Game*Sparkライターと編集部が独断で、セール対象ゲームの中からただひたすら心からオススメできるものを選ぶ「Steamセールのマストバイ」。今回ご紹介するのは、Steamで話題となり移植も行われた、ビジュアルノベル『VA-11 Hall-A』です。
荒廃したサイバーパンクな世界で生きる人達の人生が交差するバー「VA-11 Hall-A」。通称ヴァルハラ。元々はコードネームとして付けられた店名がそれであり、同作のタイトルにもなっています。ビジュアルノベルは通常、主人公のセリフや行動を選択し進んでいくものですが、本作は客に対し出すカクテルが選択肢となります。目の前にいる客が何を飲みたいのかだけでなく、それまでに話した内容をヒントに、本当に必要としているものをサーブしていくのが本作の肝でもあります。
筆者はお酒が全くと言っていいほど飲めないので、バーに通ったりということはなく、何かの拍子に連れて行かれた時にも困らないよう、ノンアルコールカクテルは多少頭に入れてある程度ですが、それでもバーテンダーとしてカクテルを作ってみたいもの。もちろん、本作はそんなバーテンダーになれるだけでなく、レシピのカンペが完備なので、バーテンダー初心者からプロにも安心のシステムです。ただし、ゲーム内では世界観に合わせ、独自のものに置き換えられてはいます。
何と言っても本作で最もプッシュすべきだと感じているのは、登場人物が豊かすぎるほどの個性を持っていることで、特に女性キャラがドギツいトークや下ネタが飛び交うトークをするというところ。登場するのも、猫耳が生えたキャットブーマーや、セックスワーカーとして働くアンドロイド、さらには人気絶頂のアイドルだけでなく、賞金稼ぎの男性、人間の言葉を話す柴犬、と紹介すると文章が長すぎるほど、多種多様すぎる職種と種族。しかし、それぞれがコンプレックスや重い過去など、何らかの悩みを抱えており、今を必死に生きているというリアルな部分も描かれています。ちなみに、主人公も女性かつレズビアン(の貧乳)で、同様に振り切ることのできない過去を抱えています。
非常に暗い話のように思えますが、実際は「バーでは楽しくいたい、さらに客同士やバーテンダーとは友人関係」的なノリな部分も多く、途中のルート分岐や終盤のストーリー展開でぐっと引き込まれるところがある、笑いあり涙ありのストーリーが楽しめる良作です。マルチエンディングでリプレイ性があるだけでなく、なかなか難しいミニゲームも収録されており、ただのビジュアルノベルではありません。
「一日を変え、一生を変えるカクテルを!」記事タイトルにも含めたこのセリフは、バーテンダーとして働く主人公が、始業前に必ず口にする言葉。自分の手で他人の人生を変えることができるという、本作の真髄を表しているだけでなく、自分も他人によって変えられるということ、さらには人と人との繋がりによって生きているということを再認識させられるような、深く考えさせられるものなのだと思っています。
なお、本作にハマった方は、開発元のSukeban Games(@SukebanGames)のTwitterのチェックもオススメ。6月21日で2歳の誕生日を迎えた今でもファンアートを多数RTしており、ファン層の厚さを感じさせてくれるだけでなく、たまにアンケートやちょっとした情報などもリリースしています。
『VA-11 Hall-A』は、Steamにて通常1,500円(税込)のところ、セール期間中は30%オフの1,005円(税込)で販売中。
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