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中華ゲーム見聞録:AIロボストラテジー『異常』プログラムを組んでロボットを動かし、ミッションをクリアしよう

「中華ゲーム見聞録」第49回目は、ロボットのプログラムを組んでミッションをクリアしていくストラテジーゲーム『異常(Exception)』をお届けします。

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中華ゲーム見聞録:AIロボストラテジー『異常』プログラムを組んでロボットを動かし、ミッションをクリアしよう
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中華ゲーム見聞録」第49回目は、ロボットのプログラムを組んでミッションをクリアしていくストラテジーゲーム『異常(Exception)』をお届けします。

本作はKunpo Gamesによって、7月5日にSteamで配信されました。Kunpo Gamesは中国の青島市を拠点とするデベロッパー「藍飛互楽」旗下の開発チームです。藍飛互楽は2007年に設立され、主に中国向けにスマホゲームなどを配信してきました。すでに10年以上活動を続けている老舗で、重課金が必要な近年のスマホゲームに異議を唱えており、「ゲーム自体の面白さ」を追求することを旨としています。本作はKunpo GamesにとってのSteam配信第一弾になります。


本作の内容ですが、ミッションの始まる前にロボットをプログラミングし、クリア条件を満たしていくというものです。イメージ的にはロボットコンテストみたいな感じでしょうか。この手のゲームは敵の動きを先読みして行動命令を出さなくてはならないので、戦場でのプランニング力も試されてきます。さっそくプレイしていきましょう。

異常行動を起こしたロボットに命令を!



ゲームをスタートすると、ステージセレクトの画面が現れます。画面左上に「こんにちは、第159号検査員」とのセリフ。主人公はロボットの検査員なのでしょう。クリアしたステージはあとでリプレイすることも可能です。


ステージセレクト後、ムービーが流れます。監視カメラに映った倉庫ですが、名作3Dパズルゲーム『Portal』に出てきそうなロボットがたくさん並んでいますね。そのうちの1体が異常行動を起こし、倉庫を抜け出してしまいます。


検査員であるあなたは異常行動を起こしたロボットを処分しようとしますが、そこに「待った!」が掛かりました。「このロボットの異常は普通じゃない。異常なのに安定状態を保っている」とのこと。


声の主は「アルス(奥思。英語では「ALS」)」というAIです。異常行動を起こしたロボットに興味があるようで、分析してみたいとのこと。最終的にこのロボットを処分するかどうかは検査員のあなたの手に委ねられていますが、しばらく調査協力をしてほしいとアルスに頼まれます。ちなみに「奥思」は中国語で「精妙に練られた構想」の意味があります。


「分析のために、ロボットをコアまで移動させて欲しい」とアルスに頼まれます。コアは画面の左上にあります。画面にある「A、B、C」はロボットを誘導するためのポイントで、プログラミングによってこれらの地点を通過させる必要があります。


まずロボットをクリックし、命令を与えていきます。操作方法が分からなくなったときは、Hキーを押すことでヒントが現れます。ムービー付きで教えてくれるので分かりやすいですね。AAAゲームっぽい感じです。


それでは移動命令を入れていきます。画面左側で「移動モード」の命令を追加し、通過地点をセットしていきます。


マップ画面が出てきますので、A、B、Cの順でクリックしていきましょう。これで設定した順番でロボットが動いてくれます。ここもムービー付きで説明するなど、プログラムという取っ付きにくそうなテーマを打開するため、「ユーザーにとってとにかく分かりやすくしよう」というデベロッパーの姿勢を感じます。


画面左下にある再生ボタンを押せば、ロボットは命令通りに動き出します。ロボットの動きが遅いと感じたら、倍速にすることも可能。再生させると、A、B地点を通過してC地点に到達しました。問題ないようですね。


これでステージ1はクリアです。クリア時間と命令の行数が表示されているところを見ると、いかに少ない命令でクリアできるかのようなチャレンジもありそうですね。

「正常」な敵ロボットの登場



ステージ2からは、こちらを感知して攻撃してくる「正常」ユニットの「スナイパー」が登場します。プレイヤーの使うロボットには「ソルジャー」という名称があるようですね。


それぞれのロボットにはセンサー範囲があり、薄い円で表示されています。この範囲内に何かが入ってきた場合には、プログラムで指定された命令を実行できます。スナイパーの場合は攻撃を仕掛けてくるようプログラムされているので、センサーに引っかからないように進まなくてはなりません。


クリア目標はJ地点に辿り着くことなので、単純にA地点からぐるりと周回すればいいだけかと。簡単すぎる気もしますが、何か引っ掛けでも……。


タイムオーバーで失敗です。ただたんにJ地点にたどり着くだけでなく、「17秒以内」に到着しなくてはならないようです。大回りしたことで時間切れになってしまいましたね。さて、どうしたものか……。


冷静にマップを見直してみると、B、E、H地点は通過する必要がありませんでしたね。無駄なことをしていました。これで上手くいくでしょう。


17秒以内にJ地点に到着し、ステージ2もクリア。早くも時間短縮を考えなければいけなくなってきたようです。


本作の「正常」ロボットは止まっているだけではありません。ステージ3からは動くロボットも登場します。画像のロボットは「バスティオン」で、灰色のラインに沿って上下移動を繰り返します。G地点まで行くことがクリア条件ですが、おそらく普通にB、D、F、Gと進んでも捕まってしまうでしょう。


バスティオンが実際にどういう動きをするのかをチェックするために、B、D、F、Gの経路でソルジャーを進ませてみましたが、撃たれて破壊されました(ですよね)。しかしバスティオンは先に下へ行き、それから上へ行くということがわかったので、ルートを変更します。


先に上へ行き、それから下へ行くというルートです。これならバスティオンの動きをかわせるかと。結果はいかに……。


動かしてみると、見事バスティオンのセンサーをかわしてG地点に到着。ステージクリアです。敵の動きを前もって知ることも必要になってきました。

反撃開始!



敵をよけてばかりではフラストレーションも溜まってくるでしょう。アルスは攻撃に転じるため、新たなロボット「スカウト」を開発しました。攻撃力は弱いですが、センサーの範囲がソルジャーより広くなっています。敵のロボットはソルジャー。攻撃力は高いですが、センサー範囲は狭いので、範囲外から攻撃を仕掛けましょう。


C地点からなら相手のセンサーの範囲外、かつこちらのセンサーが相手に届きます。C地点まで移動させ、それから「攻撃モード」命令を出しましょう。攻撃モードでは、範囲内のもっとも近い敵を自動的に攻撃してくれます(攻撃対象を指定する必要はない)。敵範囲外からの一方的な攻撃で楽勝か……。


……と思ったのですが、最初の一発が敵に当たったとたん、敵がこちらに突っ込んできました。スカウトは攻撃力が低いので、数発撃っても敵を仕留めきれません。その間に接近され、壊されてしまいました。やはりそう単純ではなかったようです。


攻撃を受けたときに敵が動くとなると、C地点まで行ってからB地点に戻って引き撃ちする方法も考えたのですが、単純に遮断物のあるE地点から攻撃した方がいいですね。ここなら一方的に攻撃ができそうです。


さっそく動かしてみます。E地点でスカウトが攻撃。敵が反応して動き出しましたが、道がないのでこちらに来ることができません。一方的な攻撃で敵を破壊してクリアです。


次のステージは「異常」なバスティオンを倒すというものです。バスティオンは耐久力が高いので、何度も攻撃しなければならなくなります。今回からIF文が使えるようになりましたので、「A地点へ向かえ」「もし『敵を感知』したら『立ち止まって』『撃て』」(画像左上)の命令を与えてみましょう。


「異常」なバスティオンは射撃もめちゃくちゃです。自機のソルジャーはA地点へ向かう途中にバスティオンを感知。足を止めて攻撃を仕掛けます。敵の弾はまったく当たらず、今回も一方的に破壊してクリア。

仲間と共に戦おう!



操れるロボットは1体だけではありません。次のステージでは、アルスの作ったバスティオンが利用できるようになりました。バスティオンは固定砲台なので動くことができないため、スカウトを使って敵を引き寄せ、バスティオンで攻撃するといった方法を使います。


バスティオンの方はプログラムする必要がないので、スカウトに敵を誘導する命令を与えます(どういう命令かはご自分で考えてみてください)。それにしても敵が多い。これ全部倒せるほどの攻撃力がバスティオンにあるのでしょうか。


スカウトの行動に敵が釣られてどんどんやってきました。それをバスティオンが攻撃していきます。タワーディフェンスっぽくなってきました。バスティオンは思ったより攻撃力があり、どんどん敵を撃破していきます。端の方に残った敵もスカウトが誘導して撃破。ステージクリアです。


次のステージは、こちらのコア(画面左の黄色い玉)を守りつつ、敵を倒さなければなりません。こちらスカウト1体に対し、敵はバスティオンとソルジャー2体。ちょっと厳しそうですね。今回から新しい命令「撤退」と「追撃」が使用できるようになりました。これを使って引き撃ちをやるのがよさそうかと。


ステージ8では、2体のロボットにそれぞれ命令をして、相手のコアを破壊します。ここでは「信号を発信する」という命令が出せるようになります。仲間のロボットが出した信号を受け取り(信号には番号を付けられる)、それをトリガーにした行動を設定できます。本作はここからが本番。仲間のロボットを上手く連携させてステージクリアを目指しましょう。

中毒性の高いプログラミングストラテジー


本作はプログラミングを用いたストラテジーゲームということで、最初はマニア向けの難しいゲームかと思っていました。しかし段階的に学んでいけることや、丁寧な説明があることから、「プログラミングをまったく知らない」という方にもプレイしやすいように作られています。そして絶妙な難度のせいか、やけに中毒性があり、どんどん先のステージをプレイしたくなります。

近年、中国や台湾では「これからの時代はAIやロボットだ」と、子供の教育にプログラミングやロボット製作が取り入れられるようになってきました。プログラム言語としてビジュアル的に理解しやすい「Scratch」が使われることが多いですが、本作のプログラムもコンセプト的には「Scratch」と似た形になっています。プログラムはアイコンで表示され、行を入れ替えたいときなどもアイコンをドラッグするだけなので、直感的に操作しやすいようになっています。また、それぞれのオブジェクト(本作ではロボット)をクリックしてプログラムを書き込んでいくというのも、オブジェクト指向の基本を理解するのに適しているかと思います。子供に学習用としてプレイさせるのもいいかもしれませんね。


また本編以外にも、ユーザーからの募集で採用されたミッションでプレイすることもできます。現在のところ、言語が中国語のときのみタイトル画面に出てきます(英語でプレイしている方はオプションから言語を変更してください)。本作は中国語と英語のみで日本語サポートはありませんが、基本的にはロボットに命令を与えてミッションをこなすだけなので、命令方法とミッションの目的さえ分かればプレイに問題はないかと思います。ヘルプも親切ですし、直感でもどうにかなるかと。プログラムに興味がある方だけでなく、パズルゲーム好き、ストラテジーゲーム好きの方にもオススメできる作品と言えそうです。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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