
ネコノメ運営の新たな将棋対局ゲーム『棋桜 -KIOU-』が、6月12日にiOS版とAndroid版、6月14日にSteam版が配信されました。
※記事執筆現在、Android版はトラブルのため、Google Playではなく棋桜公式サイトにてapkファイルが公開されています。プレイデータは後日Google Play版に引き継げる予定です。
長年の将棋ファンである筆者もさっそく遊んでみましたので、プレイレポートをお届けします。特徴をそれぞれ見ていきましょう。画像はSteam版を使用しています。
無料で指し放題!
多くの将棋ファンが気になっていたのが、『棋桜』は無料で指せるのか?ということでした。たとえばHEROZ運営の最大手『将棋ウォーズ』は、1日3回は無料ですが、それ以上指したいなら月額課金、という形式になっています。
嬉しいことに『棋桜』は、普通に将棋を楽しみたいだけならどれほど指そうとも無料です。難しいことは考えずにひたすら対局だけしていたい、という将棋ファンには大きなアピールポイントになっています。
『棋桜』には初心者向けの機能が多数搭載されています。

駒の動かし方など基本的なルールは、いつでもメニューで確認できます。

将棋を始めたばかりだから対人戦はまだ少し怖い、という人のためにCPU対局が用意されています。難易度は初級、中級、上級の3種類があります。持ち時間は30分と余裕があり、じっくり考えながら指すことができます。
上級はアマ三段ほどの棋力の筆者が相手してみても、なかなか強い印象です。初心者の方はこれに勝つのを目標にしてみましょう。しかしその目標達成は少し時間がかかるかもしれませんので、同じ初心者の方とマッチングするのを期待して対人戦にもチャレンジするのがよさそうです。

このCPU対局では「指し手ガイド」を表示させることができます。その局面での自然な手を挙げてくれるのです。駒の動かし方は覚えたけど具体的にどう指していったらいいかわからない……という場合に助けになる機能ですね。慣れてきたら無効に設定して対局してみましょう。

いい手を指せた時には好手判定してくれます。自分の手は間違ってなかったとわかった時には嬉しくなるでしょう。

将棋に勝つために必要なのが、王がどこにも逃げられない「詰み」の形を覚えることです。これを覚えるには「詰将棋」というパズルに取り組むのが大事と言われています。『棋桜』には何百種類もの詰将棋が用意されており、1手詰と3手詰の2種類があります。ほんの空き時間にも学ぶことができるので、積極的に取り組んでみましょう。

そして『棋桜』の大きな特色である「棋桜覚醒」。アイテムの「棋桜覚醒券」を使用することで発動します。画面の背景が変化し、この局面ではどう指せばいいのかAIが候補手を挙げてアシストしてくれます。このAIを開発したのはプロ棋士でありながら東京大学出身の情報工学者としても知られる谷合廣紀五段です。
AIに頼るというのは抵抗のある人もいるかもしれません。しかし後述しますがAIを使用できない対局モードも用意されています。逆に言えばそれ以外の対局モードでは、AIを使用する可能性があることにお互い合意しているということになります。ですので気兼ねなく使ってみましょう。
充実の対局モード
『棋桜』の対局モードは4種類あります。

【カジュアル】
CPU対局と同様の指し手ガイドがあります。「棋桜覚醒」が無料枠で使用可能で、好手判定表示があります。
持ち時間は10分で、それを使い切ったら30秒の秒読み(30秒経過しても指せなかったら負け)です。CPUにある程度勝てるようになったら、まずはこのモードで対局してみましょう。
【真剣勝負】
持ち時間はカジュアルモードと同じですが、各種アシストが一切使えません。
こちらが優勢だったのに途中から明らかにAIに指されて一方的に負かされてしまった……先述の『将棋ウォーズ』ではそうしたことがしばしばあります。しかしこの真剣勝負モードではそのような心配をすることはありません(『将棋ウォーズ』との差別化を図るのは後発としては当然のことでしょう!)。将棋ガチ勢には非常にありがたいですね。
【フィッシャー】
持ち時間は5分ですが、一手指すごとに5秒ずつ増えていきます。持ち時間を使い切ったあとの秒読みはありません。「棋桜覚醒」使用可能で、好手判定表示があります。
チェスの元世界王者ボビー・フィッシャーが考案し、将棋界にも持ち込まれた特殊ルールです。最初のうちは早指しして、勝負所に備えて持ち時間を貯めておくという戦略が大事です。短い時間でサクッと指せるように思えて意外と長引くこともあるので、ちょっとした空き時間に……と考えている人は注意しておきましょう。
【ショート】
「3分切れ負け」というルールです。秒読みがなく、どんなに優勢であろうとも持ち時間の3分を先に使い切ったら負けになります。「棋桜覚醒」使用可能で、好手判定表示があります。
フィッシャーモード以上に早指ししなければならず、非常にスリリングな対局を味わうことができます。一方でお互い時間切れ直前になると、適当でもいいからとにかく駒を動かしていくという光景がよく見られます。こうなると本来の将棋とは別のテクニックが要求されてしまい、その末に負けると非常に悔しいのですが、これもまた将棋のひとつの楽しみ方と言えそうです。
世界観とキャラクター

『棋桜』の世界観は、何でもありのゆるふわファンタジーです。 舞台となる「カフェ 棋桜」にはケモミミ少女&青年、シスター、くノ一、現代風学生など、多彩なキャラクターが集っています。この設定以上の背景は、現時点ではゲーム内で詳しく明かされてはいません。プレイヤーがそれぞれ自由に想像できるのが魅力です。
そんな個性豊かなキャラクターたちですが、好きな戦法が設定されているのが目を惹きます。将棋の戦型には飛車を初期位置のままで攻める「居飛車」と、飛車を左側に移動させてから攻める「振り飛車」の2種類がありますが、どうやら『棋桜』のキャラクターは居飛車党が多いようです。将棋のアマチュアには振り飛車党も多いので、もし今後キャラクターが増えるならば振り飛車党も増えれば嬉しいですね。


プロの声優によるシステムボイスも特徴です。このキャスティングについてもツボを外していない印象で、特に狼谷シロウ役の岡本信彦さんは将棋アマ有段者として知られています。また七星みくり役の日高里菜さんは、将棋アニメ『りゅうおうのおしごと!』のメインヒロインを務めたことがあります(ちなみに岡本さんは主人公のライバル役で出演していました)。意図的かはさておき、このアニメのファンとしてはニヤリとさせられましたが、同じ人は多かったでしょう。
気になる課金要素は?
将棋対局自体は完全無料で楽しめる『棋桜』ですが、キャラクターを揃えるためには「縁結び」(ガチャ)をする必要があります。アイテムの「縁結び券」があれば無料で引けますが、基本的には有償購入する「棋晶石」で引くことになります。

常設の「通常縁結び」と、特定のキャラクターをピックアップした期間限定の「イベント縁結び」があります。イベント縁結びのピックアップ率は提供割合から確認できますが、2.500%というのはかなり高めで良心的な印象です(1%程度のゲームのなんと多いことか!)。筆者は狼谷シロウを10連で、七星みくりを20連で迎えることができました。
縁結びではキャラクター以外にも「装飾品」と「贈り物」が排出されます。装飾品は対局時の盤駒デザインやBGMを変更するためのアイテムです。いつもと雰囲気を変えて対局したい時は設定を変更してみましょう。

贈り物はキャラクターの「親密度」を上げるためのアイテムです。親密度を上げていけばシステムボイスの種類が増えていきます。親密度が最大になったら「特別な贈り物」をプレゼントすることで「師弟契約」を結ぶことができ、システムボイスが全解放されます。
キャラクター毎に好きなアイテムが設定されており、それらは親密度の上昇数がアップするので、推しキャラクターの好みは把握しておきたいところです。ただし最高ランクの贈り物は師弟契約を結ぶ際に複数必要になるので、むやみに使わないほうが賢明です。
親密度は対局するだけでも少しずつ上がっていき、また対局後に得られる「金貨」でも贈り物と交換できますが、より早く親密度を上げたい人は課金を検討してみましょう。

自分の指した将棋をAIに解析してもらうには月額課金の「AI解析パス」への加入が必要です。評価値グラフ、指し手評価、推奨手順が示され、局後の検討に役立ちます。
記事執筆現在、リリース記念で「解析の鍵」をギフトから受け取れます。受け取った時点から30日間AI解析が使えるので、忘れずにゲットしておきましょう。
懸念点と今後の展望
『棋桜』はまだリリース直後です。運営型ゲームの常として不具合がいろいろと見られますが、順次改善していくでしょう。
そしてオンライン将棋対局の要である、棋力に応じたマッチングの精度。初心者は遥かに格上の相手と当たってしまい残念な思いをすることもありますが、これに関しては十分なユーザー数と対局データが揃う必要があり、現時点では仕方のない面もあります。プロデューサーレターでもこの件が言及されているので、こちらも改善の見込みは十分です。
ひとつ個人的な要望としては、駒音が結構豪華に鳴るのですが、もう少しリアル寄りのシンプルな音に設定できれば嬉しいですね。
これほどキャラクター要素を盛り込んだ将棋対局ゲームは他にありません。若い人たちを中心に将棋人口を増やすのに一役買えそうな、将来性十分のゲームです。
また今後予定されているであろうゲーム内イベントはもちろんですが、キャラクターと声優、さらには実在のプロ棋士も登場するリアルイベント……という期待も膨らみます。筆者も一将棋ファンとして、これからも『棋桜』が盛況を博し、発展してほしいと思います。











