チェスと聞くと、「名前は知っているけれど、ルールはよく分からないし、なんだか難しそう」と感じる人は多いのではないでしょうか。駒の動き方や先を読む力、定石といった要素を考えると、楽しいと思える段階までにかなり時間がかかりそうな印象があります。
そんなハードルを気にせず、チェスの“美味しい部分”を味わいつつ、ローグライクとしての別方向の楽しさも加えた作品が、今回プレイレポをお届けする『Gambonanza』です。
本作は、通常のチェスのように相手のキングを追い詰めるゲームではありません。小さな盤面の中で、どう敵の駒をすべて取るかを考えるパズル的な遊びが中心になっており、チェスの定石を知らなくても問題なくプレイできます。
駒それぞれの動きを活かす戦略性、相手の駒がどう動くかを読む緊張感、そしてローグライク要素によるハチャメチャな展開。それらが組み合わさった、中毒性の高い一本です。
※執筆に際して、パブリッシャーよりDLキーを提供いただいています。
チェスを土台にローグライク要素でどんどんハチャメチャにしていく面白さ
本作の基本ルールはシンプルです。プレイヤーはチェスの駒を動かし、盤面上の敵の駒を取っていきます。ビショップは斜め、ルークは縦横、ナイトは独特な移動といったように、駒ごとの動きは従来のチェスをベースにしています。
「チェスの駒の動きなんか知るかい」という人も安心してください。相手の駒にカーソルを合わせれば移動範囲が分かります。勝利条件も通常のチェスとは異なり、キングをチェックメイトしたらいいというものではなく、盤面上の敵の駒をすべて取ることになっています。
そのため、従来のチェスよりも分かりやすく、入り口はかなり広めです。

さらに、手数をかけすぎると盤面の何マスかが崩壊し、駒が落下したり、移動できる範囲が少しずつ狭まっていきます。この「限られた手数で敵の駒を取り切る」という仕様によって、本作には詰め将棋に近いパズル感があります。
どの敵を先に取るのか、次に動ける位置は安全なのか。小さな盤面の中で、毎ターンしっかり考えさせてくれました。

また、本作にはギャンビットと呼ばれる強化要素、手持ちの駒を召喚できるリザーブシステム、戦場である盤上のマス目を強化する要素など、通常のチェスにはない強化要素、システムが多数用意されています。
盤面の敵の駒をすべて取ってステージをクリアしてお金を入手、ショップで各種強化アイテムを購入、また次のステージに挑んでお金を稼ぐという簡単なサイクルでゲームを進行していき、すこしずつ強化を重ねてビルドを構築していきます。


そして、一定数のステージを進めるとボス戦が待ち受けています。ボス戦では、リザーブが封印されたり、特定の条件を満たさないと倒せない駒が多数出現したりとしっかり難易度が上がります。
それまでに積み上げてきたビルドの完成度がより強く問われ、チェスの腕だけでは押し切るのは難しく、道中でなんとなく選んできた強化がここで一気に響いてくる感覚がありました。
駒、マス、ギャンビット、リザーブ、これらの要素がすべて噛み合って、本作は硬派なチェスからハチャメチャなローグライクチェスへと変貌。チェスらしい一手の重みを残しながら、ローグライクらしいビルド構築の楽しさもしっかり味わえます。

ただ、プレイしていて強化要素が多いという魅力が、難易度をやや高めにしているとも感じました。
チェスの駒、ギャンビット、マスの強化などの要素はランダムでショップに並び、そこから購入していく形なのですが、そもそも駒の種類が本来のチェスと同じで数種類あり、そこに追加でギャンビットやマス目を強化するものなど選択肢が多いのです。
ビルド構築の幅が広くなるのはいいのですが、理想のビルドを構築するまでに突破しなくてはいけない運要素があまりにも多いという印象を受けました。
とはいえ、この難しさは理不尽というより、ローグライクらしさでもあります。失敗しながら強い組み合わせを覚え、少しずつ勝ち筋が見えてくる過程そのものが、本作の面白さにつながっているので、その点も楽しめる人であれば問題ないと思います。


『Gambonanza』は、チェスとローグライクを見事に融合した魅力的な作品に仕上がっていました。
駒、マス、ギャンビットなど要素が多いぶん難しさはありますが、そのぶんビルド構築の幅は広く、ローグライクとしての楽しさはかなり高めです。一方で、どれだけ強化を重ねても一手ごとの判断は重要で、チェスらしい緊張感もしっかり残されています。
小さな盤面の中に、チェスらしい思考性とローグライクらしい中毒性を詰め込んだ一作でした。
『Gambonanza』は、PC(Steam)にて配信中です。










