「賛否両論」の『Warhammer 40,000: Mechanicus II』プレイレポ―致命的な不具合が惜しいが、タクティカルコンバットのディープな楽しさを追究したタイトル | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「賛否両論」の『Warhammer 40,000: Mechanicus II』プレイレポ―致命的な不具合が惜しいが、タクティカルコンバットのディープな楽しさを追究したタイトル

容赦ない低フレームレートと過酷なSteamスコアが待ち受ける、ビデオゲーム版グリムダーク

連載・特集 プレイレポート
「賛否両論」の『Warhammer 40,000: Mechanicus II』プレイレポ―致命的な不具合が惜しいが、タクティカルコンバットのディープな楽しさを追究したタイトル
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万機神を崇めよ!

機械で肉体を増強し、赤いローブを身にまとった、マシンゴッドの信奉者テックプリーストがビデオゲーム界に帰ってきました。帝国技術局のファンは心待ちにしていたことでしょう。4万年後の銀河でスペースマリーンの終わりなき戦争を支え続ける名脇役、アデプトゥス・メカニカスが主役の『Warhammer 40,000: Mechanicus II』が発売されたのです。万機神を崇めよ!

しかし、その再臨をよろこんだ人は約半数しかいませんでした。2026年5月22日に発売された本作のSteamユーザースコアは賛否両論(6/1時点で53%が「好評」の評価)となっています。これは万機神とその化身である皇帝への不信――ではなく、ゲームの品質が悪いからです。しかし不評の多くは前作『Warhammer 40,000: Mechanicus』を過大に持ち上げており、本作に向き合っているとは言えません。本稿はメーカー提供のプレスキーを用い、評価内容の実状をお届けします。

執筆にあたり12時間プレイし、キャンペーン第1章をクリアしました。この時点で特記すべき不満点が2つあります。GPUの異常負荷とスキルの機能不全です。

GPUの異常負荷は、数年前のフラグシップGPU(AMD Radeon RX 7900 XTX)で稼働率が100%でした。解像度と映像品質を変更しても稼働率は変わらず、ゲームの動作不具合かと思います。上記環境ではプレイに支障はありませんでしたが、Steamユーザーのコメントでは低フレームレートの不具合報告が多かったです。

スキルの機能不全とは、戦闘パートでヒーローのスキルが正しく機能しないというものです。筆者はそのヒーローの使用を避けて問題を回避しましたが、主役のスキルが使えないというのは品質の未熟さを強く感じる不具合です。

上記2点の大きなマイナス点があるものの、ゲーム内容そのものには満足しています。前作はキャラクター成長を楽しむダンジョンクロールでしたが、本作は惑星の覇権をかけた戦いとなります。舞台のスケールだけでなく、ゲームルールにもWarhammer 40,000(以下WH40kと略します)らしさがあり、夢中になれました。

最初に興味を引いたのは、前作の敵役がプレイアブル勢力になった点です。プロローグの1時間半で本作の主勢力、アデプトゥス・メカニカスとネクロンの両方をプレイします。両者の視点で舞台を眺め、戦闘ルールを体験し、前作と毛色が違うゲームだと感じました。続くキャンペーン第1章はチュートリアルの側面が強く、ゲーム展開の自由度が少ないものの、各勢力の異質さが際立つアートワークやテキストを楽しめました。

ゲーム内容と各勢力の紹介に時間をかけたのは、プレイヤーにWH40kらしいプレイングを学ばせるためです。本作の戦闘ルールを活用すると「雑兵を使い捨ててヒーローを活躍させる」のが最も強い戦い方となります。この世界において命は平等ではなく、だからこそ命の価値の最大化を追求しなくてはなりません。この考え方がアデプトゥス・メカニカスの信仰心、ネクロンの封建王朝とマッチし、本作独自のプレイ感へ昇華しました。

命の価値の不平等さはWH40kのフレーバー、戦争しかない未来・絶滅への抵抗・戦争機械と化した階層社会を混合した「グリムダークネス」からきています。背景設定の詳細はフランチャイズ公式サイトを読んでいただくとして、本稿では「人類皇帝を生かすために毎日数千人もの生贄をささげている」世界だと知れば十分でしょう。ここでフランチャイズについて概要を記します。WH40kは遠未来の局地戦がテーマのミニチュアゲームです。ビデオゲームのタイトルも数多く、「スペースマリーン」とその敵役「オルク」が有名です。

物語のあらすじは次のとおりです。アデプトゥス・メカニカスが入植した惑星は、古代種族ネクロンが支配していた惑星でした。アデプトゥス・メカニカスの異種族遺跡調査をきっかけに、ネクロンの墓所は次々と目覚めます。両者ともに撤退の選択肢はありません。惑星の覇権をかけた戦争が始まります。

プロローグ後は2勢力のどちらかを選びキャンペーンを進めます。勢力ごとにキャラクター成長や戦闘ルールは違いますが、ゲームの進め方は同じです。以下にアデプトゥス・メカニカスのプレイを紹介し、ネクロンは後で概要を記します。ゲームは大きく3つのパート、マップパート・作戦パート・戦闘パートに分かれます。マップパートで作戦を選び、作戦パートで戦闘を数回こなす、という流れでストーリーを進めます。

マップパートでは5人のヒーローに任務を与えます。任務の報酬はヒーロー成長、雑兵のアンロック/アップグレード、雑兵購入リソースです。作戦の有無にかかわらず任務にあてたヒーローは休養を取り、1~2回の任務後に復帰します。

作戦パートは実際に武力を行使する任務です。ヒーローが出撃時に購入した雑兵を率いて作戦に向かいます。作戦は複数回の戦闘と合間のイベントからなります。イベントの選択肢で追加報酬の獲得や、雑兵の消耗、次戦闘の難度変化などを得ます。

戦闘パートは四角マスのタクティカルコンバットです。ターン内は自軍/敵軍の手番交代制で、敵手番で動くユニットはターン開始時に確定します。プレイヤーは手番で任意のユニットを動かせるため、予告された脅威に対処しやすいです。

上記のマップ~作戦~戦闘の流れに分岐はありません。よって、ステージクリア型のタクティカルコンバットと同義です。戦闘前の戦場確認はなく、作戦中にヒーローの変更はできません。突発的な戦局に動じないようヒーローを育てつつ、ヒーローに適した雑兵を用意するゲームとなります。

戦闘の主軸であるヒーローは最初から強く、各ヒーローで扱い方が大きく違います。白兵戦、ステルス、部隊強化、AoEなど特色が豊かです。1回の手番で複数の敵を倒す。次の攻撃を無効化する。自手番を3回連続にする。などなど一騎当千の活躍をみせます。このヒーローを強く使うには戦闘中のスキルリソース「コグニションポイント」(以下、CP)が必要です。

CPは雑兵のクラス推奨行動で獲得します。敵の攻撃を受けてCPを得るクラスや、遠距離攻撃でCPを得るクラス、といったかたちでクラスの役割を作ります。雑兵でCPを稼ぎ、ヒーローがCPを使うという流れで雑兵とヒーローのシナジーを重視しました。ヒーローが倒れると作戦が失敗となるため、雑兵はヒーローの命を守るのも任務です。CPを稼ぎ、肉壁として活用することで、命の価値の最大化をはかるプレイングにつながります。

作戦後に雑兵はすべて失い、その残存数が戦果に影響しない、というルールで気兼ねなく雑兵を使い捨てできました。雑兵の残り数と戦闘難度を検討し、作戦中の選択イベントで追加報酬を狙うのが面白いです(※)。作戦ごとに支払う雑兵の購入コストからどれだけリターンを得るか、という考えもグリムダークネスのフレーバーを引き立てていました。

※ 現状は戦闘の難化に対して追加報酬が弱いと感じました。戦闘に直結するヒーロー成長ポイントの入手機会が多ければ、リスクとリターンが見合うシステムだと思います。

前作は1つのチームで得意戦術を育てて成長の実感を味わう、親しみやすいCRPGでした。本作ではヒーローが任務後の休養を要するため、1人のヒーローですべての戦闘を解決することはできません。同じ戦術を繰り返せない難しさは、ヒーローと雑兵のシナジーを狙う難しさ、戦場から命の価値を引き出す難しさへとつながります。その難しさが戦術を創造し続ける楽しさです。本作はタクティカルコンバットのディープな楽しさを追究しています。

『Warhammer 40,000: Mechanicus II』が致命的な品質不足を抱えたまま発売されたのは事実です。その不評に異論はなく、GPUの過剰負荷とスキルの機能不全が改善されるまではお勧めしません。しかし、WH40kファンは言うまでもなく、ゲーム内容そのものはストラテジーファンの好みに合うものです。フランチャイズの顔役スペースマリーンも登場します。ゲーム中盤で、これまたマイナー勢力の宇宙ドワーフ「リーグ・オヴ・ヴォータン」が第3勢力として参戦します。このままSteamのユーザースコアの不評に埋もれるのはもったいない内容でした。

最後にネクロンのプレイ内容に触れます。戦闘を優位に進める仕組みが大きく違い、カスタマイズ性が広い成長要素を楽しむことができました。戦闘ではダメージを与えて支配レベルを高め、ヒーローや雑兵のスキルをアンロックします。ネクロン兵士が標準装備する修復機能で、支配レベルを稼ぐ時間を作りやすいと感じました。成長要素はヒーロー各々で自身の性能を向上させるか、雑兵のアンロック/アップグレードにポイントを割り振ることができます。スキル種類を任意に選択でき、ヒーローと雑兵のシナジーを意識しやすいです。前作の戦闘と成長の繰り返しを楽しむ作りはネクロンが引き継いでいると感じました。

本作はタイトルこそアデプトゥス・メカニカスが主役ですが、実はネクロンも主役の2本立てのゲームです。ここは前作のタイトルを継承したことで、プレゼンテーションに失敗し前作との比較をまねいたと思えます。もしもタイトル名が「WH40k アデプトゥス・メカニカス VS ネクロン VS ヴォータン」であれば、そして致命的な品質不足がなく、ヴォータンがプレイアブルで、さらに各勢力の専用BGMを多数用意したなら、好評を得たことでしょう。今後のロードマップに期待します。

『Warhammer 40,000: Mechanicus II』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに配信中です。

Warhammer 40,000: Mechanicus II (Complete Original Soundtrack)
¥1,500
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

UPDATE2026年6月7日16時47分】単語を修正しました。

ライター:野村光,編集:H.Laameche

ライター/宇宙とSFとストラテジーと格ゲーが好きです。 野村光

ゲームレビュアー。2014年に商業誌デビューし、11年かけてレビュー・インプレッションを200本執筆。オールタイムインベストは『New Space Order』。

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