気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、DeconstructeamとSelkie Harbour開発、PC向けに4月29日にリリースされたインタラクティブ短編エッセイ『Many Nights a Whisper』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、夢と重圧と期待をテーマに描く、インタラクティブな短編エッセイ。古代の儀式に参加するプレイヤーに与えられるチャンスは1度だけ。そしてその試みの成否によって、皆の運命は決定づけられます。日本語にも対応済み。
『Many Nights a Whisper』は、350円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Jordi こんにちは!DeconstructeamのJordi de Pacoです。Deconstructeamは、『The Red Strings Club』や『The Cosmic Wheel Sisterhood』のような物語体験の開発に重点を置いているインディーゲームスタジオです。私はライター、デザイナー、クリエイティブ・ディレクターを担当しています。好きなゲームは『メタルギアソリッド』で、初めて泣いたゲームですね。私の作る作品でも、他の方には同じような体験をして欲しいと常に思っています。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Jordi 本作は、1992年のバルセロナ・オリンピックの開会式からインスピレーションを得ています。アーチャーが遠くの聖火台に向かってオリンピックの炎を射ったやつですね。まさに緊張感と重要性を帯びた瞬間で、子供だった私の心に大きな印象を残しました。その感覚をゲームを通して探求し、インタラクティブな方法で直接体験できるようにしたいと思ったのです。このアクションを通してどんな物語を語れるかと考えたとき、テーマは明確でした。夢、重圧、期待です。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Jordi 本作を作るにあたって、他の映画やゲームのことは考えませんでした。イベリア文化と地中海からインスピレーションを得て、ゲームの世界と建物を作り上げました。私たちは新鮮さとオリジナリティを追求するため、他のメディアからではなく、生活からインスピレーションを得るようにしています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Jordi 全体の構成ができたとき、私はプレイヤーが経験するであろうプレッシャーを想像しようと、ゲームを最初からプレイしてみたのですが…脈拍が急上昇してしまったのです!最後の一発を射るとき、胸の鼓動がとても激しくなったのです。その瞬間、いいものができたと確信しました。このゲームの難易度については、もっと簡単にするべきかどうかという議論はありました…しかし、私は断固として、最後の一発は本当に厳しいものでなければならず、失敗する可能性が非常に高い結末でなければ、このゲームのメッセージは伝わらないと思ったのです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Jordi 本作は皆さんにとても気に入っていただけています!発売から2週間後には100%の好意的なレビューをいただきました。12年間ゲームを作ってきて、こんなことは初めてです。このゲームをプレイして泣いたという人たちには、本当に心を動かされました。多くの人が最後のショットに挑戦するとき震えていたと言っていました。これほど嬉しいことはありません。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Jordi 言語を増やすことはできるかもしれませんが、ゲームは現状のままです。1時間の体験で、非常に特殊な物語を語っていますし、他に追加することはありません。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Jordi はい!私たちは、自分たちのゲームの配信を見るのが大好きです。特に、配信者が自分の考えを声に出して案内してくれるような配信は、私たちの作品が彼らにどのようなアイデアや議論を触発するのかを知ることができます!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Jordi 私たちのゲームをプレイしていただき、本当にありがとうございます。Deconstructeamで作るものは、日本の皆さんにとても響くと感じていますので、もっと多くの日本人の方に遊んでいただきたいですね!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
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