
群雄割拠のデッキ構築ローグライト界に、またしても注目すべきタイトルが登場しました。その名も『One Turn Kill』。名前の通り、1ターンしか行動できないというなんとも尖った作品です。
しかしながら、コンセプト倒れではなく、たった1ターンの中にデッキの純度やコンボ作成などといったカードゲーム的な楽しみがギュッと詰まったゲームに仕上がっていました。
ずっと俺のターン! デッキが尽きるまで殴り続けろ!
主人公はザスキアというエージェントの女の子。妹のリタとともにとある施設に潜入するミッションを遂行します。道中で何度かカットシーンが挟まりますが、導入はいたってシンプルで、すぐにゲーム場面に突入します。

本作は何といっても「1ターンしか行動できない」という点がウリのデッキ構築ローグライトです。ターンエンドを選択すると、敵に攻撃されてゲームオーバー……スタート地点に戻されてしまいます。
こう書くと大味なゲームに見えるかもしれませんが、決してそんなことはありません。むしろこのゲーム性を活かすために「コストがデッキ枚数である」というかなり大胆なシステムを採用しています。

たとえば、コスト2のカードを使用すると、デッキからカードを2枚引くことができるというわけです。デッキは20枚なので、特殊な効果を使わない限り、20コストまでカードを使えるというわけですね。20コストも殴れるなんて何だか簡単に思えるかもしれませんが、やってみると意外にも難しい!

一般的なデッキ構築系と同様に、0コストカードをメイン火力にした省エネ戦術を取っていると「手札にドローソースがなくなる」という詰みパターンがよく発生するんです。
“デッキからカードを引きすぎないようにしつつ、とはいえ手札が減ってきたらちゃんとコストを払ってドローする”というこのアンビバレントなリソース管理がめちゃ面白く、何度も何度も遊んでしまう魔力がありました。


同ジャンルでは、デッキ・マナ(コスト)・手札という3つの関係性が基本的なゲームメカニクスでしたが、そのうちのデッキとコストを融合してしまおうという点は、アイデア賞をあげたくなるくらい素晴らしいものでした。
加えて、プレイヤーにはHPの概念もないため、考えるべきファクターが少なく、要らないパラメータを極力削っているという点も評価したいです。もう出尽くしたであろうこのジャンルに、まだこんなにもアイデアが眠っているだなんて……!

バトルだけでなく、ステージデザインも優秀です。本作では4人(+1人)のキャラクターとの対戦が発生します。HPが高い門番役の「隊長」、“過負荷”というお邪魔カードをデッキに混ぜてくる「アズウェン」、カード選びに制限時間がある「D-rex」、こちらのカードを適宜封印してくる「バルク」、そして最後に待ち構えるボーナスステージです。
それぞれに特殊なギミックがあり、彼らに勝てるようにデッキを作り直していく必要があるわけです(ちなみに、二周目以降は特定のキャラとだけ戦うことができるようになるので、そこも素敵です)。特に筆者はアズウェン戦がお気に入りで、同ジャンルの他作品ではただ単にデッキを薄くしてくるお邪魔カード“過負荷”ですが、本作においてはコスト上限を増やすカードにもなっています。

この発想の転換はかなりアハがあり、過負荷がデッキに混ざれば混ざるほど強いカードを使用することができるわけです。しかしながら、結局のところ引いても引いてもお邪魔カードしか出てこなくなるところは変わらず、“お邪魔カードを強カード使用のためのリソースにしつつ、同時にお邪魔カードがあまりに増えてきたら逐次排除する”必要があるわけです。うお~、なんだこの体験は~!?

一方で、アズウェンやバルク戦ではターン経過ごとに敵が邪魔をしてくるわけで、そこは『One Turn Kill』というコンセプトとそぐわない気もします。といっても敵の行動に対してこちらが何倍も動けるのは事実。うまくコンボがハマったときの気持ちよさはしっかりと担保されており、TCGで対戦相手を待たせながら延々とソリティアしている気分になれます。

また、ひとりひとりの対戦相手に対して最適なデッキ構成を作って挑むゲーム性も面白いですが、ストーリーの続きを見るためにはなるべく多くのキャラクターと連続して戦う必要があります。
たったひとつのデッキで連戦しようにも、戦略的にどうしても足りないパーツが出てくるわけです。うーん、悩ましい!
ドット絵も可愛らしく、ザスキアとリタが織り成す物語の先も非常に気になります。戦闘BGMもスタイリッシュで、すぐに聞き飽きることもありません。

人生で遊ぶべきデッキ構築ローグライトは10や20本ではきかないほど発売されていますが、そのうちの1本に入るべき作品がまたしても登場してしまいました。『One Turn Kill』、オススメです!











