小島秀夫製作総指揮『ZONE OF THE ENDERS』はなぜ革新的だったのか―20周年目にロボアニメとゲームを融合させた意欲作を振り返る【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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小島秀夫製作総指揮『ZONE OF THE ENDERS』はなぜ革新的だったのか―20周年目にロボアニメとゲームを融合させた意欲作を振り返る【特集】

『ZONE OF THE ENDERS』発売20周年!現在の視点からみるとゲームと映像作品で大きな物語を描いていた事に気付くでしょう。

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小島秀夫製作総指揮『ZONE OF THE ENDERS』はなぜ革新的だったのか―20周年目にロボアニメとゲームを融合させた意欲作を振り返る【特集】
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コナミより発売されたPS2向けロボットアニメ・シミュレータ『ZONE OF THE ENDERS(ゾーン オブ エンダーズ)』(以下、『Z.O.E』)は、2001年3月1日、発売20周年を迎えました。ゲーム本編だけでなく、他の時間軸での出来事をピックアップしたOVAやTVアニメ、そしてゲーム本編のマルチメディア展開で繰り広げられた本作を振り返ります。

『Z.O.E』には製作総指揮/プロデュースに小島秀夫氏、脚本/ディレクターに岡村憲明氏、キャラクターデザイン/作画監督に西村誠芳氏、そしてメカニックデザインに新川洋司氏が参加しています。


小島監督がプロデュースした新時代のロボットゲーム

『ZONE OF THE ENDERS』は、もともと「アトランティス」というタイトルでドリームキャスト向けに開発されていましたが、後に登場したPS2が性能的によりマップを広く設計出来ることからプラットフォームが変更されています。(TGS 2011のトークショーや「ZONE OF THE ENDERS HD(はいだら)-NIGHT 宇宙最速~ReBOOT Preview~」にて語られている)

本作では小島氏は監督でなくプロデューサーを担当。パッケージの表記も「Produced by Hideo Kojima」と記載されています。監督と脚本を務めた岡村憲明氏は、PC9821版『ポリスノーツ』や『ときめきメモリアルドラマシリーズ』などの開発にも携わっており、近年では『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』の統括プロデューサーを務めています。


初代『Z.O.E』は22世紀の木星圏にあるコロニー「アンティリア」を舞台とした物語。バフラム軍による突然の侵攻によって戦いに巻き込まれた主人公レオ・ステンバックが、戦闘から逃げ込んだ先で出会った人型のオービタルフレーム「ジェフティ」に乗り込み、危機を脱するため連合宇宙軍の副長エレナ・ワインバーグ率いるアトランティス号へ合流を目指すという内容です。


幕間に登場するキャラクターはCGで表現された

本作の物語は、様々な困難を乗り越え、対なす存在であるノウマン大佐操るオービタルフレーム「アヌビス」と一時対決し、最終的にアトランティス号へ合流するまでを描いています。全体の物語としては、序章を描いたところで終わっています。

その後については、TVシリーズの「Z.O.E Dolores, i」第16話「大いなる幻影」で描かれています。ノウマン大佐がアヌビスと共に登場してアンティリア襲撃事件について言及するほか、模擬戦でベクタートラップを駆使した戦闘も描かれます。(他にも23話でダイモスステーションと共にアヌビスが登場)

ジェフティに搭載された独立型戦闘支援ユニットのADA(エイダ)の目的は、火星の軍事要塞アーマーンへ侵入し自爆によって要塞を内部から破壊すること。この結末については、続編であり現時点での完結編である『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』(以下、『ANUBIS Z.O.E』)で描写されています。『ANUBIS Z.O.E』は初代から2年後を描いていますが、その間となる木星の衛星カリストでジェフティがコンテナから投棄された経緯については公式サイトの「Story Between」に断片的な内容が記載されています。

ちなみにタイトル画面を奏でているBGMはエンディング曲「Flowing Destiny」の逆再生。ミステリアスな雰囲気があるためゲーム中で度々流れている

他にも『Z.O.E』で言及するべきは、ジェフティに搭載された独立型戦闘支援ユニット「ADA(エイダ)」でしょう。このADAは登場時こそナビゲーターとしての役割が強く、冷徹な意見も発言するキャラクターですが、ストーリーが進行していくに従ってADA自身に変化が生じ、戦闘支援AIながらも他者を気遣う言葉が徐々に現れていきます。現在も受け継がれるゲームにおける「合理的判断を優先する非情なAIキャラクター」像は、本作でイメージが確立したと思えます。

三次元空間を自由に戦うスタイリッシュでアニメチックなロボットアクション

本作は60fpsで動作する3Dアクションゲームで、戦闘時には1 vs 複数の敵と戦います。敵にはレベルが設定され、序盤だと回避や防御をあまり行いませんが、後半のレベルが上昇するにしたがってガードやブレードの弾き返しなど、トリッキーな行動パターンが増えてくるように調整されています。

『Z.O.E』がロボットアニメ・シミュレータとして体を成しているのは、接近戦時におけるブレードの斬り合いを表現したカメラでしょう。通常のカメラはジェフティ後方を映していますが、敵がブレードを弾くか防御する瞬間に、ジェフティと敵を左右(もしくは上下)に配置する格闘ゲーム的な視点に回りこむことで、ロボットアニメ的な高速移動によるブレード攻撃演出を成り立たせています。


加えて斬り合いが膠着状態になると、それを打開させるためにチャージ攻撃や縦移動+ブーストを用いて回り込ませるように誘導するのもロボットアニメ的です。監督の岡村氏は、ADVゲーム『ポリスノーツ』のインタビューでゲームにおける「ドラマの中にいるような感覚」について言及しており、その感覚が本作のアニメ的な高速移動アクションなどに現れているのではないでしょうか。

一方で、戦闘はロックオンできるのが1体のみで複数を同時に戦うことが難しく、敵の連携攻撃は非常に強力です。1体1体の攻撃力が高い事から慎重さを求められる高めの難易度となっています。

シナリオ進行は、コロニー上空の全体マップから、現時点のミッション内容に応じて個別マップを選ぶというもので、進行によっては同じマップに何度も向かう必要があります。もしサブミッションが複数存在していたら、オープンワールド的なゲームシステムに発展していたかもしれません。

また戦闘中の音楽はインタラクティブに機能しており、敵を掴んだ時やシールドを展開した時など状況に合わせて変化します。

前述の通り、初代『Z.O.E』は気の抜けない戦闘が多いタイトルでしたが、続編の『ANUBIS Z.O.E』では、多量に登場する敵機をマルチロックオンで攻撃できる場面がより増え、一騎当千のスラッシュアクションを強く意識した爽快かつスピード感もある戦闘へと変化。ジャンルもハイスピードロボットアクションへと変わっています。

オリジナル版には『METAL GEAR SOLID 2』体験版が付属―当時は『MGS2』にも多くの視線が注がれた

PS2で発売された初代『Z.O.E』には、小島秀夫氏が監督を務める『METAL GEAR SOLID 2』(以下、『MGS2』)初の体験版も付属。この体験版では、『MGS2』においてタンカー編の初ボスとなるオルガ・ゴルルコビッチとの戦闘までが遊べるようになっており、同作のポテンシャルを感じられるゲームシステムを体験できます(体験版はオルガ戦前にUSPが入手できることや台詞ミスなど製品版との相違点がそれなりにある)。


またクリア時にはクリアコードが表示され、当時の公式サイトに入力すると潜入技術の判定やランキングに登録ができた

2000年に発表された『MGS2』は、人気を集めた前作『METAL GEAR SOLID』の続編となれば大きな注目が集まるのは当然のことでした。当時のゲーム雑誌を参照してみると、小島監督が両作品に関わるため『Z.O.E』だけでなく『MGS2』の情報にも多くのページが割かれており、『Z.O.E』に付属する『MGS2』初体験版についても数ページに渡って特集されるほどでした。注目が高まっていた当時、「『Z.O.E』に付属する『MGS2』の体験版を目当てに購入する」ユーザーがいても不思議ではありませんでした。

2001年当時においても新作に話題作の体験版が付属することは珍しくありませんでした。しかしながら新作に付属する話題作の体験版いずれかが、大本となる新作タイトルの話題を奪ってしまう事もあるため、本作も多少なりともそれらに該当してしまったようにも思えます。


ゲーム本編だけでなくアニメと外伝のマルチメディア展開で彩られた『Z.O.E』ユニバース

『ZONE OF THE ENDERS』はゲーム本編だけでなく、前日譚であり別視点を描いたOVAの「Z.O.E 2167 IDOLO」や、『Z.O.E』本編後の地球と火星の関係が語られるTVアニメ「Z.O.E Dolores,i」、GBAで発売された外伝の『Z.O.E 2173 TESTAMENT』、そして完結編の『ANUBIS Z.O.E』と多岐に渡って展開されました。

特に『Z.O.E』本編発売後から約1ヶ月後の2001年4月から深夜で放送されたサンライズ制作のTVアニメ「Z.O.E Dolores, i」は、全26話での中でゲーム本編で触れられなかった地球にそびえ立つ軌道エレベーターや火星の政治的現状などを多少なりとも描いています。今回の20周年振り返りということで見返しましたが、『ANUBIS Z.O.E』の最終決戦を思うと各話に様々な伏線が張られていることに気付きます。

『Z.O.E』ゲーム本編でもADAのデータベースに「Z.O.E Dolores, i」絡みとも読み取れる“DOLORES”の欄がある

『ANUBIS Z.O.E』では「Z.O.E Dolores, i」の事件に触れていることから、『Z.O.E』という作品はアニメも合わせて全てが完結する作品なのかと思わせる

『Z.O.E』自体は、2012年にPS3/Xbox 360向けとなる『ZONE OF THE ENDERS HDEDITION』が発売されていることに加え、Xbox 360版がXbox One/Xbox Series X|Sの後方互換に対応し、ダウンロード販売もされていることから現在もプレイするのは容易です。一方で初代『Z.O.E』のPS3版は不安定なフレームレートなど問題も少なくありませんでした。(PS3版『ANUBIS Z.O.E』はパッチ適用によりグラフィックがオリジナルと同等以上となりフレームレートも安定している、また更にグラフィックを向上させたPS4/PC(Steam)向けの『M∀RS』版もある)

発売20周年という節目にもう一度『ZONE OF THE ENDERS』に触れてみてはいかがでしょうか。また前日譚のOVA「Z.O.E 2167 IDOLO」と、時系列的に後を描いた「Z.O.E Dolores, i」もあわせて見ると、より『Z.O.E』ユニバースへの深みを感じられるのでオススメです。

今回も記事執筆にあたりかつてのゲーム雑誌を複数参照しました
《G.Suzuki》

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