
IO Interactiveが開発中のあのジェームズ・ボンドのオリジンとなる『007 ファースト・ライト』。本作は未熟な若きボンドの活躍を描き、従来の映画にはなかった新しい物語とゲームプレイ体験を提供します。The Game Awards 2025(TGA2025)では世界的アーティストであるレニー・クラヴィッツが本作のヴィラン“バフマ”を演じることも発表されました。
編集部では、TGA2025で開催されたイベントにて、シニア・ライセンシング・プロデューサーを務めるTheuns Smit氏に、「007」の権利を扱う上での挑戦や、新たなボンド像の構築について詳しくお話を伺いました。

――まずは自己紹介をかねてIO Interactiveでの役割を教えていただけますか?
Theuns Smit氏(以下、Theuns): IO Interactive(以下、IOI)でシニア・ライセンシング・プロデューサーを務めているTheuns Smit(ティアン・スミット)です。
――シニア・ライセンシング・プロデューサーとは、具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか?
Theuns: 業務には多くの側面があります。核となるのは、「ジェームズ・ボンド」がライセンスIP(知的財産)であるため、Amazon MGM Studiosなどのライセンス元との協力体制やパートナーシップを築くことです。
加えて本作を開発するスタジオとライセンス元の間の協力関係を橋渡しする役割も担っています。ライセンスは私たちが生み出しているもの、そして実現しようとしている体験の核心的な一部なのです。
ライセンサー(権利者)は、私たちライセンシーがこのIPを正当に扱い、その伝承とIPに忠実であることを確認したいと考えています。弊社には25年にわたる『ヒットマン』シリーズによるエージェント・ファンタジーの経験を積み重ねてきました。そのため彼らは私たちを信頼してくれていますし、私たちはその期待に応えるべく、ボンドの世界を『ファースト・ライト』で魅力あふれる世界として作り上げています。
――Amazon MGM StudiosがIOIにジェームズ・ボンドのゲーム制作を依頼したのでしょうか?それとも、IOIからアプローチしたのでしょうか?
Theuns: 私たちからアプローチしました。先ほど申し上げた通り、私たちはエージェント・ファンタジーに関して豊富な実績があります。「007」に携わるうえで、私たちは当初から独自のストーリーを語りたいと考えていました。過去の映画のリメイクは望んでいなかったのです。
そのため、このプロジェクトに最も適したクリエイティブな手段として選ばれたのが、若きジェームズ・ボンドの物語を再構築したオリジンストーリーでした。これまでに語られたことのない、見たことのないボンドの旅、新しい物語にプレイヤーが乗り出す機会を提供していきます。

本作のボンドは修行中の身であり、エージェントとしての基礎を学び、目的を見出し、自身のナンバーとなる「007」を勝ち取っていく。プレイヤーはボンドのそのような成長を実感できるでしょう。

――若きジェームズ・ボンドのデザインについて伺います。私たちが知っている小説や映画のボンドは豊富な背景情報を持っていますが、若いボンドについてはほとんど情報がありません。彼をゲームで具体化するにあたり、最も難しかった点と、Amazon MGM Studiosとの連携はどのように行われたのでしょうか?
Theuns: 私たちのボンドを創造し命を吹き込む上で核となったのは、その役割に適切な俳優を見つけることでした。私たちは本作でジェームズ・ボンドを演じるパトリック・ギブソンと出会ったとき、本当に幸運に恵まれたと思いました。

彼はまだ若いですが、役柄になりきる方法を知っています。脚本チームが作り上げた素晴らしい物語に沿って、俳優とディレクターが協力し合うことで、ボンドが一体何者で、どのようなキャラクターになるかを共同で形作ることができました。
同時に、私たちは誰もが知っているジェームズ・ボンドの核となる要素に忠実であり続けないとなりません。彼は「魅力的」で「機知に富み」、「即興的」であり、「忠実」です。そして何があっても「仕事をやり遂げる」ことに集中しています。ジェームズ・ボンドは決して失敗しません。
これらの核となる特性があるからこそ、『007 ファースト・ライト』のジェームズ・ボンドは本作独自のボンドになりつつも、依然としてこれまでのボンドでもいられるのです。

――今回のゲームにはドライビング要素が導入されていますね。IOIにとってこれは新しい挑戦だったと思いますが、ゲームに取り入れること、そして使用する車を選ぶ上でどのように作業を進められましたか?
Theuns: (待ってましたと言わんばかりに口角をあげながら)これもまた、私たちが当初から持っていたクリエイティブなビジョンに基づいています。ボンドの世界に期待される要素、つまりボンドと非常に密接に関わるレガシー的で象徴的なブランドパートナーがいくつか存在します。
だからこそ、アストンマーティンやランドローバー、そしてガジェットの側面ではオメガといったブランドがあるのです。乗り物は、プレイヤーが期待するものだと感じましたし、私たち自身もジェームズ・ボンドとしての体験を高めるために必要だと感じていました。
ドライビング要素は私たちスタジオにとって新しい試みではありますが、長年にわたり成長し、新しいスタジオと才能を迎え入れ、独自のGlacierエンジンを開発し続けてきたことで、新しいゲーム体験全体を生き生きと実現できるようになりました。
――さきほど(TGA2025のステージにて)レニー・クラヴィッツがゲームのヴィランであるバフマ役に起用されていることが明らかになりました。どのようにこのアイデアに至ったのでしょうか?
Theuns: それもすべて、私たちが語りたいストーリーに基づいています。本質的にストーリー主導型のアクションアドベンチャーゲームであるボンドの物語は、世界中を旅し、私たち凡人には通常立ち入れないようなエキゾチックで危険な場所に行くことと密接に関わっています。

今回の敵であるバフマは、自らを「砂と鋼の帝国の海賊王」と呼んでいます。彼の場所は、現実世界では映画の撮影が困難な地域にあるかもしれません。しかし、ゲーム開発者である私たちにはその制限はありません。
私たちは、そんな場所の奥深さに匹敵するほどのカリスマと重みを持ったバフマに見合った俳優を見つけたいと考えました。そして、レニー・クラヴィッツこそが、この海賊王バフマに命を吹き込むにふさわしいキャストだと確信しました。彼の存在感が、キャラクターにも反映されています。
――最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。
Theuns: 日本のファンのみなさん、私たちは非常に興奮しています。数週間前、私は東京ゲームショウに参加し、そこでファンの皆様と会えたことを本当に楽しく思いました。
皆様がこのゲームを手に取ってプレイしてくださることを大変楽しみにしています。レニー・クラヴィッツ、ジェマ・チャン、パトリック・ギブソンといったキャストと共に、上質なゲームプレイ体験を皆様にお届けできることを願っています。そして来年、みなさんにお会いできることを楽しみにしています。
――ありがとうございました。
『007 ファースト・ライト』は2026年3月27日発売。対象機種はPC(Steam/Epic Games Store)/PlayStation 5/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ2で価格は8,910円(税込)。通常版の他にスペシャリストエディション、コレクターズエディションとレガシーエディションの3バージョンが用意されています。

なお、イベント会場では『007 ファースト・ライト』や『Hitman World of Assassination』などの展示物がありましたが、会場にはレニー・クラヴィッツや、『ヒットマン』シリーズ新作の次期ターゲットとなったミラ・ジョヴォヴィッチなど世界的なセレブリティもいたので権利上撮影許可がおりませんでした。
一部ではありますが、コレクターズエディション特典のマスクと、レガシーエディション特典の黄金銃のみ撮影が許されたのであわせて掲載いたします。
















