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【特集】「生と死」や「カルマの輪廻」がサイケデリックな世界で紡がれる―メトロイドヴァニア『ULTROS』開発者インタビュー

『ULTROS(ウルトロス)』開発者のPelle Cahndlerby氏にインタビュー!

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【特集】「生と死」や「カルマの輪廻」がサイケデリックな世界で紡がれる―メトロイドヴァニア『ULTROS』開発者インタビュー
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Hadoqueが手がけるPC (Steam/Epic Game Store)/PS4/PS5向けメトロイドヴァニア『ULTROSウルトロス)』が2024年2月13日に発売されます。

本作はサルコファガスという“宇宙を漂う巨大な子宮”に墜落した主人公が、自身の宇宙船がULTROSという古代の悪魔を宿したことに気付くところから始まります。ブラックホールのループに閉じ込められた中で、サルコファガスの中を探索しながら、自らの役割を理解していくというストーリーです。

ゲーム中では激しいアクションが行われますが、同時にサルコファガスの植物を育てるというシステムも存在し、「精神」や「生と死」そして「カルマの輪廻」などがテーマになっています。『ULTROS』のサイケデリックなアートスタイルやビジュアルは『ホットライン・マイアミ(Hotline Miami)』で知られるEl Huervo氏が彩っている点も見どころです。

本稿では『ULTROS』でライター兼ナラティブ・デザイナーを担当、そして詩人でもあるPelle Cahndlerby氏にインタビューを実施。本作に内包されたテーマから、El Huervo氏との制作秘話までを伺うことができました。


Pelle Cahndlerby氏

――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームも教えていただけると幸いです。

Pelle Cahndlerby氏(以下、Pelle): こんにちは。『ULTROS』でライター、詩人、ナラティブ・デザイナーをつとめるPelle Cahndlerbyです。最近は『Kentucky Route Zero』と『ディスコ エリジウム』を楽しんでいます。どちらも神話的伝承とリアリズムがうまく融合していますね。また、暗示的に行われる会話もとても好みです。

――本作の開発はどのように始まったのですか?

Pelle: 何年も前、私は友人のNiklas Åkerblad(El Huervo)と真夜中の散歩に出かけていたのです。その時に、人生や心理学、そして哲学的な事柄について語り合いました。彼は「暴力では倒せない強大な悪魔」についての考えを教えてくれました。悪魔を暴力で倒せないからこそ、冷静さを保ち受動的かつ攻撃的な意思を持たず、やり過ごす必要があると言うのです。

このアイディアについて話し合って、私は自分の考えや詩人としての案を彼に伝えていきました。そして数年後、El Huervoが自分の構想に基づいたゲームを作り始めたとき、彼は私に「このプロジェクトに君の精神を持ちこむ時が来た」と言ったのです。

――本作の特徴を教えてください。

Pelle: 『ULTROS』には、優雅な接近戦と宇宙的なガーデニングが融合したユニークな要素があります。悪魔が眠る漂流宇宙ステーション“サルコファガス”に入ると、昆虫のような生き物がたくさん現れます。そこで剣を振るうのもいいですが、種を植えて自然の世話をするのもいいでしょう。

旅を始めると、色とりどりの植物や奇妙な樹木が生い茂る、豊かな世界を発見することでしょう。様々な植物を育んでこそ、サルコファガスの真の謎を解き明かすことができるのです。

ゲームはループ、カルマの輪廻によって進行していきます。このループはあなた(プレイヤー)をサルコファガスの奥深くへ誘うと同時に、自分自身の奥深くにも導いてくれます。

――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?

Pelle: まず第一に、よくできたメトロイドヴァニアを評価してくれるプレイヤーたちです。そして、全く新しい形状や色彩に心を開きたい方や、生命のカルマを感じさせる輪廻を体験してみたい方、自然との真のつながりを感じたい方なら、どなたでも。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

Pelle: 個人的には、デイヴィッド・リンチの作品が大好きです。彼のムードの作り方にインスパイアされ、謎をあまり明かさずに、ゆっくりと夢を見せるように詩的な情報の断片をプレイヤーに与えたかったのです。

他に挙げるなら、Niklas(El Huervo)がフランスの芸術家メビウスとドイツの生物学者エルンスト・ヘッケルの顕微鏡所見図鑑からインスピレーションを得たことを知っています。

――『ULTROS』では“カルマ”が重要な概念であると感じています。この“カルマ”について伺ってもよいでしょうか?

Pelle: 私たちは人間として、みな互いに繋がっています。私たちは自然の中の一部であり、さらに大きな全体の一部でもあるわけです。ですので、もし私があなたに危害を加えれば、それは私自身が傷つくことにもなる。そして私たちが地球を傷つけるなら、それは私たち全員に波及していきます。

私たちが「何を与えてどのように状況に対処するか」という行為は、私たちのカルマサイクルそのものに影響を与えるのです。

『ULTROS』では悪魔を世に放つとき、大混乱を引き起こして騒乱と破壊をもたらすことを望むのか、それとも古く陳腐な構造や信念を打ち壊し、私たちすべてに恩恵をもたらしてくれる良いものを築けるようにするのか、選択を迫られます。

――ゲームデザインにおいても、「選択」はかなり大きな意味を持ちます。『ULTROS』は開発プロセスでどのような「選択」をしましたか?

Pelle: 私たち開発者はゲームをひとつのアート作品として扱うと同時に、しっかりとしたゲーム体験も作り上げることが不可欠でした。ゲームそのもののメカニクス(戦闘中の動きやキャラクターの操作感、ガーデニング要素など)にも同じように気を配り、愛情を注ぐ必要があったわけです。

人々の興味をそそるためアートスタイルのみに頼るのではなく、技術面で自立しているゲームにしたかった。メトロイドヴァニアにローグライクを散りばめるという選択は、私たちのメッセージや創造性、ゲームに込めた愛情をプレイヤーに提示するにあたって、最善の方法だという信念から生まれたものです。

――本作の動画配信やそれに伴う収益化について注意すべき点があれば教えてください。

Pelle: 何も問題はないですね!

――最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。

Pelle: 日本にいる地球人、あるいは宇宙人の読者の皆さんへ、奇妙で素晴らしい夢に満ちた寒い北の王国、スウェーデンからご挨拶を送ります。私は何年も前に日本を訪れたことがありますが、いつかあの美しい国に戻れることを願っています。

希望に満ちた月が、私たちが共有する天体の暗闇をかき乱しますように。

――ありがとうございました!


  • タイトル:『ULTROS』

  • 開発元/販売元:Hadoque

  • 対応機種: PC (Steam/Epic Game Store)/PS4/PS5

  • 価格:3,520円(税込価格)

  • 発売日: 2024年2月13日

『ULTROS』公式HP
《高村 響》

ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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