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激熱!「心が落ち着くリラクゼーションゲーム選手権」開幕――怪談VS癒し系ゲームで脈拍測定4本マッチ

恐怖で脈拍を上げて、癒しで脈拍を下げる……これの繰り返しです。

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激熱!「心が落ち着くリラクゼーションゲーム選手権」開幕――怪談VS癒し系ゲームで脈拍測定4本マッチ
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癒しの足りないストレス社会、読者の皆さまはどうお過ごしでしょう。幸せに生きている人などいないのではないでしょうか? そこで今回はSteamの「リラックス」タグからリラクゼーションゲームをピックアップ。脈拍を測定しながら、最も心が落ち着くタイトルがどれなのかを検証していきます。

ただ、それだけでは刺激が足りないので、「怪談VSリラックス」と銘打って測る前に一本、怪談界のレジェンド・稲川淳二さんの怪談を聞くこととします。つまり「恐怖体験をした直後の脈拍をいかに癒してくれるか」が本企画の趣旨。恐怖体験を押しつぶし、最上のリラックスをもたらしてくれる一本を探求していきたいと思います。

リラックスゲームを求めている現代人、そして稲川淳二怪談を堪能したい方はぜひ本記事をチェックしてください。

・測定法

測定には、筆者がたまたま持っていた医療用パルスオキシメーター「pulmoni」を使用。本機器の主目的は血中における動脈血酸素飽和度・脈拍を測定するものですが、今回の目的は脈拍数のみを測ることに使います。ちなみに本機器はコロナなど肺機能に関する疾患で、どの程度血中に酸素を取り込めているかが測定するような、お値段約2万円のガチめな医療機器となります。

本稿では、こちらを使ってリラックスゲーム・怪談を体感したときの脈拍数を測定。脈拍を基準に4本の中から最上のリラックスゲームを探していきたいと思います。同時に、一番脈拍が跳ね上がった怪談もご紹介します。

ちなみに、「筆者自身の脈拍」という個人的な体調や精神状態に関わる要素を使うため、完全に主観的な探求。平均脈拍数はざっと「85~90」と結構高めですし、主観入りまくりのプレイレポとなることを先んじて述べておきます。

◆『Placid Plastic Duck Simulator』VS「紫色のワンピース」

こちらはちゃぷちゃぷ浮かぶアヒルちゃんたちをただただ眺める一作。プレイヤーが何も操作できないという、一見シュールなこちらが評価されている理由は、ビジュアルと音楽が誘うリラックス感にあるでしょう。ラジオから流れる音楽をのんびり聞いて、アヒルちゃんを眺めるだけのゲームとなります。

さて、本ゲームを始める前に聴く怪談は稲川淳二の語る「紫色のワンピース」。ちなみに、事前に情報を入れてしまうと恐怖が薄れるので、選出基準は特にありません。筆者の目についた稲川淳二怪談を聴いていくスタイルとなります。

●「紫色のワンピース」

稲川淳二の語り口はやはり恐怖を誘います……。本作はタイトルの通り「女性の幽霊」に関する話。都内で起こったであろう、不思議な逸話を見事な口調で語っていきます。

本作でもっとも脈拍数が上がったのは「目黒に上がる長~い階段」という一言……。というのも、筆者は偶然、目黒の長い階段を昇ったばかりだったからです。下の通りから上の大通りに繋がる、長い長い階段……ふっと怪談という“フィクション”が現実に肉薄してしまい、緊張が高まります。

しかし、思わぬ現実とのリンク感から恐怖を感じ取ってしまったものの、これ自体はかなり“良い終わり方”をする怪談となっていました。物悲しく切ない作品も好きなんですけど「初っ端からコレを選んでしまったか……」と思わざるを得ません。そんなわけで最終脈拍数は平均値の92。もちろん休憩などせず、すぐに『Placid Plastic Duck Simulator』をプレイします。

「紫色のワンピース」での最大脈拍数:106

さて、アヒルちゃんを眺めはじめたものの……先ほどの怪談に想いを馳せていたためか、脈拍数は依然として90台をキープ。「いい話だったよなぁ……幽霊ってああいう綺麗なとこ、あるよなぁ……」なんて余韻に浸ってしまいました。

しかし5分後、無事本作の世界観(?)に入り込むことができ、脈拍数82にまで低下。アヒルちゃんがぷかぷか浮かぶ中でゆったりとラジオの音に耳を傾けることが出来ました。

1本目から、かなりリラックスできたのではないでしょうか。平均脈拍数が90手前の不健康な筆者にとっては、結構落ち着いている状態です。大台と設定してる「脈拍数70台」には至りませんでしたが、かなり幸先のいいスタートと言えるでしょう。

『Placid Plastic Duck Simulator』での最小脈拍数:82

◆『Mountain』VS「手のトンネル」

『Mountain』は2014年リリースの作品。宇宙空間に浮かんだ山を育成していくタイトルとなります。実は筆者は、今回が初プレイ。シュールな作品が人気になっているな……とは思っていたのですが、そのシュールさから手に取っていなかった形となります。

対する稲川淳二作品は「手のトンネル」。トンネルにまつわる怪談は非常に多く……怪談噺の鉄板とも言えますね。よくよく考えてみれば、日本にトンネルというものが出来たのは割と最近。明治3年の石屋川トンネルというものが西洋トンネルのはしりと聞きますから、どういう経緯で“怖い話”が集まるようになったのかが気になりますね。

●「手のトンネル」

効果音入りで、めっちゃ怖い……。不安感を誘うような音響が脈拍数をどんどん上げていきます。稲川淳二の流れるような語り口と効果音の相乗効果に恐れをなし、筆者の心臓も平常運転を諦めたようです。脈拍数は、お話の半分を過ぎた時点で100に到達。最終的には「112」の大台に到達してしまいました。

筆者としては怪談はよく聞く方だと自負していたのですが、稲川淳二の怪談は切り口が変わっていて恐ろしいですね……。まさしくレジェンドだなと、改めて感心します。

「手のトンネル」での最大脈拍数:112

そして『Mountain』に移行。スタートで謎の絵を描かされ、瞑想していくかのような奇妙な世界が開けました。そこにあるのは「山」がひとつだけ……。

圧倒的に壮大で、上からぐいぐい来るような世界観。「すべて身を委ねろ」と言わんばかりの荘厳さに、不思議と精神が落ち着いてくるのを感じます。

宇宙の中を漂っているような、自分が無機物になったかのような感覚が気持ちよく……。稲川淳二の世界観を『Mountain』の世界観で塗り替えていってくれます。脈拍数は80台前半を維持し、夕暮れになり始めた段階で脈拍数74にまで到達しました。

実は、筆者が一番「リラックス」できるか懐疑的だったのが本タイトル。話には聞いていたのですが、「このようなシュールなモノではリラックスできないだろう」とタカをくくっていました。ところが高評価の所以ここにありというべきでしょう。

あまりの心地よさに次の怪談を聴く気が薄れていきました。もう、山になってもいいかな……。

『Mountain』での最小脈拍数:74

◆『Townscaper』VS「海に潜む者」

次なる作品は『Townscaper』。こちらは穏やかな海の上に、次々とカラフルな家を立てていくだけのゲームとなります。建築といってもワンクリックで小気味よい音とともに生成。いい感じにぽんぽこ街を作れる一作です。

拘れば高層都市も作れるし、ゲムスパタウンも作れる! 実は筆者一押しのゲームとなっています。

●「海に潜む者」

相対するホラーは「海に潜む者」。別に海関連で選んだわけではなく、筆者にとって“海系の怪談”は鬼門だからです。海自体は好きなのですが、そこにホラーな要素が絡むと一気に恐怖の対象になります。海で死んだ霊魂は地上に帰れないんだとか……。なんでそういうことになっているのかはわかりませんが……。

そういった事前の恐怖心もあってか、聞き始めた段階で脈拍はすでに106を叩き出しています。ただ、この稲川淳二作品は悲しいことにオチが予想できてしまいました。おそらく昔に聞いていたか、この話が変形したものを筆者が事前に知ってしまっていたのでしょう。ですので、脈拍数はそれ以上を叩きだすことはなく、最終的には90台に落ち着いたままフィニッシュを迎えました。

「海に潜む者」での最大脈拍数:105

そんなこんなで『Townscaper』に移ったのですが……怪談との相性が悪すぎました。

本作は先に述べた通り、海の間に街を作っていくゲーム。流れる波のせせらぎが効果音としてずっと聞こえてきています。本来なら癒されるはずのこの音が「海に潜む者」を思い出させてとんでもなく裏目に……!

さらにはここまで連続で怪談を聞きすぎて、「風呂場に行ったら後ろに幽霊がいるかもしれない」と思っているような精神状況。まったく癒されません……。むしろ恐怖が増してきて脈拍数は100前後に上がってしまいました。

理不尽すぎますが、本検証においてはもっとも望ましくない結果に……恐怖を払おうとすればするほど、怖くなってきます。

『Townscaper』での最小脈拍数:90

◆『Cats Organized Neatly』VS「殺意の病棟」

これで4本目です。もう「殺意の病棟」とか、タイトルが直球で怖いですね。対する癒しタイトルには、雰囲気をガラッと変えてパズルゲーム『Cats Organized Neatly』をチョイスしました。こちらを選んだ理由は「猫ちゃんだから癒されるはず!」という安直なもの。\。正直に言うと、無性に可愛い作品をやりたくなっただけです。

●「殺意の病棟」

さて、怪談の定番といえば「女性的な幽霊」「トンネル」「海」……そして「病院もの」でしょう。選出基準はランダムのつもりではありましたが、怖そうなタイトルを選んでいった結果、定番ジャンルが並ぶことになりました。

しかし聞き始めて序盤から驚きの展開が……。よくある病院ものと早合点していたので、なおのこと恐怖に駆られてしまいました。稲川淳二さん特有の叫び声が恐怖を駆り立て、最大脈拍数は「114」をたたき出しました。どちらかというと、ショッキングな展開が印象に残る一作ですね。

「殺意の病棟」での最大脈拍数:114

じゃあもう、とにかく可愛いもので癒されようということで『Cats Organized Neatly』に移行。もう、可愛らしいにゃんこたちが画面にひしめいていて、それだけで癒されます。パズルではありますが、ちょこちょこ挟まる猫の動作が非常に良い……。気持ちがほんわかしてきます。

ただ、精神的な癒しは存分に得られたものの、本ゲームはあくまでパズル。やるべき操作が多く、「脈拍を落ち着かせる」要素は少なめになってしまいました。80台後半を推移しましたが、平均脈拍数を下回る形とはなりませんでした。

ビジュアルはとても可愛いんですけどね……!心的ストレスの緩和と、脈拍の落ち着きはイコールではないのでしょう。

『Cats Organized Neatly』での最小脈拍数:86


さて、主観的な本企画「怪談VSリラックスゲーム・脈拍測定4本マッチ」にて最小脈拍数を叩きだした“リラクゼーションゲーム”は『Mountain』(最小脈拍数:74)となりました。そして最大脈拍数をはじき出した怪談は「殺意の病棟」(脈拍数:114)

本検証は非常に偏見に満ちたものですが、思わぬ発見も存在しました。それはリラックスおよび恐怖心と脈拍数は、単純なイコールではないということ。鳥肌が立つような恐怖を感じているシーンで脈拍を見ると、逆に平均値を下回っていることも多かったのです……。勢いのあるシーンでは脈拍が上がるのですが、静かな怖さというものも確かにあることを改めて実感できました。

同時に、「リラックス」についても同じことが言えます。精神的なストレスが削がれていっている状態と脈拍が落ち着いている状態は別なはず。しかし、脈拍が落ち着いている状態が好ましいのも確かなこと。刺激的なコンテンツに疲れたら、心臓を休めるゲームを遊んでみるのも一興です!


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《高村 響》

ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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