1980年に生まれた『パックマン』は、当時殺伐とした設定のゲームが多かった中、幅広い人が楽しめるようにと作られたキュートでカラフルなゲーム画面が魅力的な作品でした。
今日では国民的ゲームキャラクターのひとつへと成長したパックマンですが、なんとバンダイナムコエンターテインメント新作『Shadow Labyrinth』では恐ろしい姿になって登場するとのことです。
その上、実は同作は、かつてのナムコ作品が好きな人にとっては、気になる要素がトレイラーや事前情報の時点で多すぎる作品であったりします。
そこで本記事では、バンダイナムコエンターテインメントより提供された短い試遊バージョンのレポートをお届けします。記事中のボタン表記はXboxコントローラーに準拠しています。
敵を「捕食」して生き延びよ
本作は、「『パックマン』の遺伝子を宿した」と謳われているダークな探索型2Dアクションゲームです。舞台は過去の戦争の遺物が残る荒廃した惑星で、主人公は謎の球体「PUCK」によって8番目の適合者として召喚されました。この世界で生きるには、敵と戦い、喰らわなければなりません。

探索型2Dアクションゲームとしては比較的オーソドックスな作りで、上下左右に広いフィールドを探索し、ザコ敵と近接主体の戦闘を繰り広げながら、新しいエリアを探して進行します。ゲームを進めると、Yボタンを押してエネルギー波を放つ「ESPブラスト」も入手でき、攻撃の幅が広がります。
特定の地形や敵に発射するとグラップリングフックのように移動・接近できる「ACTIVショット」や、ガードができる「ESPプロテクション」といった操作も用意されています。敵の攻撃はパリィもできます。

特徴的な要素としては、「捕食攻撃」が挙げられます。パックマンと言えば「食べる」ことが特徴のゲームですが、本作では倒した敵の死骸を捕食することで、ザコ敵からは素材、ボスからは新たな能力を入手することができます。倒したあとに「バクッ」と食べる様子は爽快で、いろんな敵を倒しては食べてみたくなります。

また、左右スティック押し込みで発動できる「GAIA」形態も魅力的。トゲトゲしく、胸にパックマンそっくりな機構を抱えるこのメカは戦闘能力が高く、特に巨大なボス戦でパワーを発揮します。
ナムコファンならゾクゾクしっぱなし。
2D探索アクションとしては手堅く楽しめる仕上がりになっている本作ですが、やはり気になるのはナムコ作品のさまざまな要素が取り入れられていること。本作はナムコが展開してきた「UGSF」シリーズに属しているのが特徴です。
「UGSF」はわかりやすく言えば一部のナムコ作品をつなぐ“裏設定”的な立ち位置の共通の世界設定で、『ギャラガ』や『エースコンバット03』、果ては『ディグダグ』や『ミスタードリラー』まで、数多くの作品が世界設定を共有しています。
裏設定的な立ち位置なだけにユーザーの間でも諸説あるこのシリーズですが、公式に認められているゲーム作品としては2016年にサービス終了したスマホ向けRPG『しんぐんデストロ~イ!』が最後であり、動きを見せるのは久しぶり。しかも、設定にかなり踏み込んできそうなこともあり、ファンの間ではすでにさまざまな考察が交わされています。

先述した「ESP」や「ACTIV」といった単語は「UGSF」を感じさせるものですし、「GAIA」はファミコン向けSTG『スターラスター』の自機の名前であり、「UGSF」で地球勢力が各作戦に使う決戦兵器にそれぞれ付けられる名前でもあります。

もちろんこうした名前だけでなく、ゲーム内の意匠やプレイパートにもそれが表れています。試遊後半のパートでは『ディグダグ』のプーカァとファイガーがややグロテスクな姿で登場。プレイヤーはACTIVショットをプーカァやファイガーに突き刺して破裂させられるという、原作に則った特殊アクションも用意されています。
今作には、UGSF公式年表には記載されていないもののその関連作とされる『ゼビウス』にまつわる内容も多く、主人公の能力強化後のSEにメインテーマのフレーズを入れていたり、各所で独自言語「ゼビ語」が見られたり、とあるザコ敵を倒すときのSEが完全に『ゼビウス』だったり、背景にボス的存在である「アンドアジェネシス」を思わせる意匠があったり……『ゼビウス』大好きな筆者はとにかくゾクゾクしっぱなしです。

そして、もちろん『パックマン』要素も本気です。フィールドにある青白い地形に触れるとプレイヤーは「ミニパック」状態になり、多くのゲーマーが知るパックマンほぼそのものな姿になります。この状態は青白い地形に張り付き、その形通り移動できるというものですが、パクパクするアニメーションの速度や「ワカワカ」という音は1980年代の初作そのまま。再現に愛とこだわりが感じられます。

設定周りでも気になるところは多数あります。今では「PAC-MAN」という英語表記が一般的な『パックマン』ですが、本作では「PUCK」という名前です。これはアーケード稼働初期の名前で、諸事情によって「PAC」に変更されたという経緯があります。そんな中あえて「PUCK」を使うのは何らかの意図があるはずで、本作の設定や物語を理解する上での鍵になってくるかもしれません。

また、「UGSF」シリーズに『パックマン』要素が取り入れられたのも気になるところです。これまでの「UGSF」は多彩なナムコ作品が入れられてきましたが、『パックマン』だけはある種聖域のように、これまで触れられてきませんでした。それがゲスト出演程度ではなく、ガッツリとゲームのメイン要素として関わってくるのは、やはり驚かざるを得ません。
試遊は約15分程度の短いものでしたが、この中にもナムコファンなら「ゾクゾク」する要素がギュッと詰まっていました。手堅く楽しいアクションはもちろんのこと、設定や物語にはぜひ注目したい作品です。

なお、同作は5月22日(木)より東急プラザ原宿「ハラカド」4階 特設イベントスペースにて開催される「PAC-MAN 45TH ANNIVERSARY 1980 IN SHIBUYA-HARAJUKU」にて、国内最速で一般向けの試遊台が出展されるとのことです。興味をお持ちの方は訪れてはいかがでしょうか。
■イベント概要
名称:PAC-MAN 45TH ANNIVERSARY 1980 IN SHIBUYA-HARAJUKU
開催期間:2025年5月22日(木)~6月1日(日)
営業時間:11:00~19:00
開催場所:東急プラザ原宿「ハラカド」4階イベントスペースを中心に、各店舗でコラボを実施
パックマン 45周年記念サイト:https://45th-anniversary.pacman.com/
『Shadow Labyrinth』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S/スイッチ/スイッチ2向けに7月17日発売予定です。
Shadow LabyrinthTM & ©Bandai Namco Entertainment Inc.
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