2025年は個人開発から生まれたゲームが2作も映画化された記念すべき年となりました。一作は『マインクラフト』、もう一作は『8番出口』。KOTAKE CREATEによる同作は、ループする不気味な地下鉄通路で異変の有無を探し、なければ先へ進み、あれば引き返すというシンプルながら新鮮な遊びで大ヒットを記録しています。
本記事では8月29日より公開予定の映画「8番出口」を紹介しつつ、Game*Spark独自の感想をネタバレに配慮しながらお届けします!また、キャンペーン情報についてもご紹介します。本記事は東宝株式会社より招待いただいた試写会の内容を基に執筆しています。
豪華スタッフの手によるインディーゲーム映画化
映画「8番出口」の監督は川村元気氏。「君の名は。」以降の新海誠監督作品や「来る」「怪物」などのプロデュースで知られ、長編映画の監督作としては「百花」以来の二作目となります。「百花」ではサン・セバスティアン国際映画祭で日本人初となる最優秀監督賞を受賞しましたが、「8番出口」もカンヌ国際映画祭でミッドナイト・スクリーニング部門に選出され、上映後はスタンディングオベーションを受けました。

主演キャストは主人公である“迷う男”を二宮和也さん、“ある女”を小松菜奈さんが務め、そして原作の数少ないキャラクターであり愛される存在である「おじさん」こと“歩く男”は河内大和さんが怪演を見せます。“歩く男”はゲームそのままの奇怪な魅力を放っており、立て看板や予告映像など事前プロモーションでもすでに存在感を発揮しています。
映画と『8番出口』の親和性
原作ゲーム『8番出口』はストーリーが存在しない作品のため、どう映画化するのかが誰しも興味を引かれるポイントでしょう。本作はオリジナルのストーリーを採用していますが、原作の世界観や設定を壊すものではありません。“迷う男”である主人公は、地下通路へ迷いこみ出られなくなるという展開から幕を開けます。

「キューブ」「ソウ」など限られた状況を題材としたソリッド・シチュエーションという映画ジャンルがあり、多くは脱出を目指し、独特のルールが存在する場合も珍しくありません。ゲーム『8番出口』は考えてみれば確かに、こうした映画ジャンルと同等の舞台設定です。加えて、超常現象が心理描写と繋がるという点において、近年のA24が手がけるような映画らしさもあります。つまり、どう映画化するのかという疑問とは裏腹、意外にも伝統的な映画ジャンルとして楽しめる一作となっています。
映画でも異変探しが楽しめる
ビデオゲーム原作の映画として見たとき、本作は新鮮に映ります。ビデオゲームは原則として視点人物にカメラが固定されるものですが、映画は次々と視点を切り替え、時間を圧縮し、前後を入れ替え、異なる映像同士を繋ぐことで意味を生み出すメディアです。このカメラを編集する工程なしでは、ビデオゲームは映画にはならないものです。
映画「8番出口」の独特さは、映像の大半で視点人物にカメラを固定している点です。カメラは基本的に登場人物を背後から長回しで追い続け、二宮和也さんの顔よりも背を長く見ているのではないかという独特な体験をもたらしています。二宮さんは背だけでも見事な演技を見せるのも注目のポイントです。

長回しの映像による最大の効果は、観客が原作ゲームさながらの異変探しを楽しめるという点です。異変発生箇所を指差し確認する主人公の様は、まさにプレイヤーのプレイ体験そのものです。さらに、主人公が見逃す異変すらもカメラは余さず映しています。原作ゲームは動画配信でも盛り上がりを見せていますが、プレイヤーたる主人公が異変に気付かず苦しむ様を見るのは同等の味わいがあり、自分自身も見逃すと巻き戻し再生したくなるほどです。
原作ゲーム『8番出口』は通常ならば目を背けたくなる超常現象を積極的に探し出し、楽しむというゲームでした。ファンならば、心に残る異変も一つや二つではないでしょう。映画「8番出口」は、そうしたゲーム体験を映画として作りあげるという点において、希有なビデオゲーム原作の映画であるといえます。
映画公開に合わせキャンペーンも続々
映画の公開に合わせて、さまざまなキャンペーンも実施されています。
まず、ゲーム『8番出口 Nintendo Switch 2 Edition』が映画公開と同日の8月29日に、定価570円でリリースされます。スイッチ版からのアップグレードは100円で、解像度とフレームレートが向上するほか、映画公開を記念した新たな異変が追加されます。こちらは無料アップデートとしてPCおよびスイッチで配信予定で、その他プラットフォームでも順次対応する予定です。
また、同日8月29日より映画化記念に特別バージョンのパッケージ紙が全国小売店にて数量限定で配布されます。ニンテンドースイッチ、PlayStation 4、PlayStation 5の各パッケージに差し替え可能です。
![]() | ![]() | ![]() |
さらに、こちらも映画公開日の8月29日から11月3日まで、「東京メトロ脱出ゲーム」が催されます。キットを読み解きつつ、実際に東京メトロの駅を巡り、異変を探すリアル脱出ゲームとなっています。参加費はキット単体が3,300円、東京メトロオリジナル24時間券付きキットが4,000円となっています。
そして、Game*Sparkの中にも異変が起きているようです。左上をよーく見ると……!?
映画「8番出口」は、原作ゲーム『8番出口』に独自のストーリーを加えた独特なゲーム原作映画です。原作が有していた不気味さを存分に生かしており、映画ファンも原作ファンも安心して見られる一作となっています。
『8番出口』だからこそできたゲーム体験の映像化にも踏み込んでおり、近年流行を見せるゲーム原作映画の中でも独特の魅力があります。ファンならば原作さながらに異変探しを楽しむのも、また一興です。
すでに実施されているものも含め、今度も各種キャンペーンを多数展開予定のため、お見逃しなく。
映画「8番出口」
タイトル:8番出口
公開日:2025年8月29日(金)
監督:川村元気
主演キャスト:二宮和也、小松菜奈、河内大和
『8番出口 Nintendo Switch 2 Edition』
対応機種:ニンテンドースイッチ2
発売日:2025年8月29日(金)
価格:570円(スイッチ版からのアップグレードは100円)
©2025 映画「8番出口」製作委員会










