感情が持つ力が時に思いもよらぬ強さを発揮することはありませんか?未知の場所や状況に置かれた際、最後に頼りになるのはそういった心の力やその発現だったりする物。本稿ではそんな感情の力がカギを握る、『Gears of War』等の開発に携わったomaszStrzalkowski氏をアートディレクターに迎えた探索型ホラー『Unholy』のプレイレポートをお送りします。
なお、今回プレイしたのは開発途上のデモ版で、ストーリー全体のネタバレを避けた3シーンに限定されています。そのためレポ内容は主にストーリーを除いた部分に焦点を当てたものとなりますので、あらかじめご了承ください。
“ひらめき”を元に穢れた未知の世界「Unholy」へ
本作はソ連崩壊後の東ヨーロッパを舞台に、我が子を失い悲しみに暮れる女性「ドロシー・リンデ」が見知らぬ老女の誘いで穢れた未知の世界「Unholy」の存在を知り、現実と不浄の2つの世界で我が子を取り戻すべく奮闘する探索型ホラーです。
デモ版は、老女の指示で自分の忘れたい過去と向き合い、かつて自分の父と息子と共に暮らしたアパートでUnholyへの道を探す場面から始まります。
ここでは主に探索の基本を学ぶこととなり、移動や怪しい場所を調べるといった基本動作、および本作の道しるべとなる「ひらめき」機能を体験できました。ひらめきはゲーム中いつでもワンボタンで呼び出せ、次にやるべきことを示唆してくれます。
冒頭の状況説明では我が子を失ったことを受け入れていたはずのドロシーでしたが、探索パートが始まるころにはすっかり息子が活きていると信じ込んでいる様子。アパート前の公園に貼られた訃報を剥がして回りました。なお、ひらめき機能はあくまである程度の達成目標を示すにすぎず、実際に探すべきものの詳細を示してくれるものでは無く、今回であれば訃報の数や場所については自分で探す必要がありました。
また探索の中で、周囲の人物による主人公への陰口や遠くで行われる世間話、掲示板の資料などを確認することもできます。それらの情報の中で謎の宗教「永遠の泉」なるものの様子が伺い知れるなど、ストーリーの全貌を知るうえでは重要となりそうに思えました。
訃報を剥がし終えるといよいよアパートの中へ。道中のエレベーターにて問題の老女が現れます。この老女、異様に血色が悪く遠目には骸骨の仮面のように見え、一気にホラーらしい雰囲気を醸し出しました。
ここで老婆から探すものが父の日記であることを伝えられ、いざ探索へ。見つかる物から主人公の過去に思いを馳せ、ひらめき機能を適宜使いながら順調に進めていると、息子の部屋に入ったところで場面が移りました。どうやら無事に日記を見つけ、Unholyへの道を開いたようです。
開かれたUnholyへの道で雰囲気は一気にホラーに
ここから第2章となる現実とUnholyの狭間での物語が始まります。ここまでのプレイから一変して暗く不気味な雰囲気へと姿を変えたアパートでは、鳴り響く耳障りな音楽やひとりでに起動するテレビなど、堰を切ったようにホラー描写が増え始めました。
2章での目的は本作の重要要素のカギとなるアイテム、パチンコと仮面を手に入れること。息子の影を追いかけ、数々のホラー描写を乗り越えながら、息子の形見となるパチンコを見つけ、老女からUnholyの影響から身を守るという仮面を授けられます。また、その道中でダッシュやしゃがみといった移動ギミックについても学ぶこととなります。
パチンコと仮面を駆使し街を焼く目論見を挫け!
仮面を受け取ると流れるように3章が始まります。3章では遂にUnholyへと踏み込み、どこかに捉われているという息子を探します。ここでは本作の特徴となる、「感情のクリスタルを撃ちだすパチンコ」と「穢れた世界を見通す仮面」の能力を駆使して探索を進めていくこととなります。
パチンコは「怒り」「怖れ」「悲しみ」「欲望」の4種類の感情が込められたクリスタルを場面によって使い分け状況を有利に運ぶことができます。本デモでは「怖れ」と「悲しみ」の2種類が体験でき、パズルを解いたり、敵の目をくらますことが可能となります。
仮面はパチンコで撃ったり、仮面の能力を利用している状態でのみインタラクトできる物を示してくれる新たなヒントになります。製品版では仮面を強化することで更なるスキルを得たり、敵の仮面をつけてなりすまし敵地へと潜入するといった用途にもなるようです。
本デモで邂逅する唯一の敵となるのがこの甲冑の監視者。視界はかなり狭く、白くハイライトされているため避けやすく思える一方、音に敏感な側面があるらしく激しい移動や、地面のガラス片を踏んだ場合には問答無用で追いかけてきます。この監視者から逃れるうえで「悲しみ」のクリスタルによって生み出せる不可視の領域が有効となります。
パチンコとマスクを駆使し、辿り着いた先で浄化と称して全てを燃やし尽くそうという謎のキャラクター「聖母」の目論見をくじいたところでデモは終了。ドロシーの旅は製品版へと続きます。
探索ホラーとしてはまずまず。製品版でのさらなる進化に期待
いわゆる“異世界ホラー物”としては雰囲気づくりやシステム面で取り立てて悪いところはなく、難易度面でもそれほど苦戦することの無い塩梅に仕上がっていた本作。デモ版としては現時点で十分及第点と言えそうですが、同時に今のままではそれに過ぎないといった感想でもあります。
製品版ではマスクやクリスタルの追加、更なる謎解き要素が追加される予定で、敵へのなりすましなどのユニークな遊び方も示されていることから、更に面白い昨比音へと仕上がることを期待したいです。個人的にはもう少し怖さマシマシだと嬉しいかもしれません。
スパ君の一言
デモ版でも不気味な雰囲気や探索要素は十分楽しめる作品に仕上がっていたスパ!ホラー描写の強化や更なる特徴付けを製品版には期待スパね。
タイトル:Unholy
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年7月21日
著者プレイ時間:1.5時間
サブスク配信有無:無
価格:後日発表
※製品情報は記事執筆時点のもの