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【e-Sportsの裏側】建設業界がe-Sportsチームを作る理由とは?ー本所建設×Crest Gamingキーマンインタビュー

e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからのe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。

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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからのe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。

前回の連載では、「ピップエレキバン」でおなじみのピップ株式会社 商品開発事業本部 ブランド戦略本部 スポーツライフブランド ブランドマネジャー 松浦 由典氏と「プロ・フィッツ for e-SPORTS」のアンバサダーを務めるゲームキャスターの岸 大河氏がゲーマーとどのように向き合おうとしているのかについて話を伺いました。

第32回目となる今回は、大阪にある建設会社株式会社本所建設とeスポーツチーム「Crest Gaming」を運営するヒューマンアカデミー株式会社のキーマンにインタビューを実施。なぜ、建設会社がe-Sportsチームを結成するのか。その裏側に迫ります。


ーーー本所さんと西野さん、黒田さんの自己紹介をそれぞれお願いします

本所新卒で都内に本社のある営業会社の大阪の支店に務めていました。3年ほど営業職を経験し、7年前に本所建設に入社をして、現場監督や施工管理を行いながら3年ほど前から常務という立場でお仕事をしており、今は組織作りが主な業務内容です。建設業は、現場監督をしていると、人と人が離れやすい業界なんです。一つの現場が会社のようなイメージになり、長い期間の現場になると、他の社員と交流することもなく、竣工を迎えることもあります。その為、弊社では「誰と働くか・仲間との時間共有の楽しさ」を主なテーマとして、人との繋がりが強い組織にしたいと考えています。

西野元々パティシエを4年間していましたが何か違う仕事に挑戦してみたいと思い転職を決意しました。1年ほど前に本所建設に入社し、現場監督として施工管理をしていましたが、その後、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の社内導入やe-Sportsなど、新規事業の立ち上げを担当しています。

黒田ヒューマンアカデミーe-Sports営業部にて、CrestGamingというe-Sportsチームの責任者を務めております。

ーーーRPAをすでに導入しているのですね。

本所これからは自動化が進む世界において個人の色やスキルの大事さを問われる中、各々が「自分という存在、自分の仕事への誇り・自信」など、自分自身が周りにどれだけの良い影響を与えれるかを考えていくことがテーマになると考えています。自分に自信を持つ要因の中で、周りに認めてもらえるということは大部分を占めていると思います。実際にお客様から「次も頼むね、これからも担当でよろしくね」と言って頂いた時はなんとも言えない気持ちになります。直接お客様の声を聞きづらく、仕事を頑張っても成果として出にくい印象の強いバックオフィスはなかなか主役になりきれないのが現状です。

そこでRPAを導入して作業の自動化を進めた上で全員が攻めの配置、例えばひとりひとりがお客様の喜んでいる顔を見れる場面に多く携われる機会の回数を増やしていきたいなという思いから社内の業務自動化を目指しています。さらに本業においても、今の本所建設のレベルでは少し背伸びした状態の成績を出そうとしているので、社内業務の自動化を促すことで業務の負担やストレスを軽減した分、思い切って前に挑戦できるようにRPAを導入しています。また、その取り組みで得れた社内での成果や良くなった点などを周りの企業様にも伝えられるようにRPAツールの代理店事業にも取り組んでいます。

ーーー本所建設様の事業内容について教えてください。

本所まず、建設の中小企業は自分たちの色を出さないと存在の確立がしんどくなるだろうという時代背景があります。大手ゼネコン様などが自社の資金力を持って、産業ロボットやシステムの社内導入を推し進めていく先には、僕ら下請け企業が不要とされる可能性が高くなります。そうなっていくことに手を打たずに待っていた時にもしかしたら、「ごめん全員リストラ」の選択肢を選ぶ中小零細企業はいっぱいあると思うんです。潰れないためにみんなを切るみたいな。僕たちはそれをしたくないという話を社内でしまして、建設業を基盤にしながら、メンバーの人生が豊かになるような事業を始めていくことで、メンバー全員で今置かれている現状を乗り切ろうと話しました。

そこで新事業を考える上で子どもたちがなりたい職業に視点を合わせたり、社員が本当は取り組みたいことなどの意見を取り入れながら、社会の課題解決に貢献できればと考えています。さらに、今後本所建設が周りに必要とされる中で、社内外含め自分たちに期待して頂いている人たちのニーズが変わったときに、僕たちは「本所」という名前が残るのであればそのニーズに応えるべく業態変換も考えています。僕たちは、社会の課題解決が企業の使命で、そこで働いてくれているメンバーの人生に良い影響を与えていけるのも経営者や企業の務めと考えていますので。

そして、今回社内からも声が上がりました「e-Sports」にも取り組むことを決めました。それがスタートとなりRPA事業やドローン事業などを本格的に注力していこうとしている段階です。それ以外にも色んな案件を水面下で動かしています。

ーーーヒューマンアカデミーのe-Sports活動とCrest Gamingのマネジメントに至った経緯と狙いを教えてください

黒田ヒューマンアカデミーでは、2020年7月にCrest Gamingのチーム運営事業を譲受しました。e-Sportsを専門的に学べるe-Sportsカレッジを同年に開講し、チーム運営事業を譲り受けることで、選手からの実践指導、授業カリキュラムの監修や作成、卒業した学生へのチーム加入機会の提供など様々な取り組みが可能になると考えており、これらの取り組みを通じてe-Sports業界の発展と若者の健全育成、業界で活躍する人材の輩出を目的としています。

ーーー本所建設として、なぜe-Sportsに参入しようと思ったのですか?

本所弊社の「誰と仕事をするか・仲間との時間共有の楽しさ」が大事というテーマに沿った「何か」や、自社内でメンバーがチーム一丸となるような、催し物・取り組みが欲しかったのがあります。例えばですけど、ちょっと休みの日とかに弊社のe-Sportsチームが大会などに出場した時にみんなで盛り上がって酒でも飲んでみたいな、そんな仕組みが欲しいと考えていました。

また、僕たちに興味を持ってくれる人を増やしたいと考えています。本所建設のe-Sportsチームが大会に出場して頑張っている姿を発信する。それは子どもたちがケラケラと笑いながら見るようなものになるかもしれない。「この人たちも頑張っているから、明日ちょっと受験勉強がんばろう」みたいに感じてもらえたり、e-Sportsを通じて建設会社・建設業界のイメージも変えることもできるかもしれない。「こんなチームを持ってる楽しそうな会社はどこだ?」みたいな入りもできたら業界のイメージも変えれるのではないかとも思います。ですので、仲間を集められる、応援してもらえるチームを作りたいと思って参入を決めました。

ーーーなぜヒューマンアカデミー(Crest Gaming)とパートナー契約をされたのですか?

本所ヒューマンアカデミーさんとは実はe-Sportsよりも前に、何か一緒にビジネスがしたいと考えていました。将来的に参入したいと思っているのが教育の部分。本所グループの学校運営を通して「仕事って楽しいんだよ」という気付きを与えるような学校をやりたいと構想しています。既存の社会人も来ることができて「これも仕事になりますよ」という気付きだけを与え再度社会に出れるような。その気づきを渡す最大のテーマは「仕事って喜ばせることが大前提」と考えており、その価値観を持った人たち(卒業生)が、社会に挑戦する仕組みを作りたいです。

ーーー本所建設様からご相談を受けて、ヒューマンアカデミー(Crest Gaming)としての率直な感想は?

黒田正直びっくりしました。チーム運営をしていく中で、例えばデバイスメーカーやPCメーカーなどe-Sportsと親和性の高い企業様からのお問合せは多いですが、建設会社であられる本所建設様からe-Sportsのお話をいただき、我々としても何ができるだろう?という葛藤とともに、建設業を本業とされる本所建設様の、e-Sports業界参入に向けた第一歩に携わらせていただくことにとても嬉しくもありました。

本所建設様に限らず、特に他業種であってもe-Sports事業に参入を考えられている企業様は増えており、このようなお問い合わせをいただく機会は増えました。チーム運営をスタートした時とは明らかに状況が違っており、日々業界の動きを感じますね。

ーーーさまざまな選択肢がある中で、本所建設様がe-Sportsを選んだ理由とは?

本所「子どもたちが将来なりたいかどうか」の軸は重要でした。子どもたちがなりたいと思える職業じゃないと将来の日本の産業を支えることができないと考えています。e-Sportsプレイヤーという夢を追って、活気づくのは濃厚だと思います。将来的には大会賞金以外でも別のe-Sportsを通した様々なビジネスが始まると考えていて、今のうちからそこに参入できる準備をしておきたい。

ーーー「将来なりたいランキング」の上位に入っていますね。YouTuberや配信者もランキングに入っていますが、そちらをやらなかった理由はあるのですか?

本所企業としてのチャンネルがあった場合、そこが有名になるのはありがたいのですが、個人(自分含めた経営層)としてはそもそもタレントっぽくなりたいわけではないんです。例えば個人が露出するのではなく企業やグループがこんなことをやってます、という形で有名になって欲しいんです。いろいろな土地に行った時に「ここにもまた本所グループがきよったで。しかもこのグループは地元住民やお客さんをめちゃくちゃ喜ばせていく」みたいな話題が起きればすごくうれしく感じます。

ーーーチームメンバーは?

西野五人います。普段は各々違う業務を担当しておりもともと休憩中にゲームの話を一緒にする間柄だったのですが、e-Sports事業のプロジェクトを担当することになった際に「e-Sportsチームのメンバーとしてやってみませんか?」と声掛けをしてチームに加入してもらいました。

ーーーいきなり子どもたちに「イベントやるよ!」と呼びかけても反応が無いと思いますが、その辺りの構想は?

西野地道な活動はもちろんですが、他の企業さんにも参加して頂くような活動を積極的にやっていきたいと思っています。そこが最初はメインになってくると思います。本所建設が主催するe-Sportsイベントを地道に少しでも多く開催していきたいです。

ーーー取り扱うタイトルは決定しているのですか?

西野PC版の『デッド・バイ・デイライト(DbD)』を現時点では想定しています。チームとしても経験のあるタイトルだったので最初の取り組みとしてはスムーズに始められると思い、このタイトルを選択しました。

今のメンバーは『DbD』が得意ですが、今後たとえばFPSが得意な子が入ってきたりだとか『ぷよぷよ』が強い子が入ってきた時は、そういったタイトルにもチャレンジして、大会参加やイベント参加をしていきたいと考えています。

ーーー企業としての広告塔であったりリクルーティングであったりと、かなり重要なプロジェクトになりそうですね。

本所e-Sportsは新規事業の中でもメインの位置に置いています。これと並行しながらドローン事業や動画編集事業、xR事業などの分野も入れていこうと考えていますが、すごく可能性を秘めている産業がe-Sportsのような気がします。この分野を通じて、日本を元気にしていく活動が自グループの発展にも繋がると思いますし、地域を元気にできることになると考えています。

ーーー今後のヒューマンアカデミー(Crest Gaming)の活動について教えてください

黒田教育機関が持つプロのe-Sportsチームとして、しっかりと選手が活躍できる場を提供し、キャリア形成や引退後の生活がより充実したものになるよう取り組んでいきます。

例えば介護施設に通われているご高齢の方へ、e-Sportsを取り入れたコミュニケーション手段や認知予防への取り組み、また児童や日本へ来日している海外の方など、対象は様々です。それを可能にするのもヒューマンアカデミーならではで、ヒューマングループのシナジーを活かした様々な座組で選手には活躍の場を提供していきます。選手たちには新しいことにも楽しんで、プロとしても指導者としても成長していってほしいですし、そんなチームにしていきたいと考えています。

ーーーお三方から見て日本のe-Sports業界をどう見ていますか?

本所これからはe-Sportsを通じて生活をしていく人たちももっと増えていくでしょう。更に、e-Sports×〇〇のような展開もすごく可能性はあると思います。また競技者としては低い年齢からもそういう熾烈な戦いが始まっていくんだろうなと思うので、近い将来にもっとこ世間に認知されるんだろうなと考えています。

西野今は、メジャーなスポーツであればニュースやメディアに取り上げられるのですが、それがゲームだとYouTubeの配信だったり一部の盛り上がりでしかない状態ですが、ゆくゆくはスポーツとして認知されればもっと選手にスポットが当たるのかなと思います。e-Sportsという括りではなく、一般的なスポ―ツとして認知される日は遠くないと思います。

黒田様々なところでe-Sports選手の需要は拡大する可能性に満ちていますし、そのための道を指し示すことができるよう、業界を盛り上げていかなければならないと強く感じています。

ーーー読者にメッセージをお願いします。

本所これからe-Sports業界の発展に貢献していきます!

西野e-sportsの魅力を1人でも多くの方に知って頂けるように頑張りますので応援よろしくお願いします!

黒田今後の本所建設様との取り組みにはぜひ注視していただきたいと思います。大会への出場や大阪を拠点とするチームだからこそ可能なイベント実施だけでなく、新市場の開拓など企業間のコラボレーションを積極的に展開していきたいと思います。

《森元行》
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