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「将来的には日本の自治体ともコラボレーションしたい」2DACT『Haneda Girl』【開発者インタビュー】

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Studio Koba開発、PC向けに5月23日にリリースされた2Dアクション『Haneda Girl』開発者へのミニインタビューをお届けします。

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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Studio Koba開発、PC向けに5月23日にリリースされた2Dアクション『Haneda Girl』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、インディーゲームの傑作『Narita Boy』のスピンオフ的位置付けとなる2Dアクション。ハネダガールと戦術型メカ「M.O.T.H.E.R」の2つのキャラクターを瞬時に切り替えながら、必要に応じて戦闘スタイルを使い分けて進んでいくのが特徴です。レビュー記事も掲載中

『Haneda Girl』は、1,499円で配信中


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

Eduardo 私たちStudio Kobaは、スペインに拠点を置く小さなインディーゲーム開発スタジオです。私たちのミッションは、レトロな美学(特にピクセルアート)とモダンなゲームデザインを融合させた、情熱的で個性豊かなゲームを作ることです。エモーショナルなストーリーテリングと、ノスタルジーとフューチャリズムが共存する世界の構築に焦点を当てています。

私はEduardo Fornielesで、Studio Kobaの創設者です。ディレクター、ライター、ビジュアルアーティスト、レベルデザイナーとして様々なプロジェクトに参加しています。前作『Narita Boy』では、全体的なビジョンと世界観の構築を担当しました。最新作である『Haneda Girl』では、『Narita Boy』のスピンオフ作品として、楽しくて満足度の高いアクションゲームプレイを提供することに注力しました。

私たちの作品は、1980年代から90年代のアーケードゲームや映画、そして日本のアニメやゲーム文化から多大な影響を受けています。個人的に最も影響を受けたゲームは『スキタイのムスメ:音響的冒剣劇』で、その物語性と没入感のある世界観に魅了されました。

――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

Eduardo 本作の最もユニークな点は、「デュアルゲームプレイシステム」と主人公のモード切り替えです。プレイヤーは軽快な女子高生を操作して正確で俊敏なアクションを繰り出すことも、巨大なメカを召喚して強力な攻撃を繰り出すこともできます。プレイの仕方によって自由にスタイルを切り替えることができ、その自由度が本作の特徴となっています。

このアイデアは、形や機能が劇的に変化するキャラクターたちから着想を得ています。私たちは「女の子×メカ」というコントラストを追求したかったのですが、どちらか一方を優遇するのではなく、両方の形態に意味のある、明確なゲームプレイのアイデンティティを与えることを目指しました。

同時に、本作はアクションだけではありません。なぜ彼女は戦っているのか、どんな現実に直面しているのか、そんなことをプレイヤーに考えさせるような、さりげないストーリー要素をゲーム中に盛り込みました。その静かで内省的な雰囲気も、本作の魅力のひとつになればと思っています。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?

Eduardo はい、本作は強いゲーム感覚と即効性のあるアクションを備えた、ペースの速いアーケードスタイルのタイトルから多大な影響を受けています。影響を受けた主な要素としては、残虐で反射神経を試される戦闘とトップダウン視点を『Hotline Miami』から、スタイリッシュで流れるような動きを『Katana ZERO』から、正確な操作と満足感のある勢いは『Celeste』から、そしてメカのダイナミックな使用と機動性は『タイタンフォール』から、などが挙げられます。これらのゲームは、スピード、インパクト、反応の良いゲームプレイという、私たちの中核となる柱を形作っています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。

Eduardo 『Narita Boy』の開発中、私は自分の夢、感情、エネルギーのすべてを注ぎ込みました。完成したときには、もうこれ以上何も出来ないという気持ちになったのです。

ですから、もともと本作は異なる気持ちで開発を開始しました。もっと気楽に、楽しく、短時間でクリアできるものを作ろうと思ったのです。しかし、開発が始まると、すぐに自分の理想と現実のギャップにぶつかりました。予期せぬ難題が次々と現れ、結局、完成までに4年を費やしたのです。試行錯誤の連続で、精神的にも肉体的にも非常に過酷な、長く疲れる旅でした。

しかし、ひとつの転機が訪れたのは、東京ゲームショウ2024の会期中、プレイヤーたちが初めて本作を遊んでいる様子を見ていた時でした。彼らのプレイを見ていると、何が足りないのか、何を改善すべきなのかがはっきりと見えてきたのです。その率直なフィードバックが、ビジュアルの大幅なアップグレードにつながり、ゲームが大きく進化したと実感しています。

『Narita Boy』は私にとって初めてのゲームで、生々しく、情熱的なゴールへの疾走でした。その分、魅力もあったのですが、本作では、より一層、すべてにおいて丁寧に作り込みました。ようやく、心の底からハイクオリティなゲームができたと言えます。開発の苦悩と喜びが詰まった、私にとって思い入れの深いプロジェクトなのです。

――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。

Eduardo 私たちが受け取ったフィードバックの中で、最も印象的なもののひとつは、「5分間プレイするはずが、気づいたら2時間プレイしていた」と言うものです。

この一言が多くを物語っていると思います。この一言こそ、私たちが本作で実現したかった、「スピーディーでレスポンスの良いゲームプレイですぐに夢中になり、時間が経つのも忘れて夢中になってしまうような体験」を見事に表現しています。

寝る前やちょっとした休憩時間にプレイするつもりが、気がつくと戦闘のリズムや世界観の魅力、ステージをクリアする満足感にどっぷり浸かっていた、という声もいただきました。また、「もう1回プレイしたい」という気持ちになるという声も届いており、アクションゲームに対する最高の賞賛の1つだと思います。

本作は長くて物語性の強いゲームではなく、軽快で楽しく、リプレイ性の高いゲームとして設計されているため、このようなフィードバックには特にやりがいを感じます。プレイ中に時間を忘れてしまうというのは、システム、テンポ、全体的な感触が、私たちの意図通りになっているということでしょう。

――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。

Eduardo はい、いただいたご意見をもとに、いくつかの改善アップデートを予定しています。プレイヤーの声は私たちにとって大きなインサイトなので、今後も定期的にアップデートを続けていくつもりです。

アップデートが落ち着いてゲームが安定したら、ニンテンドースイッチなどのコンソールへの移植も考えています。

――本作の日本語対応について教えてください。

Eduardo 本作はリリース当初から日本語に対応しています。

ストーリーの舞台が日本ということもあり、私たちにとって日本はとても重要な地域であり、日本のプレイヤーたちとのつながりをとても大切にしています。日本から多くのサポートやファンアートをいただけたことに心から感謝しています。私たちのモチベーションに繋がっています。

東京ゲームショウ2024に出展した際には、それまでネット上での交流だけだった日本のファンの皆さんと初めて直接お会いすることができました。本当に心温まる、忘れられない経験でした。

また個人的には、2025年中にスペインと日本の二拠点生活を始める予定です。スペインを拠点としながら、現在は福島県に滞在していますが、今後も日本との関係をより密にしていきたいと思っています。すでに地名にちなんだゲームをリリースしていますので、将来的には日本の自治体ともコラボレーションしたいですね。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

Eduardo もちろんです!ぜひお願いします!

本作は、Steamでは今のところ皆さんから「ポジティブ」なフィードバックをいただいていますが、ゲームの知名度はまだまだです。パブリッシャーを通さずにセルフパブリッシングを決断したのは、この大切な「赤ちゃん」を養子に出さずに自分たちで育てたいと思ったからです。

そのおかげで、私たちは開発面で多くの自由を得ることができましたが、宣伝面では正直なところ、かなり苦労しました。だからこそ、配信やゲームプレイ動画を通じて、本作を広めてくださる方には本当に感謝しています。

あなたがゲームを楽しみ、その体験を他の人と分かち合ってくれるなら、それは私たちにとって大きな意味があることなのです!

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Eduardo 本作は、ドラマチックなストーリーで泣かせようというタイプのゲームではありません。むしろ、テンポの速いアクションゲームなので、気軽に楽しんでいただけると思います。とはいえ、ゲーム中にはほのぼのと心温まるような場面も散りばめていますので、皆さんが笑顔になってくれたり、少しでも温かい気持ちになってくれると嬉しいです。

もし、本作をプレイし楽しんでくださるなら、私たちはとても嬉しく思います。そして、プレイ後に「良い時間だった」と感じていただけたなら、ぜひレビューで感想をお聞かせください。あなたの感想は、たとえ一言でも、私たちにとって大きな意味を持ち、ゲームを作り続ける力になります。あなたのプレイが、この小さなゲームをより特別なものにするのです。ご意見をお聞かせいただけることを、心から楽しみにしています!

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について

本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。

ライター:Chandler,編集:Akira Horie》

ライター/バイク乗り Chandler

ゲームと風をこよなく愛する暇人。趣味は多い方だったはずが、最近は家でぼーっとしている時間が増えてきた気がしている

Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

Game*Spark副編集長。平日日中のニュースデスクおよび料理連載や有志翻訳者連載の基本担当。 2021年版以降の『ウィザードリィ外伝 五つの試練』イード側のディレクターも兼務中。

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