芝村氏の最新作『LOOP8』に、ひとりずつ空席になる“あの無力感”を思い出す─『ガンパレ』ファンも納得のプレイ体験と、2つの難点【プレイレポ】 3ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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芝村氏の最新作『LOOP8』に、ひとりずつ空席になる“あの無力感”を思い出す─『ガンパレ』ファンも納得のプレイ体験と、2つの難点【プレイレポ】

本日6月1日に発売された『LOOP8(ループエイト)』。本作は、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』などで知られる芝村裕吏氏が携わった作品です。『ガンパレ』ファンの筆者は、この『LOOP8』にどんな手ごたえを感じたのか。そのプレイ体験を綴りました。

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芝村氏の最新作『LOOP8』に、ひとりずつ空席になる“あの無力感”を思い出す─『ガンパレ』ファンも納得のプレイ体験と、2つの難点【プレイレポ】
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■何度も繰り返す「8月」が、忘れられない体験を形作る

交流を重ねることで人間関係が好転し、この世界や各NPCの背景などの理解に繋がる『LOOP8』。プレイ中もつい考察してしまうほど、様々な事情や設定が出てくるので、NPCを追いかける足が止まりません。

しかし、「ケガイ」の侵攻も後を絶たず、主人公の8月は日常と非日常、そして生死が交錯する戦いで彩られます。ですが、この夏を一度過ごしただけでは、『LOOP8』の全てを堪能することはできません。タイトルにもある通り、8月を何度もやり直す「ループ」を繰り返すことで、この世界に散りばめられた謎に迫ることができるのです。

「ループ」を聞くと、繰り返しが面倒……と感じる方もいるでしょう。しかし『LOOP8』の場合、やり直しを前提としているため、繰り返しの労力は出来るだけ押さえられた作りになっています。

例えば、訓練などで伸ばしたステータスや人間関係は、「ループ」でリセットされますが、以前伸ばした数値までは上がりやすくなっているので、手間が軽減されています。また、加護で得たステータス上昇は持ち越しなので、初期状態でも以前より優れた状態でスタートできます。

また、AI制御のNPCたちは、前述の通り状況や人間関係の影響で反応が変わるため、彼らとの交流もまた単なる繰り返しではありません。新たな反応や台詞、未見のイベントなど、ループするたびに新たな刺激をもたらしてくれます。

延々と繰り返せばいつかは全て制覇となるでしょうが、かなり膨大な数が用意されているらしく、少なくとも2~3回のループで全容が分かる程度ではなさそうです。

同じ世界の同じ町。そこにいる仲間たちも同じ。ですが、彼ら彼女らと過ごす夏は、どれもがそのプレイ限りの一度限り。その忘れられない夏が、何度もやってくる──それこそが、『LOOP8』が持つ最大の魅力かもしれません。

■頻繁なロードとフレームレートの低さが難点

『LOOP8』の特徴やプレイ感について触れましたが、まったく難点がないゲームでは残念ながらありません。気になった部分については、こちらにまとめさせていただきます。

まず目につくのが、頻繁なロードの回数です。立ち位置や場所が決まっている特定イベントシーンの開始時はもちろん、エリア間移動やエリア内のマップ切替時など、プレイの随所でロードがその都度発生します。

ロード時間自体は、1~3秒程度の短いものが多く、人にもよるでしょうが大きく気になるほどではありません。しかし、かなり頻繁に発生するのが難点です。ロード時間の長さは筆者のプレイ環境下での話なので、プラットフォームが変われば変動する可能性もあります。(短くなる方向で変わってくれればいいのですが……)

全体マップに切り替わる際もロードが挟まるので、手軽に移動したい時に(数秒とはいえ)ロードで待つ、という点もやや本末転倒。もどかしい移動速度と、リアルタイムに過ぎていく時間経過の要素も相まって、ゲームのテンポがいくらか削がれているのが惜しい点です。

もうひとつ気になるのは、「ケガイ」とのバトルにおける動き。上手く処理できていないのか、攻撃中はフレームレートが低く、その動きがカクついているように見えます。3Dモデルは各キャラのビジュアルが良く再現されていますし、モーション自体も悪くないので、フレームレートさえ改善されれば格段に良くなりそうなだけに、もったいなく感じます。

ちなみに、現在配信中の更新データ「Ver1.0.2」を適用すると、「バトルの攻撃演出」や「加護の獲得演出」をカットできるので、煩わしく感じる場合はOFFに設定する手もあります。

なお、Ver1.0.2適用後もロード時間やフレームレートの問題は依然残ったまま。そのためテンポの面でやや足を引っ張られますが、一方でゲームにならないほどの阻害でもありません。

システム面の許容範囲は人によって大きく違うので、一概に「問題なし」とは言えませんが、「頻度は少ないけど1回のロードは長い」タイプよりも「頻繁だけど1回のロード時間は短い」タイプの方が気楽という人は、現状の『LOOP8』も楽しめるかと思います。


ループするたびに新たな関係を築き、そこから生まれるドラマに毎回驚かされる『LOOP8』。例えるなら、決められた順番で出てくるフルコース料理ではなく、個性的な屋台を食べ歩くような楽しさを秘めたゲームかもしれません。

屋台と屋台の間の道が少々煩雑ですが、夏らしい眩しい景色と仲間たちが織り成すひとときが、その移動もひとつの味わいに変えてくれることでしょう。

最後に、『ガンパレ』ファンに向けたメッセージを残して締めくくらせていただきます。正直、20年以上も経ったこの令和に出るゲームなので、『ガンパレ』らしさは軽いエッセンス程度だろうと思っていました。正確には、そう思うことでショックを和らげようと自衛していたのです。

しかし実際に遊んでみると、これが驚くくらいに『ガンパレ』でした。設定やキャラ造形が似てるという話ではなく、プレイしている自分の気持ちが当時の体験と色濃く重なる、という意味です。

今日という日をどうやって過ごそう。誰と仲良くなって、どんな訓練を積むべきか。それとも戦いに備えて、あのキャラとこのキャラを仲良くさせるか。おっと、この場の雰囲気はちょっと危険だ。今会話するのは避けて、ここは一度離れておこう……。

こうした“思考の巡らせ方”は、『ガンパレ』を遊んでいた時とかなり近くて懐かしく、そして今改めて体験してもやはり楽しいひとときでした。一部のシステムに難がある点も、再現する必要はないのに、『ガンパレ』らしくて苦笑するばかり。

そして──誰かを失う痛みも同じ。命を落とした仲間は、ループするまでもう会えません。昨日と同じはずの日常に、ぽっかりと穴が開く虚無感。あの忘れることのない感情や、それを乗り越える闇雲な日々も、ここにありました。

あのひとときが、蘇る夏。ひとりの『ガンパレ』ファンとして、この再会かつ出会いに、喜ばしい気持ちばかりが浮かびます。

……だからこそ、UIとフレームレートの改善を! さらなる新たな更新データ、お待ちしています!!

スパくんのひとこと



あなたの「選択」が世界を変え、新たな可能性に導くスパ!




タイトル:『LOOP8(ループエイト)』
対応機種:スイッチ/PS4/Xbox One/PC(Steam

記事におけるプレイ機種:PS4版(PS5でプレイ)

発売日:2023年6月1日(※Steam版のみ6月7日発売予定)

価格:6,578円(税込)

※製品情報は記事執筆時点のもの

(C)2023 Marvelous Inc.


※UPDATE(2023/6/1 16:03):本文中、本作の敵の呼称を修正しました。お詫び申し上げます。

《臥待 弦》
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