Xbox Game Studiosは、Compulsion Gamesが開発したアクションアドベンチャーゲーム『South of Midnight』をXbox Series X|SとPC(Steam)向けに2025年よりリリース中。そして2026年4月1日には、PS5版とニンテンドースイッチ2版が発売しました。
本作は、アメリカのディープサウスを舞台に、主人公の「ヘーゼル」が、ある事件によって壊れた絆と魂を癒す魔法を操る「ウィーバー」になるという物語。母を救い故郷を守るため、アメリカ南部の民話に登場するクリーチャーに立ち向かいます。
また「The Game Awards」のGames for Impact部門や、「D.I.C.E.」のOutstanding Achievement in Animation部門など、PS5/スイッチ2版リリースの前から数多くの賞を受賞しています。
本記事では、今回の移植を機に、改めてそんな本作のあらすじや、“ぐっ”ときた点についてのプレイレポートをお届け。なお執筆にあたり、XboxおよびCompulsionGamesからPS5版の提供を受けています。

母を助けるため、現実と融合した不思議な世界へ
ゲームを起動すると、主人公・ヘーゼルやウサギ、パペットが登場する「ストップモーション」のアニメーションが流れます。
本ムービーは実際にストップモーションで製作されており、『South of Midnight』が描く暖かくて不気味な世界を、早速味わえるような作りでした。
本のページがめくられていき、モノクロ版画のようなイラストがクローズアップされるという流れで動き始めるムービー。民話をモチーフにした、どこかおとぎ話のような本作の不思議な世界観にぴったりです。
ムービーがロード画面から自然に始まるのも、没入感を損なわない演出として良いなと感じました。

ストーリーは、かつて「チカソー族(アメリカ合衆国のインディアン)」のものだった土地の小さな町「プロスペラ」にある、ヘーゼルの家から始まります。
部屋にはギターやミュージシャンのポスターが貼られていて、音楽好きな事がうかがえます。陸上競技の写真もあり、運動神経も抜群なようです。



ヘーゼルは、どうやらハリケーンから逃れるため荷物をまとめている様子。荷造りしながら思い出を振り返っていたところに、ヘーゼルの母親「レイシー」が帰宅。
2人は楽しげなやり取りを見せますが、窓から見える豪雨や音が、この先不穏な事が起こるのではないか……と思わせる空気をプレイヤーに漂わせてきます。
その予感は的中。どうやらヘーゼルは母に対して不満に思っていることがあるようで、やり取りの中で、ふとした瞬間にその思いを爆発させてしまいました。


先程の微笑ましい2人の様子から一転、レイシーと口論してしまったヘーゼルは、「近所の様子を見てきて欲しい」と言われていたことを理由に、逃げるように家から飛び出します。
そして犬好きの「ボー」や付き合いの長い「パールおばさん」と会話していると、突如ハリケーンがヘーゼルの家を襲い、レイシーごと川に流されてしまうのです。

ヘーゼルは慌て、流されていく家とレイシーを追いかけていると、「謎の白い糸」である「より糸」が見えるようになりました。
より糸は、「グランドタペストリー」という全てのものを結びつける森羅万象の織物のこと。ほとんどの人には見えないものですが、より糸の「紡ぎ手」には現実とグランドタペストリーの関わりが見え、より糸はそのグランドタペストリーによって織られている……という設定です。

ハリケーンの中、わけも分からず必死に家と母を追いかけるヘーゼルのシーンは、「このままヘーゼルとレイシーが喧嘩別れをしてしまっては、あまりにも悲しすぎるから間に合ってくれ……!」とこちらも祈るような気持ちになり、コントローラーを持つ手につい力が入りました。

そうして、すがる思いで祖母「バニー」の家まで走り、なんとか家の中に入れたヘーゼル。
話を聞くために階段から降りてきたバニーの身なりや立ち振舞い、使用人がいることから、かなり良いお家であるとうかがえますが、なんとなく「ヘーゼルやレイシーとは分かり合える人ではないのではないか」という立場の違いのようなものが、表情や会話から伝わってきます。

ヘーゼルは、バニーに家とレイシーの件と、より糸が見えだしたことについて話しますが、バニーはやはりあまり焦っていない様子。
「今すぐに救助隊を出すことはできないし、あなたは今正気を失っているのよ」と諭しながら、バニーはヘーゼルを椅子に座らせ、ヘーゼルも疲れたのかそのまま眠ってしまいました。


そして夢の中の不思議な空間でレイシーの姿を見て目を覚ますヘーゼルですが、起きるとそこはベッドの上。眠っている間に連れて来られたらしく、出ようにも部屋の扉はびくともしません。しかし、ここで立ち止まるわけにもいかないヘーゼルは、窓から外へと伸びる「より糸」を頼りに、部屋からの脱出を試みます。
壁の縁を伝い別の部屋へ侵入すると、そこには謎の「フック」が。フックを入手したヘーゼルは、いよいよ「紡ぎ手」として不思議な世界へと迷い込むことになります。


幻想的な世界とカントリーミュージックの“心地よさ”
ヘーゼルとレイシーの行方や、不思議な世界についてなどが気になる本作ですが、モチーフはアメリカ南部の民話なので、「それらの知識がないと話が難しいのでは……」と思う方もいるかもしれません。しかし、筆者がプレイした範囲(最初のボス戦まで)では、前提知識無しでも大丈夫と感じました。
喋る大きなナマズや幽霊などの超常的な存在も出てきますが、ヘーゼルの暮らす現代におとぎ話のような世界が混ざり合っている感じなので、難解な話や単語が頻出することはありません。

まず筆者が『South of Midnight』で惹かれた部分は、ビジュアルです。
先程も触れたように、ムービーからゲーム内までストップモーション・アニメを感じられるような動きに、新しいチャプターが始まる際の“本の中のイラスト”が動いているようなムービー。そして、幻想的な世界の景色の美しさ、感情や思いが伝わるキャラクターの表情のこだわりなど。
おどろおどろしいクリーチャーや母親の危機が迫った状況の中でも、これらがどこか「暖かさ」を感じさせてくれるのです。


特にふとしたときに見る景色には、差し込む光の美しさや森の空気、街中の少し埃っぽい感じまでが表現されていて、綺麗な景色を見られると嬉しいタイプのプレイヤーとしては、ついつい立ち止まってスクリーンショットボタンを押したくなってしまいます。


次に“ぐっ”ときたところは「音楽」です。アメリカ南部がテーマのひとつなのもあり、カントリーミュージックやソウルが、ゲームの背景で奏でられます。
筆者はあまりそちらのジャンルに詳しくはないのですが、『South of Midnight』の自然豊かな世界、また人々が暮らす開けた街と合っていてとても心地良いと感じました。
ストーリーに合わせてボーカル付きの楽曲が流れるのですが、台詞や落ちているテキストとは違い、歌詞は翻訳されていません。
英語が分からないと「なんとなくこうなんだろうな」というふんわりとした理解になってしまいますが、歌詞の意味をその場で理解できていなくても、心情がしっかりと伝わる音楽です。

また、母を救出するための旅を経たヘーゼルは、やがて母の抱える思いを知り、街に住む人々のトラウマや「クリーチャー」たちが、なぜそんなクリーチャーと化してしまったのかという過去に触れながら、自身の心の傷も解きほぐしていきます。
間違いや過ちを起こしてしまった……と後悔する登場人物達の背景には、“悪いことではあるけれど責められない複雑さ”が垣間見えます。



「呪文」を使い、華麗に敵を解きほぐす
紡ぎ手として様々な人やクリーチャーたちに触れ、心の傷を解きほぐしていくヘーゼルですが、時には戦うことでしか傷を癒せないこともあります。
そんなときは、フックを使った攻撃と回避、そして呪文(アビリティ)を駆使してクリーチャーと戦いましょう。攻撃ボタンを長押しすると、遠くまでフックが届くようになり、近くにいない敵にダメージを与えることもできます。

攻撃が当たる直前に回避をすると「パーフェクト回避」となり、周囲にダメージ波が発生。体力を削り切り、クリーチャーのコアがむき出しになったら、最後に心を「解きほぐす」ことで癒してあげましょう。
最初は回避のタイミングが分かりづらく、攻撃を食らってしまいがちですが、気持ち早めにボタンを押すとパーフェクト回避になりやすいかもしれません。攻撃が見切りづらい場合は、設定から「ストップモーションのビジュアルをオフ」にすると戦いやすくなるかと思われるので、調整してみるのも良いでしょう。



呪文には、「ウィーブ」「ストランドプッシュ」「ストランドプル」「クルトン」の4つがあります。
「ウィーブ」は敵の動きを封じ、一定時間動けなくする呪文。「ストランドプッシュ」は風の力で敵を押し出して遠ざけ、「ストランドプル」は敵を引き寄せることができます。



そして4つ目の「クルトン」は、ヘーゼルの持っていたぬいぐるみのクルトンがなんと動き出し、探索や戦闘の手助けをしてくれるようになる呪文です。
探索ではヘーゼルの入れないような狭い所をクルトンを操作して調べられます。戦闘では、一定時間敵を支配してこちらの味方につけることが可能です。



これらの呪文は、道にある「フルーフ」を一定数集めるとアップグレードできます。


フルーフは少し外れた道などに置いてありますが、あまりアスレチックが難しすぎず、長すぎずの丁度いい距離に配置されているため、ストレスなく集められます。戦闘以外の探索時にも使用する「魔法のオブジェクト」というものもあり、これらはテンポよく解放されていくため、比較的早い段階でほとんどのアビリティにアクセスできました。
戦闘よりもアドベンチャー部分がメインなので、とにかく「アクションゲームを遊びたい!」という人からすると物足りなく感じるかもしれないものの、しっかり敵を見ていないといつの間にか体力が赤くなっているので、気の抜けないバランスにはなっています。
敵の攻撃を跳ね返すこともできるので、積極的にアビリティを使いたくなる戦闘が楽しいですね。


様々な人の抱える思いやトラウマ、悲しみに触れることで、ヘーゼルと共にプレイヤーもその問題や事柄について考えを巡らせることができる本作。
果たしてヘーゼルは無事に母を救出し再会することができるのか、最後に辿り着き私たちに伝えてくれるメッセージが何なのかが非常に気になる作品です。
『South of Midnight』は、Xbox Series X|S/PC(Steam)/PS5/ニンテンドースイッチ2向けに発売中です。
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