ARG(代替現実ゲーム)というジャンルをご存知でしょうか。ゲームという枠組みを超え、実際のブラウザに存在するページや、現実世界に散らばった情報を手掛かりに物語を追っていく体験型のコンテンツを指します。現実とフィクションの境界を曖昧にする点が大きな特徴のジャンルです。
今回紹介する作品もまた、デスクトップという日常の空間を舞台に、現実との境界線を揺さぶってきます。

本記事ではダンクハーツがPC(Steam)向けに2026年3月13日にリリースした『佐藤さん暇つぶしチャット.exe』の先行プレイレポートをお届けします。なお、ゲーム内の仕掛けに触れる箇所があるため、気になる方はご注意ください。
デスクトップが物語の舞台に
本作は、PC上で動くとあるチャットアプリ上で、“ミナ”と名乗る少女とメッセージを交わすところから始まります。彼女は学校や家族とも上手くいっていないようで、「暇つぶしに付き合って」と話しかけてきます。彼女とチャットをして、“暇つぶし”に付き合っていくうちに、彼女とのやり取りは、やがてチャット画面の外側へと広がっていきます。
起動後、まず驚かされたのは、本作がフルスクリーンや疑似デスクトップを用いた形式のゲームではないという点です。画面にはチャットウィンドウがひとつだけ表示され、デスクトップ全体に薄暗いフィルターがかかります。

作中、ミナから「このサイトを調べてほしい」とURLが送られてきます。ゲーム内の疑似ブラウザが立ち上がるのだろうと考えていたのですが、実際にクリックして起動したのは自分のPCにインストールされているブラウザでした。用意された外部のサイトを実際に探索し、得た情報をミナへと報告していきます。『佐藤さん暇つぶしチャット.exe』というアプリ内だけで完結するのではなく、プレイヤーのPCそのものを舞台として取り込むといった、“侵略”される感覚は本作の大きな魅力です。
PCのリアルタイム通知を利用したり、画面全体を覆う演出が走ったりと、デスクトップそのものを舞台装置として扱う点は非常に完成度が高いと感じました。OBSの起動を認識するなど、プレイヤー環境へも容赦なく踏み込んできます。ただし、ユーザー名などの情報が表示される可能性があるため、配信や録画を行う場合は注意が必要でしょう。できれば初見で体験してほしい作品です。


謎の少女“ミナ”について
チャットを交わす相手であるミナも、チャットでの会話を用いたゲームでありながら定型文を返すNPCといった印象は薄く、実際に気まぐれなキャラクターと会話をしているような感覚があります。やり取りを続けると、画面上部に通知の形で彼女との好感度が可視化されるので、自然と彼女の反応や機嫌を気にするようになっていました。
ミナとの距離感や反応は、プレイヤーの行動などによって変化します。探索パートで間違いを繰り返すと明確に不機嫌になったり失望したような発言をすることがあります。好感度を意識すると総当たりのような手段で無理やり謎を解くといったことも取りずらいなと感じました。
こういった点から、単なる謎解きゲームというよりも、関係性を意識しつつ発言する内容を選ぶことも大事です。発言内容を考えて距離感を探るのは恋愛シミュレーションに近いともいえるかもしれません。

あとなによりミナのビジュが滅茶苦茶いいです。顔がつよい……。ウルフカットの髪型やパキっとした配色、メッシュの入った髪に切れ長の目など、作者さんの癖を感じ取ることができるデザインになっています。
さらに、謎を解明していくたびにミナからご褒美として自撮りが貰えることも……!?
俄然やる気が出ますね。ミナの言う通り、秘密結社を暴いて世界を壊す手伝いをしましょう。

ARG(代替現実ゲーム)は敷居の高いジャンルです。断片的な情報収集や外部サイト探索をすることに戸惑いや抵抗のあるプレイヤーも少なくないでしょう。
しかし、本作は正しい回答にたどり着けば明確にストーリーが進行します。その点で、ARGとしては非常に分かりやすいと感じました。ARGに興味はあったが、難しそうだと感じていた人にとって、本作はARG作品の入門としても非常におすすめできます。
『佐藤さん暇つぶしチャット.exe』はPC(Steam)向けに2026年3月13日リリースです。









