2000年代初頭。「ゾイド」シリーズのゲームオリジナルの機体として絶大な人気を誇りながら、長らく“幻の機体”とされてきた「トリニティライガー」。
トリニティライガーはかつて、PS『ZOIDS 帝国VS共和国 メカ生体の遺伝子』や、GBA『ZOIDS SAGA』とゲームシリーズで主人公機として活躍した機体です。そんな機体が20年以上の時を経て初キット化されたというニュースに、衝撃を覚えたファンは多かったのではないでしょうか。
キットは近年主流だったハイエンドモデルを手掛ける他メーカーではなく、あえて本家・タカラトミーの新ブランド「RMZ」シリーズとしてラインナップ。
しかも、バリエーション機を含めた立体化に踏み切った事実は往年のファンにとって、単なる商品化以上の意味を持っています。それは、かつて私たちが画面の中で共に戦った“あの頃の記憶”が、公式に再評価された瞬間でもあるからです。
『ZOIDS SAGA』での「愛機」
そんなトリニティライガーを語る上で欠かせないのが、GBAで展開された『ZOIDS SAGA』シリーズの存在です。
本作は、当時放送されていたアニメのシリーズ間や、本家バトルストーリーなどの異なる世界のキャラクターが一堂に会するクロスオーバーRPG。
プレイヤーは、共和国にも帝国にも属さない中立国の王子「アトレー・アーカディア」となって、ファントム騎士団に占領された祖国「アーカディア城」の奪還を目指します。

この物語で、トリニティライガーはアトレーの乗機……すなわち「主人公機」として登場した、ゲームオリジナルゾイドだったのです。古代の遺産であるこの機体と共に再起を図る物語は、当時のプレイヤーに強い印象を残しました。
特筆すべきは、RPGというジャンルゆえの唯一無二の相棒感です。確かに他の『ゾイド』シリーズでの主人公機も、やはりライガー系機種というイメージは強くあります。
しかし、シールドライガーやブレードライガー、さらにはライガーゼロといった機体も個体としてはそれぞれに様々なバックボーンがありつつも、ゾイドの機種としてみれば「量産機」の分類です。
ところが、トリニティライガーは幻のライガー系の位置付けで、当然のようにワンオフ機。それも、古代遺産を護るために開発された特別なゾイドという、「THE 主人公機」を地で行く設定を持っていました。

デザインに関しても、それまでのライガー系とは一線を画す特異なシルエットを持ち、鬣が回転して武装を変更するというユニークなギミックも搭載。
さらには、燃え上がるような赤い装甲を纏った「BA(バーニングアーマー)」への形態強化や、ビクトリーフォームへのユニゾン、エヴォルト形態まで兼ね備えるという、少年心をくすぐる要素がこれでもかと凝縮されている機体でした。
愛機と共に自由に大地を駆ける
RPGの『ZOIDS SAGA』が物語や育成を楽しむ作品であったのに対し、その魅力をダイナミックな「体感」へと昇華させたのが、ゲームキューブを中心に展開された『ZOIDS VS.』シリーズでした。
『ZOIDS VS.』は広大な3Dフィールドを舞台に、愛機を自由に操ってミッションをこなしていく本格的なアクションゲーム。ここにトリニティライガーが参戦した意義は絶大でした。

何しろ、ドット絵や設定画の中でしか知らなかったその雄姿が、滑らかなポリゴンモデルとなって3Dの世界でを縦横無尽に動き回っている。しかも己の手で機体を思い通りに操縦している。この事実に当時のファンは大きな衝撃を受けました。
特筆すべきは、据え置き機のスペックを活かした迫力ある演出です。トリニティライガーの高い機動力による格闘戦はもちろん、特徴的な武装の切り替えといった設定がゲームシステムとして見事に再現されていました。
アトレーをパイロットとして、アニメの主役機であるバンのブレードライガーやビットのライガーゼロと真っ向から戦わせることができたのは、まさにゲームならではの贅沢な体験だったと言えるでしょう。

また、同年代には『ZOIDS STRUGGLE』や『ゾイドフルメタルクラッシュ』といった対戦アクションゲームが次々と発売されており、まさに「自分の手でゾイドを操る」黄金期とも言える時代でした。
トリニティライガーは、これら3Dアクションの最前線においても「ゲーム発の最強格」として特別な存在感を放ち続けていたのです。
昨今の「ゾイド」商品展開
そうして近年、「ゾイド」に関係する商品展開が急加速しています。もちろん、TVアニメのアニバーサリーなどもあって記念商品が多数展開していた、というのもあります。
しかし、その一方で本家タカラトミーが本腰を入れて、新ブランドの組み立てキットや完成形フィギュアの新商品を相次いでリリースし始めたという、往年の「ゾイド」ファンであればあるほど信じがたい状況が今、現実のものとなっています。
20年前の当時、テレビアニメやバトルストーリーに登場する機体が次々とキット化される一方で、ゲームオリジナルの本機は長らく画面の中だけの存在でした。バンやビットといった歴代主人公たちと肩を並べて戦う勇姿と、その洗練されたデザインは、当時の子供たちの心に「いつかこの手で実物に触れたい」という強い憧れを刻み込んでいたはずです。
今回のRMZシリーズでのキット化は、まさに20年越しにその願いが叶った瞬間といえるもの。願わくば、この熱量と炎の勢いが今しばらく……いや、末永く続くことを願ってやまないものです。









