表の顔はスーパーヒーロー、しかし真の姿は夜な夜な箱を盛り上げる気鋭のDJ、
その名はブレビマン。
MetaFormingProが開発した『ブレビマン』が、PC(Steam)向けに2月13日に発売されます。また、ニンテンドースイッチでも配信が予定されています。
一度聞いたら忘れられないインパクトのあるタイトルに、目を引く奇抜で不思議なビジュアルとイカした音楽。そんな本作に興味を持った方や、「ブレイクビーツ」って一体何?と思った方に向けて、本記事ではその魅力をお届けします。
ブレイクビーツとコラージュアートの融合
表の顔はスーパーヒーローですが、裏では新進気鋭のDJとして活動する「ブレビマン」
そんな「ブレビマン」は、サポート担当の「ドクター・スクラッチ」と共に、日夜「サウンドガイストなるもの」を救済しながらクラブハウスを盛り上げています。
「サウンドガイスト」は、普段は音楽と共に生きているのですが、「音楽」が欠乏すると見境なく暴れ出してしまいます。そこで、「ブレビマン」の操る2枚のディスクで素敵な音楽を聞かせることで、彼らを救済しているのです。


まず本作のテーマにもなっている「ブレイクビーツ」について少し説明します。
ブレイクビーツとは「既存の曲から録音して切り取ったドラムのフレーズをループ再生させたビート」また、「その部分を編集し、再構築したビート」「これらを使用した楽曲を指したジャンル」のことを言います。
こちらの楽曲のビートをどこかで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。(~0:08あたり)
このビートはジャンルとしてのブレイクビーツだけでなく、「ヒップホップ」や「ロック」など様々なジャンルの音楽でも引用されています。有名なものとして例に挙げたので、必ずしもこのビートでなければいけない訳ではありません。
ブレイクビーツは、『リッジレーサー』などのレースゲームやPS1・PS2時代の『アーマード・コア』など、主に90~00年代のゲームで多く使われていたので、ゲーマーならば聞き馴染みのある音楽だと思います。もちろん、今でもたくさんありますよ!
「サウンドガイスト」は、蟹のような見た目だったり、靴を履いていたり顔のようなものがあったりと見た目も攻撃方法も様々です。ゲーム上では敵として出てきますが、本来は「ドクター・スクラッチ」が言うように気のいいヤツらなのだろうと感じるような、可愛げのある見ていて楽しいビジュアルばかりです。


『ブレビマン』に出てくるキャラクター達はどれもCDやヘッドセット、マイクなど音楽に関連するものが含まれた「コラージュ」で表現されています。
「コラージュ」は、新聞や雑誌、写真など様々な物を切り貼りして組み合わせる技法です。ネットなどでいわゆる「雑コラ」などを見た事がある方もいると思いますが、「コラージュ」自体はれっきとしたアートなのです。
『ブレビマン』が「コラージュ」をアートスタイルのひとつとして採用しているのは、「ブレイクビーツ」に「サンプリング」という既存の曲やリズムの音を一部流用して再構築する要素が含まれている事から選んだ表現なのではないか、と考えられます。「ブレイクビーツ」も「コラージュ」も、どちらも元々ある音楽や写真から、新しいものを生み出していますからね。
ステージの背景も、ストリート風なものからネオンがきらめくハイウェイなど、次はどんなステージが見れるのかと楽しみになる個性豊かなものばかりです。この背景は、少しでも電子音楽の事や文化を知っている方なら、好きな人が作っている事がひと目で分かると思います。

これらのビジュアルも含めて、『ブレビマン』は「ブレイクビーツ」という音楽だけでなく、様々な音楽や文化へのリスペクトや愛を感じる作品になっているのです。
ここからはゲームの内容について触れますが、その前に筆者の立場を説明させて下さい。
普段はSTGをあまり遊んでおらず、どちらかというとSTGというジャンルに対して少し苦手意識がありました。何故苦手と思っていたかというと、今まで触れた事があったSTGは、STGメインではないゲームに出てくる一部のSTG要素のものがほとんどで、そこで何回もやり直しをさせられた苦い思い出が大きかったからです。
しかし、そんな筆者でも『ブレビマン』はクリアまで遊ぶ事ができました。
自分としても非常に嬉しい経験でしたし、それが出来たのは自分が好きな電子音楽というジャンルにフューチャーしたタイトルだったことが大きいのですが、何より『ブレビマン』が気付きと成長を与えるステージ構成であったからだと考えられます。
2枚のディスクで華麗にビートを刻め!
『ブレビマン』には「攻撃」と「防御」そして「チェンジ・ザ・ビート」の3つの要素があります。
「攻撃」と「防御」は左右にある2枚のディスクで行います。攻撃ボタンを長押しすることでディスクを差し込み続け、素早く2回押すことで2枚のディスクをまとめて差し込む事ができます。攻撃すると、ブレイクビーツでよく聞く「あのドラム音」が鳴るので、まるで自分が音楽の一部に加わったような気分にさせてくれます。
攻撃時に鳴る音が曲によって変えられているのも、細かいこだわりを感じるポイントです。
左右のディスクに「サウンドガイスト」の攻撃を当てると、弾き返して反撃できるので、攻撃と防御を同時に行う事ができます。
音ゲーのように上から下へ流れるラインに沿って攻撃してくるので、ラインに合わせるように意識して動くことが大事です。
最初はこの「サウンドガイスト」の攻撃をディスクのラインに合わせて「カウンター」を狙うのが難しく、本体に当たってしまう事も多いのですが、慣れて弾き返せるようになると素早く倒せるようになりますし、何より爽快です!
左右に動きながらディスクを回転させて反撃をする様はさながらDJのスクラッチのようで、動かしていて楽しい!と感じます。
「3DSTG&音楽ゲーム」とありますが、どちらかというと「STG」寄りで、「音ゲー」のようにタイミング良く押さなければならないゲームではありません。もちろん、「サウンドガイスト」はビートに合わせて「サウンドガイスト」は配置されていますが、決まった所で倒さなければミス扱いになる事はなく、自由に倒してOKです。

ここで重要なのが、ディスクを差し込み続けるだけでは「サウンドガイスト」を倒すことは出来ません。体力バーは減っていますが、ディスクを戻さないとダメージ自体は入っていないのです。つまり「攻撃ボタン押しっぱなし」ではいけない、という事です。
「サウンドガイスト」の体力が無くなると赤く点滅するので、削りきったらディスクを手元に戻すか、ディスクを再び当てると倒すことができます。
それなら攻撃ボタンを連打し続ければ良いのではないか?と思うかもしれませんが、そうすると「防御」ができないため、ダメージを受けやすくなってしまいます。
「防御」に徹し続ければ良いのではないか…ともいかず、赤く点滅した「サウンドガイスト」にはディスクを当てないと、倒すことが出来ません。
このディスクを差し込む「攻撃」と「サウンドガイスト」の攻撃を利用して反撃出来る「防御」を、状況や攻撃の種類によって瞬時に見極めて動くのが『ブレビマン』の面白さとなっているのです。
攻撃を当て続けているとバイブスが上がって「ゲージ」が溜まっていき、最大まで溜まると「チェンジ・ザ・ビート」が出来ます。これを使うと、全体に音を奏でて「サウンドガイスト」たちを一掃してくれます。要するに「ボム」です。
これらの基本は最初にチュートリアルで「ドクター・スクラッチ」が分かりやすく説明してくれますが、この「サウンドガイスト」はこう倒す、という方法は自分でプレイしながら見つけ出すように作られています。
これだけ読むと難しく感じるかもしれませんが、使うボタンは非常に少ないですし、横画面をいっぱいに使っているので、攻撃も大きく見づらい事はありません。派手な背景やグラフィックで敵や攻撃が見えない事がないというのも、非常にこだわって作られていると感じます。一部、人によっては見えづらいステージもあるかと思いますが、そちらはサブステージですので、メインでは問題ないかと思われます。
また、ダメージを与えた分に応じて徐々に体力が回復していくので、残りのライフが1になってしまっても、なんとか持ち直すこともできます。このシステムのおかげで乗り切れた場面が何回もあるので、筆者がそうであったように、あまりSTGに慣れていないユーザーでも遊べるのではないかと思います。

ステージ選択画面には「開始」と「会議」があります。「開始」を選択すると、即座にゲームが始まりますが「会議」を選択すると「ドクター・スクラッチ」によるブリーフィングを聞くことが出来ます。
とにかく先にブチ上げに行くもよし。話を聞くもよし。というスタイルです。
この「会議」で聞ける軽快なトーク、といっても「ブレビマン」の言っている事は我々にはわからないのですが、「ドクター・スクラッチ」がユーモアを交えつつ状況説明をしてくれるので、こちらを聞くことも楽しみのひとつになります。「ブレビマン」についても、知ることができるかも…?


ステージを開始し「サウンドガイスト」を救済し続けていくと「フェーズ」が上がっていきます。「フェーズ」が上がると「サウンドガイスト」の攻撃も激しくなっていき、音楽も次の「フェーズ」に進みます。
攻撃とサウンドの激しさが相互に影響しあって、こちらの気分もどんどん盛り上がっていきます。

一定のフェーズまで進むと最後には「ボス」が出現し、激しい戦いを繰り広げることに。ボスのビジュアル表現や攻撃方法も様々で、特に「メインレベル3」の「Swing By Me」にはこんな表現もするのか!と驚かされました。そちらはぜひ、ご自身の目で確かめてください。
個人的には「メインレベル4」の「Ishkur, Guard of Electronic」がお気に入りです。サイバーチックなネオンシティで、どこか寂しさを感じるような浮遊感のある曲を聞きながら進んでいった先に、鍵盤の上に宇宙飛行士の頭が4つ掲げられている姿を見た時は、畏れとも言えるような神聖さを感じました。かなり苦戦させられたボスでもありますが…

メインステージをいくつか進めていると、サブステージが出現します。こちらでは、メインステージより少し難しい難易度のステージで遊べるのと、様々な(サブ)ジャンルの音楽を楽しむことが出来ます。しかも、「ドクター・スクラッチ」による分かりやすい解説つきです。


こういう音楽は好きだけど名前は知らなかった、という人にとっては、サブステージで気に入った曲のジャンルで検索して新しい音楽と出会うきっかけにもなりますし、元々好きな人からすれば、改めてジャンルについて理解を深められ、このジャンルも入ってるんだ!と嬉しい気持ちにもさせてくれます。
音楽が好きで『ブレビマン』を遊んだ人や、STGが好きで遊んだ人、両方が好きな人にも、新しい音楽との出会いや深堀りするきっかけを与えてくれます。
次はどんな曲が聞けるんだろう、とメインもサブもどちらも進めたくなりますし、サブステージだからこそできるような禍々しい背景のステージなどもあるので、サブだからとスルーせずにぜひ遊んでみて欲しい要素です。
多くは語らず、プレイを通して
何回かゲームオーバーになっていると「セーフティCtB」という機能がONになります。
こちらをONにすると、ダメージを受けそうな時に「チェンジ・ザ・ビート」のゲージが溜まっていれば、自動で発動してダメージを防いでくれます。もちろん、設定からON/OFFを切り替える事も可能です。

この手助けとして用意された「セーフティCtB」機能。ONにしたからといってゲームが簡単になる訳ではありません。
ですが、この「セーフティCtB」機能をONにすると、新たに一つの駆け引きが生まれるのです。
最初は攻撃に当たってしまう事が多いため、溜まったらすぐに発動されてしまう印象を抱くのですが、慣れていくと溜まったままの時間が長くなっている事に気付きます。
すると、今ここで発動して「サウンドガイスト」を一掃し、また「チェンジ・ザ・ビート」を溜めるか。それとも、この後のボスに備えて体力を温存するための「バリア」として使うかを考えながらプレイするようになります。
この段階ならまだ攻撃が激しくないから「チェンジ・ザ・ビート」を使っても大丈夫かな、と状況を見極めて使えるようになりますし「バリア」として使っている間は攻撃に当たらないよう、より神経を集中して動くようにもなります。
筆者のプレイスキル的には「メインレベル3」の時点で難しく、明確に難所として用意されている「メインレベル5」はクリアするまで何度も何度もやり直しました。ビジュアルとしても印象に残るステージです。
ですが、リトライを繰り返すうちにこの「ボス」や「サウンドガイスト」にはこう対応すれば良いのではないか、と気付くようになりますし、それが出来るのは『ブレビマン』がプレイヤーに気付かせるように設計して作られているからだと感じます。
気付いた事を試してクリアできた達成感はひとしおですし、そこで覚えた事が次のステージにも生きてきます。実際「メインレベル5」をクリアした後は、サブステージなども少ないリトライ数でクリアすることができましたし、「メインレベルのラスト」はリトライなしでクリアする事ができました。
この気付かせる事に関して台詞などを使う事はなく、ゲームをプレイすることで気付くようにしている所は『ブレビマン』の非常に良く出来ている所だと感じます。
なんだか不思議なビジュアルとゲームタイトルからネタ的なイメージを抱くかもしれませんが、実はとてもしっかり作られた作品なのです。
『ブレビマン』には体力を伸ばしたり、攻撃力が上がる要素などは一切なく、己の腕を磨き上げるしかありません。ですが、このように考えられたステージ構成による気付きと試してみようという気持ちがあれば、きっとクリアまで辿り着けるはずです。

何故「サウンドガイスト」はここまで暴れているのか、「ブレイクビーツ」で世界を救うとは、「ブレビマン」とは一体何なのか…?
それはクリアしたら分かるかもしれないし、分からないかもしれない。
ですが、このゲームをクリアした頃にはきっと達成感を感じられる事でしょうし、「ブレイクビーツ」だけでなく音楽そのものへの愛も深まっているはずです。
『ブレビマン』はPC(Steam)向けに2月13日に発売です。また、ニンテンドースイッチでの配信も予定されています。











