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現実の格闘技大会「RIZIN」で突如組み込まれたe-Sports(前編)ー『鉄拳7』日韓決戦!その行方は…

「RIZIN.13」にて組まれたe-Sportsイベント、『鉄拳7』の日韓戦の様子をお届けします。

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現実の格闘技大会「RIZIN」で突如組み込まれたe-Sports(前編)ー『鉄拳7』日韓決戦!その行方は…
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2000年代に人気を博したMMA(総合格闘技の名称、Mixed Martial Artsの略称)イベント「PRIDE」の系譜である「RIZIN.13」が2018年9月30日、さいたまスーパーアリーナで開催されました。

今回は、同イベントにて組まれたe-Sportsイベント、『鉄拳7』の日韓戦の様子をお届けします。

■昔から格闘技イベントはメインと別の格闘技の試合も組まれたが、遂にe-Sportsにまで達した


今回メインイベントを飾ったのは、那須川天心選手VS堀口恭司選手。弱冠20歳の那須川天心選手は、高校在学中に無敗のムエタイチャンピオンをKOし、そのまま期末テストに向かったエピソードが人々の注目を浴びました。

対して堀口恭司選手は、9月に急逝した山本“KID”徳郁選手の弟子であり、世界最大のMMA団体「UFC」のフライ級で王者を争った経験を持ち、識者が「日本人MMAファイターの歴史上最強の選手」とまで評するほどの実力者です。

※画像はRIZIN公式サイトより 

「キックボクシングvsMMAそれぞれの現代最高の選手同士による異種格闘技戦」がメインを務める一方で、もうひとつ興味深い試みがありました。現実の格闘技イベントの中に虚構の格闘技を交錯させる試みです。それがe-Sportsイベント、『鉄拳7』の日韓戦です。

大晦日のイベントを代表に、日本の格闘技イベントはMMAルールやK-1ルールを中心としながら、スペシャルマッチアップとして別の格闘技の試合をイベントに含めることでバラエティー豊かにしてきた歴史があります。

今回の『鉄拳7』の日韓戦はそれと同じ形で「RIZIN.13」の第10試合として組まれていました。


超満員の観客が詰めかけた。

筆者が開場待ちのファンに今回のe-Sportsイベントに関して簡単なインタビューを行ったところ、「正直、今日まで知らなかった」、「格闘技もe-Sportsも好きだけど、やはり別々に分けるべきだと思う」、「昔少し『鉄拳』はやったことがあった」などの回答がありました。この日に『鉄拳7』の日韓戦が開催されるという公式発表が、開催9日前の9月21日のTGS2018で行われていたこともあり、格闘技ファンには認知度が低かったという側面もありそうです。

■台風の影響により、大注目の異種格闘技戦の後に始まったデジタルな格闘技



大会当日、台風24号の影響によってJR全線が20時より運行停止に。これを受けて主催者側は、「観客がメインを見て、電車が止まる20時前に安全に帰宅できるように」と試合順を大幅に変更し、「那須川天心vs堀口恭司」のメインカードを前倒しすると発表しました。

「那須川天心vs堀口恭司」の試合はまるで、少年誌で掲載されている格闘漫画の最中にいるようでした。堀口選手と那須川選手の、高速の打撃の攻防はほとんど目に見えなく、筆者は観客同様にそのハイレベルな試合に圧倒されていたのです。

『鉄拳7』の日韓戦は奇しくもこの一戦が終わった後に始まりました。メインを目当てにしていた観客は、台風で電車が止まる前に帰宅していきましたが、その後の試合を見届けようと残った観客は会場に設置されたモニターを注視していました。

■総合格闘技の選手たちと同じフォーマットで入場する『鉄拳7』選手たち



那須川選手と堀口選手が激闘を繰り広げたリングに機材が設置されていきました。こうしたe-Sportsならではの場面がありましたが、ここでは『鉄拳7』の選手は他の総合格闘技の選手とまったく同じように演出され、入場していたことが特徴的でした。



日本の格闘技イベントの特徴と言えば「煽りビデオ」と呼ばれる演出です。これは対戦する両者の背景を数分間のドキュメンタリーとして会場で放映することで、物語性を高め、試合を盛り上げる手法です。

今回『鉄拳7』の日韓戦でも、格闘技イベントではお馴染みの煽りビデオがしっかりと放映。「鉄拳7」のプロライセンスを持ったタケ。選手、ノビ選手、ノロマ選手らのファイトスタイルが描かれ、韓国勢は「鉄拳修羅の国」というフレーズでその強さが表現されていました。国内で格闘技を評する言葉で「修羅の国」とはあまりにも地力の強い選手が揃う国や団体を称するときによく使われるため、普段から格闘技を見ている筆者としてはその重みがよく伝わりました。


日韓両チームが大音量の入場曲とともにリングに向かうなど、総合格闘技の選手とまったく同じ演出が行われました。

アメリカの対戦格闘ゲーム大会のEVOでは、競技スポーツとしての柔道やレスリングの世界大会のように淡々とトーナメントが進行します。だからこそ高い競技性を見せていたともいえますが、今回の「RIZIN.13」のように、格闘技イベントをベースにしたe-Sportsの見せ方も多くの可能性を持っていると感じました。

e-Sportsでは既存のプロスポーツの見方をベースにした楽しませ方があると思います。たとえば『Overwatch League』は既存のNBAやメジャーリーグのような、地域密着型でチームを応援していく形式を取っているといいます。こちらはチーム制のFPSという組織的な構造と、地域密着型というのが繋がりやすいというもあるかもしれません。

その意味で個人vs個人である対戦格闘ゲームにおいては、現実の格闘技イベントの演出フォーマットは高い効果があると感じられました。特に近年では選手個々人のドキュメンタリーが活況であり、それぞれの物語性にフォーカスが当てられています。このような形で、選手それぞれの物語性の激突を見たいという需要はあるのではないでしょうか。

先日のMBSで放映された情熱大陸ではときど選手がフィーチャーされたことが話題になりましたし、格闘ゲーマーとしての生き方にフォーカスを当てたドキュメンタリー「リビングゲーム」では、ももち選手やウメハラ選手が話題になりました。煽りビデオはいわばこの要素を大会演出に持ち込んだ形だと筆者は考えました。

また、今回の日本チームは日本eスポーツ連合(以下、JeSU)によるプロライセンスを取得した選手たちで構成されています。これは「JeSU公認のプロプレイヤーはどのように活動しているのか?」を見るひとつのケースとも言えるでしょう。

次のページ:格闘技イベントで激突する日韓の『鉄拳』
《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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