクター、コントロール、カメラ)」と呼ぶ、移動やアクションの根幹部分にも手を加えました。ラペリング中の慣性や壁の角を移動できるなど、瞬間的なプレイフィールを向上させています 。
――プレイヤー数の面で、基本プレイ無料化(フリーアクセス)は、期待していた通りの効果はありましたか?
Joshua:非常に多くの人々の目にとまるきっかけになりました。『シージ』は10年続くゲームですから、初心者には少し怖い場所かもしれません。しかし、無料でアクセスできることでその障壁を取り除き、まずは友人と一緒に「足を踏み入れる」ことができます。習熟までの道は長いですが、その分、上達した時の喜びは格別ですからね!
――多くのプレイヤーが『シージ』は今後10年どうなるのか?と期待しています。エンジンや技術的な制約もある中で、続編を作るのではなく、現在の『レインボーシックス シージ』を拡張し続けることを選んでいる理由はなんなんでしょうか?
Joshua:理由はいくつかあります。一つは、エンジンのパーツをモジュール単位で更新できることを証明できたからです。照明システムやオーディオエンジンも大幅に刷新しましたし、今後も進化させることが可能です。
そして最も重要なのは、「プレイヤーが費やしたすべての時間を尊重したい」という想いです。10年遊んでくれたプレイヤーが、新作への移行によってこれまでの積み上げを失うリスクを避けたいのです。私たちはこれまでの歴史を大切にし、それを継承していきたいと考えています。
◆スネークとサム・フィッシャー、夢の共演

――今回『メタルギアソリッド』シリーズから「ソリッド・スネーク」が“追加オペレーター”として登場します。これまで「進撃の巨人」などスキンとして他社IPとコラボすることはあれど、オペレーターとして登場するのは初めてです。なぜここまで大がかりなものを投入したのでしょうか。
Joshua:そりゃ…“スネークだから”でしょう!彼は優秀な戦士であり、レインボー部隊への加入はあまりにも自然にフィットします。KONAMIという素晴らしいパートナーと共に、互いに影響を与え合ってきた2つの伝説的なタイトルを、ついに一つにすることができました。開発者として、そして一人のファンとして、この歴史的な瞬間に立ち会えることを光栄に思います。
◆初心者は「AIモード」でまず学んでもらう―カスタムの改良も今度の課題
――私個人の意見ですが、『レインボーシックス シージ』に今最も必要なのは、初心者へのサポートだと考えます。今後長くタイトルが続いていくために、どのような施策を考えていますか?
Joshua:初心者にとって「導入」が依然として厳しいことは認識しています。そのため、機械学習を用いたAIの開発に注力しています。いきなり熟練プレイヤーと対戦して「爆速のピークで倒されて落ち込む」といった重圧を避け、まずは安全なAIモード(PvE環境)で操作やオペレーターに慣れ、ゲームを好きになってもらいたいのです。
――AIモードの有用性は理解しています。ただ、例えば、マップを気軽に探索できたり、そこで制限なくガジェットを使えるなどの機能も是非実装してほしいです。
Joshua:間違いなくコミュニティから話題に上がっている要素のひとつです。テクニカルなグレネードの投げ方を覚えるために、無限に使いたいと思うのは当然ですよね。これは間違いなく以前から議論してきたことであり、私たちが取り組んでいく課題のひとつです。カスタムゲームモードを改良するさまざまな方法を検討しています。
ただ、これには少し時間がかかります。というのも、コアシステムや他のシステムと同様に、土台全体を完全に作り直す必要があるからです。既存の仕組みを一度取り出し、コミュニティが必要とする形へと長期的に進化させていけるよう、再設計して作り直さなければなりません。
◆遺産を大事に、「戦略」を大切にするためのバランス調整
――私ローンチ当時から『シージ』のファンです。昔のオペレーターの動きは、エイムダウンの速度など含め、とてもスピーディなゲームプレイでした。私のように「昔のシージのあの感覚が恋しい」と思っているプレイヤーに向けて、何か今後の計画やアイデアはありますか?リリース初期の環境を再現したり、ゲーム内のシステム(移動スピードなどの仕様)そのものを当時のように刷新するような計画はあるのでしょうか。
Joshua:これについては、2つの側面に分けてお話ししましょう。
まず1つ目ですが、ゲームのレガシー、つまり歩んできた歴史を再体験できるようにすることは、私自身も大好きですし、とても大切にしたいと考えています。かつてのプレイ体験を振り返る機会を作るのは、純粋に楽しいことですからね。「ワイルドカード」では当時の記憶を呼び起こすイースターエッグなども仕込みました。
ただ現実として、初期の開発手法は全てが「積み上げ式」ではありませんでした。むしろ「破壊的」だったと言えます。例えば、マップをアップデートすると古いデータは上書きされ、消えてしまっていたのです。そのため、過去の要素をそのまま復活させるのは、技術的に非常に困難なケースが多々あります。現在は永続的にデータを保持できる手法に変えていますが、古いものを掘り起こすのはやはり簡単ではありません。とはいえ、私たちの歴史ですから、何らかの形で不朽のものにすべきだとは考えていますし、いつかその段階にたどり着きたいと思っています。
2つ目は、武器や挙動のスピード感についてです。確かに初期の頃は凄まじかったですね。本当に速かった。当時はプレイヤーが今ほどの自信を持っていなかったことが、そのスピード感をうまく相殺していました。皆、慎重で、戦略的に時間をかけて動いていたんです。
しかし時間が経つにつれ、プレイヤーは自信をつけ、動きが素早くになっていきました。自信があるからこそ、とんでもないスピードでプレイするようになったのです。それ自体が悪いわけではありませんが、最終的に私たちが求めているのは、シージが常に「戦術的」で「地に足のついた」ものであることです。
そのために取れる手段はいくつかあります。ガンプレイを強化したり、スピード感を調整したりといった議論はもちろん行っていますが、あくまで「シージらしさ」とのバランスが不可欠です。あまりに速くなりすぎれば、他の多くの戦術が失われてしまいますから。そのバランスを保つことこそが重要だと考えています。
――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
Joshua:日本のクリエイターやコミュニティをいつも楽しく拝見しています。皆さんの熱量には本当にワクワクさせられますよ。本当に。長期的には武器の再構築など、武器にこだわりがあるプレイヤーに喜んでもらえるアップデートも準備しています。そして何より、日本で再びメジャー大会を開催します!ぜひ楽しみにしていてください!
――ありがとうございました!










