※本記事には『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』に関するネタバレが含まれます。未プレイの方は、クリア後に閲覧することをおすすめします。
スクウェア・エニックスが2月19日にリリースした、アドベンチャーゲーム『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語(以下、FILE38 伊勢人魚物語)』は、3月9日より動画の投稿、公開、配信などが解禁されました。
本作は、前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議(以下、FILE23 本所七不思議)』から約1年後の世界を舞台に、ジャンルを「ホラーミステリーADV」から「青春群像伝奇ミステリー」へとシフトさせた新作です。ニンテンドースイッチ版、Steam版ともにメタスコア85点を記録し、前作と並ぶ高評価を獲得しています。
今回Game*Sparkでは、『パラノマサイト』シリーズディレクター・シナリオを担当する石山貴也氏と、プロデューサーの奥州一馬氏へのネタバレありインタビューを実施。発売後のユーザー反応から複雑な時系列の狙い、キャラクターの裏話・今後の展望まで、開発陣の本音に迫っています。
前作越えのプレッシャーと、ホラー演出の落としどころ
――発売から2週間ほど(インタビュー実施時点)ですが、ユーザーからの反応はいかがですか。
石山:発売前は正直なところ不安もあり、かなりドキドキしていました。ただ、実際にリリースしてみると概ね好意的な反応をいただいていて、いまは胸を撫で下ろしているところです。前作のほうが好きだという方もいれば、本作のほうが好きだと言ってくださる方もいて、それぞれの作品に対してきちんと意見が分かれており、ひとまず良かったなと思っています。
奥州:今回の作品ではホラー要素をやや抑えたり、キャラクターを刷新したりといった変更もあったので、どのような反応が返ってくるのかは気になっていました。ファンの方にとっては、期待を少し裏切る形に受け取られてしまうのではないか、という不安も正直ありました。ただ実際には、前作と本作を比較したうえで「前作を凌駕するくらい面白い」といったコメントも見かけます。そうした声を目にすると、この方向に舵を切ったチャレンジは、結果として良かったのかなと個人的には感じています。
――前回のインタビュー公開後の反応を見ていると、ホラー色が薄まったことを少し寂しく感じている方も、一定数いた印象です。今後、再びホラー色を強める方向に舵を切る可能性はありますか。
石山:そうですね、特に北米など海外のユーザーの反応を見ると、ホラー色が薄まったことにがっかりする声は比較的多かったです。一方で、ホラー要素が少なくて良かったという声も同じくらい見られるので、どのバランスがベストなのかはチーム内でも引き続き議論しているところです。
今の感覚としては、いわゆる“びっくりさせる”タイプの演出というよりは、ハラハラしたりドキドキしたりするような、スリルや緊張感のある展開をどう作っていくか、というあたりが落としどころになるのかもしれない、と考えています。少なくともサバイバルアクションのような“ゴリゴリのホラーゲーム”という方向へ舵を切るつもりはありません。そこを主戦場にして勝負したいわけではないので、あくまで作品全体のバランスの中でどう取り入れていくかですね。
奥州:僕らとしても、現段階で次回作以降ホラー要素をさらに薄めていく、と方向性を明言するよりは、できるだけ幅広く表現していきたいんです。ただジャンプスケアに関してはホラーが苦手ではない一定層からも、ああいった驚かせ方はあまり好きではないという声も多いため、今後は少しずつ意識しながら作っていくことになるのかなと思っています。
――ホラーが好きなユーザーからも、ジャンプスケアへの意見はあったのですね。
石山:そうなんですよ。ただ一方で、「ジャンプスケアが欲しかった」という声も意外と多くて、そうなんだ、という気持ちも正直あります。そのあたりをどういう落としどころにしていくのかは、今まさに考えているところですね。
奥州:今回に関しては、比較的早い段階で「人魚」というテーマが決まっていたこともあって、雰囲気としては爽やかな方向に寄せて作りやすかった面はあると思います。次回作を作るかはまだ決まっていませんが、もし次に何か作ることになった場合は、選ぶテーマや題材によって、今回とはまた違った雰囲気や方向性の変化が出てくる可能性はあるかもしれません。

――『FILE38 伊勢人魚物語』のメタスコアがニンテンドースイッチ版、Steam版ともに85点と、前作と並ぶ評価を受けている状況について、どのように受け止めていますか。
石山:レビューを読むと「ホラーが薄くなった」と書かれているものもありますが、それでもミステリーやドラマの部分は評価していただいており、総合的には良かったと受け止めてもらえているのかなと感じています。とはいえネガティブな意見を書きつつも「それでもおすすめです」と紹介してくださっているメディアも多く、ありがたいなと思っています。
奥州:自分たちで言うのも格好悪いかもしれませんが、前作は評価があまりにも高かったというか……。中には「神ゲー」と言ってくださる声もあったので、次の作品がどう評価されるのかは正直かなりプレッシャーで、本作で期待値をどこまで超えていけるのか、という不安は常にありました。結果的に前作と同じくらいのスコアをいただけたというのは、まずは一安心という気持ちがありますし、素直に嬉しい部分でもありますね。
――発売後の想定と違ったユーザーからの反応はありましたか?
奥州:ユーザーからの反応では、最後の謎解きについて少し難しすぎたという声も多かったですね。社内でテストプレイをしていたときは、ノーヒントでエンディングまで進められた方が多かったので大丈夫かなと思ったのですが、今後調整していけたらと思います。あとは想定より皆さん素潜り漁に夢中になってくれているなと。
石山:素潜り漁は1時間もあればパラメーターがカンストするような内容ではあるので、そこまで時間を使わせるつもりはなかったのですが、思っていた以上に皆さんじっくり取り組んでくださっているようです。キャラクターへの反応も見ている限りだと、「霧生双奴」の人気がかなり高い印象がありますね。彼がここまで支持されるとは正直意外でした。

――お二人の好きなキャラクターを教えてください。ちなみに私も霧生双奴が好きです。
石山:やはり支持があるんですね。前作の(黒鈴)ミヲちゃんは人気が出るだろうと思っていたのですが、霧生双奴くんはどういうキャラクターにしようかと、右往左往して迷っていたので、最後に活躍の場を与えられてよかったです。まさか下駄で夜の山を駆け回るとは考えていなかったので、フィジカルがすごい。あと井出刑事は、出番が少ない割に良い味が出せたと思っています。
奥州:僕はアヴィ(アルナーヴ・バーナム)でしょうか。最初の登場からバシッと心を掴まれるというか、あの登場シーンの印象が僕の中ではずっと頭から離れないんです。最初から最後まで、お調子者っぽい感じがたまらなくて、ずっと好きでしたね。それにアヴィのバッドエンドも面白いじゃないですか。ああいう終わり方になるのも、すごく彼らしいなと思って。結果が悪いと単純には言い切れないところもあって、そこもキャラクターの良さなのかなと。
バラバラの時系列に隠されたロマンス
――ここから作品の内容面について伺えればと思います。本作を通して、プレイヤーに伝えたいテーマやメッセージは設定されていますか。
石山:自分の作品に関して言うと、あまり「教訓」や明確なテーマのようなものを強く設定しているわけではありません。ゲーム作品はエンターテインメント全振りでいいと思っているので、遊び終わったあとに「面白かった!」「誰かと共有したい!」「次もやりたい!」と思ってもらえたなら嬉しいですね。
――「この夏――きみと生き残る呪い」というキャッチコピーは、クリア後に改めて確認すると感じ入るものがありました。コピーに込めた思いなどを教えてください。
石山:このキャッチコピーは、今回手伝ってくれた若手のシナリオライターが出してくれた案です。前作『FILE23 本所七不思議』のキャッチコピーが「《蘇りの秘術》を得たくば、呪い殺せ」だったのですが、今回は“呪い”という言葉は残しつつも、「殺せ」とは逆の「生き残る」というワードが入ってるのと、そもそも「生き残る呪い」ってなにそれ? という違和感が心に引っかかるなと思いまして。
作中には虐殺の場面があるので、最初は「生き残る」を文字通りの意味で受け取れる。でも物語を最後まで進めると言葉の意味合いが変わってくるのが面白いのではないかと。「“きみ”はひらがな」にしたいなど、細部については調整しましたが、制作陣一同すんなり「これしかない!」と今回のキャッチコピーに決まりました。

奥州:最初は「400年」など、いくつかの案で設定の細部に触れる言い回しも提案されていたんです。ただ「この夏――きみと生き残る呪い」は前作と同じく、できるだけシンプルに一言で今回のテーマを表していますし、順番としてはキービジュアルが先に決まっていたこともあり、前作との対比という意味合いも込めて決めました。
――シナリオを執筆される中で特に力が入ったシーンや、印象に残っている場面はありますか。
石山:今回は正直、かなり大変だったというか……しんどかった思い出のほうが強いです。全体を通してとにかく必死に書いていて、死ぬ気でしがみつきながら、どうにかこうにか最後まで仕上げたという感覚で、執筆時のことは正直あまりよく覚えていません(笑)。
奥州:本作は前作と比べて時系列の構成が複雑で、僕自身もテストプレイを何度もやっていて、毎週のように触れていたんですが、「前半はだいぶ出来上がっているのかな」と思っていたチャプターが、どんどん変わっていくのを目の当たりにしていました。その様子を見て「今すごく悩んでいるんだろうな」「葛藤しながら作っているんだろうな」というのは、僕の目線だとすごく感じていましたね。

――前半部分を何度も書き直されたということは、最初に決めていた構成から変化した部分があったのでしょうか。
石山:内容の大筋自体は、そこまで大きく変わっていないです。どちらかというと、伝え方や味付けの濃さを調整していった、という感覚です。たとえば、長く書いていた部分を「ここは少し退屈かもしれない」と判断して思い切ってカットしたり、テンポを意識して調整したりと、特に序盤は細かいブラッシュアップを重ねていました。
――時系列が複雑という話がありましたが、「追想潜入」によって最序盤にあたる水口勇佐と白浪里のシーンが終盤になって解放されるなど、驚く展開がありました。いわゆる“信頼できない語り手”のような構造になっていますが、こうした仕掛けを取り入れた狙いについて教えていただけますか。
石山:今作のコンセプトとしては「不老不死ボーイミーツ不老不死ガール」のロマンス要素が大きいんですが、それを「最後まで隠しておく」という構造を特徴にしたかったんです。登場人物たち自身が隠していることを、プレイヤーにも同じように隠したまま物語を進めていく。最後の最後で「そういうことだったのかおまえら!」と気づいてもらえるような作りにしたかったんです。
実際、プレイしていると「この人たち、何か隠しているな」と感じながら進めることになるので、開発チーム内でも「気持ち悪いから最初に目的を明かしたほうがよくないか」という意見はありましたが、そこを最初に明かしたら普通になっちゃうからとエンタメ全振りの考え方で、あえて押し切らせてもらいました。

――たしかに「勇佐と里が!?」という驚きは大きかったです 。
石山:そういう風に思ってもらいたかったので良かったです。そこで「だからか~!」と納得できるキャラクター性にできるかどうかが、今回の勝負どころでした。
奥州:3月9日から配信規制が解除されていますが、実況動画などが増えてくるとプレイフィールが人によって少し違うことに気づかれるんじゃないかと思います。というのも、今回は進める順番にあまり縛りがなくて、勇佐のエピソードから始めて途中でアヴィに移行することもできますし、志貴結命子の視点から進めていくこともできるんです。
特に生駒桔平については、どの順番から始めるかによって印象がかなり変わると思います。場合によっては、「目の前にいるのに、なぜ死んでいることになっているんだろう?」といった形で、前後関係が不思議に感じられる場面も出てくるかもしれません。このようにどの視点から物語に入るかによって、受け取る感情や伏線の感じ方が少し変わるのではないかと。
――アヴィより結命子視点を先に進めると、海から生駒らしき遺体が見つかったはずなのに……と思いますよね。
石山:生駒の顔も全然違いますし、「えっ?」と思うようなところも出てくるんですよね。あとは里のエピソードを先に進めて、彼女が「八百命寿」だと知った状態で結命子視点をプレイするのと、知らないまま遊ぶのとでは受ける印象も変わってくると思います。そういった順番による反応の違いは、配信などで楽しんでもらえるんじゃないかなと。自分でプレイしたあとに、ほかの人がどういう順番でプレイしているのか見たくなればいいなとは狙っています。

――プレイ順によって体験が変わると、配信ごとに違った気づきが生まれそうで面白いです。
奥州:僕らも前作の動画配信を見せてもらっていて、それで気づきや発見を得ることも多かったんです。配信を見ていると、「こういう遊び方をするんだ」「ここでこんな感情になるんだ」というように、プレイヤーごとの体験の違いに気づかされることもありました。そういった意味でも、配信を通していろいろな反応や遊び方が見えてくると嬉しいですね。
“勇佐”の名前に込めた意図……は、実はなかった!?
――構成の話に関連して伺いたいのですが、本作では勇佐・里・結命子・アヴィという4人の視点で物語が描かれています。このような形で視点を割り振った理由について聞かせてください。
石山:勇佐と里は主人公とヒロインに当たるキャラクターなので、二人がどういう動きをしていたのかはしっかり見せたいと考えていました。そのうえで、結命子とアヴィのルートはサブという位置づけで構成しています。
結命子ルートは、呪いの根本的解決のために動きつつも、主人公たちにとっての脅威として「八百命寿という存在は放っておくわけにはいかない」ということを伝えるためのものです。一方、アヴィのルートは、陽気な外国人の観光を通して伊勢志摩を紹介する要素も兼ねつつ、いわば探索ルートのように謎解き要素を強めた内容にしています。とはいえ、アヴィがいなかったら今回の件は丸く収まらなかったよねと、引っかき回し役のように見えながらかなりグッジョブな役回りになっています。

――「八百命寿」、いわゆる不老不死の寿命がぴったり800年と決まっているのは、珍しい設定のように思いました。
石山:たしかに、日本では「八百」という言葉は「とにかくたくさん」という意味で使われる言い回しで、実際にきっかり800年というわけではない、という解釈もありますが、400年という単位が霊的に意味を持つものだとすれば、ちょうど800年というのもあり得るのかなと。もともと僕の中では人魚の肉を食べた者は「不老不死ではあるけれど、寿命はあるもの」というイメージがあったので、「八百命寿」は、人魚の肉を食べて800年の寿命を得て、その間は不老不死になるものとしました。
――たしかに800年と決まっていたからこそ、里が不老不死を“おかわり”する展開が生まれたわけですよね。
石山:はい。それと、人魚を扱った作品はこれまでにもたくさんありますが、不老不死というテーマは物語の中ではどちらかというと「良くないもの」として描かれることが多いんですよね。だったらあえて、それでハッピーエンドにしてみよう、というのも出発点のひとつでした。不老不死そのものを肯定するわけではなく、「良くないものではあるけれど、利用してハッピーエンドを手に入れる」展開に「そう来たか」と思ってもらえたらいいなという気持ちはあります。

――アヴィが不老不死を得て、成功を収めるエンディングもありましたね。
石山:アヴィは不老不死の才能が一番あったのでしょうね。先ほどと似た話になりますが、興味本位で軽率に不老不死になったキャラクターって大抵痛い目に遭う物語が多いのですが、逆に寿命までの800年間エンジョイし続ける結末があっても良いじゃないかと。その分バランスを取るために、もうひとつアヴィのエンディングを用意したので、少し優遇された印象になった人もいるかもしれませんね。
――ちなみにアヴィ視点で夏の大三角の説明があったのは、勇佐と里の関係性について彦星と織姫を暗に示す意図もあるのでしょうか。
石山:あのシーンは勇佐を海女にしたのと同じ発想です。上空を見上げて実際と同じ手順で星を探すことで、夜空の全天球表現を活かした楽しみ方ができるかなと思って入れました。夏に見つけやすい星ということで「夏の大三角」を取り入れたのですが、結果的に織姫と彦星のロマンス要素を連想させる形になりました。ストーリーに七夕伝説までは絡められなかったですが、勇佐と里の関係性をさりげなーくほのめかす程度の演出にはなってるのではないかと。

――勇佐と言えば、SNSで名前の由来は“ユーザー”から来ているのではないかという声もありますが、これは意図したものですか。
石山:いやあ、全くその意図はなかったです。むしろ、気づいていたら「勇佐」とは名付けなかったんじゃないでしょうか。
――ええっ!?メタフィクション要素が強い作品なので、あえてだと思っていました。
石山:キャラクターデザインを見てから名前を決めたのですが、彼の場合は「ユウ」という字が似合いそうだなと考えて、勇気の「勇」で始まる名前にしようと決めまして。少し古めかしい響きで、独自性のある名前は何だろうと考えたとき、「ザ」がつくと昔の人のような印象になる感じがするし、「ユウザ」という響きはあまり聞かないし、いいじゃないか! と思って付けたら、ユーザーを連想させる……と指摘されまして。むしろユーザーだから勇佐と名付けるのはさすがに露骨ですし、最初に気づいていれば止めていたと思いますが、ある程度開発が進んでから指摘されたので最終的には「それでもいいか」と決めました。
――『パラノマサイト』シリーズのファンの中には、石山さんのテキストやセリフ回しの巧みさを評価する声も多いですが、執筆時に意識されていることはありますか。
石山:いや、実は今回のセリフ回しの点については、自分の中で「負けた」と思っています。さきほども言った通り、前半部分を何度も書き直して苦労していたので、禁じ手を使ってしまったというか。手癖の言葉遣いや文章の勢い、言葉遊びで面白さを出しちゃうと翻訳したときに通じなくなるので、あまりそこに頼るべきではないと思っていたのですが、序盤でどうしても面白くならなかったので、つい頼ってしまいました……。
――セリフ回しはプレイヤーからは個性的で評判が良い部分ですが、ご自身では「負けた」と。
石山:どんな言葉に翻訳してもロジックで面白くなるようにすべきなのに、言葉遣いに頼ってしまったので、海外プレイヤーには伝わらない面白さになってしまったと思いますし、翻訳者さんも困ったでしょうし、あまり良い方法ではなかったと感じています。ただ、海外版もある程度評価されているようなので、頑張ってくれたんだろうなと思います。ありがとうございます。


――ただ勇佐と里のノリが似ている部分は、伏線としての意図もあったのではないかと思いますが。
石山:たしかに勇佐と里はマイペースな性格やボケ方など、「この二人似ているな」と思ってもらえるように意図していました。アヴィだけだったらまだ良かったのですが、全体的に見るとふざけたキャラクターが多い印象になってしまったかもしれない、というのは少し気にしています。
奥州:石山はこう言っていますが、特に日本のファンにとって前作のキャラクターが印象的だったこともあって、本作もある種手癖のおかげで濃いキャラクターをたくさん生み出せたのではないかと思っています。
――濃いキャラクターで言うと、和歌村抄太郎と前作の並垣祐太郎を比較する声も一部で聞かれていますよね。
石山:和歌村抄太郎はただの当て馬のクズなので、並垣ほど人気は出ないだろうと思っています。父親の死に対しても変に同情的に描かず、最終的に扱いが悪くても問題ないと考えて登場させたキャラクターです。また並垣とは同じ大学という設定で、先日の並垣の誕生日には二人の関係を絡めたポストもしてみました。
タイトル画面の仕掛けと謎解きの難易度について
――謎解きについても少しお聞きさせてください。クレジットにリアル脱出ゲームで知られるSCRAPさんの名前もありましたが、謎解き部分に参加いただいたのですか?
奥州:本作はSCRAPさんやムー編集部、設定資料集を作成いただいた作家などのメンバーで企画会議をして、テーマやコンセプトを考えていきました。初期段階では「こういう謎解きはどうですか?」といったアイデアを出し合いながら、形にしていく作業も行っていましたね。
――謎解きの難易度についてはどのように設定しましたか。
石山:謎解きの難易度に関してはテストプレイでの反応を見て調整していますが、初見でしか成立しないものなので、より多くプレイヤーが満足するものとなると難しいなというのが正直なところです。想定よりロードスロットの仕掛けに気づかなかったとか、鉄箱の絵合わせの判定が厳しかったという意見が多かったので、そこをもう少しわかりやすくパッチで調整できないか検討中です。

――タイトル画面に干渉する仕掛けが仕込まれていたのには痺れました。あれを考案した理由を教えてください。
石山:今回の仕掛けについても、本編とは関係なさそうな部分を使って何かできないか、という発想からきています。内部の処理としては、今作はタイトル画面の時点ですでに最新のプレイデータがロードされている状態で、タイトル画面もゲームプレイの一部として実装されています。
――そういえば「FILE38」という数字の意味については?
奥州:今回の舞台が三重県なので「38(3=み 8=えいと)」になっていて、特に深い意味はないです。ただ、前作から約1年後くらいの想定で、ファイルは心霊対策室の捜査ファイルの番号という扱いなので、1年後ならこのくらいの事件数はあっただろう、という感覚で付けた数字です。
石山:「23」の次なので、30台くらいかなーという感覚ですね。数字が一気に飛ぶと、何十年も経ったのかなというイメージになりそうですので、そのくらいで。この間に何があったのかは、細かくは考えてないですが、きっと何かあったんでしょう。
――4月23日には「パラノマサイト FILE23 本所七不思議/FILE38 伊勢人魚物語 公式設定読本」が発売されますが、どのような内容になっていますか。
石山:200ページ以上に渡って文字がぎっしり詰まっている本です。シリーズ2作品のあんなことやこんなことまで、細かく紐解いて書かれているので、今まさに資料を確認しながら、エピソードの前後関係は合っているのか、作成した年表が正しいのかどうかなど、必死に監修中です。どうぞお楽しみに。

――ほかに、ネタバレありのインタビューだからこそ、話しておきたいことはありますか。
奥州:具体的にどことは言いませんが、SNSを見ていると「まだあまり気づかれていないな」という伏線もあります。記事が公開される頃には配信も解禁されているので、動画で見返すと気づくこともあるんじゃないかなと思います。
石山:後から制作者があれこれ言うのも良くないので、基本的には皆さんに受け取っていただいた通りです。ただ謎解きの難易度については、我々の思惑と違う形になってしまった箇所もあったので調整したいと考えています。できる限り外部の攻略サイトに頼らなくても、ゲーム内のヒントだけでたどり着ける形が理想なのですが、うまく伝えきれてない箇所がありました。もちろん最終的に攻略を見るのは問題ないのですが、できれば最後の手段になるよう、もう少し分かりやすくする予定なので、そのときは改めて周りにも勧めていただけたらうれしいです。
――最後に『FILE38 伊勢人魚物語』をプレイした方へ一言お願いします。
奥州:まずは、プレイしてくださったファンの皆様、そして新作を期待して待っていてくださった皆さんに感謝を伝えたいです。すでに発表済みの情報もありますが、『FILE38 伊勢人魚物語』はゲームだけで終わりではなく、さまざまなイベントや外部コラボなども準備中です。続報をお待ちいただきつつ、これからも楽しみにしていただけたらうれしいです。引き続き応援よろしくお願いします。
石山:まだまだ『パラノマサイト』を知らない方もたくさんいらっしゃるので、我々も頑張りますが、もしプレイして応援したいと思っていただいた方がいたら、ぜひ周りの方におすすめして、一緒に盛り上げていけたら嬉しいです。
――ありがとうございました。ちなみに新たな我妙堂垂弦と案内人の正体は…?
石山:どうでしょうね、ふふふ……(笑)。
『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』は、PC(Steam)/ニンテンドースイッチ/iOS/Android向けに配信中です。
詳細は公式サイトをご確認ください。














