何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは? | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?

BitSummitでも話題を集めたサンドボックスRPGの開発者に訊きました。

連載・特集 インタビュー
何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?
  • 何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?
  • 何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?
  • 何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?
  • 何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?
  • 何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?
  • 何にでもなれる国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』開発者インタビュー!ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは?

高い自由度と膨大なデータ量を誇り、海外RPGのようなスケールを感じさせる畳部屋が開発する国産サンドボックスRPG『歴史の終わり』。すでにSNSを中心に、高い注目を集めています。

本記事では、京都・BitSummitで実施した開発者の榊原寛氏と、パブリッシャー・WORLDMAPの赤坂宗一郎氏へのインタビューの様子をお届けします。

ウォーキングシム開発者が骨太ジャンルに挑む理由とは

――畳部屋さんといえば、『NOSTALGIC TRAIN』や『FARAWAY TRAIN 最涯(さいはて)の列車』など、ウォーキングシミュレーター的な作品の印象だったので、こうしたRPGを開発するのは驚きました。なぜこのジャンルに足を踏み入れたのでしょうか。

榊原:ストラテジーゲームは昔から大好きで、子供の頃からコーエーのゲームを遊んでいたので、ずっと作りたいと思っていたんです。ただ、私はもともとプログラマーではないため、Unreal Engineとブループリントを少しずつ勉強してスキルを身に着けていく必要がありました。

『NOSTALGIC TRAIN』

『NOSTALGIC TRAIN』は、当時自分が持っていた技術の中で作りたいものを作り切りました。そうしてスキルを重ねていき、今回3作目にして、やっと夢のジャンルを開発できたという形です。

――本作が影響を受けたタイトルを教えて下さい。

榊原:コーエーテクモさんの作品の中では『太閤立志伝』や『三國志13』が好きで、武将プレイができるゲームが自分の中で最も理想的なジャンルです。

ほかにはトルコのTaleWorlds Entertainmentが開発している『Mount & Blade』シリーズを意識しつつ、それらのコピーにはならないよう、NPCたちのドラマを垣間見るという要素を引き出して差別化を図っています。

――キャラメイクの幅についてお聞かせください。女性主人公にしたり、登場するキャラクターを主人公にすることは可能なのでしょうか。

榊原:初期状態では「キャンペーンモード」がプレイ可能で、こちらはプレイヤーの顔や最初の所属は固定です。いくつかのパラメーターのランダム化や名前の変更はできます。

一度エンディングを見ると、「サンドボックスモード」が解禁されます。こちらではもっと自由かつ完全にランダムで世界やNPCが生成されて、その中の1人を選ぶことができます。顔、能力、地位を好きに選んで始められます。

――最初はある程度決まったメインストーリーを遊ぶのですね。

榊原:そうですね。ガッツリしたRPGのようにテキストやイベントが順番に起こるというほどではありませんが、チュートリアル的な役割を果たす魔女のキャラクターがいて、プレイヤーに次にやることをそそのかしてきます。最終的には世界征服をするという話になり、プレイの進め方次第ではバッドエンドになったり、本当に世界征服してしまったりという流れになります。

ただ、ゲームデザインとしては決まったイベントやストーリーを楽しむというより、あくまでNPCの人間関係や生き様、盛衰を楽しむプロシージャルな体験がメインです。

――サンドボックスモードには終了期限はあるのですか。

榊原:最終的な終了期限の年数は製品版までに調整が入るかもしれませんが、内部処理的に負荷が重くなりすぎず、少なくともNPC達数世代の歴史を見れるくらいに設定しようと考えています。

――ゲーム中コンテンツは、具体的にどのあたりが自動生成されるものなのでしょうか。

榊原:キャンペーンモードでは、20人くらいは手で作られたNPCです。3つの国も固定されていて、必ず出てきます。その他のもっとたくさんのNPCは自動生成で、名前や他のNPCとの関係、国籍や所属勢力、所有している領地や力関係などが自動で決まります。

NPCにはそれぞれ、各人生の目的があり、それに向かって勝手に動き始めます。その後はバタフライ効果のように、すべての動きが世界の動きそのものになっていきます。

――ゲームシステムとして、「憎悪と分断」をフィーチャーしているのが印象的でした。これを取り入れた理由は何ですか。

榊原:私個人の国盗りシミュレーションで好きではない要素を挙げると、自分の勢力が大きくなると他のNPCを圧倒して、消化試合になってしまうというところでした。憎悪と分断はそれを避けるためのアイデアで、ひとつの国ばかりが拡大し、戦争をしまくってていると、憎悪度と分断度が高まって崩壊度が上昇します。これが高まりすぎるとバッドエンドのひとつを迎えて、世界が崩壊してしまいます。

無限に拡大し続ければいいのではなく、ある程度大きくしたら、戦争をしすぎないよう押さえつつ、バランスを取る面白さを味わえるようにしています。こうすることで、ゲーム後半でも考える要素が続くような仕組みになっています。

――試遊版がすでに高い完成度でしたが、リリース方式は早期アクセスではなく正式リリースなのでしょうか。

榊原:十分な機能の実装やバランス調整、デバッグなどをすでにしっかりしてきておりますが、最終的な判断はパブリッシャー様とも相談しつつ後日発表する予定です。

――今後、リリースに向けてどういったところを改善していきますか。

榊原:ゲーム全体の機能は概ね揃っていて、残りは細かい調整です。内部テストプレイヤーやQAの方に常にフィードバックを求めていて、それを基にバランスを整えていきます。

――WORLDMAPさんにもお伺いします。今作のパブリッシャーになったきっかけは何だったのでしょうか。

赤坂:最初は弊社の代表がXで畳部屋さんのアカウントを見つけて、直接お声がけしました。インディーかつ個人開発でシミュレーションゲームを作っている人は非常に珍しいですし、他に類を見ないプロシージャルな物語生成や、システムとストーリーの“分厚さ”に惹かれて、パブリッシャーを申し出ました。

――WORLDMAPさんは他にもユニークな作品をパブリッシュしていますが、どういった方針で決めているのでしょうか。

赤坂:クリエイターさん自身が作りたいものを作るというところを大事にしています。弊社のメンバーはみんな尖ったものが好きなので、ジャンルへのこだわりはなく、いろいろな作品を探しています。

――最後に、楽しみにしている人へのメッセージをお願いします。

榊原:武将プレイやリコエイションゲームを基本としつつ、NPCたちが相互に関わって生まれるドラマや物語性、生き様の儚さを無限に生成することに注力しています。何百時間でも遊んでいただけるようなゲームになるよう、最終仕上げをしているので、ぜひ楽しみにしていてください!

――ありがとうございました!


『歴史の終わり』は、PC(Steam)向けに2025年冬発売予定です。

ライター:みお

ライター/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top