2025年5月16日、Steamの「月間トップリリースチャート」機能が更新され、2004年まで遡ってSteamトップセラーの歴史を追うことができるようになりました。この記事ではこの機能を利用して、気になるさまざまなトピックを追っていくことにします。
Steam最初のゲームはいったい何?

Steam最初のゲームは、2004年11月にリリースされたValve製FPS『Half-Life 2』です。本作が登場した時点ではSteamはまだ「Valve製ソフトのランチャー」という色合いが強く、同作はダウンロード販売の実験的な意味合いが強かったとされます。
実際にこの時点では、他のゲーム制作者による作品はSteamではまだ配信されておらず、2005年9月までは他のソフトは1本も配信されていません。

2005年10月に配信された、初のValve作品以外のSteam配信ソフトが『Rag Doll Kung Fu』です。以降2006年1月までは再びゲームの配信は無くなりますが、2006年2月より、さまざまなゲームがSteamでダウンロード配信されるようになります。
「カジュアルゲーム」はいつごろから配信されるようになったのか?
Steamと言えばいまだに「洋ゲー色が強い」「ハードコアゲームが多い」という印象を抱く方もいるかもしれません。が、調べてみるとシンプルかつ奥深い「カジュアルゲーム」のSteamにおける歴史は意外と長いのです。

2006年8月のトップリリースには5作品が名を連ねていますが、そのうちの3作、『Bejeweled 2 Deluxe』『Insaniquarium Deluxe』『Chuzzle Deluxe』がカジュアルゲームです。Steamにおけるカジュアルゲームの歴史は意外と長いと思ってよいでしょう。
Steamに国産ゲームはどのように浸透していったか?

筆者が今回調べた限り、Steamに国産ゲームが登場したのは2007年6月に配信されたカプコンの『Lost Planet: Extreme Condition』が最初の模様。
その後もカプコンは精力的にSteamにて、2009年9月の『バイオハザード5』、2013年3月の『バイオハザード6』などを配信しています。

また、Steamで配信された国産ゲームのマイルストーンとして忘れてはならないのが2010年9月配信の『ルセッティア ~アイテム屋のはじめ方~』です。これは国産インディーゲームのSteam進出の先駆けとなったほか、後に紹介する美少女ゲーム・Kawaii系ゲームにも影響を与えていると思われます。
そのほか、セガも2012年11月に『ソニックアドベンチャー2』をSteam向けにリリース(※日本国内で正式に遊べるようになったのはしばらく後、おま国)するなど、国産メーカーによるSteam進出の試みは続きました。
2012年3月には『イース フェルガナの誓い』もSteamに登場しています。ただしこれは海外パブリッシャーによる移植作品であり、日本語が実装されていない、いわゆる「おま語」としての登場となりました。その後も『イース』シリーズの移植は続くものの、「おま語」でSteam配信される……という状況が長く続いていました。

国産ゲームのSteamへの登場が爆発的に増加したのが2014年2月です。以降、国産ゲームもSteamでの存在感を強めていきます。
『ファイナルファンタジーXIV オンライン』『バイオハザード4』『ブレイブルー カラミティトリガー』『斑鳩』『片道勇者』『ストライダー飛竜(開発は海外スタジオ)』『アガレスト戦記(日本語なし)』、そして美少女ゲームブランドOVERDRIVEが外国人向けに開発したアドベンチャーゲーム『Go! Go! Nippon! ~My First Trip to Japan~』など、多数の国産ゲームが上位にランクインすることとなりました。
Steamにおける「美少女ゲーム」の始まりと伝播

「美少女ゲーム」に明確な定義があるわけではありませんが、「セクシーな女性主人公のゲーム」という意味合いなら、2006年9月に登場した『BloodRayne』がSteam最初の美少女ゲームといえます。
その後もこういった洋ゲー的な方向性の美少女ゲームと言えば、ララ・クロフト主人公の『トゥームレイダー』シリーズや、金髪ツインテールTバックギャル剣士が話題になった『X-Blades』シリーズも、月別トップリリースに名を連ねてきました。
2014年ごろからは、海外製ゲームでもアニメ絵を採用したセクシーな女性主人公ものが増えてきます。
2014年1月の『Loren The Amazon Princess』、2014年7月の「Sakura」シリーズデビュー作『Sakura Spirit』、そしてGBC時代からセクシーな女性主人公を貫いてきたメトロイドヴァニア『Shantae: Risky's Revenge - Director's Cut』などは代表格といえるでしょう。

そして、アニメ系美少女ゲームがSteamで一気に花咲いたのが2014年12月~2015年1月にかけてです。2014年12月には『ネコぱら Vol.1』、2015年1月には『Forward to the Sky』『eden*』『超次次元ゲイム ネプテューヌRe;Birth1』『Sakura Angels』『HuniePop』といったさまざまなアニメ系美少女ゲームが登場しました。
特に『HuniePop』は「Steamの配信では全年齢版を提供し、外部サイトで配布するパッチを導入して成人向け要素を解禁する」という、Steamで多く見られる成人向けゲームの仕様を確立したゲームとしても知られています。(『ネコぱら Vol.1』も結果としてその流れに手を貸した形になりました)
これらのゲームを皮切りに、Steamでも多くの美少女系ゲーム(成人向けを含む)が登場するようになったのでした。
「ローグライク」?「ローグライト」?

現在ではSteam外でも広く使われているジャンル名「ローグライト」。その表記を大々的にSteam上の宣伝文句として使用するはしりとなったのは、2013年6月リリースの『Rogue Legacy』です。
このゲーム自体は現在では「伝統的ローグライク」と呼称されるようなジャンルとは程遠い、横スクロールのアクションゲーム(死んでも世代をまたいで強くなる)。
しかし本作が「ローグ“ライト”」を自称したことは、以降「伝統的ローグライクとは程遠いが、ランダムな自動生成や繰り返しプレイによる永続的な強化要素のあるゲーム」が、“ローグライト”というジャンルで括られることがある理由のひとつになりました。
せっかくだから俺はSteam初のDRPGも紹介するぜ

Steamで最初に登場した3DダンジョンRPG(DRPG)は、2012年4月に登場した『Legend of Grimrock』です。本作は1987年に登場したリアルタイム3DダンジョンRPG『ダンジョンマスター』の精神を継ぐゲームとして世界中で話題となり、改めて世界中に「3DダンジョンRPG」というフォーマットが現代でも通用することを示しました。
日本では同ジャンルの息が絶えようとしていた2007年にアトラスより『世界樹の迷宮』が発売され、ジャンルが息を吹き返すのですが、それと同様の現象を『Legend of Grimrock』は世界規模で引き起こしていたのです。
以降、SteamにはDRPG長期シリーズの完全新作『マイトアンドマジック X』や、『Legend of Grimrock』に影響を受けたであろう多数のリアルタイムDRPGが登場し、そして日本製の『ウィザードリィ』からの流れを汲むDRPGや、『世界樹の迷宮』自体もSteamで配信されることになったのです。
今回は新たな機能である月別トップリリースを使用して、さまざまなSteamゲームについて振り返ってみました。読者の皆様も、Steamの歴史をぜひ振り返ってみてはいかがでしょうか。
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