「日本の格ゲーから強い影響を受け、タイトルも格ゲー用語から取られている」対戦カードゲーム『Yomi 2』【開発者インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「日本の格ゲーから強い影響を受け、タイトルも格ゲー用語から取られている」対戦カードゲーム『Yomi 2』【開発者インタビュー】

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Sirlin Games開発、PC/Mac/Linux向けに8月5日にリリースされた対戦カードゲーム『Yomi 2』開発者へのミニインタビューをお届けします。

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「日本の格ゲーから強い影響を受け、タイトルも格ゲー用語から取られている」対戦カードゲーム『Yomi 2』【開発者インタビュー】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Sirlin Games開発、PC/Mac/Linux向けに8月5日にリリースされた対戦カードゲーム『Yomi 2』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、格闘ゲームにおける読み合いや駆け引きを対戦型カードゲームに落とし込んだ『Yomi』シリーズの2作目。投げのカードは防御のカードに勝つなど、格闘ゲームにおけるそれぞれの行動の強弱が反映されており、攻撃、防御、投げ、回避、特殊技などのカードが登場します。記事執筆時点では日本語未対応。

『Yomi 2』は、2,300円で配信中


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

DavidSirlin GamesのCEO、David Sirlinです。かつてはプロの『ストリートファイター』プレイヤーとして活動し、EVOと言う格闘ゲーム大会で3度、トップ8に入賞しました。長年EVOの運営にも携わり、「Playing to Win」という本の著者でもあります。さらに、『Super Street Fighter II Turbo HD Remix』のリードデザイナーを務め、多くのテーブルトップゲームやビデオゲームをデザインしてきました。

お気に入りのゲームをひとつに絞るのは難しいですが、『ストリートファイターII' TURBO』、私が手がけた『Super Street Fighter II Turbo HD Remix』、そして『ストリートファイターZERO2』はシリーズの中でも特に好きな作品です。また、『ソウルキャリバー』シリーズや『バーチャファイター』シリーズも大好きです。ジャンルが違う作品では、『エルデンリング』や『バイオハザード RE:4』もとても気に入っています。

――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

David本作のコアとなるゲームプレイは格闘ゲームをベースとし、競技的なプレイに合わせて調整されているため、とても戦略的で面白いものになっています。しかし、本当に本作を引き立てているのは、それを取り巻く数々の機能です。

例えば、ゲーム中のあらゆる出来事はすべて「ゲームログ」として記録され、画面上部からいつでもスライドして確認できます。見た目もスタイリッシュです。AIと対戦するときには「インテントグラフ(意図グラフ)」が表示され、そのターンにAIがどの行動を取る可能性が高いかを示してくれます。これは非常に優れた学習ツールで、状況によって「攻撃」「防御」「回避」などの行動の有効性が大きく変わることをプレイヤーに気づかせてくれます。

オンライン対戦にも素晴らしい機能があります。例えば「非同期プレイ」では、相手がその場にオンラインでいなくても自分のターンを1手ずつ進められます。また、フレンドリストからワンクリックで友人に対戦を申し込むこともでき、わざわざロビーを作成する必要もありません。

そして、おそらく最も面白いのはシングルプレイヤーキャンペーンです。そこには何十人(あるいは何百人?)もの異なるAI人格が用意されており、プレイヤーは「街で最高のYomiプレイヤー」を目指すことになります。アーケードの競技シーンや、そこで出会うさまざまな人々の個性を見事に再現しています。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?

David本シリーズは、まさに『ストリートファイター』のような格闘ゲームから直接インスピレーションを得ています。実はそれがかなりユニークなんです。まず、私はプロの『ストリートファイター』プレイヤーであり、『Super Street Fighter II Turbo HD Remix』のリードデベロッパーも務めていました。その頃、格闘ゲームのエッセンスを取り入れたカードゲームを作りたいと思っていたのです。格闘ゲームがなぜ楽しいのかを、難しい操作が苦手な人を含め、もっと幅広い層に伝えたかったのです。実際、最初は「『ストリートファイター』のカードゲーム」として企画されていました。

しかし、カプコンUSAの経営陣が交代し、私との契約は守られませんでした。その後、新たな契約が結ばれましたが、再び経営陣が交代し、その契約も守られませんでした。そこで私は「自分だけの格闘ゲーム」を想像することにしたのです。それが『Fantasy Strike』という架空の格闘ゲームでした。頭の中でそのゲームをデザインし、それをベースに『Yomi』というカードゲームを作りました。そして、さらに数年後には、実際に『Fantasy Strike』という格闘ゲームを開発したのです。

『Fantasy Strike』は『ストリートファイター』のような奥深さと戦略性を持ちながら、操作ははるかに簡単にしました(『ストリートファイター6』の「モダンタイプ」よりもずっと簡単です)。この発想の根本には、格闘ゲームをもっと多くの人に楽しんでもらいたい、という思いがありました。

『Fantasy Strike』を完成させたあと、私は『Yomi』の続編、『Yomi 2』を作ることにしました。これによってカードゲーム内の多くの技や動きを調整し、『Fantasy Strike』のゲーム性により合う形にできました。ですが、それだけが続編の目的ではありません。デザインを現代化し、ルールをよりシンプルにしつつ、新たな奥深さを導入するチャンスでもあったのです(例えば、手札のカードを捨て札と入れ替えることができる「交換」機能などです)。

本作は、私が長年抱いてきた「格闘ゲームをカードで表現する」というアイデアを、完全に実現した作品だと言えます。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。

David開発の過程で最も印象に残っているのは、本作の開発が始まった最初の瞬間です。私は前作のトップトーナメントプレイヤーの一人と話をして、自分のアイデアを伝えました。前作では、1枚のカードに2つの技(片方は上下逆さ)が書かれており、戦略的には優れているのですが、カードがごちゃごちゃして見えるという問題がありました。そこで私は、カードを1枚1技にすれば見栄えが良くなるのではないかと考えたのです。そのうえで、新しい「交換」システム(手札のカードを捨て札と入れ替えるシステム)を導入すれば、ゲームとして成立すると説明しました。さらに、スピード数値の扱いを変更すれば理解しやすくなり、タイミングルールをすべて見直せば、将来的に非同期プレイも可能になる、と伝えたのです。

ただし、これらのアイデアにはすべてトレードオフがあり、何かを失う可能性があるため、私は自分自身とても懐疑的でした。ところが、反対されると思っていたそのトーナメントプレイヤーが、すべての提案を「大きな改善になる」と言ってくれたのです。彼は「確かに小さな要素は失われるかもしれないが、その代わりに大きな要素が得られる。そして新しいゲームは、その利点を最大限活かして、より良いものになるだろう」と語ってくれました。

その瞬間、私は本格的に本作の開発を始める決意をしました。彼の自信に背中を押されたのです。そして今、本作が完成した今では、彼の言ったことがすべて正しかったと実感しています。

――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。

Davidオンラインシステムが使いやすいというフィードバックをいただけたのはとても嬉しかったです。また、競技的なアーケードゲームの文化に馴染みのない人たちが、本作のシングルプレイヤーキャンペーンを通して「その文化がどういうものかを学べた」と言ってくれたのも印象的でした。

しかし、最も記憶に残っているフィードバックは、本作のマーケティングディレクターであるLeontesからのものです。彼は前作のトップトーナメントプレイヤーのひとりでもあり、実際前作は彼にとって一番好きなゲームでした。だからこそ、彼が本作をあまり気に入らないだろうと私はほぼ確信していたのです。通常、ゲームのトッププレイヤーはその作品の変化を望まないものだからです。

そこで、テーブルトップ版の本作が十分に遊べる形になった時、私は彼にそれを見せました。その際、「もし前作の方が好きでも構わないよ」と伝えていました。しかし驚いたことに、彼はとても興奮し、その場で本作の方をより気に入ってくれたのです。彼は私の部下でもありますが、正直に意見を言ってくれる人物です。

トップ競技プレイヤーを満足させるのがどれほど難しいかを私はよく知っています。だからこそ、彼をも満足させるものを作ることができたと言うのは、今でも忘れられません。

――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。

David本作は、テーブルトップ版としておよそ5年間開発が行われました。デジタル版も同様に長い間早期アクセスとして提供していたため、すでに膨大な量のフィードバックを受け取り、それに基づいて改善を行ってきています。現時点で本作は完成しているので、今後のアップデートの予定はなく、行うとしても細かなバグ修正程度になると思います。

――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?

Davidすでに有志が本作の日本語翻訳に取り組んでくれており、すでにかなり進めてくれていますが、まだまだ作業は残っていて、彼らだけでは完成が難しい状況です。もしあなたが翻訳を手伝ってくだされば、作業完了後すぐにでも日本語版をリリースできるでしょう。

これは私にとって大きな助けになります。なぜなら、私は本作の日本語版を単なる対応言語のひとつとは考えていないからです。本作は日本の格闘ゲームから強い影響を受けており、本作のタイトルそのものも格闘ゲーマーの使う日本語の用語から取られています。だからこそ、日本の皆さんに届けられることは、私にとって特別な意味を持つのです。

もし翻訳に協力していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひこちらまでご連絡ください。これまで翻訳作業をまとめてくださっているファンの方です。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

Davidはい、ぜひ配信してください。コミュニティの拡大や、レビュー、シングルプレイヤーキャンペーンのプレイ動画、トーナメントなどを見るのをとても楽しみにしています。配信の収益化も自由に行っていただいて構いません。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

David日本のプレイヤーの皆さまへ…私はずっと、日本のゲーム、そして日本のゲーマーの皆さんを敬愛してきました。日本を訪れた際には闘劇でアメリカ代表として出場し、また毎年EVOに日本のプレイヤーたちが訪れてくれるたびに、友人として交流を深めることができました。私のお気に入りのゲームも、すべて日本の作品です。

本作は、私が格闘ゲームから学んだことを反映した作品であり、日本のファンの皆さんに評価していただけるなら、それは私にとって特別な意味を持ちます。まるで文化と文化のキャッチボールのようなものです。競技的な挑戦を求めるプレイヤーの方も、格闘ゲームやアーケードゲームの文化の雰囲気を味わいたいと言うカジュアルプレイヤーの方も、ぜひ一度遊んでいただければと思います。

またお知らせとして、テーブルトップ版『Yomi 2』はクラウドファンディングを終了し、約2か月後にはsirlingames.comにて一般販売が開始される予定です。これは英語版になりますが、日本への発送にも対応しています。デジタル版は現在Steamで配信中で、日本語翻訳を手伝っていただける方がいれば、すぐにでも日本語対応アップデートを行いたいと考えています。さらに、コンソール版についても開発を進めており、数か月後にリリース予定です。

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について

本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。


ストリートファイターII【劇場版】 [DVD]
¥4,227
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:Chandler,編集:みお


ライター/バイク乗り Chandler

ゲームと風をこよなく愛する暇人。趣味は多い方だったはずが、最近は家でぼーっとしている時間が増えてきた気がしている

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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