
2026年1月28日、ヴァンパイア株式会社よりPC(Steam)にて『トガネヨビ』が発売されました。
一目で惹きつけられるポップでビビッドなビジュアルに覚えのある方も多いのではないでしょうか。本作は、「絶対に会話がかみ合わない男たちとの恋愛ADV」という触れ込みで話題となった『狂気より愛をこめて』を手掛けたじゃむさんっぽいど氏の最新作です。前作からガラリとジャンルが変わり、今回はホラーゲームとなっていますが、氏の独自性あふれる世界観は健在。
トリッキーな会話や表情豊かなキャラクターでプレイヤーを翻弄してくる作家性は、今作の舞台となる深夜の電話ボックスでも、思考と判断をじわじわ追い詰める恐怖として牙をむきます。
本記事では、そんな閉鎖空間で人知れず展開する脱出劇の一端をお届けします。
※ゲームシステムの紹介に伴い、謎解きのヒントになりうる表現が含まれます。初歩的な範囲に留めていますが、完全に自力で謎解きを楽しみたい方は、先にご自身でプレイされることをおすすめいたします!
午前2時の電話ボックスで、誰にでもできるカンタンな高額バイトに臨む主人公

ゲーム開始画面にまず現れたのは、人気のない場所にぽつんと佇む電話ボックス。続いてマキハラという人物からの着信があり、唐突に“仕事内容”の説明が始まります。
プレーヤー扮する主人公のハチスカユウキは、「OPT接続テスト」という怪しいバイトのために、深夜にもかかわらず祭珠地区にあるこの通信BOXにやってきました。業務内容は、「午前2時に旧公衆通信機で11つの番号に接続する」だけ。単純な作業に思えますが、次いでマキハラから告げられる注意事項により、一気に不穏に。
・絶対に順番を間違えてはいけない
・何者かに質問をされたら「私はクギビトです」と答えること
・「11の通信」を終えるまで、中断してはいけない
・通信ボックスの中に入ったら、携帯を使用して誰かと通話してはいけない
えっ、コワッ、何の儀式……?
こんな怪しいバイトになぜ応募したんだハチスカユウキ……という疑問は、電話が切れたあと、スマホの待ち受け画面を見つめて決意を新たにする主人公の独り言からなんとなく察しがつきます。

お察しの通り、待ち受け画面で弾けるように笑う人物は主人公の大切な人で、2人の生活を守るためのお金を稼ぐべく、高額報酬を目当てにこの闇バイトに応募したようです。
2人仲良く慎ましやかに暮らすだけなら、闇バイトに手を出す必要なんてないと思うのですが……ハチスカユウキと恋人は、いったいどんな暮らしをしているのやら。

通信BOXに入ると、もう出られません。ゲームのシステム的にも、このバイトのルール的にも、途中離脱は許されないのです。筆者ならこの条件の時点で、どんなに報酬が高額であろうとお断りですが、主人公は怯みません。なんてったって金が要るのです。愛する恋人の笑顔を携えて、いざ闇バイトの始まりです。
通信BOX内で操作できるのは、OPTと呼ばれる旧公衆通信機、そして自身のスマホ。注意事項にあったとおり、このBOX内でスマホを使って誰かと通話することはできません。ですが、ネット検索は使用OK。メモ機能も備わっており、検索で得た情報を控えるために使ったりできます。

推理をする上でこのメモ機能も便利なのですが、筆者は紙とペンの用意を強くおすすめします。理由は後述。
仕事内容にあった「11つの番号への接続」に必要な情報は、闇バイトを斡旋してきた相手からスマホに送られてきています。なんだかよくわかりませんが、とりあえず指示通り順番に接続してみましょう。

OPTを使うのに必要な硬貨は支給されており、1コールごとに1枚投入する必要があります。数字を押し、硬貨を入れ、コール音を待つ――その一手間一手間が、プレイヤーを深夜の電話ボックスへと引きずり込むのです。少し面倒に感じるこの手順が、実際に人目のない場所で謎の番号に恐る恐る電話をかけているような感覚になります。コールがつながるまでの時間も妙に長い。あ~、なんかもうすでに怖い。帰りたい。しかしそんな選択肢はありません。やるしかないのです。1の番号から、順に接続してみましょう。

ウワーーーーーーーッ?!
不鮮明な画像に人影、音声は無言。びっくりしてる間に接続が切れてしまいました。何だったんだ……。気を取り直して次の番号へ。

今度はフツーっぽい人につながりました! ホッとしたのも束の間、一筋縄ではいかなさそうな選択肢が。筆者はここでかなり悩みましたが、返ってきた言葉はどこか噛み合わず、後味の悪さだけが残りました。やっぱり彼も、フツーの人ではないようです。
この調子で、リストにある11つの番号に上から順に接続していくのですが、つながった先にいるのは不穏で不可解な相手ばかり。ゾッとするような異形じみた相手もいれば、ビジュは良いけど何を言っているのかよくわからない人物も。
なにもわからない状態でこの作業を続け、11つめの番号に接続し終えたあと、突如主人公を怪異が襲い――

えぇーーーーーっ!! どうすれば良かったの~?!
闇バイト斡旋主であるマキハラの言う通り、きちんと「順番を守って11つの番号に接続」したのに……! と思ったら、ゲームオーバー画面のメッセージボックスに「マキハラを信じるな」の文字が。これは誰からのメッセージなんでしょうか。
謎のメッセージによると、手持ちのスマホを駆使すればこの呪われた電話ボックスから脱出する方法に辿り着けるらしく……。さらに気になるのは、突如提示された謎の番号。メッセージの主からのヒントなのでしょうか……?
その真相を探るため、主人公は午前2時の電話ボックスに戻るのです。「順番通りに11つの番号への接続」を果たし、愛する恋人の元へ戻れるその日まで――
総当たり不可!まさしく“自分の手で”答えを手繰り寄せる謎解き体験
1周目はチュートリアルのような役割で、本番は2周目からのようです。マキハラから与えられた11つの番号にそのまま接続すればいいわけではない、ということがわかりました。そして、脱出の方法はこのボックス内から探れるということも。
ここから本格的に謎解きが始まります。
ボックスの外には出られないため、プレイヤーは「今ここにあるもの」だけで状況を打開しなければなりません。逆を言えば、この場に用意されたものだけで必ず答えに辿り着けるよう設計されているということでもあります。
目の前にあるのは、限られた数の電話番号、通話に必要な硬貨、そしてネット検索が可能なスマートフォン。
とにかく電話をかけ、ヒントを聞き逃さないよう接続相手の呻き声や断末魔に耳を澄ませ、気になる単語や番号があれば片っ端からスマホの検索ボックスにブチ込むしかありません。幸い、OPTを使用するための硬貨に制限はありませんのでご安心を。まあ11回目の接続で答えに辿り着けなければ、先ほどと同じく怪異の餌食になってしまうんですが……。

スマホのネット検索では、赤い文字で表示されたワードをクリックすると直接検索することができます。つまり、赤い文字で表示されたワードに関しては検索結果が用意されているということです。場合によっては赤い文字のワードがたくさん出てきて情報の大洪水がおこるので、そんな時はスマホのメモ機能に気になるワードを保存しておいて、あとで調べる、という使い方もできます。
しかし謎解きが進んでくると、スマホのメモ機能だけでは全然足りなくなってきます。小さな画面では一覧性に乏しく、せっかく集めた点と点が線として見えてこない。なので、紙とペンの用意をおすすめします! もちろんご自身のPCのメモ機能でもいいのですが、新しい情報を見つけたときや何か閃いたとき、「コレとアレが関係してるのでは?!」と気付いたとき、テンションのままにメモに走り書きする作業がすごく楽しい!
本作の謎解きは、決して易しくありません。明解なヒントを提示してくれるストーリーテラーもいなければ、正解のルートへと誘導してくれるバディもいません。本当に、マジで、自力でピースをかき集めてパズルを完成させていくしかないのです。閃かなければ永遠に進まない。だからこそ、気付いたり見つけたりしたときの快感がすごい!
深夜の電話ボックスで不気味な状況に耐えながら答えに辿り着いた瞬間の達成感は、攻略というよりもはや“生還”に近いです。

そんな命懸けの脱出劇を彩る、ビビッドでトリッキーなキャラクターたちも本作の魅力。
彼・彼女らの出番自体は決して多くないものの、短いやり取りの中でも性格や癖がはっきり伝わってくる存在感があり、フルボイスによってその魅力はいっそう際立っています。もっとも、そのポップさや可愛らしさに油断していると、不意打ちのジャンプスケアが容赦なく襲いかかってくるので心臓の弱い方は要注意。露骨な驚かせだけでなく、気付けばじわじわと禍々しさを増していく電話ボックス内の変化なども含めて、最後まで「これはホラーゲームだ」という事実を決して忘れさせてくれない演出が効いています。

果たして、この電話ボックスから脱出する方法を見つけることはできるのか。“トガネヨビ”とはいったい何なのか……そして主人公は無事に生還し、高額の報酬を得て愛する恋人の待つ“日常”へと戻ることができるのか。

深夜の通話に耳を澄ませ続けた先で、誰が救われ、何が暴かれるのか……ぜひ実際に確かめてみてください。
『トガネヨビ』はPC(Steam)向けに配信中。また、スマートフォン版のリリースも予定されています。











