秋田書店が発行する少年漫画誌「チャンピオン」といえば、1991年より連載を開始した格闘漫画「グラップラー刃牙」から始まる「バキ」シリーズが有名ですよね。「グラップラー刃牙」は板垣恵介氏が描き出す格闘ロマン。烈海王や花山薫、ジャック・ハンマーや愚地独歩といった個性的なキャラクター、大迫力のバトル描写や数々の名言(迷言)を生み出した至高の格闘漫画シリーズです。
2024年には累計発行部数が1億部を突破したことに加え、Netflixで配信中のアニメ「バキ」も大ヒット中で、国内のみならず海外でも人気を誇っています。
格闘漫画の金字塔「バキ」をベースにした2D格闘アクション『範馬刃牙: Blood Arena』が、2025年9月11日にPC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けに発売されました。開発はアルゼンチンのスタジオPurple Treeが手がけており、コンソール版はEastasiasoftと提携してリリースされます。
今回は学生時代から「バキ」シリーズの熱狂的ファンである筆者が、地上最強の漢(オトコ)になるべく本作を先行プレイ。その模様をお届けいたします!
なお、本稿は開発元よりSteamキーの提供を受けて執筆しています。また、本稿のプレイ内容と実際の製品版の内容は異なる場合があるのでご了承ください。
◆「バキ」ワールド全開ッッ!『範馬刃牙: Blood Arena』とは

本作は、「バキ」の世界観にインスパイアされた2D格闘アクションゲーム。プレイヤーは、主人公の「範馬刃牙(ハンマ バキ)」を操作して、それぞれ独自の強み、個性的なクセ、ユニークな戦闘スタイルを持つ、「グラップラー刃牙」シリーズでお馴染みの強敵に立ち向かい、“最強”の称号を手にれるために激闘を繰り広げていきます……ッッ!

『範馬刃牙: Blood Arena』は大きな特徴が2つあります。まず1つ目は、濃厚な「バキ」ワールドを存分に味わえること。主人公の範馬刃牙をはじめ、烈海王やジャック・ハンマー、花山薫、愚地独歩、そして“オーガ”こと範馬勇次郎など、シリーズ屈指の人気キャラたちが登場し、格闘技の聖地「地下闘技場」や原作の名シーンを再現したバトルフィールドで激突。
また、滑らかなアニメーションが描き出す華麗な動きや必殺技、作中で強烈な印象を残したそれぞれの名台詞など、「バキ」ファンにはたまらない演出が随所に盛り込まれています。

さらに、戦闘は名作ボクシングゲーム『パンチアウト』を彷彿とさせる現代では珍しい縦画面の2D格闘システムを採用。画面奥にいる相手の攻撃を左右手前に避けたり、タイミングに合わせてガードして、対戦者の「クセ」を読み合う駆け引きの緊張感がめちゃくちゃアツいッッ!

そして激しい打撃を叩き込んでゲージを溜め、原作さながらの強烈な必殺技が炸裂したときの爽快感も気持ち良すぎる…!さあ、小さな地下クラブから壮大なトーナメントまでランクを駆け上がり、神をも凌駕する戦士となるための最終決戦に挑みましょう。
それでは皆の衆、
ワシ(筆者)もじゃ ワシもじゃみんな
◆操作方法、対応言語、ゲームモード

おっとその前に各種設定を見てみましょう。本作は、キーボードおよびコントローラー操作に対応。筆者は今回Xboxコントローラーを使用しましたが、サクサクと快適に遊べました。操作タイプはオプションで変更可能です。
また、言語は日本語字幕に対応しています。キャラ名やチュートリアル説明、キャラ同士の掛け合い、ストーリーモードにおけるナレーションなど、ローカライズはまったく問題なく、「バキ」の世界観を壊すことなくプレイに没入できました。

現時点でプレイ可能なゲームモードは、原作における“最大トーナメント編”を基にした「アンダーグラウンドトーナメント」、コンティニュー不可の高難度「サバイバルアリーナ」の2つ。そして近日公開予定の「死刑囚サーガ」は、“死刑囚編”を基にしたモードだと思われます。凶悪なスペックや柳龍光を早く見てたいですね…!
◆持ち味をイカせッッ!相手の攻撃を「見切る」読み合いが楽しい『パンチアウト』風激闘バトル

さあついに本編がスタートッッ!!ゲームモードは、ストーリーとチュートリアルを兼ねた「アンダーグラウンドトーナメント」。舞台はお馴染み、東京ドーム奥深くにあると噂の地下格闘技のメッカ「地下闘技場」になります。



最初に、アニメ「バキ」そのまんまの高品質なムービーが流れてあらすじを解説してくれます。原作を知らないプレイヤーには簡潔なイントロダクションになり、ファンに向けても没入感がさらに高まる素敵な開始方法(はじまりかた)ですね。

暗黒街で磨いた実戦カラテ!!
神心会のデンジャラス・ライオン加藤清澄だ!!!
原作(「グラップラー刃牙」より)
初戦は、武神・愚地独歩が創始した「神心会空手」所属のデンジャラスライオンこと加藤清澄ッッ!元々は裏社会に身を置いており、その実戦的なケンカ空手が大きな特徴です。別名「キャオラ兄さん」。

試合前の対戦相手との掛け合いも見どころ。原作やアニメのキャラ設定に準じたやり取りが再現されているため、違和感などはなく、開発側の「バキ」愛がしっかりと伝わってきます。

加藤戦は、チュートリアルも兼ねているので操作方法と戦闘システムをガッツリ学べます。基本攻撃は、まずYかBボタンで顔面への上段攻撃、XかAボタンで下段攻撃です。ボタンによって攻撃部位が変わってくるんですね。


画面中央付近に攻撃範囲がとどまるものであれば、スティック←→入力でパンチなどを回避できます。ヒラリと軽やかに躱す刃牙の動きがちょっと面白い。
また、スティックを↓に入力すれば、空中廻し蹴りなど高めの攻撃を避けることが可能。ただし、それぞれにキャラ独自の攻撃技を持っているので、どうやったら回避できるかは都度見極めないといけません。

さらに、高い攻撃や真正面からの攻撃は↑入力でブロックが発動。やみくもにやっても喰らうだけなので、しっかりと攻撃が当たる瞬間に合わせます。


LBかRBボタン長押しでチャージ状態になり、溜めてからXボタン入力でパワーアタックが炸裂ッッ。通常攻撃の2割増しくらいのダメージを与えられるので連発したいとこですが、隙も大きく反撃されかねない諸刃の剣。
しかし、うまくパワーアタックを極めまくれば一定時間フラフラになるので一気にラッシュのチャンス!


そして、攻撃がヒットするたびに画面下の「スーパーメーター」が上昇していき、フルチャージされるとLBRBボタン同時押しで“スペシャルアタック”を放てます!なんと専用のアニメーションまで流れる充実ぶり。ここぞ、というタイミングで使いたい必殺技です。

なんとか先制ダウンを取った筆者。初勝利か……?!と思いきや、10カウント画面になりまだ終わってない様子。この時の「加藤!」とか「待てッ!」とか、場外キャラの野次演出もまんま「バキ」っぽくて本当に素敵ですね。プレイヤーの気分をこれでもかと盛り上げてくれます。


本ゲームは、先に3回ダウンを取ったほうの勝ちなのでまだまだ油断は禁物です。最後の試合で体力をすべて削るとゲージが出現し、Aボタン連打でフィニッシュブローを繰り出せます。これでようやく勝利となり、長き戦いが終結。次戦へと進みます…!

武術空手はこの男が完成させた!!
神心会の切り札!!愚地克己だ!!!
(原作「グラップラー刃牙」より)
さあ次なる相手は、加藤とは同門の「神心会」に所属し、愚地独歩の義理の息子でもある「空手界の最終兵器(リーサル・ウェポン)」こと、愚地克己の登場だッッ!その二つ名にふさわしく、規格外の身体能力と天賦の格闘家としての才能を持ち、原作における花山薫との死闘はまさに伝説的。人気と実力を兼ね備えるキャラクターです。


まず素早いジャブや顔面アッパー連打を繰り出し、ひるんだ瞬間に少しだけチャージしてパワーアタックを喰わす、というコンビネーションを初っ端に仕掛けていきガンガン体力を削っていきます。要は何も考えずに「ゴリ押し」でイケるでしょ、と高を括っていたのであります。

が、このゲームそんなに甘くありません。加藤戦の勝利で調子に乗った筆者は、「敗北を知りたい」などと嘯いていましたが、克己の前にアッサリ撃沈。とにかく連打してれば何とかなる、そんなふうに考えていた時期が筆者にもありました。

何とか2本目までは追い詰めるものの、結局逆転されて何度やってもマジで勝てません。どうすればいいんだ…!夜叉猿並の知能を持つ筆者も、ここに来てようやく自分の戦いかたが間違っていることに気づきます。


今度は、戦いの中で何がどう敗北の原因に繋がったのか分析を開始。そこで判明したのは、筆者は攻撃の回避が非常にヘタクソで、肝心な時に喰らってしまうことでした。ということは、なるべく攻撃を回避できれば勝てるかもしれません。
たとえば、相手の攻撃をよく観察すると、拳が光ったあとに高速の正拳突きが来たり、飛び足刀が来る直前はジャンプの予備動作があったり、何らかの攻撃の「予兆」があります。


もう一つ分かってきたのは、そのキャラ特有の「癖」とも言うべき決まった攻撃パターンがあることです。たとえば、低い正拳突きは左から右に繰り出したのち、必ず逆方向から2発目が来たり、回し蹴りも左と右から1発ずつ、といった具合に必ず一連の動き方は決まっています。
すなわち、攻撃予兆を見極める「読み」と瞬間的な「判断力」、そして何度も繰り返し戦うことで身についた「直感」をフル稼働すれば倒せるはず……ッッ!

すると精彩を欠いていた攻守のバランスも改良され、どんどんダウンを取れるように。こッこれかぁ~~!!と、菩薩拳が完成した独歩ばりに喜んだのもつかの間……

克己がダウンから復活した瞬間と同時に、強烈な必殺技をまともに喰らい死亡。しかし、なんとか次で筆者が勝ち、2-2で迎えた最終試合。


なんと、克己の形態が変化します…!これは原作のピクル編でも描かれた「イメージ力」によって全身の関節を増やし、超音速をも超えうるスピードを生み出すというもの。どういう意味かな、言ってることがワカらねぇや。と思うのも無理はないでしょう。まあ刃牙世界ではよくあるハナシです。
つまりパワーアップしたわけですが、この覚醒した最終形態の克己がガチで強い。ダメージ力が上がったうえに、技のパターンも若干変わっているため、攻撃が読みづらい。


けれども、このギリギリの緊張感を伴う駆け引きのスリルと、攻撃の読みが当たったときの快感は形容しがたいほど気持ちが良い。まさに、「脳内麻薬(エンドルフィン)」がドバドバ出てくるようなプレイ感覚でした。

実戦(ケンカ)だったらこの人を外せない!!
超A級喧嘩師 花山薫だ!!!
(原作「グラップラー刃牙」より)
さて、最後に紹介するファイターは言わずと知れた大人気キャラクターである喧嘩師・花山薫ッッ!!「素手喧嘩(ステゴロ)最強」の暴力団組長として界隈で名高く、束ねたトランプや500円硬貨をいとも簡単に引きちぎる超絶握力から繰り出される「握撃」、思いっきり拳を握って振りかぶる超破壊力のヤクザパンチ、両膝を撃ち抜かれてもひるまないタフネス、そして「侠客立ち(おとこだち)」と呼ばれる全身の切創(キズ)と入墨など、その際立った個性は作中屈指でもあります。

個人的に、「こちとら喧嘩師、いつだってたぎってる。好きなときに来な。」という名台詞の掛け合いがあったので嬉しい限り。

そんな花山の攻撃は単純にして絶大。見切るのは比較的容易ですが、なにか一発でも喰らうとすぐさま体力も持っていかれて瀕死状態に…!しかも、防御力が高くこちらの攻撃が効きにくい。


極めつけは花山のスペシャルアタック。「体重×スピード=破壊力」という刃牙世界オリジナルの公式でお馴染みの、渾身の振りかぶりパンチが飛んできます。予備動作が大きいので回避可能ですが、運悪く喰らっちまうと……なんと一発で死にます。さ、さすが超A級喧嘩師…。

花山戦もだいぶ苦戦しましたが、かろうじてフィニッシュブローを決めて勝利。しかし、「地上最強の男」になるまでまだまだ道のりは遠そうです……
『範馬刃牙: Blood Arena』は、アニメーションやキャラクターなど「バキ」の世界観を丁寧に描いており、ファンにとって戦闘も含め非常に満足感のあるゲームプレイを体験できると思います。また、『パンチアウト』を下敷きにしたシンプルかつ爽快感のある殴り合い、ハラハラするような「読み合う」緊張感のあるバトルが楽しめるので、原作やアニメを知らない新規プレイヤーの方にも、ぜひとも遊んで欲しいオススメの一作です。
タイトル:『範馬刃牙: Blood Arena』
対応機種:PC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2025年09月11日
著者プレイ時間:5時間
『パンチアウト』的なシンプルかつ爽快なドつき合いが楽しすぎる!「バキ」ワールドを存分に味わえたスパッッ















