Focus Entertainmentは、ドイツを拠点とするゲーム開発スタジオMad About Pandasの手がけるパズルアドベンチャー『Yerba Buena』を、PC/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年5月27日リリースしました。
本作の舞台は、1970年代のサンフランシスコをモデルにした、放棄されたゲーム世界。プレイヤーはNPCとして生きる若い女性の主人公・バーバラとなり、偶然手に入れた不思議な装置「オシレーター」を駆使しながら、ゲーム世界で進行しようとしている邪悪な陰謀を阻止するのが目的です。

オシレーターはオブジェクトの持つ“特性”をコピー&ペーストする能力を持ち、移動や回転などの力を他のオブジェクトに与えることができます。バーバラと仲間たちは、普通では決して乗り越えられない障害物やトラブルに対処していくなかで、やがて大きな真実に突き当たることになるのです。
本稿では『Yerba Buena』のプレイレポートをお届けしていきます!今回のゲームプレイおよびスクリーンショット撮影は、PC(Steam)版を使用しています。
「グリッチ」が拡がる世界
『Yerba Buena』の物語は、主人公のバーバラが自転車のパンクで困っているところを、友人のタクシー運転手・ラッセルに救われるという何気ない日常の一コマから始まります。タクシー内ではゲーム内のサンフランシスコの近況などの世間話をしている中で、カーステレオが奇妙に揺らいでいるのを発見できます。
この世界は現在、人や物が正常な状態ではなくなる「グリッチ」と呼ばれる現象や犯罪、カルト集団、暴走族による問題が多発しています。そんな世界を変えようと、大企業のCEOであるノエルは公園に巨大な電波塔を建設しようとし、地元住民から大きな反発を受けているようです。





しかしドライブの最中、突如として暴走族のリーダー・ベアーがタクシーを襲撃し、車ごとラッセルが攫われてしまいます。ひとり残されたバーバラは、現場に残されているアタッシュケースを発見。人質交換の交渉に使えるのではないかと考えたバーバラは友人の店でケースを開けて奇妙な装置を発見した瞬間、不思議な空間へとワープしてしまいます。
たどり着いたのはバーバラが入手した「オシレーター」のチュートリアルスペース。オシレーターは“特定のオブジェクトの特性”をコピーして、他のオブジェクトにペーストする能力を持っています。例えば、閉じた横開きの扉があったとしたら、横に移動するオブジェクトの「横に動く」特性を与えれば開く、といった形です。







チュートリアル終了後バーバラは元の世界へ戻ります。警察によってベアーが包囲される中、オシレーターの力を使ってラッセルの救出を目指すことになっていくのです。





周囲を観察して使える“特性”を発見せよ!
ゲーム内でオシレーターが有効なオブジェクトは決まっていて、スキャンボタンを押すことで「特性をコピーできるもの」「特性をペーストできるもの」が色分けで表示されます。また、オシレーターが使用できる範囲は決まっているので、それぞれのエリアで答えを導き出すイメージが近いと思います。
特性は複数与えることが可能で、例えば高いビルの上を目指すならば、まず横移動の特性で車や板をビルにくっつけて乗り、上移動の特性で持ち上げれば簡単に高い場所へ到達できます。もちろん、そういった特性のオブジェクトが常にあるはずもなく、その場その場で使える特性を組み合わせ、最適の答えを見つけ出さなければなりません。




特性の取れるオブジェクトは走行中の車だったり、クレーンだったり、回転するファンだったり、謎のロボットだったりと、ステージによって異なります。さらに、同じオブジェクトでも移動している方向で取れる特性が変わったり、ターン中なら「回転」の特性が取れたり、複数の要素が複合している場合もあります。
ゲームが進むと新たにオブジェクトを消す力や弾性、粘性などの力も扱えるようになります。特性を与える順番やスイッチなどのギミック、ときには多少のジャンプアクションなども登場していきます。それぞれのステージにはヒントはなく、バーバラの冒険は決して簡単なものではありません。





また、ゲーム内の各所にはコレクション用アイテムとしてログも隠されています。ログの中には“放棄されたゲーム”に関する開発内容が読めたり、ゲーム内で進行している陰謀についての話なども閲覧できます。



ゲームの世界というギミックも面白い
本作の主人公・バーバラは、ゲームの序盤で暴走族のリーダー・ベアーに誘拐された友人のラッセルを助けなければなりません。舞台となるのは古い醸造所で、オシレーターの力を使えば決して難しいものではありません。しかし、ラッセル救出中にベアーが殺されてしまい、その瞬間世界が巻き戻ってしまいます。
ベアーは放棄されたゲームの本来の主人公であり、この世界では彼が死ぬことで直前のチェックポイントまでロードされます。醸造所では、このループを打破するために「ベアーが殺されない方法」を探す必要があるのです。ロードされた世界では近道なども解放されますが、これは恐らくベアーが何かしらの行動をした結果なのでしょう。




バーバラは色々なレベルを旅しながら、この奇妙な世界の姿に気づいていきます。Steamストアページでは“なれるはずのなかった主人公になろう!”と書かれていますが、バーバラをはじめ協力してくれる友人のホルヘやワンダ、誘拐されたラッセルなど、登場するNPCはその違和感を感じながら、行動していくのです。
物語としても違和感の正体の開示や、序盤から用意されている伏線の使い方、展開の盛り上げ方が上手で、本来決して主人公ではなかったバーバラの成長も印象深く描かれています。醸造所、遊園地、オフィス、バンカーなど、ステージごとに特徴のある謎解きだけでなく、ゲーム世界という設定を活かしたストーリーも必見です。




もちろんパズル部分もしっかり作られていて、謎解きの気持ちよさもたっぷり味わえます。コレクション探しを含め、遊べる要素が多いのも嬉しい部分です。





『Yerba Buena』は、“特性”のコピー&ペーストを可能にする「オシレーター」を活かしたパズルをたっぷりと楽しめます。周囲のオブジェクトを探し、そこから回転や移動、弾性などを組み合わせて答えを探すためには観察力と発想力が必要です。ゲームが進めばやれることも増え、謎解きの気持ちよさはどんどん増していきます。
ゲーム世界の住人たちが織りなすストーリーも注目すべき部分。主人公になれるはずのなかったバーバラが、世界のさまざまな仕掛けや謎、そして本来の主人公や邪悪な陰謀に出会い、仲間たちと乗り越えていくストーリー展開も印象的です。日本語翻訳の精度も、基本的にストーリーを楽しむには問題ありません。



“特性”のコピー&ペーストは実に楽しく、複雑な謎解きでは多少のアクションも求められるなど、最後まで飽きさせない工夫にあふれています。Steamでは序盤を楽しめる体験版も用意されているので、遊んでみて気になった方は是非とも本編もプレイしてみてください!














