日本代表に注目!する前に……
……と、ここまで「LoL Park」をメインにお伝えしてきましたが、ここで「Worlds」の試合形式についておさらい。『リーグ・オブ・レジェンド』の世界大会である「Worlds」は、各国から集まった24チームが王者の座を争うイベントです。
今回始まった「プレイインステージ」はその予選段階と言えるもので、最初に12チームが4つのグループに分かれ、2回ずつの総当たり戦を行います。これが「プレイインステージ ラウンド1」。そこでグループ上位となった2チームは、「プレイインノックアウト(ラウンド2)」に進出。ラウンド1を勝ち上がって8チームが更にぶつかり合い、4チームまで絞られます。
そうして勝ち残ったチームは、韓国や中国、欧州、北米などの代表が集う「グループステージ」へ進みます。日本代表のDetonatioN FocusMe(DFM)は本記事執筆時点で、「プレイインノックアウト」に進出していますが、そこに辿り着くまでの5試合は連続ドラマのような展開でした。
世界大会で観たDetonatioN FocusMeの姿
DFMは、プレイインテージ ラウンド1で「2勝3敗」という戦果を残しています。中でも注目度が高いのは、初日のCloud 9(C9)戦。この試合では逆転に次ぐ逆転が繰り広げられ、終盤の5v5の激突がきっかけで敗北を喫することに。C9は人気も実力も高いチームでもあり、「ここで勝てれば」というところでもありました。今回のレポートでは詳細な試合内容を割愛しますが、激戦を黒星で終えた直後の選手たちの表情は、けっして明るいものとは言えませんでした。
初日が終わった直後のメディア合同インタビューはすでに掲載していますが、DFMメンバー達の顔に浮かんでいた「疲れ」と「悲壮感」は、現地取材陣としては忘れられません。取材現場の空気は強烈に淀んでいて、根掘り葉掘り聞けるような雰囲気ではなかったのです。いくら相手が「仕事としてやっているプロのゲーマー」とは言え、彼らの精神面に負担をかけるのは避けたいところですし、そもそもインタビュアー側にいる身としても納得はできない状況でした。
質問に答えてはもらえるものの、ただ傷口に塩を塗るようなインタビューを続けるくらいなら一旦中止を願い出よう……と思い始めたところで、離席していたCeros選手がインタビューに途中参加。敗北の直後であろうと彼ははきはきと質問に答え、「自分たちの敗因を的確に分析した上で話している」ことがよく伝わります。
そんなCeros選手のムードに背中を押されたのか、他の選手たちの顔にも笑顔が表れ始めました。「次は気持ちをリフレッシュしていく」「試合中に使うヘッドセットがすごく良かったからLJLでも使いたい」と笑って話す彼らからは、次の試合で更に活躍してくれそうな希望を抱けました。
しかしながら、プレイインステージ3日目はブラジルのKaBuM! e-Sports(KBM)とC9を相手に連敗。DFMは初日の時点でKBMを下していましたが、この日のKBMの動きはキレキレ。DFMのみならず、C9も凌駕しかねない勢いを見せました。
そして、プレイインステージのDFM所属グループはタイブレークにもつれました。お互いに「1勝1敗」だったDFMとKBMは23時から再試合に突入。絶好調のKBMが相手ということで、どことなく不穏な空気が漂います。日本の「Worlds」取材陣もカメラ片手に動き回るのを止め、いちファンとしてDFMを見守りました。
試合開始後、「DFMファイティン!」と叫ぶ日本から渡航してきたファン達に続き、近くの席に座っていた韓国人の来客者も何かを絶叫。恥ずかしながら筆者は韓国語が聞き取れないため、「何かを絶叫していた」としか表現できないのですが、彼の声はDFMを応援する我々の心に深く染みました。
絶好調だったKBMと再び相見えたDFMは、ほぼ一方的な試合運びで勝利。試合時間約24分というスピードで、プレイインステージのラウンド2へ進出。試合終了後、会場は「DFMコール」に包まれました。ちなみに、このあとにも試合直後インタビューを行っていましたが、選手達はとにかくハイテンション。Evi選手の歓喜のコメントとCeros選手の自信に満ちた表情が印象的でした。
来年のLJLが本当に楽しみだな
— PGM ゆとりもやし (@yut_moyashi) 2018年10月3日
dfmがんばったつぎしはいも
— USG Tussle (@dlansdyd1) 2018年10月3日
おうえんしています
がんばってぐださい
DFM WIN
うおおおおお!!!dfmこれ決勝戦までいくやつや!!
— USG Enty (@entyyyyyy) 2018年10月3日
そして彼らの勝利はファンに留まらず、LJLの他チームメンバーにも届いた様子。「Worlds」はまだまだ序盤ではありますが、これからのDFMの戦いはLJLと世界の『LoL』シーンに響くことでしょう。DFMが見せる「Worlds」での活躍が、日本の『LoL』プロシーンを健やかに成長させていくことを心から願います。
DFMの次の試合は、10月6日17時より開始予定。対戦相手は中国の強豪Edward Gamingです。
(取材協力:ライアットゲームズ)