「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」はゲームと映画の壁をまたひとつ取り払った不思議な傑作【コントローラーを置く時間】 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」はゲームと映画の壁をまたひとつ取り払った不思議な傑作【コントローラーを置く時間】

Netflixのインタラクティブ作品「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」は映画なのか、ゲームなのか。

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「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」はゲームと映画の壁をまたひとつ取り払った不思議な傑作【コントローラーを置く時間】
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エンターテインメントがまた一歩進んだ


本作の展開によっては、いわゆる第4の壁を突破するメタ的な表現が存在しています。ですが、こういったメタ的な視点を持つ作品とはまったく異なる点が「バンダースナッチ」には備えられています。

通常「第4の壁」を取り扱った作品は基本的に「こちら(プレイヤー/視聴者)を認識」しますが、「バンダースナッチ」はこちらを認識するルートがあれば、認識しないルートもあるということです。この時点で、既に純粋な映画とは一線を画しています。これは普通の映画にはできないですし、当然映画館でもできません(観客全員が満足するルートを選択できるのはまずありえないですよね)。

選択をリアルタイムで反映できるNetflix(などのSVOD)だからこそできる作品です。ゲーマーにとっては、選択肢があって複数のエンディングがあって……というのは当たり前ですし、慣れ切っていますよね。当然なのですが、だからこそゲーマーが楽しめる作品なのです。もちろん、ゲーマーでなくても楽しめるのは大前提ですので、ご心配なく。

各エンディング後は、特定の選択肢を選ぶ前から始められるので、ただ単に巻き戻っているだけに思えますが、セリフが変わる場合もあります。筆者は主人公の先輩が話す、とあるセリフのおかげで本作にのめり込みました。この要素は、セーブ/ロードするだけのゲームにも、ただ時間を巻き戻して再び同じ選択肢から答えを選ぶゲームにもありません。だからこそ、ゲームをやったような映画を観たような不思議な感覚に襲われるのです。

既存ファンへのイースターエッグもゲーム的


非常に新しい作品ですが、既存「ブラック・ミラー」ファンへのオマケも忘れてはいません。まず、タッカーソフトより発売される『メタルヘッド』と呼ばれるゲーム作品がありますが、これはシーズン4「メタルヘッド」に登場する兵器とまったく同じものです。

また、シーズン3「拡張現実ゲーム」には実在の海外ゲーム雑誌「EDGE」を映すシーンがありますが、その表紙にはレビューという体で、「Bandersnatch」の名前が記載されています(余談ながら、そこには『Papers, Please III』の名前も。まず『II』はどこだ)。

そして、なにより忘れてはならないのは、劇中にたびたび登場する「凸」のようなマーク。これは分岐(ルート)を表しているのですが、シーズン2「シロクマ」にも同じようなマークが登場します。「シロクマ」でも、人間を使ったゲームが「White Bear Justice Park」で行われていました。

「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」予告編より

「ゲーム」をベースにしたエピソードで似た記号が登場するのは実に興味深いところですね。それと同時に、「ブラック・ミラー」の凄まじさを再確認しました。

「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」は、Netflixで独占配信中。本稿の最初で「大事件」と述べましたが、本作は、"らしさ"を一切損なずに生み出された傑作です。Netflixでの上映時間は「1時間30分」とされていますが、「それだけで終わるわけがない」と筆者は思っています。ハードコアゲーマーな方は、まとまった時間があるときにチェックしてみてはいかがでしょうか。一通り観終わったあと、不思議な感覚になって、誰かに話したくなるはずです。
《秋夏》
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