
自動車免許には、「オートマチック(AT)限定」と「限定解除」が存在します。最近ではすっかりAT車が割合のほとんどを占めてしまったため、運転免許を取得する際も、最初からAT限定のコースを受ける人が大半です。
しかし、ガソリン車の醍醐味には、“自分でシフトチェンジする仕組み”もあるでしょう。クラッチを踏み、シフトレバーをコクッコクッと操り、そしてゆっくりクラッチを戻す。その繰り返しの加速がたまらない!
そうしたシフトチェンジを体験しつつ、交通安全にも気を払って車を運転しようという内容でありながら、実は本格的で操作が難しいドライビングシミュレーターゲーム『Driving Life』を、普通車MT&普通二輪MT免許を所有して、日頃運転している筆者がプレイしてみました。
マニュアル操作なら毎日やってるぞ!
本作の時は90年代、スマホなどまだ影も形もない時代のお話です。
主人公は、アメリカのとある田舎の島にやって来ました。従姉妹の「クララ」から年季の入った車をもらったので、これからは、この車を活用しつつ島内での生計を立てていきます。主人公が上陸した「Westport」から東へ行くと「Samuelton」という町があるそうで、とりあえずそこまで車で向かうことに。

ところが……このゲーム、車の操作に関しては結構細かい! ドアを開けて車内に入り、ドアを閉め、キーを差してそれを回し、サイドブレーキを解除してからクラッチを1にしてアクセルを踏む……という、まさに90年代の車の動作が求められます。しかも、シフトチェンジが結構な難関です!
また、実はこちらの『Driving Life』、Game*Sparkではリリース時期に取り上げています。その際にプレイしたライターは無免許のため、MT車の運転方法は心得ておらず、「車を動かすところから躓いてしまうほど」の難しさだったそうです。
筆者はこちらの記事を読み、「MT免許を持っている筆者なら問題なくプレイできるのでは!?」と思い立った次第です。そう、筆者は冒頭でも述べた通り、普通車MT免許と普通二輪MT免許を持っています。
Game*Sparkでも過去何度も登場してきた筆者の所有するダイハツ・初代コペンはATですが、バイクは所有する2台(スズキ・SV400とグラストラッカービッグボーイ)ともMT機構。クラッチをつないだり離したりという作業は、毎日のようにやっています。
というわけで、ここはMT免許持ちの本領発揮の場面だ! うおおぉぉぉ、燃えるぞおおおぉぉぉぉ!!!

マウスが「疑似シフトレバー」になっている!
『Driving Life』の舞台はアメリカです。言い換えると、「車は右側通行」の国ということ。日本とは何もかもが逆。当然ながら、運転席もアメ車のため左側にあります。
従って、シフトレバーも右手で操ります。うわぁ、面倒! また、シフトレバーの操作自体は「王」の字を横にした動かし方のため、このあたりは日本車と共通しているのですが、段数の表記は若干異なる模様です。

段数が上がる毎に1・2・3と表記されるのは日本と同じですが、不思議なことに「0」と「-1」の数字も。これは前者はニュートラル、後者はリバース、すなわち後進のことです。マウス操作だと、右クリックを押した状態で動かすことができます。
で、ここからが面白いわけで……。本作では右クリックがクラッチペダルを踏む動作に割り振られており、これを踏みながら(押しながら)マウスを横倒しの「王」の手順で動かしていくという仕組みです。マウスが疑似シフトレバーになっているわけですね、すごい!

前述の無免許ライターによる記事では、「画面上のチュートリアルには『クラッチを踏みつつキーを回してエンジンをかけろ』と出ているものの、車は動きません」とありました。クラッチを操作するたびにギアが0になったり5になったり、果ては「-1」を指してしまったり……という部分に困っていたそうです。
つまり、これは右クリックを押した状態でマウスを動かすと、シフトレバーが倒れてしまう仕様になっているからこその現象です。このマウス操作は、スクロールホイールがあればやる必要が全くありません。なお、そういう仕組みだということは、チュートリアルで全く説明されてない……!
何しろ『Driving Life』のMT車は、なんとクラッチを切ってない状態で、しかも5速に入れたままアクセルを踏んでも始動できます(ただし、ローギア時より加速は当然遅い)。そのため、スクロールホイールでまずは「1」に入れてWキーを押し、スピードが出てきたら「2」「3」とシフトしていきます。後進の際は「-1」にシフトを入れ、Wキーを押しましょう。
……これ、筆者の初代コペンの「マニュアルモード」とだいぶ近い操作性じゃないか!? と気付きを得てしまいました!
安全最優先の運転を心がけよう!

筆者の愛車・初代コペンは37万円で購入したもので、上述したようにこれはAT車です。MTのコペンは人気があるため、中古価格が高く……。しかし、マニュアルモードなるものが搭載されていて、なんとシフトを手動で変更できるのです。
本物のマニュアル車と違い、クラッチを踏んでからシフト操作、ということをする必要はありません。アクセルを踏みっぱなしでクイッとシフトチェンジできる、なかなかどうして憎たらしい仕組みになっています。

『Driving Life』のMT車は、ちょうどこんな感じでした! 恐らく、半クラッチの操作をキーボードでは再現できなかったからこその仕様なのだと思いつつ、ATコペン乗りにとってはすぐに馴染める操作とも言えます。
それにしても、このゲーム……マップが見づらい!「これからの目的地」はちゃんと表示されますが、自分の現在位置はマッピングされない模様です。予め地図に目を通し、走行中は道路標識を見ておかないと迷子になってしまいます。
まあ、スマホどころかカーナビも一般的ではなかった90年代が舞台ですから、そのような仕様になるのは当然かもしれません。

また、気をつけて運転しないと事故を起こすことがあり、それにかかる車の修理費用が容赦なく襲ってくることも。これが妙にリアルです。
たとえば、十字路で向かい合わせになった対向車が左折の意図をウインカーで示していて、なおかつ自分は右折したい場合、アメリカでは先に動けるのは自分。この右折優先ルール、日本では左折優先なのですが、時折それを破るドライバーもいます。
なので、自分が右折している最中に対向車が左折してしまったら……もちろん「ガッチャーーーン!!」となってしまいます。

こうした不慮の事態を避けつつ、なるべく貯金を作って移住先での生活を営もうというのが、『Driving Life』の主旨というわけです。
ちなみに筆者は、教習所で学んだ地図の見方を思い出しながらようやく「チャン夫人の中華料理店(一番最初の仕事先)」へ行くことができました!
免許取得者も、そうでない方も本格的な車の運転が楽しめる『Driving Life』は、PC(Steam)にて1,600円(税込)で販売中。2025年の年末年始は、本作で運転技術を磨いてみても良いかも?
















