
みなさん、ボクシングゲームは好きですか?かくいう筆者は、実は好き嫌い以前にジャンル全体のプレイ経験がほとんど無し。
ミニゲーム集的なタイトルに収録されているものを除けば、任天堂の『パンチアウト!!』ぐらいしか遊んだことがありませんでした。

しかし、そんな筆者でも名前だけは知っていたゲーム、それが『ボクサーズロード2 ザ・リアル』です。本作は2006年9月にアーテインが発売、グランプリが開発したPSP向けボクサー育成アクションであり、初代『ボクサーズロード』はニューという企業がリリースしていましたが、前述の2社はこの会社を分社化したもののため、実態としては同じ発売・開発元によるシリーズ最終作となっています。
当時、キャラメイク可能なタイトルにハマっていた筆者は“本作もそういったことができる”との評を聞いていたものの、先述の通りボクシング(スポーツ)系ジャンル自体への疎さもあって購入は見送っていました。

ところが今回、色々あって手に取る機会を得たので、本特集では“シリーズ初見どころかスポーツ自体ド素人”な筆者によるプレイの様子をお届けします。
なお、本記事のスクリーンショットはPSP実機をキャプチャーデバイスで収録したものを掲載しているほか、極力ゲーム内情報と説明書のみを頼りに進行するため、記事ではカバーできていない要素もあるのでご了承ください。
負けるなスパくん!圧倒的自由度のキャラメイクとハードな育成立ちはだかるボクサーの道

まず『ボクサーズロード2 ザ・リアル』を起動すると、シルエットのボクサーたちの拳が舞うOP画面からメニュー画面に移行。主なモードとして、自分でボクサーを育ててチャンピオンを目指す「ボクサーズロード」と、ゲーム側が用意したキャラクターで実在ボクシングチャンピオンをモデルにしたCPUたちと戦う「アーケード」がありますが、今回は前者をプレイしていきましょう。

「ボクサーズロード」では丸井ジムに入門することになり、主人公となるボクサーのキャラメイクがスタートします。入門日を決めた後は契約書類風の入力画面で“名前”はもちろん、年齢に身長、体重やリーチを申請しますが、本作キャラメイクの真骨頂はその次のボクサー作成です。

顔のサイズや歪みの具合、目と耳に鼻、そして顎など少しずつバーを弄って設定でき、体型に至っては首、腕、胴、脚の長さに足の大きさも変えられます。筆者が直近でプレイしたなかではカプコンが2024年に発売した『ドラゴンズドグマ2』と張り合える細かさです。
ハードの限界なのか、各項目のバーを動かしてもキャラクターに反映されるまで時間がかかるのが少々気になりますが、2006年のPSP作品とは思えない自由度です。

今回のプレイではせっかくなので、弊誌Game*Sparkのマスコット「スパくん」をモデルにボクサーを作成…したのは良いものの、本作の3Dモデルはリアル調な一方、「スパくん」はアニメ調のキャラクターなので再現度に限界が来てしまいます。

しかし、そこで活躍するのが「PHOTO」、何と本作にはPSPに保存されている画像をそのままボクサーの顔にする機能が実装されており、画像の適用範囲を細かく指定したり、肌色も画像に合わせて調整したりもしてくれる優れものです。この機能さえ使えばアニメ調の顔もあら不思議、そのまま貼り付いてゲームに登場させることができます。

あまりにもベッタリすぎる貼り付きぶりに、そういう覆面に見えなくもありませんが無事にキャラクターが完成!スパくんのボクサーライフがこれから始まります。

ここからの進行はスケジュールを設定→試合を繰り返す形式となり、プレイヤーの状況に応じて目標も変化していきます。現時点ではプロテスト合格を目指して身体づくりを頑張りたい…ところですが、このスケジュール設定が非常に細かい。

例えば、食事は“グルコース”や“水分”、“塩分”に“食物繊維”など栄養素に加え、食費も設定された献立を組み合わせることができ、トレーニングメニューも基本10種+αと多種多様です。(編注:旧作では実写写真ではなくて3Dで食事が描かれていたり。豪華に回転するかつ丼とか)

そこに加え不健康度や疲労、残り資金も考慮しないといけないため、筆者は初めて見た時、パラメーターのあまりの多さに呆然としてしまいました。ただ、こういったケースを想定していたのか本作には食事、トレーニング、カレンダーの簡易設定ができる「EASY SET UP」が用意されているほか、担当のドクター・トレーナーにスケジュールを管理して貰うオプションもあります。

ボクシングに疎い筆者では簡易設定すらままならず、一先ずはトレーナーに任せることに。“どうせなら評判の高いトレーナーにお願いしよう”と全体的に鍛えてくれるらしい「トッド・ジョーンズ」を雇用…したのは良いものの、何とジムが経営破綻してしまいました。

資金に目を配ることを忘れていた筆者、プロテストはぎりぎり合格したものの、1試合すら行っていないのにボクサー道が閉ざされてしまいます。

これでは余りにも論外なため、2周目にさっそくチャレンジしましょう!今回は“試合で稼げるようになるまでは節制する”方針で進めていくほか、キャラメイクでパンチのリーチを伸ばせることも発見。少しでもゲームを有利に進められそうな要素は積極的に使っていきます。

そうして生まれた2代目スパくんですが、スケジュールは思いのほかスムーズに進行しました。特に活躍したのはデフォルトのトレーナーである「大和和大」、彼は無料にも関わらず、体重や健康に気を使いつつ、程よくトレーニングをしてパラメーターを維持してくれるため、“この人ひとりでドクターは要らないんじゃないか”と思ってしまうほどです。

それからプロテストも無事に突破し、ミドル級の4回戦(C級)ボクサーとなったスパくんの初試合には5戦2勝2敗1分と、素人目に見て丁度良さそうな対戦相手を選出しました。

一見タカアシガニか何かにしか見えない腕のリーチを活かして戦うスパくんですが、大きな問題が発生。対戦相手と比べ、パンチがどう見ても遅すぎるのです。

本当に1人だけ深海で戦っているのではと思ってしまうほどのスローパンチであり、こちら側の攻撃はいとも簡単に避けられるのに対し、相手は懐に素早く潜り込みジャブにフック、右ストレートの嵐を撃ってきます。

何とか3ラウンド目に1回ダウンを奪ったスパくんですが、蓄積したダメージには耐えられず4ラウンド目にKO負け。リングには生々しい血しぶきが残り、華々しいデビューとは言えない結果に終わってしまいました。

とはいえ、負けてもファイトマネーは貰えるのは不幸中の幸いであり、ジムが経営破綻しない限りまだまだチャンスはあるため、日々修練をしつつ試合でお金を貯めていきましょう!

そうして初試合から半年ほどたった頃、スパくんに「新人王トーナメント」の話が舞い込んできます。本トーナメントはその年の注目株が東西の地域に分かれて争うイベントであり、全国新人王を勝ち取れば一気にA級ボクサーに認められる王者の登竜門であるとのこと。

とりあえずやるだけやってみよう、そんな気持ちでエントリーしたスパくんですが、何と第1試合を2ラウンドKO勝ちで突破してしまいました。

続く第2試合も判定勝ちで乗り越え、これはもしやすれば…と希望が見えたのも束の間、第3試合でパワーとスタミナ不足が目立ち、総合的なパンチヒット数は2倍以上の差を付けた一方、有効打と見なされなかったのか判定負けしてしまいます。

最終的に3位に入賞したスパくんですが、ボクサーの道はまだこれからです。

以降は目立った活躍は無いものの、地道に試合を続けることで8回戦の試合ができるA級ボクサーにまで昇格しました。国内トップクラスになり、試合の端々で選手としての限界は見えつつも達成したい目標が一つ。それは国内ランカーの打倒です。

本作はボクサーの一般的な道のりの例として、デビューから日本チャンピオンまで目指せるだけでなく、東洋・太平洋や世界にまで活躍の場を広げられることが記載されており、スパくんが今いる場所はチャンプへの道の中間地点にすら到達していません。

しかし、A級に昇格してからというもの、筆者の(操作)力不足とスパくんの(パンチ)力不足が重なり、相手の顔を何度殴っても一向に倒れないケースが頻発しました。心が折れそうになる苦戦ぶりですが、日本チャンピオンは無理でもせめてランカーには勝ちたい!その一心で残りの資産を潤沢に使い、少しでも能力を上げていきます。

まず修行にさしあたり、能力向上の壁となったのは体重です。ボクサーは体重によって階級が分けられているものの、スパくんは既にミドル級の限界である159ポンド近くあるため、“トレーニングで筋肉を付ける”という手段を採りにくく、実質的に能力が頭打ちとなってしまっています。

前述のパンチ力不足には、リーチのために“腕や体を長くしたせいで筋肉に割ける重量が減ってしまった”という背景も考えられ、従来のトレーニングとは違った訓練が必要に。様々な方法を模索していましたが、ここで「スパーリング」の存在に気づきます。

この「スパーリング」はスケジュールに設定できる項目の一つであり、トレーナー・ドクターに任せても予定には入れられず、説明書では“試合のシミュレーション”と書かれており、具体的なメリットも“付き合ったジムメイトが強くなる”程度です。

しかし、ジム外の有料ゲストを雇うと各人に応じた能力が上がるだけでなく、“筋力に影響しないので体重に変化がない”ことが判明。まさに渡りに船、トレーナーのスケジュールに「スパーリング」を挟みつつ、怪我をしないよう出来るだけ強く無さそうなボクサーと戦いながらファイトマネーを稼いでパンチ力を重点的に鍛えていきます。

そんなこんなで修行開始から1年ほどが経った頃、スパくんのパンチ力は元の1.15倍に。これが平均から見てどの位高いかは不明ですが、少なくとも以前よりは明らかにKOを取りやすくなりました。

そして初のランカー戦に選んだのは9位、19戦9勝10敗の「Hirai Kozo」、それ以外が負け知らずだったり、勝率やKO率が高かったりするなかではスパくんでもギリギリ勝てそうな戦績の相手です。

ここまで来るとなりふり構わな過ぎな気もしなくはありませんが、ランカーであることには間違いなし、油断せずに万全の準備で試合に挑みます。

計量テストを乗り越え、リングに上がったスパくんは、この時点で35戦27勝7敗1分と、格上との戦いを避け続けてきた事実を忘れて戦績だけを見ると悪くはありません。

試合が始まると、リーチを活かした左ジャブと右ストレートで牽制しつつ、相手がブロックすれば左右のフックで回り込んで攻撃していきます。

いやらしい攻め手で確実に勝負を有利に運び、試合は8ラウンド目に突入。顔には明らかな疲労が見て取れる相手ですが、ガードも虚しくスパくんのフックが入り続けてまず1ダウン、何とか立ち上がるも、直後に再びフックが当たりKO!

なんとスパくん、初めての日本ランカー相手にKO勝ちを収める快挙を果たしました。

…と無事に日本ランカー打倒を果たしたスパくん。
他にも着せ替え要素やスタミナを大きく消費する必殺技「スペシャルムーブ」など、検証しきれていない部分はあるものの、本記事での紹介はここまでとさせて頂きます。ここから同じスパくんで日本チャンピオンを目指すか、それともこれまでの反省を踏まえて新しいスパくんで一からやり直すかは検討中です。

筆者の最終的な印象として、本作はアクションゲームとしてのボクシング要素はもちろん、それに付随するキャラメイクから育成といった部分も本格的であり、“ボクサー人生シミュレーター”として、執筆時点においても代え難い魅力を持つタイトルであると感じました。

ただし、“人にオススメするか”と聞かれると答えに困るのが正直なところであり、育成部分における選択肢の膨大さやパラメーターの細かさは人によって好みが大きく分かれるでしょう。

これを緩和するためか、育成時のスケジュールをゲーム側に管理させるシステムが用意されているものの、自分で大まかな調整ができる「EASY SET UP」は“食事のグルコース摂取量なども設定しないといけない”ため、右も左もわからない素人には依然と厳しく、ドクターやトレーナーに任せる場合、試合前に必要以上に体に負荷をかけたり、体重制限を無視したりと、それぞれ考慮しないこともあるので完全に頼り切るには心もとないです。

一方、ゲームに慣れて“わかり始めた時”の楽しさは別格であり、こういった各要素の複雑さがあるからこそ本作が他作品から一線を画している面も否定できません。筆者としては“せめてチュートリアルが充実していれば万人に薦め易かったな…”と思います。
おわりに

これにて本作の紹介は以上となります。本作は“とりあえず”という気持ちでは遊びにくいものの、元々スポーツゲームが好きでモチベーションが高かったり、細かいパラメーター管理が好きなシミュレーションが得意ならとてもオススメできるタイトルです。
アクション部分が苦手でも、試合部分は実は自分でアルゴリズムを組んだCPUに任せたりもできます。

しかしPSPを用意する手間や、ハード性能の問題で処理落ちやカクツキが起きる場面(特にキャラメイク時)もあり、現行機種で遊べるようになれば…と言いたいところですが、執筆時点で本作発売元アーテインや開発元グランプリの公式サイトはアクセス不能となっています。

同じく分社化の際に設立された会社シンク・アンド・フィールは2025年もゲーム開発を行っているものの、制作実績からして『ボクサーズロード』には関わっていなかったようです(※代表取締役の山木勝義氏個人は過去に『ボクサーズロード』メインプログラムを担当)。

さらに調査を続けると、DS/3DSの『お絵かき工房』シリーズで知られるコラビエという別会社が、2009年にシンク・アンド・フィールから『ボクサーズロード』の商標権を取得していました。
ではこのコラビエは今…と公式サイトとされるURLにアクセスすると、エンタミーというまた別の合同会社のサイトに繋がります(※コラビエの本社があったとされるビル1室は2022年時点で空室となっている)。


元々コラビエが販売していたゲームの公式サイトの版権元表記が、エンタミーに書き換わっている点から、『ボクサーズロード』の商標権は恐らく同社が所有していると思われますが、2023年のホームページ公開以降に目立った活動が見られないため、シリーズの新展開を期待するのは厳しいかもしれません。
しかし、Steamには『ボクサーズロード』にインスピレーションを受けた『Victory Road』といった作品もあるため、本作のプレイ環境を用意できない方はこういったフォロワー作品を手に取ってみるのも良いでしょう(※執筆時点で『Victory Road』は早期アクセスのまま、様々な事情から数年間更新がないため、その点はご注意ください)。












