都市伝説・有名怪談・終末論まで!?『Ghostwire: Tokyo』であなたが気づかなかったかも知れない世界【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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都市伝説・有名怪談・終末論まで!?『Ghostwire: Tokyo』であなたが気づかなかったかも知れない世界【特集】

渋谷の街の怪異には有名な元ネタがずらり!

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!注意!本記事にはゲームの一部ネタバレ表現が含まれています。

ベセスダ・ソフトワークスから2022年3月25日に発売されたアクションアドベンチャー『Ghostwire: Tokyo』。三上真司氏率いるTango Gameworksが開発した本作は、東京・渋谷を舞台に人々が消失した怪事件を追う主人公「暁人」と相棒の霊「KK」の活躍の物語が描かれます。

本作には「マレビト」と呼ばれる敵やさまざまな怪異が発生するミッションが登場。その多くが有名な都市伝説・妖怪・幽霊などをモチーフにしています。マレビトの元ネタに関する調査の記事も既に掲載されていますが、本作はそれ以外にもいたるところに有名な伝説がモチーフになったミッションやエピソードを見つけることができます。

本稿では、ゲーム内で見つけたさまざまなオブジェクトやミッションの“元ネタ”を紹介していきます。

超有名都市伝説から怪談まで!これってアレが元ネタ?

■呪いのビデオテープ

ゲーム内では「ネコマタ」が求めるコレクティブアイテムとして登場。中には理解しがたい不気味な映像が収められているようです。この元ネタは言うまでもなく「リング」に登場する呪いのビデオでしょう。

ビデオを見ると死ぬなどの記述はないものの、依頼したネコマタの屋台ではその映像を見ることができ、画面の奥から髪の長い人物が迫ってくる様子が確認できます。また、呪いは増殖するものであり、文書を介しても仕込むことができるなど「らせん」などを思わせる内容も確認できます。

個人的には、データベースの最初に「ビデオテープ」そのものの説明が書かれていることには時代を感じざるを得ません。

■動く肖像画

とあるサブクエストで登場する音楽家の肖像。クエストが進むことでとても(元気に?)動き出します。これは日本中の学校の怖い話などでもおなじみの「音楽室の怪談」が元ネタですね。

クエスト内では「誰もいないのに鳴り出すピアノ(実際は幽霊が弾いているのですが……)」も登場。このだれもいないのに鳴るピアノというのは、1940年代後半に民話としてすでに語られていたようです。

ちなみに『Ghostwire: Tokyo』では学校がステージとして登場しないため、このクエストは「ピアノのある個人宅」で発生するものです。

■トイレで「紙をくれ」と呼ぶ声

序盤のサブクエストで登場。公衆トイレ内で「紙をくれ」と頼んでくる幽霊の願いを叶える内容です。この元ネタは全国で語り継がれる怪談だと思われます。

怪談では学校のトイレの個室から「カミをくれ」という声が聞こえ、トイレットペーパーを渡そうとしたら「その紙じゃない、この髪だ!」と頭をつかまれるというのが基本となっています。一番怖い話になるとそのまま便器の中へ引きずり込まれるというパターンもありますね。

ゲーム内ではコミカルな内容のクエストで進行しますが、トイレにまつわる怪談はなんとも不気味なものが多い印象です。

■人面犬のミイラ

「ネコマタ」が求めるコレクティブアイテムとして登場。顔が人間で体が犬というこの存在は、1989年後半から1990年代前半に大流行した都市伝説「人面犬」が元ネタです。

人面犬の最もポピュラーな内容としては、ゴミ漁りしている犬に注意したら振り向いて「ほっといてくれよ」と喋るというものでしょうか。高速で走る、人に噛みつく(噛みつかれたら人面犬に変化する)など、さまざまな派生も生まれています。

その出生については「とある研究所で生まれた」「飼い主と犬が事故死して合体した」など諸説あります。また、この人面犬は大きなブームとなり、当時のテレビで人面鯉などが紹介されていたことも覚えています。ゲーム内では江戸時代にも目撃談があったことも説明されています。

ゲーム内ではミイラとして登場していますが、この「怪物のミイラ」というのは日本では江戸時代に工芸品として珍重され、人魚や鬼のミイラなどがオランダを通じて世界へ輸出されていたという記録もあるようです。もちろんその多くが動物の骨や剥製をもとに製作されたものですが、もしかして本物の怪物もいたのかも……?

■飛び出して逃げた襖の絵

寺の龍の絵が逃げ出したというサブクエストで登場。この絵が逃げ出すというのは古くから多くの伝説で語られているもので、有名な故事に「画竜点睛」があります。

故事では、中国の画家・張僧繇が寺に4匹の龍を描いたのですが、その絵には龍の目が描かれていませんでした。その理由は「目を描いたら龍が飛び出てしまう」とのことだったのですが人々は信じず、張が目を描いたところたちまち2匹の龍が飛び出て空へ昇っていったという伝説です。

曲亭馬琴「南総里見八犬伝」では同じく瞳を書き入れられた虎が抜け出して暴れるエピソードが存在しています。また、江戸時代の絵師・円山応挙が描いた幽霊画が飛び出すという伝説は、落語や講談として残されています。

■リンゴ送れのメール

とあるサブクエスト内で見つかるスマホのメッセージ。Cという人物が「リンゴ送れ」との暗号を残しています。これは、かつて存在した「宇宙友好協会(CBA)」という団体が発端となった、とある出来事が元ネタです。

1957年に設立されたCBAは、宇宙人とのコンタクトを主目的とした団体でした。彼らは海外のUFO研究家の著書の翻訳などの活動も行い、その中でスタンフォード兄弟が1958年に自費出版した本の中で「1960年に地球の地軸が大きく傾く」という記述があったのです。団体ではこの時期に紆余曲折あったようで、ひとつの“終末論”を示唆するような状況も発生していたようです。

1959年にCBA連絡員のひとりが作成した会員向けメッセージ(通称・トクナガ文書)では「1960年から62年の間に地軸が傾き大洪水が発生する可能性があるが、その際に指定した場所にいる人々を宇宙人が空飛ぶ円盤で救ってくれる」と書かれていたと言います。

また、異変が起こる10日前には「リンゴ送れ C」と書かれた電報(或いは他の方法)が届くので、受け取ったら指定された場所へ移動するようにとの指示が書かれていたのです。ちなみにCは「カタストロフィー(Catastrophe)」の頭文字を示す暗号で、文書によると宇宙人に救われた人々以外の生物は生き残れないとされています。この文書はCBA会員を通じて1960年の産経新聞で記事になり、大きなスキャンダルとなったようです。

UFOネタは結構多い。

■赤く咲く桜の花

サブクエストにて「死体が埋まっている桜が赤く咲いている」というものがあります。ゲーム内では襲いかかるマレビトを倒し、桜の穢れを祓うことで元の桜色の花びらに変化します。

美しく咲く桜の下に死体が埋まっているという俗説は、そもそも梶井基次郎「桜の樹の下には」から来ていると言われます。また、民俗学者・柳田國男は「信州随筆」の中で寺や墓など死者にまつわる場所に枝垂れ桜を植える風習があったのではないかという説を唱えています。これらの説明は作中でもされていることで、本作の描写に非常に高い説得力が生まれています。

本作のアイテムや事件の説明文はとにかく細かく、これを見るだけでもたっぷり楽しめます。

桜の色が変わるという点に関しては「死体が埋まっている場所の花の色が変わる」という伝説が元かもしれません。有名なのは海外の短編小説の話で、土中の成分によって花の色が変わるアジサイが物語の重要なポイントになっています。

■所有者が不幸になるダイヤ

サブクエストで所有者が不幸になる宝石が登場。持つと不幸になると言われる宝石は世界の歴史でいくつか存在していますが、ゲームのモデルはそのデザインから最も有名な「ホープ・ダイヤモンド」だと思われます。

9世紀頃インドで発見されたというこのダイヤモンドは、以後多くの持ち主に渡り受け継がれていきました。ルイ14世が購入し、後のルイ16世の妃であるマリー・アントワネットが着けていたという伝説もありますが、こういったさまざまな不幸のエピソードはほとんどが創作・脚色であるとされています。

現在はアメリカのスミソニアン博物館に所蔵されています。ちなみに博物館は公式ホームページからバーチャルツアーが楽しめますよ。

微妙にデザインが似ている。

■ドッペルゲンガーを見ると死ぬ

ゲーム内のサブクエストにて登場するエピソード。自分と瓜二つの姿を持つドッペルゲンガーと出会った場合に死が近づくと言われています。

怪談では友人がドッペルゲンガーを目撃するが本人は違う場所にいるパターンや、写真や映像などに映っているパターンが存在しています。また、アメリカ第16代大統領のリンカーンや作家の芥川龍之介が自身のドッペルゲンガーを目撃したというエピソードも有名です。

ドッペルゲンガーの自己像幻視などの医療用語で説明されることもありますが、その場合「他人がドッペルゲンガーを見かける」という出来事への説明がつかないという部分も。オカルト的な理由では生霊説・パラレルワールド説などもあります。

■角膜移植で不思議なものが見えるように

こちらもゲーム内のサブクエストにて登場するエピソードから。事故で亡くなった男性の角膜を移植された女性患者が、本来見えるはずのないものが見える様になったことの恐怖体験を描きます。

他人の臓器などを移植した場合に、これまで無かった記憶・嗜好・能力を得ることができるという話は1998年に刊行されたクレア・シルヴィアさんの著書「記憶する心臓―ある心臓移植患者の手記」で具体的な例が挙げられています。

フィクション作品ではたびたび取り上げられるこの記憶の移植ですが、当然科学的な根拠などはありません。しかし、クレアさんのケースはただ否定するわけにもいかないようです。人間の記憶は脳に宿るといいますが、魂の記憶というのもあるのでしょうか。


ゲーム内ではその他にも「エレベーターで存在しない階数に到着する」「きさらぎ駅」「ターボババア」「赤いランドセル」など、さまざまな都市伝説・怪談を思い出させるようなエピソードやクエストが多数用意されています。

「公衆電話で霊魂を安全な場所へ逃がす」という本作のシステムは、これまた都市伝説の「あの世に繋がる公衆電話」がモチーフになっているのではないかと考えられます。

筆者が気付いていない怪異もまだまだ『Ghostwire: Tokyo』には用意されていると思います。Game*Spark読者の皆さんが見つけた、思いついた作品の元ネタなどありましたら是非コメント欄で教えて下さいね。

カニの看板なんかも細かい。

参考文献
「日本現代怪異事典」笠間書院 著・朝里樹
「時空旅人 2021年9月号」三栄
「日本UFO研究史―UFO問題の検証と究明、情報公開」著・天宮清

※UPDATE(2022/4/10 21:20):本文の脱字を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。

※UPDATE(2022/4/11 3:00):誤字を修正しました。


《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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