Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】

Game*Sparkオリジナルレビュー。PR記事を担当した筆者が敢えて『アサシン クリード オデッセイ』に挑みます。筆者のプレイ時間はメインクエストに関して約60時間、機種はPC版です。

連載・特集 ゲームレビュー
Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
  • Game*Sparkレビュー:『アサシン クリード オデッセイ』【年末年始特集】
ゲーム業界も大賑わいとなった2018年。皆さんはこの年に、何本のAAAゲームや注目のインディー作品などをプレイしてきたでしょうか。今年からオリジナルレビューを掲載し始めたGame*Sparkでは、「2018年の話題作」を振り返るゲームレビューを集中連載として年末までお届けします。第4本目は『アサシン クリード オデッセイ』です。




今作『アサシン クリード オデッセイ(以下、オデッセイ)』は、専門家さえ語り切れない程に作り上げられた街並みや自然をセールスポイントにしています。ユービーアイソフトは歴史考証に大きな労力を割く事でも知られており、その実績は前作『アサシン クリード オリジンズ(以下、オリジンズ)』においても、重厚な古代エジプトの再現という形で表れていました。

本稿の筆者は『オデッセイ』発売の際にPR記事を執筆しております。しかしながら「Game*Sparkレビューのおやくそく」に掲げます通り、筆者はPR記事の掲載後に私費でPC版『オデッセイ』を購入し、自身の余暇の一環としてプレイしました。本稿においては、過去に掲載したPR記事に反して、自筆ながら批判的な内容が含まれますことを、予めご了承ください。レビュー記事として可能な限り誠実に臨みます。

また長い歴史を持つ『アサシンクリード』の過去シリーズに対して、少なからずネタバレとなる部分がございます。『オデッセイ』から遊んでも問題ありませんが、特にシリーズを一切プレイしておらず、初代『アサシン クリード』から楽しもうとお考えの方につきましては、このまま読み進められないことを推奨します。

スパルタを追い出された青年の物語



『オデッセイ』は、シリーズ最古の時代となる古代ギリシアを舞台に、スパルタ人である主人公が影の組織を打倒する姿を描いた作品です。幼い頃にスパルタを追い出された主人公は、ケファロニア島で傭兵となっていました。ある時、その腕を見込んだと言う謎の男からひとつの仕事を請け負います。


それは「スパルタの狼」と呼ばれる将軍を暗殺すること。その人物こそ主人公を追放せざるを得なかった父親ニコラオスだったのです。

ニコラオスとの対峙の後、主人公は男に父親との関係を問いただします。すると男は逃げ出し、主人公は怪しい戦士たちに取り囲まれ命を狙われることに。残された証拠などから、それらは「コスモスの門徒」と呼ばれる闇の結社によるものだという事を突き止めます。

こうして主人公は、広大な古代ギリシアを舞台に「コスモスの門徒」への復讐を誓って大冒険へと出発するのです。

確かな正統進化



美麗で緻密なグラフィックは、2018年を代表するに相応しいレベルに仕上がりつつも、不思議なほど描画が軽く、安定した動作を実現しています。

世界描写の自然さは他のゲームを置いて独走状態。例えば、強固な歴史考証に裏打ちされた建築群の精巧・緻密なディティールをはじめ、土地や植物も同様に専門家を唸らせる程の説得力ある配置が為されています。

キーボードとマウスによる調整も洗練されており、一般的な感覚で問題なく操作できます。パルクールで若干もたつくことがあるものの、ほぼ意図した通りに行動できるのではないでしょうか。


広範なギリシアの島々を地図に忠実な形で実装しながら、ゲームプレイのサイズ感へうまく落とし込めているのも注目に値します。高い山から望む遠景はリアルなのに、ゲームの中では意外と近い……この体験は不思議でした。

時代を代表する歴史の偉人たちが次々と登場し、その数たるや圧巻そのもの。歴史に疎い筆者にとってはすぐに混乱してしまう程「この人もあの人も」登場しているのです。

更に本作では「ガイド付きモード」と「探索モード」で、アドベンチャーの難易度を設定できます。探索モードはクエストのクリア条件を丁寧に調査する必要があり、ガイド付きモードはクエストアイコンに従えばクリアできるという形です。

過去作との比較



前作『オリジンズ』から導入となったアクションRPG化を継承しレベル制となります。敵性区画は明確化され、過去作に見られた実質的に限定された侵入ルートがなくなり、完全とも言える自由なパルクールとなりました。これに伴って長いダンジョンはなくなり、ステージクリア型のクエストもごく少数に。戦闘か暗殺かを常にプレイヤーが選択できます。

今作は主人公の性別を選択する方式。またクエストでは頻繁に選択肢が登場し、主人公のパーソナリティは比較的自由なものとなりました。

プレイヤーの利便性が強化され、システム的に歴代最強の主人公です。高所からの落下は本来、積まれた藁などで緩衝する「イーグルダイブ」が必要でしたが、今作はあらゆる場所あらゆる高度を無傷で着地できるようになります。武具には彫刻という形でPERKを設定でき、その種類も豊富。自身の戦闘スタイルに合った細かい強化が可能です。

意義の見えないレベル制



先述したレベル制により、ステルス要素が薄くなっています。頭部を貫く暗殺攻撃であっても、強敵はヒットポイントが高く堂々と反撃してきます。知恵を使ったステルスに集中したくてもシステムが許してくれません。50,000ダメージ!などと表示されますが、だからなんなんだという感じです。

レベル差の補正が強く、数レベル上の敵にほとんどダメージが通りません。これは主人公の強さに説得力を感じられないチグハグさを生んでしまいました。街人が恐れるいわくつきの狂戦士を倒した主人公を、隣の高レベルな一般兵が一瞬で倒してしまうのです。

武具にもレベル制があるので最終盤まで装備に愛着を持てません。レベルによる差が激しく、レアリティに関わらず高レベルへと鞍替えすればいいという設計です。武具は大量に手に入る為、レベル制である必要がほとんど感じられません

「レベルを上げて物理で殴れ」の戦法を取ってようやくレベルを追い越しても、なんとほとんどの敵や地域は主人公に近いレベルへ同期してしまうので、どんなに鍛えてもクリアにかかる時間は大して変わらず、レベルを上げる意義を感じられません。ゲーム開始時点で多くの地域が高いレベルに設定されているので勝ち目がなく、オープンワールドでありながら息苦しさを感じます。

高レベル・高難易度の敵はダメージを与えにくく、単純に同じ攻撃を繰り返すことになります。いかにケアレスミスをしないかという作業的な戦闘が長引くこととなるので、テンポが悪いと感じたらオプションから難易度を下げることをおすすめします。

レベル制を取るならば、せめて同期せずにプレイヤー自身の難易度調整を許容しても良かったのではないでしょうか。

理不尽感の強い傭兵システム



『オデッセイ』には傭兵と呼ばれる、ひときわ強力で特別な敵が存在します。主人公が街で違法行為を行うと懸賞金がかかり、彼ら傭兵が主人公を狙ってやってくるのです。

街中での緊張感という意味での懸賞金システムはスパイスとして良いもの。しかしながら、傭兵はGPSでも装備しているかのように颯爽と主人公のもとへワープしてきます。敵性区画が明確なシステムでありながら傭兵は独立して行動しているため、街中でイベントをこなす時に厄介なお邪魔虫となるのです。

返り討ちにしようにも非常にヒットポイントが高く、街中での大立ち回りを余儀なくされ、それを目撃されることで更に懸賞金が増加するという悪循環。懸賞金が増えると複数の傭兵から狙われ、彼らは例外なくその場へ現れます。次から次へと参戦してきて「目の前の目標を調べるだけでこのクエストが終わるのに!」といった場面でイライラしてしまうのです。

一旦その場を離れ遠くへ逃げる事はできますが、傭兵はその場をうろつくので根本的な解決にはなりません。ただ、「マップ画面からワンボタンで懸賞金を支払う」ことで、傭兵から狙われなくなります。どうせこうなるなら無くてもいいのでは、と考えてしまう瞬間です。

挑戦しがいのある敵には魅力がありますから、もう少しはっきり区分けした方が良かったのではと感じます。

半分近くは単調な移動時間



クエストの半分近くは移動時間です。ファストトラベルからクエスト地点まで数百メートルの移動が必要な事が多く、それなりの時間が伴います。道中も単調なのでどこにでもファストトラベルを可能としてよかったのではと感じます。緻密に作られた街を通過する機会は減りますが、それらは選択できて良いはずです。偶然性・多様性のあるイベントが道中で起こる訳でもないので、移動に意義を感じ難いのです。

「アサシンとは」?という疑問と淡白な演出


シリーズをご存知の方は、プレイ全体を通して「アサシン教団との関りはどこにあるのだろうか?」という疑問が常につきまといます。

エンディングのひとつで解が示され、そこに納得できるかどうかが評価の分かれ目となりそうです。本編のほとんどは「主人公とコスモスの門徒の闘争」が描かれるだけで、アサシン教団の要素がみえません。

前作『オリジンズ』から映画的な演出が鳴りを潜めたこともあり、大半のクエストは演出が淡白。今作に至ってはスタッフロールが流れず、どこがエンディングなのかと、なんだか締まらない印象となります。

『オデッセイ』に流れる哲学



『オデッセイ』は、歴代でも類を見ない量の選択肢が登場します。それらはあからさまに答えの見えないものであることが多く、「善人」あるいは「悪人」として演じても、都合の良い結果になるとは限りません。

紀元前400年頃という時代に即した判断が求められ、私たちの倫理観とは異なるもどかしさを痛感します。哲学者のソクラテスは、度々主人公の前に現れ、答えの見えない問答を投げかけてきますが、数々のクエストがこのような調子です。これは古代ギリシアに存在した、デルフォイという場にいるピュティアという神託官の話す神意を、当時の人達がどのように受け止めていたのかといった部分に通じます。

映画「300」でも有名なテルモピュライの戦いに赴く前、レオニダス王は神託官に助言を求めました。「王が死ぬか、国が滅びるか」という言葉に決心して出撃し、スパルタ軍は圧倒的軍事力の差をはねのけるも、続く戦いにやがてはレオニダス王もろとも討たれてしまうのです。

しかしながら、誰も神託官に対して反意を抱きません。さらに、スパルタと不仲のアテナイや小国さえもピュティアの神託を聞きに赴きます。

その神託は常に「どうとでも受け取れる」ようなもので、意地悪な問題のようでもありました。のちに望まぬ結果になろうとも、神託を受けた者は「受け取り方を間違えた自身の問題」として捉えていたようです。

主人公はその生い立ちにより、どの陣営にも与しません。ピュティアを操作し、戦争を焚きつける「コスモスの門徒」を倒す話でありながら、主人公自身も各地の国力を衰えさせて戦争を起こし、侵略側・防衛側のどちらに付くかの選択まで行えるのです。

主人公を通して歴史を観る



『アサシンクリード』シリーズは歴史の体験をテーマとしてきました。再現された古代ギリシアのディテールは、他に比較できるタイトルがありません。映画や小説その他のジャンルを眺めてみても、現状では最大級に当時を再現した媒体と断言しても良いでしょう。

筆者のように歴史に疎い人は、古代ギリシアの建造物は真っ白で、貧困にあえぐ人たちばかりだと考えがちです。しかし研究に基づいて再現されたギリシアは色彩豊かで、貧富の差もはっきりと描かれ、煌びやかな部分も見つかります。そうした徹底した調査による表現は、二千年以上の時を超えても私達と同じような人間が確かに生活していたのだということを実感させてくれます。

ソクラテスのような人物を、筆者は堅苦しく偉大な感じの人だと思い込んでいました。しかしゲーム内では、隙あらば問題をふっかけてくるめんどうなおじさんで、現代ならこんな人もいるなと思える親近感があります。

次々と登場する偉人がそもそも実在するのかすら判断付かないのですが、ゲーム内ではそれほど多く語られません。故に突然登場する印象の人物が多くなります。ひとつひとつ調べながら進めていけば、納得の深い体験になるかと思います。

しかし、それはゲームのテンポを損なうことにもなりかねません。以上の事から『オデッセイ』は映画的ではなく、じっくりと腰を据えてときどき別のゲームに手を出しながらちょっとずつ進めていくのが良い楽しみ方だと感じます。

多様性と環境の大きさを思う



歴史を外から眺める立場で旅をする中で、人間の多様性と育つ環境の複雑さを痛感します。

スパルタ教育という言葉が今にも残るほど彼らの教育は熾烈でした。レオニダス王という英雄的な逸話が華々しく残りますが、スパルタでは強さの為ならば今の倫理観ではとても許されない施策が数多くとられていたのです。

しかしアテナイは逆に、民主主義といった言葉が出たりと現代でもイメージしやすい社会だったりします。そうした様々な小国がギリシアの島々で所狭しとひしめきあう中で、もし自分が当時の人間ならば、己の個性などどうとでも作り上げられてしまっただろうと思わずにいられません。

シリーズはどのように進化するのか?



『アサシン クリード』はシリーズが持つ様々な側面を全て進化させました。しかしそれは「どんなゲームなのか」を掴みづらくもしてしまいました。

その中で戦闘システムは確かな進化を感じます。主人公が強すぎるきらいはありますが……『バットマン』アーカムシリーズや『Marvel's スパイダーマン』で見られる、吸い付くような敵へのロックオンといった強いシステム補正がないにもかかわらず、シンプルな操作で戦っている感じを楽しめるのです。

緊急回避やパリィからのカウンターは容易ですし、長い無敵を伴う必殺技もあります。戦闘を離脱したければその場で逃げ出せばよい構造など、プレイヤーを縛らない設計は評価できます。それでも囲まれた状態で油断すればやられてしまう作りは、シリーズ中で最も洗練されていると言えるでしょう。

DLC第一弾『最初の刃の遺産』では、アサシンブレードを装備した謎の男が登場します。改めて、アサシンブレードはシリーズの象徴だと感じました。本編で感じた不足をようやく埋められる気分です。もっとストーリードリヴンな形でアサシンの姿を描き続けて欲しいなと思います。

せっかく多くの人物が登場するのですから、より仲間と行動を共にしている感覚でプレイできれば、精巧に作り上げられた街並みに様々な印象を残してくれるのではないでしょうか。今後も驚くべき歴史の再現と共に、広い世界を駆け巡って冒険心を掻き立てるシリーズであって欲しいと願います。

総合評価: ★★☆

良い点
・圧倒的な古代ギリシアの再現
・強力な表現力に対して軽快な動作、安定した駆動、洗練された操作性
・容易な操作ながら得られる戦闘の実感
・古代ギリシアへの知的好奇心を起こす有意義な体験
・難易度の幅広さ、自由度の高さ、大量のボリューム
・プレイヤーに対する利便性の向上
・シリーズ歴代最高となったパルクールの自由
・DLC等の追加コンテンツが今後も充実している


悪い点
・有難みを感じないレベル制、レベル同期システム
・ステルス要素の「意義」の希薄化
・不快感の強い傭兵達
・広範なオープンワールドに感じる息苦しさ
・移動時間が占める割合
・結果的に膨張するプレイ時間
・シナリオ演出の淡白さ、実感のないエンディング
・主人公の失われたパーソナリティ




「GameSparkレビュー」では、読者の皆さまのゲームの感想も募集しています。下記リンクにて質問にお答えください。回答期間は2018年12月31日から2019年1月7日まで。また、集計終了後には「GameSpark読者レビュー」として記事を公開し、回答やコメントを取り上げる場合があります。

Game*Spark読者レビューに参加する!
《Trasque》

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top