世界中のインディー作者が考えていることがまるわかり、2018~2022過去統計から見えたもの―海外開発者が大きく影響を受けた作品は……アレだ!【注目インディーミニ問答特別編】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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世界中のインディー作者が考えていることがまるわかり、2018~2022過去統計から見えたもの―海外開発者が大きく影響を受けた作品は……アレだ!【注目インディーミニ問答特別編】

2018年からスタートしたGame*Spark大人気企画の一つでもある「注目インディーミニ問答」の様々な結果をまとめてみました。

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世界中のインディー作者が考えていることがまるわかり、2018~2022過去統計から見えたもの―海外開発者が大きく影響を受けた作品は……アレだ!【注目インディーミニ問答特別編】
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2018年からスタートしたGame*Spark大人気企画の一つでもある「注目インディーミニ問答」。『Aegis Defenders』から始まった本企画は現在も続いており、数多くの注目作品を対象に、日本を含む全世界の様々な製作者にメールなどでインタビューを行ってきました。



そこで、本記事では2018年から2022年度までの全インタビューを振り返り、記事内で行っている質問の内、”影響を受けた作品”と開発者の国籍、作品の日本語の有無などをデータにまとめています。

統計の中でゲームをまとめた際、例として「『DARK SOULS』に影響を受けた。」と答えた開発者だけでなく、「『DARK SOULS』シリーズに影響を受けた。」とシリーズ名を答えた方も多く、上記2つは別としてカウントされています。該当する作品としては『ファイナルファンタジー』や『ゼルダの伝説』など多岐にわたっており、記事中でも混乱を招く可能性があるため先に注釈としてご説明を行っております。

それでは4年間以上に渡る結果はどうだったのでしょうか?気になる結果を御覧ください。

国別で見ると意外な結果が

本誌で行ったインタビューでは様々な国、多種多様な開発者の方々にインタビューを行ってきました。ゲームの世界では多国籍で開発がまたがっていることも多く、場合によっては個人が複数人またがってメインの開発者としてクレジットを掲載している場合もあります。

本統計は、会社の本拠地、複数人がまたがっているような作品ではインタビューに答えて頂いた方の国籍をカウントしています。一部作品では国籍と性別自体を意図的に秘匿していらっしゃる方もいるため、その場合は不明としてその他にカウントを行っております。また、同じゲームを2回インタビューした経緯があり、ロシアは最終カウントをわずかにマイナスしております。



過去全体で見れば突出して多いのはやはりアメリカでの開発者の多さでしょう。Valveの他、数多くのゲーム企業もアメリカにあり納得の結果といえます。ですが、地域別で見た時に多いのがヨーロッパ圏の方の多さです。フランスの他、ポーランド、単体ではTOP10から外れていますが12位にはチェコ共和国なども名を連ねています。

PCには元々コモドール64の他、Apple IIなど今の源流とも言える名機が数多く存在していますが、ヨーロッパ圏では1990年代の中期まで前述のPCが主流だったこともあってか開発者やパブリッシャーなども数多く存在しています。2000年代ではチェコ共和国のAmanita Designや、トルコではTaleWorlds Entertainmentによる『Mount and Blade』のヒットにより開発者が増えているなどの影響もあります。Croteamの『Serious Sam』の大ヒットによりクロアチアでゲームに携わる方が2001年以降増えたのは非常に有名なお話です。

その他、ノルウェーでは政府からゲームスタジオ向けの助成金が出ています。ポーランドでも国を挙げての支援や、『ウイッチャー』の大ヒットなどにより数多くの開発者が生まれており、そういった影響も統計結果からは見て取れる部分があります。

数多くの影響を与えた作品とは

各年代、ジャンル別に統計を行った結果は各開発者によって見事にバラバラ。あまりにも数が多く、皆様本当に多種多様な答えを頂きました。その中でも突出して多かったのが『the binding of isaac』でした。2011年のSteamでもインディーゲーム黎明期の大ヒット作品であり、ローグライクの傑作でもある本作に影響を受けたと答えた方は数多く、どの年代でもほぼ上位に食い込んでいます。

そして2017年に発売された『Slay the Spire』はデッキ構築型ローグライクとしてフォロー作品も数多く生まれた2020年代以降、大きく回答が目立っています。また、高難易度ゲームでは『DARK SOULS』の回答が圧倒的に多いのもそうですが、『ELDEN RING』が発売した後の2022年では更に名前を挙げる方が増えているのも観測できます。特にこの答えを挙げた人の多くは『DARK SOULS』をシリーズではなく明確に初代が一番影響を受けたと答えている方が多かったのも印象深い点です。

また、どの年代でも特徴的であったのがやはり任天堂の存在の大きさでしょう。ゲーム開発の原点という形で『ゼルダの伝説』や『マリオ』シリーズを挙げられている方は多かったです。面白い結果といえるのは、南米の開発者はセガハード作品の影響を挙げる方が多かったのも一つの特徴でしょうか。

ジャンル別に並び替えて結果を振り分けたのが上記画像の結果で、その中でも複数結果が出たものだけを選別しています。ゲームはほぼ上記で述べたとおりで、2018年以降のローグライクの爆発的人気と『Slay the Spire』の影響の強さが色濃く反映されています。高難易度……いわゆる「死にゲー」に影響を与えた『DARK SOULS』だけでなく『Darkest Dungeon』も一つの特徴と言えます。

アニメでは日本アニメだけでなくカートゥーン作品も目立っています。そんな中、特に注目したいのがスタジオ・ジブリ作品です。ADV作品のほか、ドット/アニメスタイルの作品の製作者らが参考として名前を挙げていたり、別カウントになっている中には「魔女の宅急便」などの宮崎駿作品が単体で入っていたりなど、海外でも大きな影響を与えていることが見て取れます。

映画では「エイリアン」や「ブレードランナー」「AKIRA」といったSFのデザインや設定に大きく影響を与えた名作が挙がっていますが、近年代で公開された「インセプション」や、「デューン/砂の惑星」「インターステラー」などが挙がっているのが注目のポイントです。SFを題材とした作品では鉄板と言っていいほどに前述の作品を挙げる方が多かった印象があります。

逆に結果が大きく別れていたのが人物/クリエイターで、トップにはクトゥルフの始祖であるラヴクラフト、SFのストーリーテリングとしてジュール・ヴェルヌ、ロボットの三原則を生み出したアイザック・アシモフの名前が挙がりました。他には須田剛一氏、高橋慶太氏、宮本茂氏のようなゲームクリエイターの名前も挙がっています。人物の項目では影響を受けたというよりもリスペクトの意味合いで挙げていらっしゃった方が多い印象です。

気になる日本語字幕の実装と理由

最後に、全年代でインタビューを行った作品での日本語の実装の結果です。インタビュー時には実装されていなかった作品でも後に実装されていることもあり、想定よりも日本語字幕が多い印象です。ただし、翻訳のクオリティや精度などは検証しておりません。あくまでも日本語字幕があるかどうかだけのカウントになります。例として『Nippon Marathon』ではゲームの世界観を実現するため、あえてGoogle翻訳を採用したケースもあります。


日本語字幕が実装されている理由の中では「日本が好き」「日本でイベントに参加して交友関係ができた」「過去作品が日本で売れていた」といったポジティブな理由のほか、『The friends of Ringo Ishikawa』では「本作品の母国語は日本語なので対応したい」といった理由が挙げられていました。



中には奥様が日本人、開発者に日本語が理解できる人間がいたというようなレアなパターンもありましたが(ゲームを販売するにあたって)「日本市場が大切」といった声も多かったです。また、有志翻訳が公式に採用されているゲームもあり、本企画の中では8本で有志翻訳が採用されています(『RimWorld』や『Lobotomy Corporation』など)。

反面、日本語が実装されていないゲームでは「システムが多言語対応できない」という技術面での理由のほか、予算や売上の関係といったシビアな問題が挙げられていました。ただし、日本語が実装されていなくとも、言語に頼らないゲームデザインで実際のプレイには支障がない場合もあります。とはいえ「アーリーアクセス中なので完成後には対応したい」と述べられていた作品について、実際に完成後に日本語実装がなされた作品も本記事の統計作業中に散見されたため悲観的な結果とは言えないかと思います。

あわせて、実際に翻訳を行った会社や個人名も分かる範囲で追跡調査を行いました。NDAでクレジットが非公開にされている場合や、時間の関係もあって全てを追えていませんが、圧巻なのは架け橋ゲームズの対応の多さ。本企画内では『One Step From Eden』『Narita Boy』など、数多く手掛けてらっしゃいます。他には『VA-11 HALL-A』や『The Vanishing of Ethan Carter』最近では『Disco Elysium』の翻訳で有名な武藤陽生氏や、『They Are Billions』などの翻訳を行ったTobineta氏のお名前などが挙がりました。コメント欄で本誌読者が名乗り出て採用されたパターンも存在しており、ローカライザーの方々には感謝の気持ちで一杯です。

最後に

昨今では日本のユーザーのマナーが悪いせいで日本への対応を後手に考えているといった論説も一部では見受けられましたが、インタビューに答えてくださったクリエイターの方々は日本へのラブコールや、ゲームのメッカとして尊敬のメッセージを伝えてくれただけでなく、中には実際に日本が気に入って移住をされた方も見受けられました。また、影響を受けたゲーム/作品を例に見てもバラエティにあふれる有意義な統計結果になったと思います。

今後も様々な製作者の方にインタビューを行っていきますので、本企画にご注目いただければ幸いです。


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《rate-dat》

面白そうなことに頭を突っ込んで火傷してます rate-dat

本業はデザイナー。 印刷物やWeb、写真加工など色々とやっています。

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