ハードコアな近未来ダンジョン探索RPG『QUESTER』は、漫画家の萩原一至氏の世界観と確かなゲームデザインによる地獄を体験できる一作 【東京ゲームダンジョン2】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ハードコアな近未来ダンジョン探索RPG『QUESTER』は、漫画家の萩原一至氏の世界観と確かなゲームデザインによる地獄を体験できる一作 【東京ゲームダンジョン2】

『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の萩原一至氏が原案を務めたRPGは、なんと崩壊した近未来で資源を探しに行く、ハードコアなダンジョンRPGです。今回はそのプレイレポートをお届け。

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ハードコアな近未来ダンジョン探索RPG『QUESTER』は、漫画家の萩原一至氏の世界観と確かなゲームデザインによる地獄を体験できる一作 【東京ゲームダンジョン2】
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『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』(以下、BASTARD)を代表作とする漫画家、萩原一至氏。そんな著名な彼ですが、実はビデオゲームでの関わりが『アンチェインブレイズ レクス』や『LORD of VERMILION III』などの一部キャラクターデザインくらいだったりします。

筆者もまだ週刊少年ジャンプに「BASTARD」が掲載されていた頃、「萩原氏もいくつかファンタジーRPGの企画に、キャラデザとして全面的に関わったりしているんじゃないか」なんて思っていました。

とりわけ90年代は漫画家がビデオゲームの企画に関わるケースも少なくなく、RPGも溢れた時代です。なにせファンタジーがまったく関係ない漫画家、相原コージ氏が『摩訶摩訶』や『イデアの日』を制作していましたから、萩原氏もいつかそういう日が来るのかな、と考えていたわけです。

ですが萩原氏の経歴を振り返ってみると、意外にもトータルで関わったタイトルというのはない模様。氏の数十年に渡るキャリアから考えると、ちょっと不思議な気もしたものです。

長らくそう考えていたとき、なんと萩原氏が原案を務めたというRPGが満を持して開発されるというニュースが。それが『QUESTER』でした。「彼がついにゲームに関わるのなら、普通のものにはならないだろう」と思っていましたが、まさか80年代のPCで作られたみたいなRPGになるとは予想外でした。

そんな『QUESTER』が、先日行われた東京ゲームダンジョン2にて試遊が公開。そのゲームプレイの手ごたえについては、期待通りの「普通じゃない」面白さに溢れていたのでした。

崩壊した未来の東京で、資源を集めるダンジョン探索

萩原氏の「BASTARD」と言えば、やっぱりねじくれた形で描かれるファンタジー世界によるただならなさが印象的でしょう。『QUESTER』のルックは萩原氏の作品みたいな豪華な画作りとは真逆な、シンプルな画面です。ですが描かれる世界やキャラクターデザインは彼ならではの捻りが加えられています。

いや……「シンプルな画面」と評したのは間違いかもしれません。PC-8801シリーズのビデオゲームを思わせる画面作りと音源は、一気に独自の世界観へとプレイヤーをひきずりこむ強度があります。

舞台は20XX年。某国から世界でウィルスが蔓延し、天変地異が発生。世界は文明の維持が不可能に。さらに地下より不気味なクリーチャーたちが這いずり出し、人類は絶対的な危機にさらされます。そんな中、「クエスター」と呼ばれる人間たちは崩壊した文明跡へと潜り、生き延びるための「探索」へと向かうのです。

このようなファンタジーRPG的なフォーマットに、ディストピアSFが混ざった世界観は、確かに萩原氏が原案となった手触りを感じます。そんなクエスターたちが向かうダンジョンの探索だってただものじゃありません。持ちうる資源に注意しながら奥深くへ向かうという、リソースを管理しながら新たな資源を見つけてゆく体験に仕上がっていました。

今回の試遊でわかった、主なダンジョン探索は「燃料」を気にしながら、周囲のオブジェクトを調べてアイテムや資源を集めてゆく形です。クエスターたちはダンジョンの拠点としてキャンプを立て、探索しながら次の拠点を見つけながら奥へと進んでゆくのです。

Thousand GamesQUESTER Base

ダンジョンは簡単に探索できるわけではありません。異様なクリーチャーが蠢いており、常にクエスターたちの命を狙っているのです。ダンジョンの闇の向こうへ探索に向かう体験は、PC-88風味のサウンドによってより不気味さを引き立てます。

クリーチャーたちとの戦闘もただものではありません。本作では様々なロールを持つクエスターたちの能力を使い、脅威と戦っていく形ですが、そのゲームデザインはなかなか独特。

各ロールには近接攻撃を得意とする「乱暴者(デトネイター)」や、仲間の回復などの支援をする「和尚(ブッディスト)」のほか、敵の注目を集めて戦う「機動隊(モビルポリス)」などが登場。彼らの強みを上手く組み合わせて戦わないと、わりとすぐに全滅するバランスです。

戦闘では各キャラがいくつかのコマンドを組み合わせて戦います。興味深いのは、コマンドによっては所持しているさまざまな資源を使って発動させるものがあることです。強力な攻撃や、回復などを使うときにはそれなりの制限がかかっているわけです。

また、MMORPGのようなヘイトの概念も存在。各キャラがいまどれだけのヘイトを敵から集めているのかも数値化され、一目でチェックできるようになっています。もちろんコマンドによってはヘイトを集めやすいものがあります。このあたりのMMORPG的な要素をコマンドRPGに組み込むことで、単なるPC-88時代のリバイバルに終わらず、現代的な手触りを生み出しています。

今回の試遊では「機動隊(モビルポリス)」が自分に注目をさせるコマンドによって、チームの盾になってもらっている間に、「乱暴者(デトネイター)」が攻撃を与えていく……という戦略によって活路を開くことが多かったです。

『QUESTER』をひと通り試遊して感じたのは、一言でいえば「世界観の厳しさを根拠にした難しさ」です。戦闘で全滅はしやすいですが、ゲームオーバーではなくキャンプから再開できるため、思ったより苦しくはありません。チーム全体の燃料が無くなるまでは、探索を続けられるようになっています。

想像以上に良質な手ごたえがあり、言うなれば80年代の日本ファルコムのRPGに『Darkest Dungeon』のフィーリングが混ざり合ったようなゲームプレイだったと言えるでしょう。

最初はもっと大きなプロジェクトを考えていたが、思い切って小さくも強いRPG作りへ

こうした手ごたえあるRPGを作り出した、開発のサウザンドゲームズとは? 出展スペースでプレイヤーの応対をしていた、同社の代表を務める桑原敏道氏へと軽く開発秘話を伺ってみました。

「もともと知り合いの紹介で萩原先生と出会ったんですよ。最初はもっと大きなゲームを作るつもりでした」桑原氏は当初のプロジェクトについてそう語ります。

「ただスケジュールや予算もあって、先生の作りたいものとクライアントやスポンサー企業が作りたいものなどがなかなか合わなかったんですね。試行錯誤するなかで、僕の会社がお金を出すので、思い切って小さいゲームを作ってみませんか、という話になったんです」

こうした桑原氏の提案を萩原氏が承諾し、『QUESTER』のプロジェクトが始まっていったのだそう。

「始めた当初は『ウィザードリィ』的な3Dのワイヤーフレームのダンジョンを作ろうとしていました。でもここのところ、そういったコンテンツが増えてきていることもあって、アイディアが被るので変えようと。そうして2Dフィールドのものになりました」

80年代のわくわくとドキドキを再現するゲームを作りたいんですよ。パソコン雑誌を見て、このゲームはどんなものなんだろう? とわくわくした気持ちを再現したいんですね」桑原氏はそう語ります。本作のゲームデザインには、『モンスター・コレクションTCG』や『DARK SOULS TRPG』を担当したアナログゲームデザイナー・ 加藤ヒロノリ氏も加わっていることで、強いゲーム体験が生み出されているとのことです。

『QUESTER』は現在CAMPFIREにて第2回クローズドβテストに向けたクラウドファンディングを開催中。一番スタンダードな『入門コース』のリターンには、クローズドβテスト参加権だけでなく、電子書籍によるコンセプトガイドブックに加えて、なんと製品版ダウンロードコードが含まれています。

本作を開発するサウザンドゲームズの公式Twitterはこちらから。開発やプロジェクトの進捗などは、こちらからチェックできるでしょう。


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《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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