フロムイエロートゥオレンジ(fYtO)は5月22日~24日にかけて、京都市勧業館みやこめっせで開催のイベント「BitSummit PUNCH」にて『ONE-DOT GAMES』ブースを出展しました。
ブースでは、fYtO代表の飯野由香氏や本作の開発メンバーが参加し、飯野賢治氏のファンやイベント参加者と交流していました。
本稿では、そんなブースのレポートと、飯野氏をはじめとする開発メンバーへのインタビューをお届けします。
◆「良いものにこだわる人」だったので、Tシャツは良い生地を! 飯野賢治氏ファンも来訪
『ONE-DOT GAMES』は、ゲームクリエイター・飯野賢治氏が2009年にiPhone向けアプリとして企画した『one-dot enemies』をもとに、“1ドット”をテーマにさまざまな遊び方へと発展させた5種類のゲームを収録したゲームコレクションです。
5月17日よりiOS版が配信。5月26日からはAndroid版も配信されました。Game*Sparkでは先日、fYtO代表・飯野由香氏とゲームクリエイター・飯田和敏氏へのインタビューを掲載しています。
「BitSummit PUNCH」でも同作でブース出展しており、会場ではグッズ販売を行っていたほか、飯野氏をはじめとしたアプリ開発メンバーが参加していました。
そこで今回、fYtOの飯野由香氏、STUDIO-KURAの青木秀雄氏、そして今回収録タイトルのひとつ『ONE-DOT ZERO』を企画した立命館大の学生であるSo?さん、Tanaさんにインタビューを実施。ブース出展の反響や飯野賢治氏を知らない世代による「1ドット」のゲーム開発、そして黒い面をドットで削っていく『ONE-DOT ZERO』の企画経緯を伺いました。

――本日はよろしくお願いいたします。まずは今回BitSummit出展と、アプリリリース後の反響についてお聞かせください。今回はグッズも出されていますよね。
飯野由香氏(以下、飯野):グッズについては儲けるつもりはなく、まずは作品やONE-DOT GAMESを知っていただくきっかけになればと思って用意しました(笑)。『one-dot enemies』を知らなかった方にも、「こんな作品があったんだ」と知っていただけるきっかけになれば嬉しいです。
青木秀雄氏:ゲームの直接の反響についてはあまり見えていなかったのですが、ブースを出していたら飯野賢治氏ファンの方が来ていただいて、ゲームを知ってくださっていたということもありました。
飯野:『one-dot enemies』は無料配信で、これまで累計29万ダウンロードされているので、今後さらに伸びてくれたら嬉しいです。『ONE-DOT GAMES』では現在は3タイトルが配信されていますが、今後さらに2タイトル増える予定で、そのうちの1つが立命館大学の学生さんたちの作品、もう1つが飯田和敏さんの作品になります。
ーーブースの物販ではTシャツ、ピンバッジ、缶バッジがありますね。
飯野:飯野賢治が良いものにこだわる人だったので、Tシャツは良い生地を使っています(笑)。ピンバッジも台紙まで含めて丁寧に作っています。
缶バッジはカプセルトイでの販売にしたのですが、これは飯野賢治が「何が出るか分からない楽しさ」や、「自分で回すという行為そのものの面白さ」についてよく話していたので、今回はその楽しさを取り入れてみました
飯野:5月29日に池袋でバイオリニストの磯村ショウノさんが飯野賢治作品の音楽をテーマにしたコンサートを開催してくださる予定で、グッズは今後も販売するつもりです。
※編注:インタビュー中にも実際に、飯野賢治氏のファンという方がブースに訪れTシャツを購入していきました。
◆「制作には『エネミー・ゼロ』にも影響を…」今の若者は飯野賢治をどう見た?『ONE-DOT ZERO』開発メンバーの大学生に話を聞いた
ーーここからは、学生の皆さんに『ONE-DOT ZERO』の開発内容についてお伺いします。本作は、飯野さんの『one-dot enemies』からインスピレーションを受けて制作されたのでしょうか?最初の企画はどういったものだったんですか?
Tana氏(以下、Tana):そうですね、出発点はそこになっています。最初は「1ドットの敵」という『one-dot enemies』のコンセプトから、敵ではなく、味方でもないけれど「自分」に置き換えてみようというところから始まっています。
So?氏(以下、So?):もともとは、1作目が「1ドットの敵」を倒すゲームなので2作目は「エネミーを育成して放出し、1作目に送り込もう」といった、続編的なアイデアで考えていました。ただ、進めていく中で少し違うなと、紆余曲折がありました。
ーー操作方法がスマートフォンの「傾き」になった理由を教えてください。
Tana:最初はスマホゲームだからタッチ操作だろうな、というぼんやりとした共通認識しかなかったのですが、STUDIO-KURAの青木さんがいろいろとプロトタイプを作ってくださって、合宿の時に傾き操作を取り入れることになりました。
So?:傾きって、タッチしてスワイプするのと違って操作がしづらく、それゆえに繊細な操作や集中力が求められます。『one-dot enemies』では「ドットが見づらい」という一種の操作のしづらさがあったと思うのですが、今回はスマホならではの「操作はしづらいけれど、そこがゲーム的面白さになる」部分を模索した結果、傾き操作になりました。
また、ゲームが進むと黒い面が削れてドットの位置が分からなくなっていき、視覚情報からだんだんと聴覚情報に頼らざるを得なくなります。このシームレスな移行は、『エネミー・ゼロ』の「音によって位置を特定する」システムからだいぶ影響を受けています。
プレイヤーをゲームの進行度に合わせてシステムに慣れさせていくような設計を意識しました。

ーー先日掲載したインタビューで、学生メンバーは世代的に飯野賢治氏のことをご存知ないとのことでしたが、なぜ今回開発にチャレンジしてみようと思ったのでしょうか?
Tana:僕は飯田先生からお誘いを受けてです。僕が飯田先生をリスペクトしてて、飯田先生ラブなので、それでちょっと参加したいなと思って、プロジェクトに挑戦しました。
So?:私もゼミの中で飯田先生の呼びかけがあり参加しました。また、私自身が将来的にゲームの業界に入りたいと思っていて、ゼミの中での学生同士でゲームを作るだけじゃなくて、企業の方としっかり連携してゲームを作るという経験を積みたいと思って参加しました。
――それでは、制作にあたって実際に『one-dot enemies』を遊んでみてどのように感じましたか?
Tana:僕たちが今までやってきたゲームは、『スーパーマリオ』のように明確な敵とゴールがあるものでした。ですが、この作品はゴールがあるわけでもなく、ただ潰すだけという「禅」のような要素があり、「あ、こういうのもゲームなんだ」と強く感じました。
So?:ゲームを因数分解したときに何を中心とするかという話になるのですが、例えば『風ノ旅ビト』が明確な敵を用意せず「プレイヤー同士のコミュニケーションツールとしてのゲーム」という部分を抽出しているように、『one-dot enemies』は「プレイヤーが無心で一つのものに没頭していく」という行為そのものをゲームの本質と捉えて設計されているのだと感じました。
ーー最後に、これから遊ぶプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
Tana:僕はこれまで大学在学中に映像制作などをやっていて、「誰かに認められなきゃいけない」「正解がある」という考え方でモノを作りがちでした。でも、この『one-dot enemies』という作品に触れて、もっと自分の好きなように自由に作っていいんだと感じました。このゲームを遊んで頂く方にも、自由に感じて、自由に遊んでほしいなと思います。
So?:ゲームというと「セーブしなきゃ」「キリの良いところまでやらなきゃ」と思いがちですが、このゲームは飽きたら中断して、3日後くらいに手持ち無沙汰になった時にまたやってみるような、日常の一つとして捉えてプレイしてほしいです。電車の中や、5分くらいの短い待ち時間に、腰を据えるのではなくカジュアルに楽しんでほしいですね。
Tana:1ドットの隙間で遊んでほしいですね。
――ありがとうございました!

『ONE-DOT GAMES』は、iOS/Android向けに無料で配信中です。












