せめて解説の北澤さんにはもっと優しくしてほしかった……『eFootball 2022』プレイレポ【TGS2021】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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せめて解説の北澤さんにはもっと優しくしてほしかった……『eFootball 2022』プレイレポ【TGS2021】

コナミの人気サッカーゲーム『ウイニングイレブン』の後継作『eFootball 2022』。大きな期待をかけられながらローンチ時にいきなり大問題となった中でのTGS 2021のプレイレポになります。

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せめて解説の北澤さんにはもっと優しくしてほしかった……『eFootball 2022』プレイレポ【TGS2021】
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さて今回は東京ゲームショウ2021(以下、TGS2021)にて展示されたサッカーゲーム『eFootball 2022』のプレイレポになります! 本作は『ウイニングイレブン』シリーズを引き継いだタイトルであり……とここまで説明を書きながら、筆者はすでにナーバスになっています。というのも、弊誌でも既報のとおり、いま悪い意味で話題となっているタイトルだからです。

東京ゲームショウ(以下、TGS)では、基本的にはリリース前のタイトルがお披露目されるものです。プレイレポは基本的に、新作でまだ分かっていないゲームプレイの情報をまとめて、読者に向けて書くものであり、評価が目的ではないわけです。なので、もしも試遊段階で不具合を見つけても「まあ開発中であるし、不満点にあげるほどではないだろう」とプレイレポでスルーすることは少なくありません。

しかし、「TGSの最中にリリースされ、しかもいきなりユーザーから大不評で話題になったゲームを試遊し、プレイレポを書く」というのは筆者の経験では前代未聞でした。すでに多くのプレイヤーが『eFootball 2022』の問題を把握している故に、レポに情報提供のみならず、一定の批評を書かねばならない状況に置かれてしまったのです。

「いったいどうしますかね……」筆者はGame*Sparkに相談したところ、「率直に書けばいいとは思いますが、不評があるということを念頭に置いた方がいいですよ」「まずはあなたが『eFootball 2022』で感じた “真実”を書けばいい。真実は個々人によって誤差はあり、もしからしたらある人の意見が別の人にとって同意できるものとは限りませんが、ひとつの意見として意味はあるでしょう」との回答を頂きました。

というわけで、筆者にとっての『eFootball 2022』をプレイした “真実”をお届けします。

クロスプラットフォームプレイの功罪?

さて、『eFootball 2022』は基本無料であり、現在はコンソールやPCでリリースされています。広報の方から受けた説明によれば、今後スマートフォンが追加されるといいます。

ひとつのゲームをマルチプラットフォームで展開するのは珍しくありませんが、本作の大きな特徴としてクロスプラットフォームプレイが挙げられています。つまりスマートフォンも含めたクロスプレイも目標にしており、自宅で腰を据えて遊ぶPS5プレイヤーと、電車で帰宅している間にスマホで遊ぶようなプレイヤーが対戦できる環境を作ることが、本作の目的にあるようです。

『フォートナイト』のEpic Gamesが、マルチプレイのゲームにおいてクロスプレイの重要性を語っているように、いま大切な要素には違いありません。しかしそういった高度な環境の構築は、リアリスティックなサッカーゲームというジャンルでは時間がかかるのではないかと考えています。

カジュアルなのか、ハードなのか。リアルさを意識したゲームプレイの効果とは

クロスプレイの目的とは、プラットフォームに縛られない広いプレイヤーとの対戦が可能となる点です。特定のハードに縛られることで友達と対戦できなくなるという問題も解消されますし、より幅広いプレイヤーとゲームができれば盛り上がっていけるわけですから。

一方『eFootball 2022』においては、ゲームプレイにおけるカジュアルな取り組みとハードコアな取り組みについてどう捉えているのだろうか、とも考えてしまいます。単純にまとめますと、カジュアルなプレイではゲームに勝ち負けを求めるよりも触っていて面白いことが大事ですし、ハードに遊びたい人はリアルなグラフィックで勝ち負けを楽しむ傾向があるものでしょう。

基本的にスマートフォンでプレイするのはカジュアルにプレイしたいからだと思いますし、コンソールでプレイしたい人は密度が濃いものをやりこみたい意識があるものだと思われます。その意味で『eFootball 2022』は、今後スマートフォンでの展開が予定されている割にはハードコアでリアル寄りだな……と感じさせる出来だったのです。

今回TGS2021にて展示された試遊版はPS5によるゲームプレイでした。いま間違いなくゲームプレイの密度の高さが期待されるであろうプラットフォームであり、リアリスティックな体験が求められやすいものでしょう。『eFootball 2022』はリアルな『ウイニングイレブン』を引き継いだタイトルでゆえに、その体験を追うデザインなのはわかります。

実際にプレイしていても、『ウイニングイレブン』からのリアルさを重視したゲームデザインに違いはありません。たとえばパスひとつ出すときにすらパワーゲージが表示され、キックするのに少し間があり、現実のサッカーのように、ボールを蹴るあらゆる動作に予備動作やパワーの調整を入れているという部分です。

とはいえ直感的な操作のしづらさがあるのも確かです。もともとがかなりハードコアな方向のデザインで、カジュアルさと遠いように思えますし、他にもチーム全体の連携のほかに一対一でどう相手を切り抜けるかの局面が強調されるなど、リアルさといってもある種の重たさの部分がクローズアップされているように感じました。

ゲームにおいてリアルさをどう操作に落とし込むかは永遠の課題でしょうが、少なくともクロスプレイを目指している『eFootball 2022』でもこうした操作を採用した以上、やはり『ウイニングイレブン』からの重たいリアリティを目指しているように見えました。

ボールが軽快に動き、選手全員がスピーディーに動く爽快感よりも、選手と選手が相対するときのリアリティを追求しているほか、コーナーキックなどのセットプレイが一度暗転を挟んでからキックシーンに移ることなくほぼ繋がっているようにして、フィールド上でリアルタイムに試合が進んでいるように見せるなど、全体として“重量感”があるように思います。

そのリアリティにグラフィックやモーションがいささか追いついていないというのも確かであって、若干のぎこちなさを感じたのは否めなかったですし、今後「カジュアルで、スピーディーな展開を味わいたい」であろうプレイヤーが多数だと思われるスマートフォン版が加わったとき、このハードコアさは受け入れられるのか、と考えてしまいました。

たとえば、自分が残業が終わって夜21時半の電車で帰宅するあいだ、スマートフォンで本作をプレイすることを想像したとき、パスを出す時にパワーゲージ表示のあとキックまで間があるプレイには少々きつい印象があります。やはりワンクリックでパスできるようにして、スピーディーな展開で遊べるほうが触りやすいのではないか、とも考えましたし、今後のアップデートによってどういった施策が行われるかは注目でしょう。

北澤さんはもっと褒めてください

それよりもつらかったのは、リアルなパスでなんとか繋いでいって、ようやくクリスティアーノ・ロナウドのシュートに繋げられたときの解説の言葉ですね。自分ではわりといいリズムでパスからシュートに行けたな、と思った後に、解説の北澤豪氏から「いまのはフリーだったと思いますけどねえ……」と辛口コメントが飛び出したことです。

衝撃でした。直近の試遊が『地球防衛軍6』だったこともあり、仲間がプレイヤーの活躍を褒めてくれるのに慣れ過ぎていたのかもしれません。ですが、「フリーだった(だから外すとかおかしい)」と手厳しい指摘をいただくリアリティまで高める必要があったのでしょうか?

『eFootball 2022』は今後もアップデートによる修正などが行われていくでしょう。そこで筆者が提案したいのは、シングルプレイで対戦相手がCPUの時に限り、実況と解説がプレイヤーを持ち上げてくれる路線へのアップデートですね。

単に左スティックを倒しているだけなのに「いまのは僕がカズさんの背中を見ていた時のような走りでしたよ」と言ったり、パスボタンを押すだけで意味もなく「ナイスパスワーク!」と叫んだり、シュートを決めれば「いまのプレイには僕が現役時代の頃のひたむきさを越えるものがありました……時代は変わりますね(笑)。僕も……解説でついていけるかどうか」みたいに言ってほしいのです。筆者はサッカーゲームにおいてはカジュアルに遊びたいほうですから。のせられておだてられて、スタープレイヤー気分に浸りたいのです。

これが『eFootball 2022』の試遊で感じた私の真実です。あなたも現在、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Windows(SteamMicrosoft Store)向けに基本プレイ無料で配信している『eFootball 2022』に触れ、自分なりの真実に辿り着いてください。


©Konami Digital Entertainment

《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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