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あなたは人間?独善的な裁きでカルマを積み続ける『No, I'm not a Human』は、疑心暗鬼が渦巻く居心地の悪いホラー【プレイレポ】

不気味な来訪者に疑心暗鬼が加速する人間選別ホラー。あなたは人間?

連載・特集 プレイレポート
あなたは人間?独善的な裁きでカルマを積み続ける『No, I'm not a Human』は、疑心暗鬼が渦巻く居心地の悪いホラー【プレイレポ】
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衝撃的で陰鬱な展開を見せる『Mouthwashing』や、シンプルなルールながら駆け引きが楽しめる『Buckshot Roulette』など近年の話題作を多く手掛けるCRITICAL REFLEXから新たに『No, I'm not a Human』が本日9月16日にリリースされました。

クセの強いCRITICAL REFLEXパブリッシング作品の中でも『No, I'm not a Human』はリリース前から大きな存在感を放っており、SteamではDemo版であるのにもかかわらず3000件以上のレビューと「圧倒的に好評」のステータスを獲得しています。そんなDemoの中でも言及されていた通り今作は「秋」に正式なリリースを迎えた形です。

結末を明かすことなくプツンと切れたDemo版から正式リリースを迎えて、作品はどのように仕上がってきたのか。その辺りも含めて本記事では『No, I'm not a Human』のプレイレポートをお届けします。

「来訪者」を家に入れるな:一筋縄ではいかないゲームプレイ

ある夜プレイヤーはドアをノックする音に気がつきます。

一人称視点で玄関まで歩き、覗き穴から外の様子をうかがうと、近所のおじさんがプレイヤーを心配して様子を見に来てくれたようです。なんでも太陽に異常があるとか。明日また会う約束をしてその日は眠りにつきます。

ありがとう、アス比が横に長い気がする隣人さん

次の日、朝起きるとあまりの眩しさに外を見ることができません。

テレビも非常事態を伝え、外出を控えるようアナウンスする事態に発展しています。お隣さんに話を聞くと、「日中は外に出ないこと」そして「”アイツ”にやられないよう一人でいないこと」を伝えられます。

なんだか長い気がします

再び夜になると、安全な場所を求めて人が訪ねてきます。「一人でいてはいけない」と伝えられたものの彼らの素性は分からず、なんだか不穏な雰囲気をまとう人ばかり。覗き穴越しに得られるわずかな情報だけを頼りに、家に入れる人間を選んでいきます。暗闇に紛れて見えてくる彼らの姿はどれも不気味に映り、疑心暗鬼を加速させます

次の日のテレビでは「来訪者」と呼ばれる人間に擬態した生物の見分け方が紹介されています。「来訪者」は巧みに言葉を操り、家に入っては住人を襲うとも言われています。

昨日家に入れてしまった人たちを家主として「検査」する必要があります。

来訪者には「白く整った歯」があるらしい

検査を行うためには左上に表示されている「体力」を消費する必要があります。日中は家の中でも暑く、注意深く行う検査を行えば体は消耗してしまうためです。

墓地で働いていた彼の歯には真っ白な歯と、死者から抜いたという金歯が覗いています。「来訪者」の徴候は「白く整った歯」に現れる。確かに白い歯をしていますが、盗んだ金歯をどう判断すればよいでしょう?

そんな葛藤をよそに彼を撃つべきか否か、という究極の選択をこんな真昼間から突き付けられます。盗んだ金歯は確かに倫理的に問題があるものですが、こんな異常なシチュエーションではかえって彼が人間であることを示すようにも思えます。

葛藤の末に彼を撃つことに・…。いったい何が起きるのかと、目を見張っているとそこには体を吹き飛ばされた死体がゴロリと転がっていました(酷くグロテスクなため画像は割愛)。彼は本当に「来訪者」だったのか、それともただの「人間」だったのか。ハッキリとした結論を知ることは、まだできませんでした。

その日の夜、またしても新たな根無し草たちがドアを叩きます。そこには明らかに異常な生き物が立っていました。ソレは自分が脅威であることを隠さないまま「家に一人でいるのか」聞いてきます。

「一人ではない」と答えるとソレは人の予感を感じ取ってどこかへ行ってしまいました。もし本当に一人でいたなら、無事に済んだ保証はありません。

一人の恐怖と昼間の罪悪感が手伝ってドアをたたいてくる全ての人を受け入れていき。なんだ、みんないい人たちじゃないか、と。次の日の朝、目を覚ますと…

今夜ここで誰か死んだ臭いがする

朝起きるとキッチンにはどこか赤黒いビニール袋がポツンと置かれています。昨日受け入れた誰かが「来訪者」だったのでしょう。何もかもがうまくいきません。

そんな絶望に打ちひしがれている中、テレビは新たな「来訪者」の見分け方を伝えてきます。「次は爪をチェックしよう!」と。

世紀末にしては、おしゃれなネイル

プレイヤーはこの家の中にいるはずの「来訪者」を求めて「検査」を続けます。しかし、その人の爪が汚れていたとして本当に「来訪者」なのでしょうか?歯が白いことも、爪が汚れていることも決して珍しい話ではありません。

しかし、家の中に「来訪者」がいることは確か。このような疑心暗鬼を常に想起させる一連の流れが『No, I'm not a Human』の骨子という事ができるでしょう。

Demo版から追加された要素と結末

Demo版には無かったOP映像

ここまではDemo版と同様のゲームプレイの一連の流れをお伝えしました。それでは製品版のリリースに伴って追加された要素は何なのでしょか?当然と言えば当然ですが、それはプレイヤーがその手を血に染めながら積み上げた先にあるもの、つまりはエンディングです。

誰を家に入れるのか?「来訪者」の徴候のある人を撃つべきか?というゲームプレイはDemo版でも途中までは存在しました。しかし、まるで世界が急に終わったかのようにプツンとDemoは終わりを迎えました。

一方製品版では少なくとも10のエンディングが用意されていることが確認できました。プレイヤーが苦しみながら下した結論が何を導くのか、悲劇的なEDもあれば、独善的だった己が裁かれたことに安堵するかのような気持ちになるエンディングまで様々です。あなたの下した判断は正しかったのか、ぜひ見届けましょう。

また「秋まで直らない」と言われていた電話をかけられるようになっています。隣人のおじさんに教えてもらった番号にかけて近況を聞くこともあれば、ラジオやテレビで番号を入手した先に電話をすることもできます。

また部屋の中の物を調べられるようになっていたり、翻訳やUIの改善もありDemo版からの細かいブラッシュアップもうかがえます。Demo版で既に26個も用意されていた実績は、49個に増えておりプレイヤーが起こせるアクションが分岐によって多数用意されていることもうかがえます。

唯一の希望 でかにゃんこ

以上、期待のホラー『No, I'm not a Human』のプレイレポートでした。疑心暗鬼に次ぐ疑心暗鬼を誘発させるソリッドシチュエーション(狭い空間で展開されるジャンル)作品として非常に完成度が高いだけでなく、プレイヤーがゲームに関与できると感じられる要素の比重が大きく、その分だけ自身の決断に重い感情を持たせられる非常によくできた作品でした。

筆者は執筆時点で3つのエンディングしか見られていませんが、何度もプレイを重ねるごとにタイムリーパーよろしく、誰が「来訪者」の可能性が高いのか、という目星がついてきて穴埋め推理ゲームのような様相を呈してくるのも今作の興味深いポイントです。また今作の翻訳を手掛けるのは同パブリッシャー作品の『Mouthwashing』と同じくnicolithさんが担当しています。人間臭さを感じさせるセリフ翻訳のお陰で、来訪者と人間の見極めにより深く悩むことになります。

全ての謎を解き明かし、自分の決断の行く末を見るとき、果たしてあなたはHumanでいられるのか。『No, I'm not a Human』はSteamで配信中です。

ライター:ようげ,編集:みお

ライター/3D空間を一人称視点で歩くのが好きです。 ようげ

隠れた宝石のようなゲームを日々探しています。 英日ゲーム翻訳者としても活動中。

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編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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