
3月17日、『きかんしゃトーマス:ソドー島の不思議』がPS4/PS5、Xbox One/Xbox Series X|S、PC向けに発売されました(スイッチ版は未配信)。
英国発の幼児向けアニメ作品「きかんしゃトーマス」は、日本でも根強い人気を誇ります。顔と心を持った乗り物たちが繰り広げる物語は、世界中の子供たちを虜にし、大きな夢を与えています。そんなトーマスを自分の手で操作できるゲームが登場したということで、早速プレイしていきたいと思います。なお、今回筆者がプレイしたのはPC版で、パブリッシャーよりSteamキーの提供を受けています。
それにしても、子供の頃に観たトーマスやゴードンをこの手で動かせるなんて、想像もしてなかった!
運転士から見たトーマスの日常

イギリスのグレートブリテン島とアイルランド島に挟まれるブリティッシュ海。この海域の只中に、ソドー島という島があります(もちろん架空の島)。ここが『きかんしゃトーマス』の舞台です。
ソドー島の鉄道「ノース・ウエスタン鉄道」には、様々な機関車や車両が毎日働いています。トーマス、ゴードン、パーシー、エドワード、ヘンリー……。鉄道車両だけでなく、バスや整備車両、ヘリコプターも顔と心を持った世界観です。そういえば、ソドー島には日本出身のケンジという超特急車両もやって来たことがあります。

『きかんしゃトーマス』は、車両たちが主役のため彼ら視点のカットや映像が尺の大半を占めます。ですが、よく考えてみればトーマスたちを動かしているのは運転士。『きかんしゃトーマス:ソドー島の不思議』は、何とトーマスたちではなく運転士が主役のゲームです。

チュートリアルでは、まず主人公の運転士がトーマスに乗車するところから始まります。これは一人称視点で、基本的な操作は伝統的なWASDキー移動。車内に乗り込んでトーマスを動かす段になると、Wでエンジン起動、Sでブレーキ、AとDで前進後進の切り替えという操作になります。

これがまたリアルで、機関車の操縦系統を開発者がよく理解している点が伝わります。いや、本当にすごい! 運転席に乗っている時はもちろんトーマスの顔を見ることはできないのですが、カメラの切り替えで車外からの視界にすることもできます。その場合は、トーマスの顔を見ながらの操作が可能です!
じこはおこるさ

「きかんしゃトーマス」は、言い換えれば「鉄道会社のお話」です。そうである以上は、予め決められた区間への旅客輸送や貨物輸送をトーマスたちが行います。
「この駅からあの駅へ」までという仕事を確実にこなす必要があるのですが、線路には「ポイント」というものが存在します、これを切り替えることで、線路の分岐の方向を変えることができます。『きかんしゃトーマス:ソドー島の不思議』には、このポイントが駅や道中に点々と設置されているのですが、中には運転士が手動でレバーを動かさないといけないポイントも。このあたり、費用をかけて近代化できなかったのかトップハム・ハット卿!?

また、このゲームは基本的に「安全第一」がモットー。走行中はWキーを押しっぱなしで最高速度まで上げられますが、ブレーキを操作してもすぐには止まれないという鉄道の特性がしっかり再現されています。したがって、事故を起こさないためには早めのブレーキ操作が必要です。
そう、このゲーム……アニメと同様、下手な操作をすると車両が派手に脱線するようになっています。

「きかんしゃトーマス」の劇中歌のひとつに「じこはおこるさ」という曲があります。油断をしていると事故は起きてしまう、でもそれはしょうがないことだから、何とかしよう……という、交通事業者にあるまじき態度の歌詞で有名な曲だったりします。
実際に、劇中でもトーマスたちが派手な事故を起こしまくっています。建物にぶつかる、崖から落下する、脱線して車道に貨物をぶちまける。コールタールを積んだ車両に激突する、民家を破壊する、巨大な岩に追い駆けられる……。
『きかんしゃトーマス:ソドー島の不思議』でも、客車や貨物車と連結する際に速度を時速5マイル以下にしないと事故になってしまいます。全速力で突っ込もうものなら、トーマスが空中を舞う羽目に。君たち、安全運行研修を受け直しなさい!
「旅行ゲーム」としての側面も

そんな『きかんしゃトーマス:ソドー島の不思議』で筆者が気になったのは、シナリオパートがかなり丁寧に描かれている点。これはアニメとしてのストーリーテリングにも注力しているということかもしれませんが、どのキーを押してもシナリオパートをスキップできません……。マウスの左右のボタンを押しても何も起こらず、どうもシナリオパートは最後まで観ないといけない模様です。
それでも、アニメではあまり描かれなかった「運転士の視点から見たソドー島」を体験できるというのは、希少価値の高い体験ではないでしょうか。
機関車、つまりメカとしてのトーマスを細部まで再現しているという点で、筆者はこの作品を高く評価したいと思います。煙突から出る煙や汽笛、そして駅の賑わい、ロンドンから遠く離れたイギリスの田舎町の風景。そうした要素を丁寧に再現していて、ある意味では「旅行ゲーム」「観光ゲーム」とも言える側面も持ち合わせているようです。
日本人にとっては、速度と距離の表示がメートル法ではなくヤード・ポンド法になっているためピンと来ない部分もありますが、それでも購入したら十分に楽しめる作品に仕上がっています。











