
突然ですが、あなたは育てていた植物から生首が咲いた時、その人(?)を愛することができますか?
何を言っているのかわからないかと思いますが、今回プレイレポをお届けする『TOMAK : Save the Earth Regeneration』はそんな展開から始まる生首との恋愛ADVです。本作は2001年に韓国のSeeds9によって開発され、日本ではWindows版とPS2版がサンソフトより発売されていました。
今回プレイレポでお伝えする内容は、25周年記念としてEpic Gamesストアにて発売されたものになります。当時から強烈なインパクトを放っていましたが、今回の復刻によって手に取りやすくなりました。本プレイレポでは、25年経った今でも強烈な作風を誇る『TOMAK』の世界をお伝えしていきます。

なお、Epic Games版は日本語・フルHDやWQHDなどの高画質に対応していますが、ゲーム開始後メニュー画面が出るようになるまで設定することができません。また、Windows版がベースとなっているため、PS2版の追加要素および日本語音声には対応していません。ご注意ください。

生首となった神様、コミカルなメインヒロインに
そもそも、なぜ本作では生首との恋愛を繰り広げることになるのでしょうか?この生首と向き合うまでのストーリーは、神々の世界という形で表現されていました。
本作のメインヒロイン、生首のもとになっているキャラは愛の神エビアンです。彼女のいる神々の世界では、人間が欲望に忠実すぎるので滅ぼした方が良いという主張が主流になっていました。彼女はこれに反論しますが、嫉妬の神であるテザワが間を取り持つ形でエビアンに「人間に精神的な愛があることをあなたの身で証明しなさい」と言います。そして、彼女が絶世の美女であることに言及し、「その姿だと相手が肉体的欲望に溺れて精神的な愛を証明できないから、あなたは生首になって愛される必要がある」と条件を提示されます。こうして、彼女は種子として下界に降り立つことになります。主人公はこの種子を育てることで、生首になったエビアンに出会い、物語が始まります。



やや唐突気味に名前の入力画面が入るため最初は笑ってしまいますが、話の導入としては神々の世界というファンタジー要素があるとはいえ、かなり丁寧な作りになっており驚きました。いきなり生首が出てきて事情を説明するようなわけでもなく、生首側の事情があらかじめ語られることで、思ったよりも納得できる状態でゲームを始めることが出来ました。


そんなエビアンですが、生首としてメインヒロインになると、かなりコミカルな表情を見せます。特に、機嫌が悪くなると急にデフォルメの姿になり、主人公に小言を言ってきます。無料の水を飲ませると「まだあたしを水さえやっとけば育つ植木鉢のたぐいみたいに思ってるんだろ・・・」と言ってきたり、ストレス値を下げるために敢えて仕事に出ると「もうあたしを見たくないんでしょ?」と言ってきたり・・・。このように会話の内容はちょっとイラッとするものですが、イラストは通常状態や機嫌のいい時に比べてコミカルで愛嬌があり、こっちの方がなんだかんだ見ていて愛着がわいてきます。逆に通常の表情だと生首が生えている違和感が凄まじく、不思議な気持ちになってきます。このゲームは彼女の機嫌が悪くなりやすく、一度悪くなると中々元に戻らないため、ビジュアル的な面で見るとむしろ機嫌を悪くした方が良いんじゃないか?とさえ思ってしまいました。


生首を育てる!尖りまくった育成パート
実際の育成パートでは、3年間で彼女の愛情ステータスを一定まで上げ、生首でも愛せることを証明する必要があります。愛情ステータスを上げるためには「知能」「感性」「魅力」などのグッドステータスを上げる必要があります。一方で、「空腹」「のどの渇き」「ストレス」などのバッドステータスを貯めすぎると一気に不機嫌になってしまうため、食事を与えたり仕事に出て一人にしてあげたりと、調整をする必要があります。また、一度不機嫌になってしまうとステータス上昇率が急激に下がってしまうため、特に序盤でバッドステータスに気を遣ってあげないと、ゲーム終盤までステータスの上り幅が尾を引くことになります。


各ステータスや行動のメリット、デメリットについてはゲーム内で序盤に簡単な説明がされるものの、どのような効果があるのかは明確に言及されません。月の終わりにリザルトが出るうえに、翌月の機嫌が表示されるのでそこでどのぐらいの効果があったのかを判断する必要があります。先ほど述べたように、本作は序盤のステータス調整に気を遣わないと終盤まで影響が残るため、早々に理解をしないと苦戦を強いられることになります。どの選択肢がどのような結果を生むのか、触って理解をしていきましょう。


本作独自の要素としては、温度や天気の変化による影響と、それを補う場所と見た目のステータス調整が挙げられます。本作では季節の温度幅によって彼女のステータス上昇率が変化します。暑すぎてもダメ、寒すぎてもダメなので、場所を変えて対応する必要が出てきます。机、窓際、庭、地下室の4か所にエビアンを移動させることができるので、状況に応じて適切な場所を選んであげましょう。暑すぎるときは地下室に連れていったり、逆に曇りの時は外に出してあげたりすると良いようです。逆に雨の日に庭へ連れて行ったらダメですよ!


また、温度変化には髪色やアクセサリーなどの見た目変更アイテムも有効です。金髪や白髪は夏の厳しい暑さに有効に機能するので、夏が始まるまでには髪色変更スプレーを買っておきましょう。さらに髪をカットしたり結んだりしてサッパリさせれば、暑い夏を乗り切れるようになります。髪色やアクセサリーなどの見た目の部分もステータス変動に大きな影響を与えるので、油断できません。


全体を通してかなり細かい部分まで気にする必要がありますが、理解することが出来れば適切に彼女を管理することができるようになります。本作は見た目も相まって生首と恋愛するゲームという印象が強いですが、ゲーム内容としては恋愛ADVより動物や子供を育てる育成ゲームに近いです。ただし、キスやなでなでなどの愛を育む恋愛ADVの要素が育成中でも顔を出すため、育成と恋愛が混ざり合う不思議な感覚を味わうことができます。


人や神との出会いから、生まれてくる思い
こうして生首との愛情を育んでいく本作ですが、主人公と生首だけで世界が完結している…というわけでもありません。本作では、主人公の友人や幼なじみなど、本人の人間関係でも物語が進展していきます。コンパに誘われた中で出会った女の子や同窓会で出会った幼なじみ、いつもゲーセンにいる謎の女の子など…。単なる大学休学中の青年でしかない主人公にも、ゲームを進めていくうちに恋愛ADVで攻略できそうな人間のヒロインが複数人現れます。彼女たちとの会話を楽しむこともでき、選択肢によってはデートをすることもできます。


また、ときどき育成中に神々や訪問販売が介入してくることがあります。神々の世界からは、嫉妬の神「テザワ」、破壊の神「バスタイル」、謎の預言者、小さい妖精、地下室にいる謎の幽霊などなど、変なメンバーが終結しています。一方の訪問販売も負けず劣らず、押し売りする悪質な販売員から、突然髪を切りにくるスタイリストまで様々な人がいます。多様なキャラクターは育成を妨害したり、エビアンに寄り添ったり、メタ要素を用いてめちゃくちゃにボケてきたりするなど、それぞれがランダム要素としてゲームを盛り上げてくれます。


ゲームを進めていくと数人の人間とデートができるようになり、かなり正統派な恋愛ADVの要素を増していきますが、一般的な恋愛ADVと違うのは生首の美少女が自宅にいるという点です。主人公は、毎日育成しながら対話を繰り返している生首と、デートの中でかわいい姿を見せる人間の女の子、どちらを選ぶのか―――。それは皆さんの手で確かめてみてください。


生首と過ごす3年間は奇妙で不気味な部分もありつつ、どこか徐々に信用できるような、不思議な感覚がありました。25周年に際して手に取りやすくなった本作を、一度味わってみてください。『TOMAK : Save the Earth Regeneration』は、Epic Gamesストアにて配信中です。












